フォルクスワーゲンが、ブランドのベストセラーモデルを電動化した新型バッテリーEV「ID. Tiguan(アイディ. ティグアン)」を世界初公開しました。これまで累計生産台数95万台を超えてきた人気EV「ID. 4」および「ID. 5」の後継となるミッドサイズSUVで、ドイツおよび欧州諸国では10月13日に先行販売を開始。発売は2027年初頭を予定しています。EV購入を検討している方、輸入SUVに関心のある方に向けて、デザイン・性能・インテリア・価格まで詳しく解説します。
ID. Tiguanとは? ベストセラー「ティグアン」の名を冠した電気自動車
「ティグアン」は世界で最も売れているフォルクスワーゲンモデルであり、「ID. 4」と「ID. 5」はブランドで最も成功した電気自動車です。新型「ID. Tiguan」は、この2つのサクセスストーリーを融合させたモデルという位置づけになります。

注目すべきは、現行のガソリン・ディーゼル・ハイブリッドを搭載する「ティグアン」と並行して販売される点です。つまりユーザーは、同じ「ティグアン」という信頼されたブランド名のもとで、内燃機関モデルとEVモデルを選択できるようになります。生産はドイツ・エムデン工場で行われ、ウォルフスブルクで生産される現行ティグアンと合わせて、欧州市場における強力なSUVラインアップを形成します。
装備レベルに応じて「Trend(トレンド)」「Life(ライフ)」「Style(スタイル)」「R-Line(R-ライン)」の4グレードが設定され、価格はドイツ市場で4万2695ユーロからとなっています。
刷新されたエクステリアデザイン|クラシックなドアハンドルが復活
新型「ID. Tiguan」最大の特徴は、全面刷新されたエクステリアデザインにあります。フォルクスワーゲンが「Pure Positive(ピュア ポジティブ)」と呼ぶデザイン言語を採用し、先代の柔らかな印象のクロスオーバーデザインから、力強く存在感のあるSUVデザインへと生まれ変わりました。

シャープなキャラクターラインと精密に造形されたボディパネルにより、ワンランク上のプレミアムセグメントを思わせる佇まいを実現しています。さらにユーザーの声を反映し、4枚のドアには手で引いて操作するクラシックなドアハンドルを復活させました。EVらしさを打ち出しつつも、使い勝手に配慮した実用的な設計です。

航続距離は最大600km|3つのパフォーマンスレベルを設定
新型「ID. Tiguan」は、新世代EVプラットフォーム「MEB+」を採用し、以下3つのパフォーマンスレベルで展開されます。
- 後輪駆動(58kWhバッテリー):最高出力140kW(190PS)
- 後輪駆動(77kWhバッテリー):最高出力210kW(286PS)
- 4輪駆動「4MOTION」(77kWhバッテリー):最高出力220kW(299PS)
出力とバッテリー容量にもよりますが、WLTPモードにおける航続距離は最大600kmに達する見込みです。日常の使い勝手にも優れ、牽引能力は58kWhモデルで最大1800kg、77kWhモデルで最大2000kgを確保。トレーラーやボートの牽引にも対応します。
また、フロントトランク(フランク)には32リットルの収納スペースを備え、ラゲッジコンパートメント容量は最大534リットルを実現。5人の乗員にゆとりある空間と充実した積載性を提供します。
ワンランク上のインテリア|欧州VW初の助手席ディスプレイを搭載
インテリアは、新開発の直感的なコックピットレイアウトを導入し、質感の高い素材とエレガントな照明効果によって、一つ上のセグメントを彷彿とさせる上質な室内空間を実現しています。

3つのディスプレイが生み出す連続したランドスケープ
欧州のフォルクスワーゲンモデルとして初めて、12インチ(対角30.5cm)の助手席ディスプレイを設定しました。運転席には10インチの「Digital Cockpit(デジタルコックピット)」、中央には15インチのインフォテインメントディスプレイを配置し、3つのディスプレイが連続したランドスケープを生み出します。
助手席ディスプレイは「プライバシーモード」を備え、ノートパソコンのプライバシースクリーンのようにドライバーからは見えない設計。助手席の乗員は、ドライバーの視界を妨げたり注意をそらしたりすることなく、Bluetoothヘッドホンで音楽を聴いたり、情報やゲームといった自分だけの世界に没入できます。
遊び心あふれる新開発「Retro」ディスプレイ
新型「ID. Tiguan」のために新開発された「Retro(レトロ)」ディスプレイも注目のポイントです。マルチファンクションステアリングホイールの「View」ボタンから有効にすると、名車「Golf IV(ゴルフIV)」を象徴するブルーとレッドを組み合わせたメーターがDigital Cockpitに表示されます。回転速度計にはエンジン回転数ではなく、駆動系のエネルギーの流れが電力表示として示される点がEVならではです。
中央ディスプレイの「Retro」ビューは初めてパーソナライズに対応し、バーチャルガレージから「Golf I」「Golf II Country」「Golf IV」「Tiguan I」「Race Touareg」「Beetle」という6種類の歴代フォルクスワーゲンモデルを選んで表示できます。ブランドの歴史を愛するファンにはたまらない演出です。
物理スイッチの復活で直感的な操作性を実現
近年のEVで批判されがちだった「タッチ操作への過度な依存」を見直し、重要な機能には再び物理スイッチやダイヤルを採用しました。エアコンの基本機能はセンターコンソールのボタンバーで、オーディオの音量調整や楽曲切り替えはダイヤルで直感的に操作できます。マルチファンクションステアリングホイールも、タッチコントロールではなく物理ボタンを備えています。前席にはQi2規格対応のワイヤレス充電ベースを2つ配置し、マグネットリングでスマートフォンを確実に固定できます。
運転をサポートする先進テクノロジーと快適装備
新型「ID. Tiguan」には、最新の運転支援システムと快適装備が搭載されます。アクセルペダルのみで強力な減速を行う「ワンペダルドライビング」を標準装備するほか、高速道路での車線変更アシストや赤信号での自動停止を可能にする新しい「Connected Travel Assist(コネクテッド トラベル アシスト)」をオプションで設定します。
快適装備としては、リラクゼーション機能・メモリー機能・ベンチレーション機能を備えた電動調整式フロントシート、480W出力のハーマンカードン製ハイエンドサウンドシステム、パノラミックサンルーフなどがオプションで選択可能です。
さらに、スマートフォンで車両の施錠・解錠やエンジン始動ができる「Digital Key(デジタルキー)」は、家族や友人ともアプリ経由で簡単に共有可能。充電インターフェースに差し込むだけで電動自転車から電気グリルまで給電できる「PowerSocket(パワーソケット)」など、EVならではの実用的な機能も用意されています。
新型「ID. Tiguan」スペックまとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ボディタイプ | ミッドサイズSUV(バッテリーEV) |
| プラットフォーム | MEB+ |
| バッテリー容量 | 58kWh/77kWh |
| 最高出力 | 140kW(190PS)/210kW(286PS)/220kW(299PS) |
| 駆動方式 | 後輪駆動/4輪駆動(4MOTION) |
| 航続距離(WLTP) | 最大600km |
| 牽引能力 | 最大1800kg(58kWh)/最大2000kg(77kWh) |
| ラゲッジ容量 | 最大534リットル+フランク32リットル |
| グレード | Trend/Life/Style/R-Line |
| 価格 | 4万2695ユーロ〜(ドイツ市場) |
| 先行販売開始 | 10月13日(ドイツ・欧州諸国) |
| 発売時期 | 2027年初頭予定 |
まとめ|EV時代の新たなベンチマークとなるか
新型「ID. Tiguan」は、ブランドで最も売れている「ティグアン」の名を冠し、成功したEV「ID. 4」「ID. 5」の資産を受け継いだ戦略的な一台です。クラスを超えた質感のインテリア、物理スイッチの復活による使いやすさ、最大600kmの航続距離、そして現行の内燃機関モデルと並売されるという柔軟な選択肢は、EVへの乗り換えをためらっていたユーザーにとっても魅力的に映るはずです。
ドイツ製電動SUVの新たなベンチマークとなりうる「ID. Tiguan」。日本市場への導入時期や価格はまだ明らかにされていませんが、今後の続報に注目が集まります。
フォルクスワーゲンニュースリリース

