メルセデスAMGは2026年10月18日、ブランド59年の歴史で初めて自社で一から開発したフルサイズSUV「メルセデスAMG GT SUV」を発表しました。電気自動車で、最上位の「GT 63 SUV」は最高出力860kW(1,169PS)を発揮します。
GT SUVは、2026年5月に発表された「AMG GT 4ドアクーペ」に続く、高性能EV専用アーキテクチャー「AMG.EA」の第2弾です。グレードはGT 63、GT 55、GT 53の3つで、ドイツではGT 53の受注が10月20日に始まり、価格は113,050ユーロから。GT 63とGT 55は2027年春に続く予定です。日本での発売時期と価格はまだ発表されていません。
この記事では、新型GT SUVの特徴、3グレードのスペック、ボディサイズ、航続距離と充電性能、内外装、日本発売の見通しまで、わかりやすくまとめました。


そもそもメルセデスAMG GT SUVとは?
メルセデスAMGはこれまで、メルセデス・ベンツのSUVをベースにした高性能モデルを数多く手がけてきました。今回のGT SUVは、AMGの本拠地アファルターバッハで、車体の基本から自社で開発した初めてのフルサイズSUVです。キャッチフレーズは「SUV by Shape. GT by Nature.」。見た目はSUV、中身はスポーツカーという意味です。
スポーティな着座位置と低い重心、低く流れるシルエットで走りの楽しさを追求しつつ、フルサイズSUVならではの広い室内や荷室も確保しています。プラットフォームの「AMG.EA」は、AMG GT 4ドアクーペと共通の高性能EV専用設計です。
【特徴まとめ】新型GT SUVはここがすごい
新型GT SUVの主なポイントは、以下の通りです。
- 3基のアキシャルフラックスモーター:GT 63は最高860kW(1,169PS)、最大トルク2,000Nm
- 最大700kmの航続距離:800Vの128kWhバッテリーで、WLTPモード620〜700km
- 最大710kWの急速充電:10分で最大454km分(WLTP)を充電
- 新開発の足まわり:AMG ACTIVE RIDE CONTROL+と、最大6度切れる後輪操舵を標準装備
① 3基のモーターで1,169PS
GT 63とGT 55は、AMG GT 4ドアクーペと同じく3基のアキシャルフラックスモーターを搭載します。アキシャルフラックスモーターは、薄くて軽いのに大きな力を出せるのが特長です。GT 63の0-100km/h加速は2.5秒(1フィート・ロールアウト計測、通常の計測では2.7秒)。さらに、530kW(721PS)という高い出力を長く出し続けられる「持続出力」の高さも強調されています。
② F1由来の技術を使ったバッテリー
バッテリーは、AMGが開発した「AMG High Performance Electric Battery」です。円筒形のセルを冷却液で直接冷やす仕組みで、何度加速を繰り返しても性能が落ちにくいように作られています。容量は106kWhと128kWhの2種類で、電圧は800Vです。
③ 速度で働きを変える空力システム
「AEROKINETICS」と呼ばれる空力システムも採用しました。時速150kmまではフロントのエアパネルが冷却風を絞って空気抵抗を減らし、時速150kmを超えるとルーフの可動式スポイラーが働いて安定性とトラクションを高めます。空気抵抗係数(Cd値)はGT 63・GT 55で0.27です。
新型GT SUVのグレードと価格
| グレード | モーター | 最高出力 | ドイツでの受注・価格 |
|---|---|---|---|
| GT 53 SUV | 2基(同期モーター) | 400kW(544PS) | 2026年10月20日受注開始・113,050ユーロ〜 |
| GT 55 SUV | 3基(アキシャルフラックス) | 600kW(816PS) | 2027年春 |
| GT 63 SUV | 3基(アキシャルフラックス) | 860kW(1,169PS) | 2027年春 |
GT 53の113,050ユーロはドイツの税込価格です。GT 55とGT 63の価格、そして日本での価格は、まだ発表されていません。
新型GT SUVのボディサイズ
| 項目 | GT 63/GT 55 | GT 53 |
|---|---|---|
| 全長×全幅×全高 | 5,084×2,001×1,656mm | 5,080×2,001×1,653mm |
| ホイールベース | 3,040mm | 3,040mm |
| 車両重量(DIN) | GT 63:2,585kg/2,695kg GT 55:2,605kg/2,715kg | 2,525kg |
| 荷室容量 | 607L(後席を倒すと最大1,740L)+フロント78L | |
車両重量は、GT 63とGT 55が106kWh/128kWhバッテリーの順の値です。全長5m超、全幅2m超という大柄なボディですが、全高は1.65mほどに抑えられ、SUVとしては低く構えたスタイルです。荷室は後席を倒すと1,740Lまで広がり、ボンネットの下にも78Lの収納があります。
低く鋭いスタイル!新型GT SUVの外装(エクステリア)
フロントデザイン
切り立ったノーズ、長いホイールベース、ワイドなトレッド、力強いショルダーラインが特長です。フロントには縦のバーが並ぶAMGらしいグリルを備え、写真ではバーが光るライティングも確認できます。デザイン責任者は「パフォーマンスは存在感から始まる」とコメントしています。


サイドとリアのデザイン
横から見ると、低く伸びるルーフラインがリアスポイラーに向かってなだらかに下がり、SUVでありながらクーペのような姿です。リアには、左右3つずつ並ぶ丸いテールランプが印象的に配置されています。



ドライバー中心の新型GT SUVの内装(インテリア)
コックピットは、ドライバー側に傾けた14.0インチのマルチメディアディスプレイと10.2インチのメーターを一体に見せるデザインです。助手席の前にも14インチのディスプレイが用意されます。システムは、メルセデス独自のOS「MB.OS」をベースにした新世代のMBUXです。GT 63とGT 55のセンターコンソールには、3つのダイヤルで加速の反応やコーナリング、スリップの許容量を調整できる「AMG RACE ENGINEER」が付きます。
後席は3人掛けのベンチシートが標準で、背もたれを倒せるほか、ヘッドレストを電動で倒すこともできます。天井には、ボタン一つで透明・不透明を切り替えられるパノラマガラスルーフ「SKY CONTROL」を採用し、オプションで夜にAMGらしい光の演出も楽しめます。

新型GT SUVのパワートレインとスペック
| 項目 | GT 63 SUV | GT 55 SUV | GT 53 SUV |
|---|---|---|---|
| 最高出力 | 860kW(1,169PS) | 600kW(816PS) | 400kW(544PS) |
| 持続出力 | 530kW(721PS) | 530kW(721PS) | 270kW(367PS) |
| 最大トルク | 2,000Nm | 1,860Nm | 800Nm |
| 0-100km/h加速 | 2.7秒(2.5秒※) | 3.1秒(2.8秒※) | 4.2秒(3.8秒※) |
| 最高速度 | 270km/h | 270km/h | 250km/h |
| 駆動方式 | 4WD(AMG Performance 4MATIC+) | ||
※は1フィート・ロールアウト計測の値。最高速度はDriver's Package装着時。パドルを引くと一時的に出力を高める「ブースト」も使え、持続時間はGT 63で63秒です。走行モード「AMGFORCE Sport+」では、AMGのV8や6気筒エンジンの音を再現したサウンドや、変速の演出、シートの振動まで加わります。
新型GT SUVの航続距離と充電性能
| 項目 | GT 63/GT 55 | GT 53 |
|---|---|---|
| バッテリー容量(正味) | 106kWh/128kWh | 106kWh |
| 航続距離(WLTP) | 525〜585km/620〜700km | 597〜668km |
| 最大急速充電出力 | 600kW/710kW | 600kW |
| 10〜80%の充電時間 | 11分/12分 | 11分 |
| 10分で回復する航続距離(WLTP) | 386km/454km | 440km |
| 普通充電(AC) | 11kW | 11kW |
400kWの充電器でも、10〜80%の充電は106kWhで14分、128kWhで16分です。最高の充電性能を出すには対応した超急速充電器が必要なので、日本の充電環境でどこまで生かせるかは、日本仕様の発表を待ちたいところです。
新型GT SUVの走りを支えるシャシー
新開発の「AMG ACTIVE RIDE CONTROL+」は、3段階に切り替わるエアスプリングと8.2Lの蓄圧器、油圧でつないだショックアブソーバーを組み合わせた足まわりです。一般的なスタビライザーの代わりに油圧が車体の傾きと前後の揺れを抑え、快適さと鋭いハンドリングを両立します。後輪操舵は最大6度で、時速80km未満では前輪と逆向き、それ以上では同じ向き(最大1度)に切れて、小回りと高速安定性を高めます。フロントのアームやナックルには鍛造アルミを使い、バネ下を軽くしています。
ブレーキはグレードに合わせて設定されています。GT 53とGT 55はスチール製ブレーキが標準で、GT 55にはカーボンセラミック・ブレーキをオプションで用意。最上位のGT 63は、前後ともカーボンセラミック・ブレーキが標準装備です。
7つの走行モード
走行モードは「Comfort」「Sport」「AMGFORCE Sport+」「RACE」「Glätte(滑りやすい路面用)」「Eco」「Individual」の7つです。RACEはサーキット向けで、ドリフトモードやドラッグレース、ローンチコントロールなどの機能も使えます。Ecoでは必要に応じて前輪の駆動を切り離し、電費を優先した走りになります。
新型GT SUVはどのグレードを選ぶべきか?
おすすめ① 【いち早く乗るなら】GT 53 SUV
ドイツ価格:113,050ユーロ〜
最初に受注が始まったのがGT 53です。2基のモーターでも544PS、0-100km/h加速4.2秒と十分に速く、航続距離は最大668kmと3グレードで長めです。日常の使いやすさとAMGらしい走りのバランスを求める人に向いています。
おすすめ② 【究極の性能を求めるなら】GT 63 SUV
価格:未発表
1,169PS、2,000Nmという数字は、SUVとしては異次元です。128kWhバッテリーなら最大700km走れ、710kWの急速充電にも対応します。AMG RACE ENGINEERなど走りを楽しむ装備も充実しており、性能に妥協したくない人のための1台です。
新型GT SUVの日本発売はいつ?
2026年10月21日時点で、メルセデス・ベンツ日本からGT SUVの日本導入時期や価格は発表されていません。欧州ではGT 53が先に受注を始め、GT 63とGT 55は2027年春に続く予定です。日本での導入時期・価格・グレード構成は、正式な発表を待つ必要があります。
購入を検討する前にチェックしたい3つのポイント
1つ目は、充電環境です。710kWという充電性能は、対応する超急速充電器があってこそ生きます。自宅での普通充電は11kWまで対応しているので、自宅に充電設備を用意できるかも大切です。
2つ目は、ボディサイズです。全長約5.1m、全幅約2.0mと大きく、機械式駐車場の多くには入りません。駐車場所の確認が欠かせません。
3つ目は、日本仕様の内容です。価格や装備、充電規格への対応は国ごとに異なる場合があります。日本向けの正式発表を待ってから判断するのが確実です。
メルセデスAMG GT SUVに関するよくある質問(FAQ)
Q. GT SUVはガソリン車もありますか?
A. ありません。GT 63、GT 55、GT 53の3グレードとも電気自動車です。
Q. いちばん速いグレードの0-100km/h加速は?
A. GT 63 SUVで2.7秒(1フィート・ロールアウト計測では2.5秒)です。
Q. 航続距離はどのくらいですか?
A. 128kWhバッテリー搭載車で、WLTPモード最大700kmです。
Q. 日本での価格は?
A. まだ発表されていません。ドイツではGT 53が113,050ユーロからです。
まとめ:GT SUVは「SUVの姿をしたAMGのスポーツカー」
メルセデスAMGが初めて自社開発したフルサイズSUV「GT SUV」は、最高1,169PSの3モーター、最大700kmの航続距離、710kWの急速充電、新開発のシャシーを備えた電気自動車です。大きな室内と荷室を持ちながら、走りはスポーツカーそのものという、AMGの新しい挑戦といえます。
日本での発売時期や価格はまだ発表されていません。最新情報が入り次第、随時更新していきます。

