スズキは2025年12月19日、軽トラック「キャリイ」と「スーパーキャリイ」のビッグマイナーチェンジを正式に発表しました。発売日は2026年1月23日で、価格はキャリイが117万2,600円から158万1,800円、スーパーキャリイが129万1,400円から180万700円となっています。
1. 新型キャリイの概要と発売日
今回の改良は単なるマイナーチェンジに留まらず、フロントデザインの刷新、最新安全技術の全車標準装備、デジタルメーターの採用など、大幅な進化を遂げています。商用軽トラックでありながら、乗用車並みの快適性と安全性を実現した点が最大の特徴です。
発売タイムライン
- 2025年11月10日: 先行公開
- 2025年12月19日: 正式発表
- 2026年1月23日: 発売開始
2. 主要な変更点と進化のポイント
2.1 デザインの刷新

新型キャリイシリーズは、フロント外観デザインを全面的に刷新しました。従来モデルと比較して、精悍で力強い印象を与えるフロントマスクに生まれ変わっています。小型化されたLEDヘッドライトと、車体色に統一されたフロントフードガーニッシュが特徴的です。
2.2 安全装備の大幅強化

従来の「デュアルカメラブレーキサポート」から、単眼カメラとミリ波レーダーを組み合わせた「デュアルセンサーブレーキサポートII(DSBSII)」に進化。自転車や自動二輪車の検知も可能になり、交差点での安全性が大幅に向上しました。
以下の安全機能が新たに追加されています:
- 低速前進時ブレーキサポート
- パーキングセンサー(フロント・リア)全車標準装備
- 車線逸脱抑制機能
- 発進お知らせ機能(先行車・信号切り替わり)
- 標識認識機能(車両進入禁止・一時停止・赤信号)
- エマージェンシーストップシグナル
2.3 快適装備の充実

- デジタルメーターディスプレイ全車標準装備: 燃費情報、航続距離、エコスコアなど多彩な情報を視認性高く表示
- スマートフォントレー: 運転中のスマートフォン置き場を新設
- 助手席カップホルダー: 収納性を向上
- LEDヘッドライト全車標準装備: 省電力で明るい視界を確保
2.4 走行性能の向上
ぬかるみ脱出アシスト機能をデフロック付車(4WD・5速MT車)にも追加。農地や山道などの悪路での脱出性能が一層向上し、過酷な作業環境でも安心して使用できます。
3. エクステリアデザインの刷新
3.1 フロントフェイスの進化

新型キャリイの最も目を引く変更点は、精悍なフロントデザインです。従来モデルでは丸みを帯びたデザインでしたが、新型では:
- 小型化されたLEDヘッドライト: ブラックエクステンション付きで引き締まった印象
- カラードフロントフードガーニッシュ: 車体色と統一され、上質な外観を実現
- 力強いバンパー形状: グリル開口部を大型化し、存在感を向上
3.2 豊富なボディカラーラインナップ
新型キャリイは、商用車でありながら7色のボディカラーを用意:
- ホワイト(26U)
- アイビーグリーンメタリック(WCL)※新色
- シルキーシルバーメタリック
- ツールオレンジ(WCJ)※新色
- デニムブルーメタリック
- ブルーイッシュブラックパール3
- モスグレーメタリック(WBW)
特に「アイビーグリーンメタリック」と「ツールオレンジ」は2025年7月に追加された新色で、個性的なカラーリングを求めるユーザーに人気です。
3.3 スーパーキャリイ専用デザイン
スーパーキャリイは460mm拡大されたキャビンを持つロングキャビンモデルで、快適性と積載性を両立しています。
3.4 特別仕様車「Xリミテッド」
スーパーキャリイには、専用装備を満載した**特別仕様車「Xリミテッド」**がラインナップ:
- SUZUKIロゴ入り専用フロントガーニッシュ(ブラック)
- 専用カラードバンパー(ブラック加飾)
- 専用フォグランプベゼル(ブラック)
- ドアハンドル(ブラック)
- 専用スチールホイール(ブラックメタリック塗装)
- 専用デカール(フロント・リア)
ワイルドで精悍なスタイリングが特徴で、仕事だけでなく、レジャーやアウトドアでも映えるデザインとなっています。
4. インテリア・室内空間の向上
4.1 デジタルメーターディスプレイ

新型キャリイの最大の進化点の一つが、デジタルメーターディスプレイの全車標準装備です。表示される情報は以下の通り:
- スピードメーター
- アイドリングストップ時間
- エコスコア(4速AT車)
- 瞬間燃費
- 平均燃費
- 航続可能距離
- 平均車速
- シフトインジケーター
- 外気温
- 時計
- オドメーター/トリップメーター
視認性が高く、運転に必要な情報を一目で確認できます。
4.2 収納スペースの充実
商用車として使いやすさを追求し、以下の収納スペースを装備:
- インパネドリンクホルダー(運転席・助手席)
- インパネポケット(運転席両側)
- インパネワイドホルダー
- インパネセンタートレー
- 助手席カップホルダー(新設)
- スマートフォントレー(新設)
4.3 スーパーキャリイの快適空間
スーパーキャリイは、標準のキャリイより460mm拡大されたキャビンを持ち、以下の特徴があります:
- シートスライド幅: 140mm→180mmに拡大
- シートリクライニング: 最大40度まで対応
- シートバックスペース: 高さ920mm×横幅1,235mm×長さ250mmの大容量収納
長距離移動や休憩時にも快適に過ごせる設計となっています。
4.4 視認性の良い運転環境
- 大きな窓ガラスによる良好な視界
- 見やすいメーターレイアウト
- 操作しやすいスイッチ類の配置
- シート一体型ヘッドレストで快適性向上
5. 最新安全装備「デュアルセンサーブレーキサポートII」
5.1 安全性能の大幅進化
新型キャリイは、経済産業省・国土交通省が推進する「サポカーS ワイド」、国土交通省の「ペダル踏み間違い急発進抑制装置(PMPD)認定車」に該当しています。
5.2 デュアルセンサーブレーキサポートII(DSBSII)の特徴
【検知対象の拡大】
従来のデュアルカメラブレーキサポートでは車両と歩行者のみを検知していましたが、新型では:
- 車両(前方車両・対向車両)
- 歩行者
- 自転車
- 自動二輪車
幅広い対象を検知可能になり、実用性が大幅に向上しました。
【作動条件】
- 自車速度: 約5km/h~約180km/h
- 対象が自転車・歩行者の場合: 約5km/h~約80km/h
- 交差点(右左折): 約5km/h~約40km/h(対象が自転車・歩行者の場合は約5km/h~約30km/h)
- 交差点(出合頭車両): 約5km/h~約60km/h
【動作の流れ】
- 警報: ブザー音とメーター表示でドライバーに警告
- ブレーキアシスト: ブレーキペダルを踏むと、ブレーキ踏力をアシスト
- 自動ブレーキ: 衝突の可能性が高まると、自動で強いブレーキをかけ、衝突回避または被害軽減を図る
5.3 交差点衝突回避支援機能
【交差点衝突回避支援(右左折)】
右左折時に対向車や横断歩行者、自転車を検出した場合、前方衝突警報および衝突被害軽減ブレーキが作動します。
【交差点衝突回避支援(出合頭車両)】
交差点で側方から接近する車両との衝突可能性が高いと判断した場合、警報とブレーキが作動します。
5.4 低速前進時ブレーキサポート(新機能)
駐車場などでの低速走行時、前方の障害物を検知し、衝突の危険性が高まると自動ブレーキが作動します。
作動条件: シフトがR以外の位置で前進中、進行方向の障害物を検知した場合
5.5 パーキングセンサー(フロント・リア)全車標準装備
フロントバンパーとリヤスカートパネルに各4つの超音波センサーを内蔵。障害物との距離を測定し、4段階のブザー音とメーター表示で接近をお知らせします。
5.6 車線逸脱抑制機能(新機能)
高速道路などで車線を逸脱しそうになると、ステアリングに力を加えて車線内に戻すよう支援します。
作動条件: 約50km/h以上で走行中、車線の左右区画線や道路端を検知している場合
5.7 発進お知らせ機能(新機能)
【先行車発進お知らせ】
停車中、先行車が発進してもドライバーが気づかない場合、ブザー音とメーター表示でお知らせします。
【信号切り替わりお知らせ】
交差点の先頭で停車中、赤信号から青信号に切り替わってもドライバーが気づかない場合、お知らせします。矢印信号にも対応しています。
5.8 標識認識機能(新機能)
走行中に以下の標識を認識すると、メーターにマークを表示してドライバーにお知らせ:
- 一時停止
- 車両進入禁止
- 赤信号
標識によってはブザー音でも警告します。
5.9 エマージェンシーストップシグナル(新機能)
急ブレーキをかけた際、後続車に危険を知らせるためにハザードランプが自動点滅します。
5.10 その他の安全装備
【誤発進抑制機能】
停車または徐行中、前方に障害物があるにもかかわらずアクセルペダルを強く踏み込んだ場合、エンジン出力を自動的に抑制します。
【ブレーキ制御付後方誤発進抑制機能】
後方に障害物がある状態でアクセルペダルを強く踏み込んだ場合、エンジン出力を抑制し、さらに自動ブレーキ制御が作動します。
【ハイビームアシスト】
約30km/h以上で走行中、前方に対向車や先行車がいる場合はロービーム、いなくなると自動でハイビームに切り替わります。
【ヒルホールドコントロール】
坂道での発進時、ブレーキから足を離しても一定時間ブレーキ力を保持し、車両の後退を防ぎます。
【ESP®(車両走行安定補助システム)】
急なハンドル操作や滑りやすい路面でも、車両の横滑りを抑制し、安定した走行をサポートします。
【4輪ABS[EBD付]】
滑りやすい路面での急ブレーキ時、タイヤのロックを防ぎ、車体を安定させます。最適な制動力を前後に自動配分するEBD(電子制御制動力配分システム)とブレーキアシストも装備。
6. 価格・グレード体系
6.1 キャリイ(標準キャビン)の価格
【キャリイKC】
- 2WD/5MT: 1,172,600円
- 2WD/4AT: 1,249,600円
- 4WD/5MT: 1,324,400円
- 4WD/4AT: 1,401,400円
【キャリイKC農繁仕様】
- 高低速4WD/5MT: 1,360,700円
- 4WD/4AT: 1,437,700円
【キャリイKX】
- 2WD/5MT: 1,350,800円
- 2WD/4AT: 1,427,800円
- 高低速4WD/5MT: 1,504,800円
- 4WD/4AT: 1,581,800円
6.2 スーパーキャリイ(ロングキャビン)の価格
【スーパーキャリイL】
- 2WD/5MT: 1,291,400円
- 2WD/4AT: 1,368,400円
- 4WD/5MT: 1,443,200円
- 4WD/4AT: 1,520,200円
【スーパーキャリイX】
- 2WD/5MT: 1,459,700円
- 2WD/4AT: 1,536,700円
- 高低速4WD/5MT: 1,613,700円
- 4WD/4AT: 1,690,700円
【特別仕様車 スーパーキャリイXリミテッド】
- 2WD/5MT: 1,569,700円
- 2WD/4AT: 1,646,700円
- 高低速4WD/5MT: 1,723,700円
- 4WD/4AT: 1,800,700円
6.3 キャリイ特装車の価格
新型キャリイには、業務用途に特化した豊富な特装車もラインナップされています:
- 金太郎ダンプ: 1,618,100円~
- 頑丈ダンプ: 1,830,400円~
- 浅底ダンプ: 1,690,700円~
- 清掃ダンプ: 1,647,800円~(4WD/4AT設定追加)
- リフトダンプ: 1,951,400円~
- 垂直式ゲートリフター: 1,685,200円~
- 保冷車: 1,625,800円~
- 冷凍車: 2,198,900円~2,658,700円
- 移動販売冷凍車: 2,302,300円~
6.4 価格改定について
今回の大幅改良により、エントリーモデルで55,000円の値上げとなりましたが、20万円以上の値上げが予想されていた中、装備内容を考えれば非常にリーズナブルな価格設定といえます。
7. エンジン性能と燃費性能
7.1 エンジンスペック
新型キャリイには、軽トラックトップクラスの出力を誇る直列3気筒660cc「R06A」エンジンを搭載しています。
- エンジン型式: R06A型
- 最高出力: 50ps/6,200rpm
- 最大トルク: 6.0kgm/3,500rpm
- 可変バルブタイミング機構採用
ダイハツ・ハイゼットトラックと比較して4ps大きく、軽トラッククラスNo.1の最高出力を実現しています。
7.2 トランスミッション
- 5速マニュアルトランスミッション(5MT)
- 4速オートマチックトランスミッション(4AT)
7.3 駆動方式
用途に応じて選べる3つの駆動方式:
- 2WD(FR): 一般的な舗装路での使用に最適
- パートタイム4WD: 雪道や悪路に対応
- 高低速切替え式パートタイム4WD: 急傾斜地や農地での作業に対応
7.4 ぬかるみ脱出アシスト機能
デフロック付車(4WD・5MT車)にも新たに追加され、ぬかるみからの脱出性能が一層向上しました。この機能により、片輪が空転しても、反対側の車輪に駆動力を伝達し、スムーズに脱出できます。
7.5 燃費性能(WLTCモード)
【キャリイ】
- 5MT: 18.7km/L
- 4AT: 15.7km/L
【スーパーキャリイ】
- 5MT: 17.9km/L
- 4AT: 15.4km/L
2024年の改良でアイドリングストップシステムを5MT車に新採用したことで、キャリイは0.5km/L、スーパーキャリイは0.2km/Lの燃費向上を実現しています。
8. ボディサイズと積載性能
8.1 ボディサイズ
【キャリイ・スーパーキャリイ共通】
- 全長×全幅×全高: 3,395×1,475×1,765mm
- ホイールベース: 1,905mm
- 最小回転半径: 3.6m
最小回転半径3.6mは、乗用車の軽自動車「スズキ・アルト」よりも1m短く、狭い路地や作業現場でも取り回しが非常に容易です。
8.2 荷台サイズ

【キャリイ(標準キャビン)】
- 荷台フロア長: 2,030mm(軽トラッククラスNo.1)
- 荷台幅: 1,410mm
- 荷台高: 290mm
- 荷台床面地上高: 650mm
【スーパーキャリイ(ロングキャビン)】
- 荷台長: 1,480mm
- 荷台フロア長: 1,975mm(軽トラッククラスNo.1)
- 荷台幅: 1,410mm
- 荷台高: 290mm
- 荷台床面地上高: 650mm
スーパーキャリイは、キャビンを拡大しながらも、キャビン後部下側の空間を荷台として活用することで、1,975mmまでの長尺物を積載可能です。
8.3 積載性能の特徴
- 低床設計: 荷台床面地上高650mmで、荷物の積み下ろしが楽々
- 広い荷台幅: 1,410mmでパレットや資材を効率よく積載
- 荷台ステップ: 運転席側・助手席側に標準装備で、乗降が容易
8.4 車重
- 車重: 740kg
軽量設計により、燃費性能と積載能力を両立しています。
9. 競合車種との比較
9.1 ダイハツ・ハイゼットトラック
軽トラック市場のトップシェアを持つ競合車種。
【比較ポイント】
- 出力: キャリイが50ps、ハイゼットトラックが46psで、キャリイが4ps上回る
- 安全装備: 両車ともに充実した安全装備を搭載
- 価格: ほぼ同等の価格帯
9.2 ホンダ・アクティトラック
2021年に生産終了しており、現在は中古車市場のみ。
9.3 OEM供給車種
スズキ・キャリイは、以下のメーカーにもOEM供給されています:
- マツダ・スクラムトラック
- 三菱・ミニキャブトラック
- 日産・クリッパートラック
これらの車種は基本的にキャリイと同一の性能を持ちますが、販売店のサービスや特典が異なる場合があります。
10. まとめ:新型キャリイの購入を検討すべき理由
10.1 圧倒的な安全性能
「デュアルセンサーブレーキサポートII」を全車標準装備し、自転車や自動二輪車の検知にも対応。交差点での出合頭事故や右左折時の事故リスクを大幅に低減します。
10.2 最新の快適装備
デジタルメーターディスプレイ、LEDヘッドライト、充実した収納スペースなど、商用車とは思えない快適性を実現。長時間の運転でも疲れにくい設計です。
10.3 優れた経済性
軽トラッククラストップの出力を持ちながら、WLTCモード18.7km/L(5MT)の優れた燃費性能。アイドリングストップシステムにより、日々の燃料コストを抑えられます。
10.4 圧倒的な積載性能
荷台フロア長2,030mm(キャリイ)、1,975mm(スーパーキャリイ)で、長尺物の積載も可能。低床設計により、重い荷物の積み下ろしも楽々です。
10.5 高い走破性
高低速切替え式パートタイム4WD、ぬかるみ脱出アシスト機能、デフロック機構により、農地や山道などの悪路でも安心して走行できます。
10.6 豊富な特装車ラインナップ
ダンプ、冷凍車、移動販売車など、業務用途に特化した豊富な特装車をラインナップ。あらゆるビジネスシーンに対応可能です。
10.7 リーズナブルな価格設定
これだけの装備充実にもかかわらず、エントリーモデルで117万2,600円からという価格設定は非常に魅力的です。
10.8 長期保証と防錆性能
ボディ外板穴あき錆保証5年、ボディ外板表面錆保証3年を提供。防錆鋼板100%採用により、長期間安心して使用できます。
【購入検討時のポイント】
標準キャビン vs ロングキャビン
- キャリイ(標準キャビン): 積載量重視、価格重視の方におすすめ
- スーパーキャリイ(ロングキャビン): 快適性重視、長距離移動が多い方におすすめ
2WD vs 4WD
- 2WD: 一般道での使用がメイン、コストを抑えたい方
- パートタイム4WD: 雪道や悪路での使用がある方
- 高低速切替え式4WD: 農業や林業など、急傾斜地での作業が多い方
5MT vs 4AT
- 5MT: 燃費重視、運転を楽しみたい方
- 4AT: 運転の楽さ重視、渋滞路が多い方
【まとめ】
スズキ新型キャリイ/スーパーキャリイは、軽トラックの常識を覆す安全性能と快適装備を実現したモデルです。商用車としての実用性を維持しながら、乗用車並みの安全性と快適性を獲得した点が最大の魅力といえるでしょう。
2026年1月23日の発売に向けて、各スズキ販売店では試乗車の準備が進んでいます。実際に乗って、その進化を体感してみてはいかがでしょうか。
スズキ ニュースリリース
https://www.suzuki.co.jp/release/a/2025/1219
キャリイ

