2026年春に登場予定の新型日産(北米:セントラ)が、従来のマイナーチェンジを超えたフルモデルチェンジとして生まれ変わることが明らかになりました。中国工業情報化部(MIIT)からのリーク情報と東風日産の公式ティーザー画像により、その全貌が見えてきました。
「全新一代」が示すフルモデルチェンジの真実
東風日産が公開したティーザー画像に記載された「全新一代」という中国語表記は、「まったく新しい世代」を意味し、自動車業界ではフルモデルチェンジを指します。これにより、当初予想されていたビッグマイナーチェンジではなく、完全な新世代モデルであることが判明しました 。
現行の4代目モデル(B18型)が2019年にフルモデルチェンジしたことを考慮すると、モデルサイクル的にも適切なタイミングでの刷新となります。
革新的なデザインが注目ポイント
シャープで精悍なフロントマスク
新型セントラ/シルフィの最大の特徴は、大胆にリニューアルされたフロントデザインです:
- フルワイドLEDライトバーがノーズ全体を横断
- スリムなヘッドランプとの一体感を演出
- 縦型デイタイムランニングライトを採用(プジョーの「牙」デザインを彷彿とさせる)
- ムラーノや日産の中国向けEV「N7セダン」のデザイン言語を継承
このデザイン変更により、従来モデルよりもシャープでスポーティーな印象を与え、日産の将来的なデザイン方向性との整合性を図っています。
洗練されたリアデザイン
リア部分では、一文字型LEDテールランプを採用し、新型エルグランド(E53)やアリアと共通するデザイン言語を採用。クリアテールレンズの採用により、モダンで上質な印象を演出しています。
ボディサイズの微調整でより快適な室内空間を実現
新型セントラ/シルフィの詳細スペック
中国仕様の新型シルフィのボディサイズ:
- 全長:4,656mm(現行比+10mm)
- 全幅:1,825mm(現行比+9mm)
- 全高:1,448mm(現行比±0mm)
- ホイールベース:2,712mm(現行と同じ)
わずかながら長く、幅広くなったボディにより、より広い室内空間と安定した走行性能を実現しています Carscoops。
ホイールベースが変更されていないことから、基本的なプラットフォームは現行モデルを流用しつつ、トヨタ・カムリのようなコスト効率的なアップデート戦略を採用していると推測されます。
パワートレインの多様化で幅広いニーズに対応
中国市場向けエンジン
中国仕様のシルフィでは、従来通り1.6L自然吸気4気筒エンジンを継続搭載:
- 最高出力:135hp(99kW)
- 最大トルク:159Nm
- トランスミッション:CVT
北米市場向けの充実したパワートレイン
北米向けセントラでは、より多様なパワートレインオプションが予想されます:
- ベースエンジン:2.0L 4気筒自然吸気(149hp)
- ターボエンジン:1.5L 3気筒VC-ターボ(201hp)※ローグ搭載エンジン
- ハイブリッド:e-Powerシステムの導入も検討中
この多様なパワートレイン展開により、燃費性能と走行性能のバランスを重視するユーザーから、スポーティーな走りを求めるユーザーまで、幅広いニーズに対応できる体制が整います。
競合他車との価格競争力
予想価格帯
新型セントラの価格は、現行モデルと同程度の約320万円~365万円に設定される見込みです。
主要競合車種
コンパクトセダン市場での主要競合車種:
- トヨタ・カローラ
- ホンダ・シビック
- マツダ3
- ヒュンダイ・エラントラ
- キア・K4
セダン市場が縮小する中、セントラは日産の北米における唯一のセダンモデルとして重要な役割を担うことになります(ヴァーサとアルティマは2025年で生産終了予定)。
生産拠点の戦略的変更
「メイド・イン・USA」への転換
日産は、セントラの生産拠点をメキシコからアメリカに移転することを検討中です。この戦略変更の背景には:
- 25%輸入関税の回避(トランプ政権下で導入)
- 財務基盤の安定化
- サプライチェーンの最適化
この生産拠点変更により、アメリカ市場での競争力向上と安定供給が期待されます。
発売時期と市場展開
各市場での発売スケジュール
- 中国市場:2026年第1四半期(2026年春)
- 北米市場:2026年または2027年モデルイヤーとして登場予定
- グローバル発表:2024年11月のロサンゼルス・オートショーでの発表が有力
まとめ:新時代を切り拓く日産セントラの進化
2026年の新型日産セントラ/シルフィは、単なるマイナーチェンジを超えた真のフルモデルチェンジとして登場します。革新的なデザイン、多様なパワートレインオプション、戦略的な価格設定により、厳しいセダン市場での競争力強化を図っています。
特に注目すべきは、プジョー風の牙デザインを取り入れたフロントマスクと、日産の最新デザイン言語を反映したスタイリングです。また、ハイブリッドシステムの導入可能性により、環境性能と経済性の両立も期待できます。
縮小するセダン市場において、新型セントラが日産の重要な戦略車種として成功を収めるか、2026年の正式発表が待ち遠しいところです。