2026年3月27日、日産自動車の高級ブランド、インフィニティ(INFINITI)が、待望の新型ファストバックSUV「QX65」を米国で正式発表しました。2021年以来となるインフィニティ初の完全新型車であり、2017年に惜しまれつつ生産終了となった名車「FX」(後のQX70)の精神を受け継ぐモデルです。2026年初夏より米国市場で販売開始予定で、車両本体価格は53,990ドル(日本円で約862万円)〜となります。
1. インフィニティQX65とは?FXのDNAを継承する新世代SUV
インフィニティQX65は、かつてSUV市場に革命をもたらした「FX」シリーズからインスピレーションを受けた完全新型モデルです。初代FXは2003年に登場し、スポーツカーのような長いノーズと流麗なルーフラインで「SUVクーペ」というジャンルの先駆けとも呼べる存在でした。2008年に2代目へ移行し、2013年の命名規則変更で「QX70」へと改称されましたが、2017年に惜しまれつつ生産終了。それから約8年の時を経て、そのスピリットを継承するQX65がついにベールを脱いだのです。

QX65は、インフィニティが掲げるデザインランゲージ「Artistry in Motion(アーティストリー・イン・モーション)」を進化させた一台であり、大胆なファストバックデザインによってラグジュアリーSUVの新たな魅力を打ち出します。自信に満ちた美しい造形、丁寧に仕立てられた室内空間、そして心を高揚させるドライビング体験を通じて、インフィニティの新章を体現するモデルと位置づけられています。
2. エクステリアデザイン:「Artistry in Motion」の進化形
QX65のエクステリアは、一目で強い存在感を放つ堂々としたデザインが特徴です。
フロントフェイスには、日本の竹林からインスピレーションを得た立体的なグリルを採用。縦方向に配置されたエレメントが奥行きと品格を生み出し、インフィニティのシグネチャーであるデジタルピアノ調ライティングがワイド感と先進性を強調しています。

大きく弧を描くルーフラインは、シャープなリアスポイラーへと視線を導き、ダイナミックなファストバックプロポーションを強調。四隅に配置された大口径ホイールが安定感と高いパフォーマンスを視覚的に訴求し、精緻に造形されたボディサイド、ウインドウ上部に走るさりげないラインがリアへと美しく絞り込まれ、洗練とスポーティーさを見事に両立させています。

リアデザインでは、航空機の垂直尾翼にインスパイアされた縦基調のエレメントを備えるフルワイドLEDテールランプを配し、洗練されたモダンな佇まいを際立たせています。夜間の被視認性を高めると同時に、QX65のアイデンティティをひと目で認識できるデザインです。
3. 新色サンファイアレッド:本物の金を配合した特別な塗装

QX65で最も注目すべきトピックのひとつが、新設定のボディカラー「サンファイアレッド」です。
このカラーは、なんと本物の金(ゴールド)を配合したガラスフレークを採用。三層にわたる高度な塗装プロセスによって、深みと輝きを併せ持つ唯一無二の表情を生み出しています。光の加減で現れる金のきらめきが何とも印象的で、太陽光の下では赤と金が織りなす複雑な輝きを見せ、QX65のダイナミックなキャラクターを視覚的に表現します。
ただし、三層塗装かつ金のフレークを含むこの特殊塗装は、万が一のキズや板金修理においてはかなりのコストが予想されるため、オーナーにとっては取り扱いに気を配りたいカラーとも言えるでしょう。
4. ボディサイズ:ランドクルーザー300よりも大きい堂々の体躯
QX65のボディサイズは以下の通りです。

| 項目 | スペック |
|---|---|
| 全長 | 5,042mm |
| 全幅(ミラー含む) | 2,184mm |
| 全高 | 1,770mm |
| ホイールベース | 2,901mm |
| シートレイアウト | 2列5人乗り |
| ラゲッジ容量 | 1,014L(後席折りたたみ時:1,917L) |
写真で見るとコンパクトにまとまっているように感じますが、実はトヨタ・ランドクルーザー300(全長4,985mm)よりも全長が約60mm長いという堂々たるサイズ。アメリカの広い道幅に最適化されたビッグサイズSUVです。
3列シートは採用せず、2列5人乗りに特化することで、広大なラゲッジスペースを確保。後席を倒せば1,917Lもの荷室が出現し、日常の買い物からキャンプ道具の積載、ロングドライブまであらゆるシーンに柔軟に対応します。
5. インテリア:日本の美意識が宿る「おもてなし」空間
QX65のインテリアは、インフィニティが掲げる「エレベーテッド・ホスピタリティ」の思想を体現した、上質なおもてなし空間です。

最大64色のアンビエントライト
車内には最大64色から選択可能なマルチアンビエントライトが採用されており、日本の四季(春の桜、夏の深緑、秋の紅葉、冬の雪景色)から着想を得たテーマも用意されています。シーンや気分に合わせてキャビン全体の雰囲気を自在に演出でき、夜間のドライブがより一層特別なものになります。

マッサージシートを採用
このクラスのSUVとしてはやや珍しいマッサージシートも採用。長距離ドライブの疲れを癒すラグジュアリーな装備で、上位モデルにふさわしい快適性を提供します。

可動式2列目シートと広大なラゲッジ
2列目シートは可動式で、前後スライドやリクライニングが可能。乗員のレッグスペースとラゲッジスペースの配分を自由に調整できるため、乗車人数や荷物の量に応じてフレキシブルに使い分けることができます。
随所に施されたディテールは、日本の美意識へのオマージュとして、インフィニティならではの世界観を丁寧に表現しています。
6. 先進コネクティビティ&クリプシュ®プレミアムオーディオ
12.3インチデュアルディスプレイ&Googleビルトイン

コックピットには、メータークラスター用とインフォテインメント用の2つの12.3インチディスプレイが搭載され、洗練されたデジタル空間を構成します。インフォテインメントシステムにはGoogleビルトインを標準搭載しており、Googleマップによるナビゲーション、Google Playストアからのアプリダウンロード、Googleアシスタントによる音声操作を車両内でシームレスに利用可能です。
さらにワイヤレスApple CarPlayおよびAndroid Autoにも対応しており、スマートフォンとの連携もスムーズ。日常の利便性を大幅に高めています。
クリプシュ®プレミアムオーディオシステム
QX65のオーディオ体験は格別です。老舗オーディオブランドクリプシュ(Klipsch)によるプレミアムオーディオシステムを採用し、車内にコンサートホールのような臨場感をもたらします。

さらに注目すべきは、インディビジュアル オーディオとパーソナライズド・サウンド・プロファイル・テクノロジーの搭載。これにより、乗員一人ひとりの好みや座席位置に合わせて最適化されたサウンド空間を提供し、まさに「自分だけの音響体験」を実現します。運転席ではスポーティな重低音を楽しみつつ、後席では穏やかなBGMを——といったパーソナライズが可能になるのです。


7. パワートレイン:世界初の可変圧縮比VCターボエンジン
QX65の心臓部には、インフィニティの技術力の結晶ともいえるVCターボ(Variable Compression Turbo)エンジンが搭載されています。
| 項目 | スペック |
|---|---|
| エンジン形式 | 2.0L 直列4気筒 VCターボ |
| 最高出力 | 268ps(約268馬力) |
| 最大トルク | 387Nm |
| トランスミッション | 9速AT(パドルシフト付き) |
| 駆動方式 | インテリジェントAWD(全車標準) |
VCターボエンジンは、世界初の量産型可変圧縮比エンジンとして知られ、走行状況に応じて圧縮比を連続的に変化させることで、力強い加速と優れた燃費効率を両立する革新的な技術です。高い圧縮比では燃費効率を最大化し、低い圧縮比ではターボ過給による力強いパワーを発揮します。
9速ATとパドルシフトの組み合わせにより、俊敏でリニアな加速フィールを実現。ドライバーの意思に忠実に応えるレスポンスの良さが魅力です。
加えて、アクティブ・ノイズ・キャンセレーション(ANC)とアクティブ・サウンド・エンハンスメント(ASE)を採用。路面やエンジンからの不快なノイズをマイクとスピーカーで打ち消しつつ、ドライバーの胸を高鳴らせるスポーティなエンジンサウンドを積極的に演出するという、静粛性と躍動感を両立する巧みなサウンドチューニングが施されています。
駆動方式は全車インテリジェントAWD(全輪駆動)を標準装備。路面状況をリアルタイムで検知し、前後輪への駆動力配分を最適化することで、ドライ路面でのスポーティな走りから、雨天・雪道での安定した走行まで、あらゆるコンディションで高い走行性能を発揮します。
8. 先進運転支援技術:プロパイロット・アシスト2.1を設定
QX65には、ドライバーをサポートする先進運転支援技術が幅広く搭載されています。周囲の状況を把握しやすくするカメラ技術や、駐車時の負担を軽減するパーキング支援機能などが用意されています。
そして最も注目すべきは、上位グレードAutographに設定される「プロパイロット・アシスト2.1」です。これは日本市場における「プロパイロット2.0」に相当するシステムで、一定条件下の高速道路においてハンズオフ(手放し)走行を可能にする先進的な運転支援機能です。
ルーフに搭載された2基のシャークフィンアンテナが高精度な位置情報を取得し、ステアリング操作・アクセル・ブレーキを統合的に制御。ドライバーの監視のもと、車線維持、車間距離維持、さらには車線変更のアシストまでをシームレスに行い、長距離ドライブの疲労を大幅に軽減します。
9. グレード構成と価格:Luxe/Sport/Autographの3グレード
QX65は、キャラクターの異なる3つのグレードが用意されています。
Luxe(ラグゼ)— ベースグレード
QX65の基本装備を網羅したエントリーグレード。12.3インチデュアルディスプレイ、Googleビルトイン、64色アンビエントライト、インテリジェントAWD、VCターボエンジンなど、充実した標準装備を誇ります。価格は53,990ドル(約862万円)〜。
Sport(スポーツ)— スポーティな個性を強調
Luxeの装備に加え、独自のメッシュグリルとグロスブラックのアクセントが特徴。よりスポーティで精悍な印象を放つ、走りの個性を重視するオーナーに向けたグレードです。
Autograph(オートグラフ)— 最上級のラグジュアリー
インフィニティの最上級体験を凝縮したフラッグシップグレード。ブラックルーフ、サテンクロームトリム、21インチ大口径アルミホイールを標準装備し、マッサージシートやプロパイロット・アシスト2.1(テクノロジーパッケージ)の設定も可能。内外装ともに最高級の仕上がりを実現しています。
10. 新型インフィニティQX65 主要スペック
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| モデル名 | INFINITI QX65(2027年モデル) |
| ボディタイプ | ファストバックSUV(2列5人乗り) |
| 全長×全幅×全高 | 5,042mm × 2,184mm(ミラー含む)× 1,770mm |
| ホイールベース | 2,901mm |
| エンジン | 2.0L 直列4気筒 VCターボ |
| 最高出力 | 268ps |
| 最大トルク | 387Nm |
| トランスミッション | 9速AT(パドルシフト付き) |
| 駆動方式 | インテリジェントAWD |
| ラゲッジ容量 | 1,014L / 1,917L(後席折りたたみ時) |
| インフォテインメント | 12.3インチ×2 / Googleビルトイン |
| オーディオ | クリプシュ®プレミアムオーディオ |
| 先進運転支援 | プロパイロット・アシスト2.1(Autographに設定) |
| 発売時期 | 2026年初夏(米国市場) |
| 価格 | 53,990ドル〜(約862万円〜) |
| グレード構成 | Luxe / Sport / Autograph |
11. まとめ:日本導入の可能性は?
インフィニティ新型QX65は、伝説の名車FXのスピリットを現代に蘇らせた、インフィニティの新たなフラッグシップ的SUVです。日本の美意識をデザインの随所に取り入れながら、世界初のVCターボエンジン、最新のプロパイロット・アシスト2.1、クリプシュ®プレミアムオーディオなど、技術面でも妥協のない仕上がりとなっています。
ただし、現時点でQX65の日本導入予定はなく、あくまでも米国市場専売モデルです。インフィニティブランド自体が日本では展開されていないため、日本のユーザーが手にするには並行輸入に頼ることになります。
とはいえ、VCターボエンジンの技術は日産車にも展開されており、QX65で培われたデザイン哲学やテクノロジーが将来的に日産ブランドのSUVに反映される可能性は十分にあります。「日本の美意識」をテーマにしたインフィニティの新しい挑戦が、今後どのような形で展開されていくのか、引き続き注目です。
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