フェラーリは2026年7月3日、V12エンジンを積むFRクーペ「12チリンドリ」の限定シリーズとして、シフトレバーとクラッチペダルで変速できる新型「12チリンドリ マヌアーレ(Ferrari 12Cilindri Manuale)」を発表しました。生産台数は世界で1,499台です。
中身は12チリンドリと同じ8速デュアルクラッチトランスミッション(DCT)ですが、フェラーリが自社で開発した「マヌアーレ・バイワイヤ(Manuale By-Wire)」というしくみを組み合わせ、Hパターンのシフトゲートと3つのペダルによる「手で変速する感覚」をよみがえらせたのが最大の特徴です。最高出力830cv(cvはイタリア式の馬力表記)・9,500rpmまで回る自然吸気6.5L V12はそのままで、自動変速のモードも選べます。
日本での価格や導入台数はフェラーリの公式サイトでは発表されていないため、気になる方は正規ディーラーに問い合わせるのが確実です。
この記事では、12チリンドリ マヌアーレの変速システムのしくみ、標準の12チリンドリとの違い、外装・内装、スペック、燃費、購入前の注意点まで、わかりやすくまとめました。


そもそも新型 12チリンドリ マヌアーレとは?
12チリンドリは、フロントにV12エンジンを積む2シーターのグランツーリスモです。車名はイタリア語で「12気筒」を意味し、1950〜60年代のフェラーリのGTカーから着想を得たモデルとして、フェラーリのラインアップの頂点に近い位置を占めています。
そこに加わった12チリンドリ マヌアーレは、カタログモデルではなく数量限定の「スペシャルシリーズ」という位置づけです。フェラーリは「ドライバーの操作・メカニズム・コントロールの関係を運転体験の中心に置いた」と説明しており、速さを上げるための改良ではなく、運転する手応えを主役にしたモデルといえます。
生産台数の1,499台は、フェラーリが1947年に初めて生産した12気筒エンジンの排気量にちなんだ数字です。フロントエンジンのV12・2シーター・ベルリネッタ(クーペ)を愛好する顧客に向けたモデルだと、フェラーリは明言しています。
新型 12チリンドリ マヌアーレの主な特徴まとめ
標準の12チリンドリと比べた主な特徴は、以下の通りです。
- マヌアーレ・バイワイヤ:シフトレバーとクラッチペダルの信号で8速DCTを操作する新システム。マラネッロで自社開発
- 6速マニュアル+自動変速:手動では1〜6速と後退、自動モードでは8速DCTとして走れる
- 3ペダル化:クラッチ・バイワイヤのペダルを新設計。ヒール・アンド・トウもできる
- パドルシフトを廃止:フェラーリとしては長年ぶりにステアリングのパドルをなくした
- 専用の内外装:365 GTB4をしのばせるピンストライプ、専用スクデット、5本スポークの鍛造ホイールなど
- 世界1,499台限定:テーラーメード(特別注文)プログラムによる専用仕様
① シフトレバーは「本物の手応え」を再現
シフトレバーの機構は、削り出しの部品でできた重さ3.5kg未満のコンパクトなモジュールです。中にはセンサーと機械式のリンク機構が入っていて、フェラーリのマニュアル車のギアが「入る・抜ける」ときの重さの変化やクリック感を再現します。
クラッチを踏んでいないときや、選べないギアに入れようとしたときは、ソレノイド(電磁石)で機構を固定して操作そのものを止めます。レバーの位置は2つのホール素子の角度センサーで読み取り、信号としてギアボックスの制御ユニットに送るしくみです。レバーはばねの力でニュートラルに戻り、後退は左上の位置で、レバーを押し下げながら入れます。

② クラッチペダルもバイワイヤに
3つのペダルは、12チリンドリ マヌアーレのために新しく設計されました。クラッチペダルの踏み込み量はセンサーで読み取られ、DCTのクラッチを油圧で動かす指令に変換されます。
ペダルの重さは、ばね・カム・ローラーを組み合わせた機械式の機構で作っていて、ワイヤーでつながった本物のマニュアル車に近い踏みごたえを再現しています。クラッチ操作が雑だとギアが入りにくくなったり、ショックが出たり、エンストすることもあると、フェラーリはあえて説明しています。

③ 自動変速モードも選べる
手動モードに入るのはクラッチペダルを使ったときだけで、渋滞や長距離では8速DCTの自動変速に切り替えられます。自動モードでもレバーで次のギアを予選択でき、メーターにはその操作で回転計がどう動くかが表示されます。
「3ペダルで操る楽しさ」と「DCTの扱いやすさ」を1台で両立させた点が、昔のマニュアル車との大きな違いです。
新型 12チリンドリ マヌアーレの価格
| モデル | 駆動 | 乗車定員 | 価格(税込) |
|---|---|---|---|
| 12チリンドリ マヌアーレ 【世界1,499台限定】 | FR | 2人 | 日本価格は未発表 |
2026年10月26日時点で、12チリンドリ マヌアーレの日本での価格・販売台数はフェラーリの公式サイトでは公表されていません。限定車であることに加え、テーラーメードの仕様を選ぶことが前提のモデルなので、実際の支払額は内外装の選び方によって大きく変わると考えておきましょう。
購入できる条件や日本への割り当ても公表されていないため、初めてフェラーリを買う方が手に入れられるかどうかも含めて、正規ディーラーへの確認が欠かせません。
新型 12チリンドリ マヌアーレのボディサイズ
| 項目 | 12チリンドリ マヌアーレ | 12チリンドリ(標準) |
|---|---|---|
| 全長 | 4,733mm | 4,733mm |
| 全幅 | 2,176mm | 2,176mm |
| 全高 | 1,292mm | 1,292mm |
| ホイールベース | 2,700mm | 2,700mm |
| トレッド(前/後) | 1,686mm/1,645mm | 1,686mm/1,645mm |
| 乾燥重量 | 1,565kg | 1,560kg |
| 前後重量配分 | 48.4%/51.6% | 48.4%/51.6% |
| 燃料タンク/荷室 | 92L/270L | 92L/270L |
寸法は標準の12チリンドリとまったく同じで、乾燥重量(オプションの軽量パーツを含む値)だけが5kg増えています。シフト機構やペダルを追加しても重さの増加をこれだけに抑え、前後重量配分も変わっていません。
「365 GTB4」へのオマージュ!新型 12チリンドリ マヌアーレの外装(エクステリア)
専用のディテール
デザインはフラビオ・マンゾーニ氏が率いるフェラーリ・デザイン・スタジオが担当しました。サイドのバッジには車名ロゴがレーザーで刻まれ、フロントスプリッターとリアウイングには、名車「365 GTB4」をさりげなくしのばせるピンストライプが入ります。

ホイールとスクデット
5本スポークの専用鍛造ホイールは4種類の仕上げから選べます。フェンダーの「スクデット(盾形エンブレム)」は、記念硬貨に近い技法で浮き彫りにした、このモデルだけの仕上げです。6速ギアボックスをテーマにしたオプションのリバリー(ボディのグラフィック)も用意されます。

リアとボディカラー
ボディカラーは、発表時のローンチカラー「ロッソ・ルビーノ」を含むフェラーリの伝統色25色から選べます。アルジェント・ニュルブルクリンク、ネロ・デイトナ、ロッソ・ディーノ、ジャッロ・モンテカルロ、ヴェルデ・ツェルトベク、ビアンコ・ミッレミリアなど、歴代の名車やレースにちなんだ色がそろいます。

シフトゲートが復活!新型 12チリンドリ マヌアーレの内装(インテリア)
センターコンソールとシフトノブ
センタートンネルのコンソールは、手で変速するときの扱いやすさを考えて作り直されました。フェラーリの象徴だった金属のシフトゲートは6速のパターンを刻み、音叉の形をしたアルマイト仕上げのアルミの飾りに、操作パネルとキーの置き場が組み込まれています。
丸いアルミのシフトノブには6つのギアと、いまのモード(自動/手動)がバックライトで浮かび上がります。光は白とアンバーの2色で、12個のLEDを内蔵しています。

シートと仕立て
シートはコンフォートとレーシングの2種類で、テーラーメードの素材と、6つのギアにちなんだ6本の縦の溝の入った専用の仕立てになります。内装には専用のレザーとアルカンターラを用意し、テーラーメードのロゴ入りプレート(シルバーまたはカーボン)、車名ロゴを刻んだアルミのドアシル(カーボン製はオプション)も備えます。

新型 12チリンドリ マヌアーレのパワートレインとスペック
| 項目 | 12チリンドリ マヌアーレ |
|---|---|
| エンジン | V型12気筒(65度)自然吸気・ドライサンプ |
| 総排気量 | 6,496cc |
| ボア×ストローク | 94mm×78mm |
| 圧縮比 | 13.5 |
| 最高出力 | 830cv/9,250rpm |
| 最大トルク | 678Nm/7,250rpm |
| 最高回転数 | 9,500rpm |
| トランスミッション | 8速F1デュアルクラッチ(クラッチペダル+マヌアーレ・バイワイヤ) |
| タイヤ(前/後) | 275/35 R21/315/35 R21 |
| 最高速度 | 340km/h以上 |
| 0-100km/h加速 | 2.9秒 |
| 0-200km/h加速 | 7.9秒未満 |
最高出力はオクタン価98のガソリンを使い、走行風による過給効果5cvを含む値です。エンジンとトランスミッション本体は変更しておらず、新しい技術は「ドライバーとの接点」に集中させたとフェラーリは説明しています。そのため、加速や最高速度は標準の12チリンドリと同等です。

新型 12チリンドリ マヌアーレの燃費(WLTCモード)
| 項目 | 数値(WLTC 複合) |
|---|---|
| 燃料消費量 | 15.5L/100km(約6.5km/L) |
| CO2排出量 | 353g/km |
フェラーリが公表した欧州のWLTC複合モードの値を、km/Lに換算すると約6.5km/Lです。日本の国土交通省の審査値は公表されていないため、あくまで目安として考えてください。
新型 12チリンドリ マヌアーレの電子制御とブレーキ
830cvを路面に伝えるため、標準の12チリンドリと同じ電子制御を備えています。
- SSC 8.0(サイドスリップ・コントロール):トラクションコントロール、電子制御デフ(eDiff)、可変ダンパー(SCM)などを統合して制御
- FDE 2.0:コーナーでのブレーキ制御で車の向きを整えるシステム
- ABS Evo:マネッティーノ(走行モードの切り替えスイッチ)のすべてのモードで作動
- 6Dセンサー:車の動きを6方向で検知して制御に生かす
- ブレーキ:前398mm/後360mmの大径ディスク。100-0km/hの停止距離は31.4m
新型 12チリンドリ マヌアーレと標準の12チリンドリ、どちらを選ぶべきか?
グレードは1つだけなので、ここでは標準の12チリンドリとの選び分けを考えます。
おすすめ① 【運転の手応え重視なら】12チリンドリ マヌアーレ
価格:日本価格は未発表
レバーとクラッチで回転を合わせ、ヒール・アンド・トウで減速する。そんな「自分で操る時間」を何より大切にしたい方には、迷わずこちらです。パドルをなくしたのも、操作をレバーとクラッチに集中させるためです。世界1,499台の限定車なので、将来にわたって特別な1台になるのも魅力です。
おすすめ② 【速さと気軽さ重視なら】12チリンドリ(標準)
同じエンジンと同じ8速DCTで、パドルシフトによる素早い変速を楽しめます。オープンの「12チリンドリ スパイダー」も選べ、限定車ではないので比較的手に入れやすいのが利点です。サーキット走行のタイムや毎日の扱いやすさを重視するなら、標準モデルのほうが合理的です。
新型 12チリンドリ マヌアーレの日本発売日はいつ?
12チリンドリ マヌアーレは2026年7月3日にイタリア・マラネッロで発表されました。日本での発売日・価格・割り当て台数は、2026年10月26日時点でフェラーリの公式サイトでは発表されていません。新しい情報が出しだい、この記事でお知らせします。
購入前にチェックしたい3つのポイント
1つ目は、購入できるかどうかの確認です。世界1,499台の限定シリーズなので、正規ディーラーで日本への割り当てや、注文できる条件を早めに確かめておく必要があります。
2つ目は、運転免許の扱いです。中身はDCTですが、クラッチペダルが付いた3ペダルの車です。日本でAT限定免許で運転できるかどうかの正式な扱いは公表されていないため、AT限定免許の方は購入前に販売店で確認しておきましょう。
3つ目は、仕様の決め方です。テーラーメードの専用仕様が前提で、ボディカラー25色、4種類のホイール仕上げ、2種類のシート、リバリーなど、選ぶ項目が多くあります。注文後に変えられない部分なので、時間をかけて決めることをおすすめします。
新型 12チリンドリ マヌアーレに関するよくある質問(FAQ)
Q. 12チリンドリ マヌアーレは本物のマニュアルトランスミッションですか?
A. いいえ。ギアボックスは標準の12チリンドリと同じ8速デュアルクラッチ(DCT)で、シフトレバーとクラッチペダルの操作を電気信号でDCTに伝える「マヌアーレ・バイワイヤ」を採用しています。
Q. 何速で走れますか?
A. 手動モードでは1〜6速と後退を使い、自動モードでは8速DCTとして走ります。
Q. 生産台数は何台ですか?
A. 世界で1,499台の限定です。この数字は、フェラーリが1947年に初めて生産した12気筒エンジンの排気量にちなんでいます。
Q. 標準の12チリンドリより遅いのですか?
A. 公表値では0-100km/h加速2.9秒、最高速度340km/h以上で、標準モデルと同等です。乾燥重量は5kg重い1,565kgです。
まとめ:12チリンドリ マヌアーレは「操る楽しさ」を最新技術で取り戻した1,499台
新型 12チリンドリ マヌアーレは、830cvの自然吸気V12と8速DCTはそのままに、シフトレバーとクラッチペダルで変速する感覚を作り込んだ限定シリーズです。エンストやヒール・アンド・トウまで再現する一方、自動変速にも切り替えられ、昔のマニュアル車の不便さは持ち込んでいません。
日本での価格・発売時期はまだ公表されておらず、テーラーメード前提の限定車なので、関心のある方は早めに正規ディーラーへ相談するのがおすすめです。
最新情報が入り次第、随時更新していきます。

