ランチアは、新しいフラッグシップ「新型ガンマ(Gamma)」をパリモーターショー2026に出展しました。1976年に登場した初代ガンマから50年ぶりに名前が復活し、最上位には約30年ぶりとなる「HFインテグラーレ」を設定。375馬力のデュアルモーター4WDで、0-100km/h加速は5.1秒です。
新型ガンマは、全長4.67mのファストバック型クロスオーバー。イタリア南部のメルフィ工場で設計・開発・生産される「100%メイド・イン・イタリー」のモデルで、145馬力のハイブリッドと、3種類の出力を用意した電気自動車(EV)をそろえます。ランチアはブランド創立120周年を迎えた2026年に、この車でヨーロッパの販売の中心であるCセグメントのクロスオーバー市場へ本格的に戻ってきました。
ランチアは現在、日本では正規販売が行われていないブランドです。日本導入は未発表ですが、伝説の「HFインテグラーレ」の名前が戻ってきたことは、ラリーファンにとって見逃せないニュースといえるでしょう。
この記事では、新型ガンマの特徴、主な装備、ボディサイズ、パワートレインとスペック、HFインテグラーレの中身、日本導入の見通しまで、ランチアの公式発表をもとにわかりやすくまとめました。


そもそも新型ランチア ガンマとは?:背景と概要
ランチアはイタリアの老舗ブランドで、アウレリア、フラミニア、フルビア、ストラトス、037、デルタなど、多くの名車を生み出してきました。とくに1970〜80年代はラリーで圧倒的な強さを誇り、世界ラリー選手権(WRC)で最も成功したブランドとして知られています。
ステランティス傘下での再建は、コンセプトカー「Pu+Ra HPE」から始まり、2024年に新型イプシロンが登場。続いてラリーへの公式復帰を果たし、今回の新型ガンマが再建計画の次の一歩となります。
「ガンマ」という名前は、1976年3月のジュネーブモーターショーでデビューした初代ガンマに由来します。初代はピニンファリーナのデザインで、140馬力の水平対向エンジンを積んだ当時のフラッグシップでした。ランチアは車名にギリシャ文字を使う伝統があり、新型もその流れを受け継いでいます。
新型ガンマは2026年10月9日に公式発表され、パリモーターショー2026(ランチアのプレスカンファレンスは10月12日)では「LX ハイブリッド 145HP」「LX(電気自動車)」「HFインテグラーレ」の3台が並びました。イタリアでの発表に続く、国際モーターショーでのデビューとなります。
【特徴まとめ】新型ランチア ガンマはここがすごい
新型ガンマの主な特徴は以下の通りです。
- ボディ:全長4.67m・全幅1.89m・全高1.63mのファストバック型クロスオーバー(STLA Mediumプラットフォーム)
- 空力:Cd値0.25はクラス最高、転がり抵抗は4.7kg/t
- パワートレイン:145馬力のハイブリッドと、230〜375馬力の電気自動車
- 航続距離:EVは最大740km超、ハイブリッドは1,000km超
- HFインテグラーレ:約30年ぶりの復活。375馬力・509Nm、0-100km/h 5.1秒
- 室内:後席の足元スペースは25%拡大、荷室はクラス最大の560L
① 「HFインテグラーレ」が約30年ぶりに復活
最大のトピックは、ランチアの伝説的なバッジ「HFインテグラーレ」の復活です。前後に1つずつモーターを積むデュアルモーターの4WDで、最高出力375馬力、最大トルク509Nmを発揮します。通常は350馬力で、バッテリー残量が90%を超えるときに375馬力まで高まる仕組みです。0-100km/h加速は5.1秒、アダプティブサスペンションが標準で、航続距離は最大676kmです。

② クラス最高のCd値0.25と長い航続距離
流れるようなファストバックのシルエットは、見た目だけでなく空力にも効いています。Cd値(空気抵抗係数)は0.25で、ランチアはセグメント最高としています。分割式のリアスポイラー、空力ホイール、アクティブフロントグリルなどを組み合わせ、電費・燃費の良さにつなげています。
③ 上のクラスに迫る室内空間と快適装備
室内は「イタリアン・ホーム・フィーリング」をテーマにした、リビングのような空間です。後席の足元スペースは25%広くなり、荷室容量はクラス最大の560L。パノラマルーフやアンビエントライト「Lancia Glow」も用意されます。
新型ランチア ガンマのグレードと価格一覧
新型ガンマのグレードは「LS」「LX」「HF」の3つで、ハイブリッドには「HF Line」、電気自動車には「HF インテグラーレ」が設定されます。ヨーロッパでの価格は、今回確認した公式発表には記載がなく、日本での価格も未発表です。
| パワートレイン | グレード | 最高出力 | 価格 |
|---|---|---|---|
| ハイブリッド | LS/LX/HF Line | 145馬力 | 未発表 |
| 電気自動車 | LS/LX など | 230馬力/245馬力 | 未発表 |
| 電気自動車(4WD) | HF インテグラーレ | 375馬力 | 未発表 |
新型ランチア ガンマのボディサイズ
- 全長:4.67m(4,670mm)
- 全幅:1.89m(1,890mm)
- 全高:1.63m(1,630mm)
- 荷室容量:560L
- プラットフォーム:ステランティス「STLA Medium」

全長4.67mは、日本でも人気の高いミドルサイズSUVとほぼ同じクラスの長さです。一方で全幅は1.89mあり、日本の道ではやや幅広く感じるサイズです。立体駐車場では全幅の制限(1,850mmなど)に引っかかる場合があるので、注意が必要です。
流麗なファストバック!新型ランチア ガンマの外装(エクステリア)
フロント:光る「カリーチェ」のシグネチャー
フロントには、ランチアの伝統的なグリル形状をモチーフにした、光る「カリーチェ(Calice=杯)」のシグネチャーを採用しています。左右をつなぐ細いライトが、新しいランチアの顔つきを印象づけます。
リア:T字型のテールランプとルーバー
リアは、T字型のテールランプと、往年のランチアを思わせるルーバー(よろい戸のような形)が特徴です。ルーバーの上には空力用のフィンが付き、なだらかに下がるルーフラインと分割式のリアスポイラーで、クーペのような後ろ姿をつくっています。


イタリアのリビング!新型ランチア ガンマの内装(インテリア)
コックピット:10.25インチ+16インチのデュアルディスプレイ
運転席の前には10.25インチのメーター、中央には16インチの大きなタッチスクリーンを並べています。さらに21インチ相当のバーチャル・ヘッドアップディスプレイも用意され、視線を大きく動かさずに情報を確認できます。

装備:ChatGPT連携の音声アシスタントとFocalのオーディオ
センターコンソールには、ランチアが「コーヒーテーブル」と呼ぶ丸いトレーを配置。音声アシスタント「SALA HUB」はChatGPTを活用し、話しかけるだけで操作できます。「リラックス」「エナジャイズ」「エンターテインメント」の3つのモードで、照明や音などの雰囲気を切り替えることも可能です。オーディオはフランスのFocalと共同開発した14スピーカーの「SALA Studio」です。

シート・素材:60%以上がサステナブル素材
室内の見える部分の60%以上に、環境に配慮した素材を使っています。その量は600kg以上で、リサイクル繊維を最大100%使ったファブリックや、ミネラル(ゼオライト)でなめしたレザーなどを採用しています。また、高性能フィルターで粒子状物質を最大92%、カビや細菌を最大98%取り除き、車内外の空気の状態を見張る「Clean Cabin」システムも備えます。
新型ランチア ガンマのパワートレインとスペック
| タイプ | 最高出力 | 駆動 | 航続距離 |
|---|---|---|---|
| ハイブリッド | 145馬力 | 未発表 | 1,000km超 |
| 電気自動車 | 230馬力 | 未発表 | 540km超 |
| 電気自動車 | 245馬力 | 未発表 | 740km超 |
| 電気自動車 HF インテグラーレ | 375馬力(通常350馬力) | 4WD(デュアルモーター) | 最大676km |
HFインテグラーレの最大トルクは509Nm、0-100km/h加速は5.1秒です。そのほかの細かいスペック(バッテリー容量、車両重量、ハイブリッドのエンジン排気量など)は、今回確認した公式発表には記載がありませんでした。
新型ランチア ガンマの航続距離・充電・燃費
電気自動車は、最も航続距離の長い仕様で740km超です(測定モードは今回確認した公式発表に明記なし)。急速充電では、バッテリー残量20%から80%まで約27分、6分の充電で約100km分を回復できます。
充電スタンドを考えたルート案内「EV Routing」や、充電前にバッテリーを温める機能、アクセルペダルだけで加減速できるワンペダル走行、車から家電に電気を取り出せるV2L(Vehicle-to-Load)にも対応しています。
ハイブリッドは、CO2排出量120g/km、航続距離1,000km超とされています。長距離を走る機会が多い人や、充電環境がない人にはハイブリッドが向いているでしょう。
新型ランチア ガンマの安全装備「レベル2 運転支援」
新型ガンマは、レベル2の運転支援機能に、新しく次の3つの機能を加えています。
- セミオートマチック・レーンチェンジ(車線変更の支援)
- 予測型アダプティブクルーズコントロール
- 先読み型インテリジェント・スピード・アダプテーション(制限速度に合わせた速度調整)
ランチアは、エントリーグレードでもセグメント最高レベルの標準装備をうたっており、デュアルディスプレイやレベル2運転支援、SALA PROシステムなどが標準装備とされています。
新型ランチア ガンマはどのグレードを選ぶべきか?おすすめグレード
価格は未発表のため、ここでは公式に発表された性能をもとに、どんな人に向いているかを整理します。
おすすめ① 【長距離とデザイン重視なら】電気自動車 245馬力仕様
価格:未発表
航続距離740km超はクラスでもトップレベルです。ガンマの魅力であるファストバックのスタイルと静かな走りを、充電の不安を少なく楽しめます。
おすすめ② 【充電環境がないなら】ハイブリッド 145馬力(HF Line)
価格:未発表
航続1,000km超のハイブリッドは、自宅で充電できない人に向いています。スポーティな見た目にしたい場合は「HF Line」が選べます。
おすすめ③ 【走りとブランドの歴史を味わうなら】HF インテグラーレ
価格:未発表
375馬力の4WDとアダプティブサスペンションを備えた最上位モデルです。かつてのデルタ HFインテグラーレに憧れた人にとって、もっとも特別な1台になるはずです。

「HFインテグラーレ」とは?ランチアの歴史をおさらい
「HF」は「High Fidelity(ハイ・フィデリティ)」の略で、もともとはランチアの熱心なオーナーのクラブ名に由来する、ランチアのスポーツモデルの証です。「インテグラーレ」はイタリア語で「全輪(4輪)」を意味し、1980年代後半から1990年代前半のデルタ HFインテグラーレは、WRCで数多くのタイトルを手にしました。
ランチアは現在、「イプシロン Rally2 HF インテグラーレ」でラリーに復帰しており、パリモーターショー2026にも出展しました。ランチアは、このラリー活動でWRC2のチームタイトルを獲得したと発表しています。市販車の新型ガンマに「HFインテグラーレ」の名前を与えたのは、モータースポーツとのつながりを強く打ち出す狙いがあると考えられます。
新型ランチア ガンマの日本発売日はいつ?
新型ガンマはヨーロッパ市場向けに開発されたモデルで、日本での発売日・価格は未発表です。ランチアは現在、日本で正規販売されておらず、日本導入についての公式発表もありません。最新情報が入り次第、この記事でお伝えします。
購入前にチェックしたい3つのポイント
1つ目は、日本での正規販売がないことです。どうしても欲しい場合は並行輸入になりますが、保証や整備、部品の手配などの面で、正規輸入車とは条件が大きく変わります。
2つ目は、ボディサイズです。全幅1.89mは、一般的な立体駐車場の制限(1,850mm)を超えます。自宅や職場の駐車場の条件は、あらかじめ確認しておきましょう。
3つ目は、パワートレインの選び方です。電気自動車は航続距離が長い一方、自宅で充電できるかどうかで使い勝手が大きく変わります。充電環境がない場合は、ハイブリッドのほうが現実的です。
新型ランチア ガンマに関するよくある質問(FAQ)
Q. 新型ランチア ガンマはいつ発表されましたか?
A. 2026年10月9日に公式発表され、パリモーターショー2026に出展されました。
Q. HFインテグラーレの出力はどれくらいですか?
A. 最高出力375馬力(通常は350馬力。バッテリー残量90%超で375馬力)、最大トルク509Nmです。0-100km/h加速は5.1秒です。
Q. 電気自動車の航続距離は?
A. 230馬力仕様で540km超、245馬力仕様で740km超、HFインテグラーレで最大676kmです。
Q. ハイブリッドはありますか?
A. 145馬力のハイブリッドがあり、航続距離は1,000km超とされています。
Q. 日本で買えますか?
A. 日本での発売は未発表です。ランチアは現在、日本で正規販売を行っていません。
まとめ:新型ランチア ガンマは「ランチア復活」を象徴するフラッグシップ
新型ガンマは、Cd値0.25の美しいファストバック、560Lの荷室、最大740km超の航続距離を備えた、ランチアの新しいフラッグシップです。145馬力のハイブリッドから375馬力のHFインテグラーレまで、幅広い選択肢がそろいます。
日本導入は未発表ですが、初代から50年、HFインテグラーレの名前が約30年ぶりに戻ってきたことは、ランチアが本気で復活に取り組んでいる証といえるでしょう。
最新情報が入り次第、随時更新していきます。

