トヨタの人気3列シートSUV「ハイランダー」が、中国市場において大幅なアップデートを受けました。2026年モデルとして登場した中国仕様のハイランダーは、過去最大となる15.6インチディスプレイオーディオの搭載など、デジタル機能を大幅に強化。一方で北米仕様とは異なる仕様展開となっており、地域ごとの市場ニーズの違いが浮き彫りになっています。
史上最大15.6インチディスプレイでインテリアを一新
大画面化の波が加速
中国市場向けのハイランダーで最も注目すべきは、15.6インチの大型ディスプレイオーディオの標準装備です。これまでの10.25インチ・12.3インチから大幅にサイズアップし、トヨタブランドとしては史上最大級のスクリーンサイズとなります。アルファード・ヴェルファイアの14インチディスプレイをも上回るサイズで、トヨタの技術革新への積極的な姿勢を示しています。
デジタルコックピットの完全刷新
運転席周りも大幅に見直され、12.3インチフル液晶メーターパネルが全グレードで標準装備となります。これにより、ドライバーは直感的で視認性の高いデジタル情報を得ることができます。さらに、オプションでヘッドアップディスプレイ(HUD)も選択可能で、前方視界を遮ることなく重要な運転情報を確認できます。
物理ボタンレス化でミニマルデザインを実現
タッチパネル集約型のエアコン操作
新型ハイランダーでは、従来の物理的なエアコン操作ボタンを廃止し、全ての操作をタッチパネルに集約しました。これにより、インテリア全体がよりスマートで洗練された印象になっています。この設計変更は中国市場のデジタルネイティブな消費者層を強く意識したものと考えられます。
充電機能の大幅強化
ワイヤレス充電パッドは50W対応にアップグレードされ、より高速な充電が可能になりました。また、USB Type-Cポートも設置され、多様なデバイスへの対応力が向上しています。これらの機能強化により、現代のデジタルライフスタイルにマッチしたSUVへと進化しています。
快適装備とオーディオシステムの充実
プレミアムオーディオ体験
上位グレードにはJBLプレミアムサウンドシステム(11スピーカー)が標準装備されます。高品質なオーディオ環境により、長距離ドライブでも疲れにくい快適な車内空間を実現しています。
シートレイアウトの選択肢
従来通り5人乗りと7人乗りの選択が可能で、家族構成やライフスタイルに応じた最適なシート配置を選べます。上位グレードでは、リアシートに電動調整機能とシートヒーターが装備され、後席の乗り心地も大幅に向上しています。
パワートレインは従来を踏襲
2つのエンジン選択肢
エンジンラインナップに変更はなく、以下の2つのパワートレインから選択できます:
2.0Lターボエンジン仕様
- 最高出力:244馬力(182kW / 248PS)
- トランスミッション:8速オートマチック
- 駆動方式:AWD
2.5Lハイブリッドシステム
- システム最高出力:243馬力(181kW / 246PS)
- 駆動方式:FWD または AWD(E-Four)
これらのパワートレインにより、都市部での効率的な走行から長距離ドライブまで、幅広いシーンで優れた走行性能を発揮します。
世界各地域での仕様差が拡大
北米仕様との比較
北米市場のハイランダーは、Limited・Platinumグレードでデュアル12.3インチスクリーンと10インチHUDを採用していますが、エントリーグレードでは7インチメーターと8インチディスプレイに留まります。一方、中国仕様では全グレードで大型ディスプレイが標準装備となっており、市場戦略の違いが明確に現れています。
価格設定の地域差
中国市場での価格は¥249,800–325,800(約35,000-45,700ドル)に設定されています。これは北米市場の$45,270-$54,675と比較すると、為替を考慮してもより競争力のある価格設定となっています。
次世代ハイランダーへの展望
レンジエクステンダー搭載の可能性
GAC トヨタは、次世代ハイランダーに「大規模なアップデート」を実施することを公式に表明しており、中国市場で人気のレンジエクステンダー(REEV)パワートレインの導入も示唆されています。これにより、電動化技術をさらに進化させた新世代SUVへの転換が期待されます。
北米市場でのEV化の動向
北米市場では、2026年初頭に完全電気自動車版のハイランダーがデビューする可能性が報じられています。ただし、これは公式発表ではないため、今後の正式なアナウンスが注目されます。
地域特化戦略の重要性
新型トヨタ・ハイランダーの中国仕様アップデートは、グローバル自動車メーカーにとって地域特化戦略がいかに重要かを示す好例です。中国市場のデジタル志向に合わせた15.6インチディスプレイの採用や、ミニマルなインテリアデザインは、現地消費者のニーズを的確に捉えた改良といえるでしょう。
今後、他の地域市場でも同様のアップデートが展開されるのか、また次世代モデルでの電動化技術の進展がどう進むのか、トヨタのグローバル戦略から目が離せません。
広汽トヨタ自動車