2024年4月に惜しまれつつ生産終了となった三菱のコンパクトSUV「RVR」が、フルモデルチェンジを経て2026年後半に日本市場へ復活することが明らかになりました。新型RVRは、海外で高い評価を受けているコンパクトSUV「エクスフォース(XFORCE)」をベースに、日本市場向けに最適化された戦略的モデルとして登場します。
2010年に3代目としてデビューし、改良を重ねながら長年にわたり三菱のエントリーSUVとして親しまれてきたRVR。その後継モデルとなる新型は、最新技術と三菱が誇る走破性能を融合させた、次世代コンパクトSUVとして注目を集めています。
本記事では、新型RVRのデザイン、スペック、価格、発売日など、現時点で判明している最新情報を徹底解説します。
三菱RVRが待望のフルモデルチェンジで復活! 新型RVRの変更点まとめ|何が進化したのか
新型RVRは単なるマイナーチェンジではなく、完全なフルモデルチェンジとして生まれ変わります。主な変更点は以下の通りです:
【主要な変更点】
- 海外で人気の「エクスフォース」をベースに日本仕様として復活
- 製造拠点は岡山県倉敷市の水島製作所
- クラストップレベルの最低地上高222mmを実現(前モデル比+27mm)
- 新開発1.6Lハイブリッドシステム搭載で燃費24.4km/Lを達成(海外参考値)
- PHEVから派生した三菱独自のストロングハイブリッド技術を採用
- 12.3インチ大型デュアルディスプレイで先進性を向上
- ヤマハと共同開発「ダイナミックサウンドヤマハプレミアム」オーディオシステム搭載
- 7つのドライブモードで多様な路面状況に対応
- 日産e-POWER搭載の可能性も示唆
これらの変更により、新型RVRは従来モデルの課題を解決し、ヤリスクロスやヴェゼルといった強力なライバルと対等に競争できる商品力を獲得しています。
新型RVRのエクステリアデザイン|タフさと先進性が融合したスタイリング
進化した「ダイナミックシールド」が生み出す力強いフロントマスク
新型RVRの外装デザインは、三菱のデザインアイデンティティ「ダイナミックシールド」をさらに進化させています。フロントグリルを左右のバンパーが力強くプロテクトする立体的な造形は、奥行き感とスポーティさを強調。T字型のLEDヘッドライトとデイタイムランニングライトが精悍な表情を作り出し、都市部でも際立つ存在感を放ちます。
日本仕様では、フロントグリルのパターンやLEDライトのデザインが専用設計となる見込みで、海外仕様の力強さを保ちながらも、日本の街並みに調和する洗練されたフロントフェイスになると予想されます。
流麗なサイドビューとフローティングルーフ
ボディサイドは「Silky & Solid」のコンセプトに基づき、優雅さと堅牢性を両立。フロントのスリーダイヤエンブレムからサイド、リアへと連なる流れるようなキャラクターラインが、滑らかで軽やかな印象を演出します。
屋根が浮いているように見える「フローティングルーフデザイン」を採用することで、SUVらしい力強さを保ちながらも、スタイリッシュで都会的な雰囲気を実現。ボディ下部はSUVらしいソリッドなプロポーションで、18インチの大径ホイールが足元を引き締め、本格派SUVとしての風格を漂わせます。
筋肉質なフェンダーと高い地上高がアクティブさを強調
新型RVRの大きな特徴が、クラストップレベルの222mmという最低地上高です。この高い地上高は、視覚的にもSUVらしい力強さを際立たせ、どんな道でも走破できるという安心感を与えます。
張り出した筋肉質なフェンダーと相まって、アウトドアシーンでも活躍できる本格派SUVとしての佇まいを完成させています。
新型RVRのインテリアデザイン|先進装備と快適性を両立した室内空間
水平基調の「ホリゾンタル・アクシス」コンセプト
新型RVRのインテリアは、水平基調の「HORIZONTAL AXIS(ホリゾンタル・アクシス)」コンセプトを採用。インストルメントパネルが水平に広がることで、良好な前方視認性と開放的な空間を実現しています。
この水平基調のデザインは、悪路走行時などで車体の姿勢が変化した際にも、その動きをドライバーが直感的に把握できるという実用的なメリットも備えています。ドアトリムまで繋がるダイナミックな形状により、広々とした快適な車内空間を演出します。
12.3インチデュアルディスプレイで先進性を向上
インパネ中央には、12.3インチのスマートフォン連携ディスプレイオーディオと、12.3インチのデジタルドライバーディスプレイを一体化させた大型モノリス形状パネルを配置。画面を3分割して複数の情報を同時表示できるマルチウィジェット機能を搭載し、視認性と操作性を大幅に向上させています。
スマートフォンとの連携機能により、AppleCarPlayやAndroid Autoにも対応。ナビゲーション、音楽、通話などを直感的に操作できる最新のインフォテインメントシステムが、快適なドライブをサポートします。
ヤマハと共同開発の高音質オーディオシステム
新型RVRの大きな魅力の一つが、ヤマハと共同開発した「ダイナミックサウンドヤマハプレミアム」オーディオシステムです。車室という特殊な音響空間に最適化された音質向上策により、スピーカーの性能を最大限に引き出します。
特筆すべきは、車速に応じて音量だけでなく音質自体も自動補正する機能。荒れた路面や高速走行時でも、躍動感のある低音と輪郭のはっきりした中高音を楽しむことができ、長距離ドライブでも疲れにくい快適な音環境を実現します。
実用性も考慮した室内空間とシート配置
後席は4:2:4の分割可倒式を採用し、4人乗車時でも長尺物を積載できる高い実用性を確保。素材選びにもこだわり、汚れに強い生地を使用しながらも、モダンで洗練された質感を両立させています。
広々とした室内空間は「クラストップレベル」と評され、日常使いからレジャーまで、幅広いシーンで活躍できる快適性を提供します。
新型RVRのボディサイズ|日本の道路に最適な絶妙なサイズ感
ライバルと比較したボディサイズ
【新型RVRのボディサイズ】
- 全長:4,390mm
- 全幅:1,810mm
- 全高:1,660mm
- ホイールベース:2,650mm
- 最低地上高:222mm
- アプローチアングル:21度
- ランプブレークアングル:20.5度
- デパーチャーアングル:30.5度
- ホイールサイズ:18インチ
【参考:前モデルRVR】
- 全長:4,365mm
- 全幅:1,770mm
- 全高:1,630mm
- ホイールベース:2,670mm
- 最低地上高:195mm
【参考:エクリプスクロス】
- 全長:4,545mm
- 全幅:1,805mm
- 全高:1,685mm
- ホイールベース:2,670mm
- 最低地上高:175mm
新型RVRは前モデルから全長+25mm、全幅+40mm、全高+30mmとわずかに大型化。しかし、日本の道路事情を考慮した絶妙なサイズ感を維持しており、狭い路地や駐車場でも扱いやすいコンパクトSUVとしての使い勝手を確保しています。
クラストップレベルの悪路走破性能
新型RVRの最大の武器は、222mmというクラストップレベルの最低地上高です。前モデルから27mmアップしたこの数値は、同クラスのライバル車種を大きく上回ります。
さらに、21度のアプローチアングルと30.5度のデパーチャーアングルにより、大きな段差や急な坂道にも対応可能。キャンプ場の未舗装路や大雪の日の深い轍など、悪路での安心感は絶大です。都市部での日常使いはもちろん、週末のアウトドアレジャーでも頼れる一台となっています。
新型RVRのパワートレイン|3つのエンジン選択肢と注目のハイブリッド
【ガソリン】1.5L MIVECエンジン
エントリーグレードには、三菱が誇る1.5L直列4気筒ガソリンエンジンを搭載。「MIVEC(Mitsubishi Innovative Valve timing Electronic Control system)」機構により、吸気バルブリフトを連続的に変化させ吸気抵抗を抑制。吸入時のエネルギー損失を低減することで、優れた燃費性能を実現します。
【1.5Lガソリンエンジン スペック】
- エンジン形式:直列4気筒1.5Lガソリン
- 最高出力:105ps
- 最大トルク:14.4kgm
- トランスミッション:CVT
- 駆動方式:FF(前輪駆動)
- 予想燃費:18.0km/L
日常使いには十分なパワーと信頼性の高さが特徴で、コストパフォーマンスを重視するユーザーに最適な選択肢となります。
【本命】1.6Lハイブリッド|PHEV由来の新世代システム
新型RVRの本命となるのが、新開発の1.6L直列4気筒エンジンと電気モーターを組み合わせた、PHEVから派生したストロングハイブリッドシステムです。三菱がアウトランダーPHEVやエクリプスクロスPHEVで培ったプラグインハイブリッド技術を応用し、独自のハイブリッドシステムとして新開発されました。
【1.6Lハイブリッド スペック】
- エンジン形式:直列4気筒1.6Lガソリン
- エンジン出力:95ps/13.7kgm
- モーター出力:116ps/26.0kgm
- 駆動方式:FF(前輪駆動)
- 予想燃費:24.4km/L(海外参考値)
高膨張比サイクルで燃焼効率を最大化
新開発の1.6Lエンジンは、高膨張比サイクル(アトキンソンサイクル)を採用することで燃焼効率を大幅に向上。さらに、電動ウォーターポンプの採用により機械損失を低減し、エネルギーを最大限活用できる設計となっています。
駆動用バッテリーは前席フロア下に配置することで居住空間を犠牲にせず、広々とした室内空間を維持。モーターの大きなトルク(26.0kgm)により、発進時や追い越し時の力強い加速を実現しながら、24.4km/Lという優れた燃費性能を両立させています。
7つのドライブモードで多様な走行シーンに対応
新型RVRハイブリッドには、路面状況に応じて最適な走行制御を行う7つのドライブモードが設定されます:
【EVモード】
- EV走行優先モード
- 静粛性重視モード
【路面対応モード】
- ノーマルモード
- グラベルモード(砂利道)
- マッドモード(泥濘地)
- サンドモード(砂地)
- スノーモード(雪道)
これらのモードは、アクティブヨーコントロール(AYC)、トラクションコントロール、出力制御、パワーステアリング制御を統合制御することで、あらゆる路面状況で安定性と操縦性を最大化します。
【期待】日産e-POWER搭載の可能性
三菱と日産のアライアンス関係を背景に、日産の先進技術「e-POWER」が搭載される可能性も示唆されています。エンジンは発電のみに使用し、100%モーターで走行するe-POWERの特徴である、静かでパワフルな走りが実現すれば、新型RVRの商品力はさらに飛躍的に高まります。
e-POWERは既にノートやキックスで高い評価を得ており、この技術が三菱車に搭載されれば業界でも大きな話題となるでしょう。今後の公式発表に注目が集まります。
新型RVRの燃費性能|前モデルから大幅改善
新型RVRは、最新パワートレイン技術の採用により、燃費性能を大幅に向上させています。
【新型RVRの予想燃費】
- 1.5Lガソリン:18.0km/L
- 1.6Lハイブリッド:24.4km/L(海外参考値)
【参考:前モデルRVRの燃費】
- 1.8Lガソリン FF:13.8km/L
- 1.8Lガソリン 4WD:12.8km/L
前モデルの1.8Lガソリンエンジンでは最高13.8km/Lでしたが、新型の1.5Lガソリンエンジンでは約4km/L以上の燃費改善を実現。ハイブリッドモデルでは20km/Lを超える優れた環境性能により、日常のランニングコストを大幅に削減できます。
年間1万km走行した場合、ガソリン価格を170円/Lと仮定すると:
- 前モデル(13.8km/L):年間約123,000円
- 新型ガソリン(18.0km/L):年間約94,000円(約29,000円節約)
- 新型ハイブリッド(24.4km/L):年間約70,000円(約53,000円節約)
長期的に見ると、燃費の改善による経済的メリットは非常に大きくなります。
新型RVRの先進安全装備|三菱の最新技術を搭載
新型RVRには、三菱の最新安全技術が惜しみなく投入される見込みです。
【予想される主な安全装備】
- 衝突被害軽減ブレーキシステム(FCM)
- 車線逸脱警報システム(LDW)
- オートマチックハイビーム(AHB)
- 後側方車両検知警報システム(BSW)
- 後退時車両検知警報システム(RCTA)
- アダプティブクルーズコントロール(ACC)
- 360度全方位モニター
- ブラインドスポットモニター
- パーキングセンサー
これらの先進安全装備により、日常の運転からロングドライブまで、高い安全性と安心感を提供します。
新型RVRの価格予想|競争力のある戦略的価格設定
新型RVRの価格は、ライバル車種と十分に競争できる戦略的な設定が予想されます。
【新型RVRの予想価格】
- 1.5Lガソリン:240万円~250万円
- 1.6Lハイブリッド:280万円~320万円
【参考:前モデルRVRの価格】
- 230万円~283万円
【参考:ライバル車種の価格】
- トヨタ ヤリスクロス
- ガソリン:199万円~
- ハイブリッド:232万円~
- ホンダ ヴェゼル
- ガソリン:239万円~
- e:HEV:279万円~
- 三菱 エクリプスクロス
- ガソリン:277万円~
- PHEV:409万円~
新型RVRは、クラストップレベルの最低地上高222mm、ヤマハと共同開発したプレミアムオーディオシステム、12.3インチデュアルディスプレイなど、上質な装備を搭載しながらも、ヤリスクロスやヴェゼルと同等かそれ以上に魅力的な価格設定となる見込みです。
特にハイブリッドモデルは、24.4km/Lという優れた燃費性能を考慮すると、コストパフォーマンスは非常に高いと言えるでしょう。
新型RVRの発売日|2026年後半、12月頃が最有力
フルモデルチェンジする三菱新型RVRの日本発売は、2026年後半、特に12月頃が最有力とされています。
海外では既にエクスフォースとして2023年11月にインドネシアで発売を開始し、その後フィリピン、ベトナム、中南米、中東、アフリカなどグローバル市場へ順次展開中です。日本市場向けには、これらの海外展開で得られたフィードバックを反映し、日本の交通法規や市場ニーズに最適化した特別仕様となります。
製造は岡山県倉敷市の水島製作所で行われる予定で、開発は順調に進んでいるとの情報もあります。公式発表は2026年前半に行われる可能性が高く、その後数ヶ月を経て正式発売となるでしょう。
2026年の日本のコンパクトSUV市場に、三菱が満を持して投入する戦略モデルとして、大きな注目を集めることは間違いありません。
三菱RVRの歴史|初代から3代目までの系譜
初代RVR(1991-1997年)|RVブームの立役者
初代RVRは1991年に登場。車名の「RVR」は「Recreation Vehicle Runner」の頭文字に由来し、休暇を楽しむためのクルマというコンセプトを体現していました。
7人乗りワゴン「シャリオ」のボディをショート化し、SUVテイストを加えたワゴンとして開発。片側スライドドアと5人乗りの広い室内、手頃なサイズ、RVブームにマッチしたデザインが人気を博しました。都市部をメインターゲットとした実用性の高さが評価され、三菱のヒット作となりました。
2代目RVR(1997-2002年)|両側スライドドアを採用
1997年に登場した2代目は、「シャリオグランディス」をベースにショート化。5ナンバーサイズの「GDI RVR」と3ナンバーサイズの「RVRスポーツギア」をラインナップしました。
1999年のマイナーチェンジでは、ユーザーからの強い要望に応え、両側スライドドアを設定。使い勝手が大幅に向上し、ファミリー層からの支持を集めました。2002年まで製造されましたが、後継車は設定されず一時的に車名が途絶えることになります。
3代目RVR(2010-2024年)|コンパクトSUVへの転換
8年ぶりに車名を復活させた3代目は、2010年に登場。初代・2代目が採用していたスライドドアから一転、ヒンジ式ドアに変更し、コンセプトをミニバンからSUVへと大きく転換しました。
海外では「ASX(Active Sports Crossover)」、「アウトランダースポーツ」として販売され、グローバル市場でも展開。ベースとなった「ギャランフォルティス」の1.8Lエンジンを搭載し、マクファーソンストラット式フロントサスペンションとマルチリンク式リアサスペンションにより、快適な乗り心地を実現しました。
4WDモデルには電子制御4WDシステムを採用し、「2WD」「4WDオート」「4WDロック」の3モードから選択可能。三菱のエントリーSUVとして長年活躍しましたが、SUV市場の激化により販売が低迷し、2024年4月に生産終了となりました。
新型RVRとライバル車種を比較|どこが優れているのか
トヨタ ヤリスクロスとの比較
【ヤリスクロスの強み】
- トヨタブランドの信頼性
- 価格の安さ(ガソリン199万円~)
- 充実したディーラーネットワーク
- 豊富なカラーバリエーション
【新型RVRの優位点】
- 最低地上高222mm(ヤリスクロス:175mm)
- 悪路走破性能の高さ
- ヤマハプレミアムオーディオ
- 12.3インチデュアルディスプレイ
- ハイブリッド燃費24.4km/L
ホンダ ヴェゼルとの比較
【ヴェゼルの強み】
- 洗練されたデザイン
- e:HEVの走行性能
- 広い室内空間
- ホンダセンシングの充実
【新型RVRの優位点】
- 本格的なSUV性能
- 悪路での安心感
- アウトドアシーンでの実用性
- 7つのドライブモード
- タフなデザイン
新型RVRは、都市型SUVとしての洗練性に加え、本格的な悪路走破性能を兼ね備えた唯一無二の存在となります。週末のアウトドアレジャーを本気で楽しみたいユーザーにとって、最適な選択肢と言えるでしょう。
まとめ|新型RVRはコンパクトSUV市場の台風の目となるか
三菱が2026年後半に投入する新型RVRは、海外で高評価を得ているエクスフォースをベースに、日本市場向けに最適化された戦略的モデルです。
三菱自動車工業