2026年4月14日、日産自動車は日本にて長期ビジョン発表会を開催し、AIを軸に据えた次世代モビリティ戦略を世界へ向けて発信した。その発表の中で、北米ファンの間で長年にわたって復活が望まれてきた伝説のオフロードSUV「エクステラ(Xterra)」が、ついにティーザー映像とともに復活を正式予告した。2015年に惜しまれながら販売終了となってから実に11年。新型エクステラは2028年末のアメリカ国内生産・発売を目指して動き出している。
エクステラとは何者か ― 伝説のオフロードSUVの歴史:
日産エクステラは、1999年に初代モデルが北米市場でデビューしたボディオンフレーム構造の本格オフロードSUVだ。フロンティア(ピックアップトラック)のプラットフォームをベースに構築された屈強なボディと、圧倒的な悪路走破性を武器に、アウトドアを愛するアメリカ人の心をがっちりとつかんだ。2005年には2代目へとフルモデルチェンジを果たし、スタイリングと走行性能をさらに磨き上げたが、SUVおよびクロスオーバー市場の急速な変化と販売台数の低迷を受け、2015年にひっそりとラインナップから消えた。それ以来、根強いファンからの復活を望む声は途絶えることがなく、今回の正式発表はその期待にようやく応えるものとなった。
2028年、新型エクステラ復活! ティーザー映像で明かされたデザイン:
今回公開されたティーザー映像は短いものながら、新型エクステラの個性と方向性を十分に伝えるに足る内容だ。フロントフェイスはアップライト(直立気味)なスタンスで、大型のブラックグリルとスプリット(分割)ヘッドライトデザインが採用されている。バンパーとボンネットの間のくぼみ部分には、黄色がかったドライビングライトが配置されており、いかにもタフな使われ方を想定した実用的なデザイン哲学が見て取れる。さらにマッスルなボンネット(筋肉質な隆起を持つフード)も確認でき、かつてのエクステラが持っていた「働くSUV」としての力強さを現代的な解釈でよみがえらせていることがうかがえる。日産はこの新型エクステラを、ブランドの情緒的価値と革新性を担う「ハートビートモデル」と位置づけており、アメリカ市場における象徴的な存在としての役割を明確にしている。
ボディオンフレーム専用プラットフォームを新開発 ― 最大5モデルに展開か:
新型エクステラが採用するのは、今回のために新規開発されたボディオンフレーム専用プラットフォームだ。このアーキテクチャーはエクステラ単独のために用意されるわけではなく、将来的に最大4つの追加モデルへの展開が検討されているとされている。つまり、このプラットフォームを基盤とする米国生産モデルが、最大5車種にまでおよぶ可能性があるということだ。日産がインフィニティを含む北米ラインナップにおいてボディオンフレームのSUVファミリーを本格的に構築しようとしていることが、この戦略から読み取れる。トヨタがタコマ、4ランナー、タンドラ、ランドクルーザーなどで同様のアーキテクチャー共有を実践し、効率化と収益の最大化を果たしているように、日産もフレーム車プラットフォームの共通化によって開発コストを抑えながら、複数の強力なモデルを市場に投入する狙いがある。
パワートレインはV6とV6ハイブリッドの2本立て:
日産が正式に発表したところによると、新型エクステラに搭載されるパワートレインはV6エンジンとV6ハイブリッドの2種類となる。これは北米SUV市場で根強い人気を誇るV6エンジン搭載モデルへの強い需要に応えるものだ。長年エクステラを愛してきたファンの多くが「V6とマニュアルトランスミッションの組み合わせを望む」と声を上げてきたが、日産はV6については実現させた一方で、マニュアルトランスミッションの設定は今回は見送る見込みだ。それでも、現代の自動車市場でV6エンジンを維持するという決断は、ライバルが続々と4気筒ターボへシフトしている中で、本格的なオフロード性能と力強いドライビング体験を求めるユーザーに向けた明確なメッセージとなっている。加えてV6ハイブリッドの設定は、燃費性能と環境負荷への配慮も同時に達成するものであり、時代の要請にも応えた選択肢となっている。
米国内生産、2028年末発売を目標:
新型エクステラはアメリカ国内の工場で生産されることが正式に発表されており、発売時期は2028年末が目標とされている。日産の米国市場戦略においては、2030年度までに年間100万台の販売を目指すという大きな目標が掲げられており、エクステラはその中核的な役割を担うことが期待されている。日産は大型車でのリーダーシップを米国戦略の柱として位置づけており、フレーム構造を持つ本格SUVのラインナップ強化はその実現に向けた重要な一手だ。現地生産という点においても、北米ユーザーへの安定供給とコスト競争力の確保が見込まれ、より強固なビジネス基盤の構築につながると考えられる。
日産の長期ビジョンとエクステラの戦略的役割:
エクステラの復活は、日産が2026年4月14日に発表した長期ビジョン「モビリティの知能化で、毎日を新たな体験に」の中で打ち出された包括的な商品戦略の一部だ。CEOのイヴァン・エスピノーサは「お客さまの体験を最優先に、日産がどこへ向かうのかを定めるもの」と語り、AIディファインドビークル(AIDV)を中核とした知能化と電動化の両立を掲げた。このビジョンのもとで日産は、モデルラインナップを現在の56車種から45車種へと絞り込み、各モデルを「ハートビートモデル」「コアモデル」「成長モデル」「パートナーモデル」の4カテゴリーに整理した。エクステラは米国における「ハートビートモデル」として位置づけられており、日産ブランドの情緒的価値と革新性を象徴する存在として、単なる収益貢献を超えたブランドイメージのリーダーとしての役割を担う。同じくハートビートモデルとして日本向けには新型スカイラインが、欧州向けにはジュークEVが並んでいる。
なお、将来的にはラインナップの約90%にAIドライブ技術を搭載することも目標として掲げられており、エクステラにも次世代の先進運転支援技術が順次搭載される可能性がある。
競合モデルとの比較 ― ジープ、ブロンコとの真っ向勝負:
新型エクステラが戻ってくる北米本格オフロードSUV市場は、過去10年間で大きく変化した。ジープ・ラングラー、フォード・ブロンコ、トヨタ・4ランナーなどがこのカテゴリーをリードしており、それぞれに熱狂的なファンベースを持っている。エクステラはかつて、これらのモデルに対してリーズナブルな価格と高い実用性という武器で存在感を発揮していた。今回の復活にあたっては、新開発のボディオンフレームプラットフォームとV6ハイブリッドという現代的な技術を加えることで、伝統的なオフロード性能を維持しながら、時代に合わせた進化を果たす姿勢が明確だ。特に、ライバルの多くがエコノミー志向の4気筒ターボへシフトする中でV6を堅持するという判断は、本物の走破性を求めるコアなオフロードユーザーへの強いアピールポイントになり得る。
まとめ:
日産エクステラは、2015年の販売終了から11年という歳月を経て、ついに復活への扉を開けた。新開発のボディオンフレームプラットフォームを採用し、V6およびV6ハイブリッドのパワートレインを搭載、アメリカ国内生産で2028年末の発売を目指す新型エクステラは、日産が米国市場の「ハートビートモデル」として最大限の情熱を注ぐ一台だ。日産の長期ビジョン発表と同時にティーザーが公開されたことは、同社がエクステラの復活を単なる懐古的な一手としてではなく、ブランド全体の再生と成長を牽引する戦略的な核として位置づけていることを強く示している。今後の正式発表と詳細スペックの公開に、大いに期待したい。
日産 ニュースリリース

