マツダ・ロードスター(海外名:MX-5 Miata)は、1989年に初代NAが登場して以来、「人馬一体」の走りを哲学として掲げ続けてきた、世界を代表するライトウェイトオープンスポーツカーです。累計生産台数は100万台を超え、ギネス世界記録に「世界で最も多く生産された2座席オープンスポーツカー」として認定されているほど。小さく、軽く、誰もが楽しめるスポーツカーという理念は、35年以上にわたって一切ブレることなく受け継がれてきました。
現在は2015年にデビューした4代目・ND型が販売されており、発売から10年以上が経過しています。そして今、世界中のクルマ好きが注目しているのが、5代目となる「NE型(新型ロードスター)」の登場です。2029年のロードスター誕生40周年というタイミングに向けて、その開発が水面下で着々と進められていることが、マツダ幹部の発言や各メディアの調査によって明らかになりつつあります。
ロードスターとは?マツダが世界に誇るライトウェイトスポーツの歴史
歴代ロードスター(NA・NB・NC・ND)の変遷
新型NEを語る前に、ロードスターの歴代モデルを振り返っておきましょう。
初代 NAロードスター(1989年〜1998年)は、ユーノスブランドで発売され、「ライトウェイトスポーツの原点回帰」をテーマに誕生しました。1.6Lおよび1.8Lの自然吸気エンジンを搭載し、シンプルな2座席オープンボディと軽快なハンドリングで世界中のファンを虜にしました。
2代目 NBロードスター(1998年〜2005年)では、プラットフォームをNAから引き継ぎながら安全性と快適性を大幅に向上。エアバッグの標準装備など、現代的な安全基準への対応が図られました。外観は初代の丸みを残しつつ、よりシャープなラインへと進化しています。
3代目 NCロードスター(2005年〜2015年)は、プラットフォームをRX-8と共用する初の大刷新となりました。車体サイズが拡大し、2.0Lエンジンを搭載。パワーアップと快適性向上の一方で「重くなりすぎた」という声もあり、ファンの間では賛否が分かれた時代でもありました。
4代目 NDロードスター(2015年〜現在)は、「Going lighter(さらなる軽量化)」を旗印に、SKYACTIV技術を全面採用しながら歴代モデルの中でも最軽量クラスの車体を実現。国内仕様では1.5L、北米・欧州向けには2.0L自然吸気エンジンを搭載し、軽量・コンパクト・低重心の3拍子でロードスター本来の楽しさを再定義しました。2015年・2016年のワールドカー・オブ・ザ・イヤーにも輝いています。また、RF(Retractable Fastback)と呼ばれる電動格納式ハードトップモデルも2016年に追加されました。


マツダのロードスターが数多くノミネートされており「ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー賞」「ワールド・カー・デザイン賞」を受賞した。

マツダは新型ロードスターRF (リトラクタブルファストバック)ハードトップモデルを2016年12月22日に発売。

マツダは新型ロードスターのマイナーチェンジを行い2018年6月7日発表し受注を開始。2018年7月26日に発売する。特別仕様車「Caramel Top(キャラメル・トップ)」新たに設定した。

マツダは新型ロードスター(MX-5)の誕生30周年記念 特別仕様車「MX-5 Miata 30th Anniversary Edition」シカゴオートショーにおいて、世界初公開した。世界3000台限定、米国市場には500台が限定で販売される。日本では「ロードスター」とリトラクタブルハードトップモデルの「ロードスターRF」を合わせて150台を販売する。

マツダ 新型ロードスター(NE型)の開発状況|5代目はどうなる?
5代目「NE型」の開発は確実に進行中
現在のND型は発売から10年以上が経過しており、フルモデルチェンジの時期が近づいていることは間違いありません。マツダの幹部発言や複数の海外カーメディアの調査によれば、5代目NE型のプロトタイプはすでに存在しており、開発は確実なフェーズへと移行していることが示されています。
マツダのグローバルセールス&マーケティング本部長・大須賀学氏は、オーストラリアメディア「Carsguide」のインタビューにおいて、次期MX-5(NE型)の方向性についてこのように語っています。「現状では、電動化はMX-5の核となるコンセプトとは正反対の方向に向かっています。MX-5はライトウェイトスポーツカーであり続けなければならず、電動化は重量増につながるからです。」この発言は、5代目が電動化(BEV)への全面移行を避けるという強い意志を示しており、ロードスターファンにとっては安堵のニュースといえるでしょう。

発売時期は2029年が有力?ロードスター誕生40周年という節目
発売時期については現在も多くの憶測が飛び交っています。一部の海外メディアは「2027年にも発表されうる」と報じる一方で、欧州マツダの関係者は「登場までまだ数年かかる」と発言。また、ワールドプレミアは2028年ごろと予想する声も上がっています。
そして最も注目されているのが、2029年「ロードスター誕生40周年」というタイミングです。初代NAが発売された1989年から数えて、2029年はちょうど40周年の節目にあたります。ロードスターはその歴史の中で、1999年の10周年、2009年の20周年、2019年の30周年記念車をそれぞれ発売してきた経緯があります。この流れから考えると、5代目が2029年に40周年記念モデルとともに登場するシナリオは非常に説得力があります。現行ND型は2020年代後半まで販売継続される見通しであり、NE型へのバトンタッチを急がずに徹底的な熟成を重ねる方針であることも、2029年発売説を裏付ける要素のひとつです。
マツダ 新型ロードスター(NE型)の注目ポイントを詳しく解説
車両重量1,000kg以下を目指した超軽量ボディ
新型NEにおいて最も重要なキーワードが「軽量化」です。大須賀氏は「追加装備なしの重量を1トン未満に抑え、追加装備込みで1.1トンにしたい。軽量スポーツカーである以上、総重量は1.2トンを超えないようにしたい」と明言しています。
海外カーメディア「GoAuto」の取材でも、大須賀氏は「現行NDシリーズと同様、1,000kg以下の重量を目指した設計を堅持し、グラム単位の軽量化戦略を採用していく」と回答しています。現行ND型の最軽量仕様が、北米向けで1,073kg、日本仕様(1.5L)で1,010kgであることを考えると、NE型は現行モデルをさらに下回る超軽量を目指しているということになります。これはND型で採用された特別仕様車「990S」の990kgに匹敵するレベルです。
なお、NDロードスターでもアルミ材使用範囲の拡大や溶接箇所の工夫など、あらゆる部位で徹底的な軽量化が施されてきた実績があります。NE型ではさらに進んだ素材・構造技術が投入されることが予想されます。
電動化(EV・BEV)は回避。純粋なガソリンNAエンジン継続が濃厚
NE型において電動化(完全BEV化)が回避される可能性が非常に高いことは、複数のマツダ幹部の発言から明らかです。バッテリーを搭載すれば車両重量が飛躍的に増加し、ロードスターの命である「軽量感」「人馬一体の走り」が根本的に損なわれてしまうからです。
大須賀氏は「ハイブリッドバージョンの可能性が全くないとは言わない。しかし、現状ではその技術は非常に重く、次期ロードスターに適用すれば、ファンを満足させることはできないでしょう。将来、技術が確立されれば検討するつもりですが、現時点では内燃機関が道です」とも述べています。また、「5代目が純粋な内燃機関を搭載する最後のモデルになるかもしれない」という示唆も行っており、NE型が"最後の純ICEロードスター"として特別な存在になる可能性も語られています。
ただし、欧州のマツダR&D責任者・クリスチャン・シュルツ氏は「合成燃料(e-fuel)の活用」を最も現実的な解決策として提示しており、また欧州マーケット向けに「何らかの電動パワーアシスト(マイルドハイブリッド程度)が搭載される」可能性も否定されていません。日本・北米向けと欧州向けで仕様が異なる展開も想定されます。
搭載エンジンの候補:SKYACTIV-Z 2.5L か 1.5L/2.0L改良版か
エンジンに関しては、現在大きく2つのシナリオが浮上しています。
第一の候補:SKYACTIV-Z ベースの 2.5L 直列4気筒ガソリンエンジン。マツダが現在開発を進めている次世代ガソリンエンジン「SKYACTIV-Z」は、2027年に発売予定の新型CX-5への搭載が最初と伝えられており、ユーロ7規制(2026年後半施行)にも適合する設計となっています。現在2.0Lエンジンが欧州市場から消えているため、SKYACTIV-Zによってより大排気量エンジンでの欧州再参入が期待されています。ただし、2.5Lエンジンはフロント重量の増加を招くため、ロードスターの命ともいえる前後50:50の重量配分とステアリングレスポンスに悪影響を及ぼすリスクがあり、採用のハードルは決して低くはありません。
第二の候補:現行の1.5L・2.0L 自然吸気エンジンの改良版。軽量化を最優先とするなら、既存エンジンを徹底的に磨き上げた改良版が最も現実的というシナリオです。1.5L・2.0Lを維持すれば、車重1,000kg以下というターゲットの達成も夢ではなく、ロードスターらしいシャープなレスポンスも守られます。
トヨタ「GR86」との協業プラットフォーム共有という衝撃の展開
5代目NEに関するビッグニュースのひとつが、トヨタGR86(次期型)とのプラットフォーム共有の可能性です。スポーツカー専用プラットフォームの単独開発には莫大なコストがかかるため、マツダとトヨタが開発コストを分担する形で協業するという情報が浮上。複数の海外メディアも「次期GR86とNEロードスターは同一プラットフォームをベースとしながら、それぞれ異なるエンジンと独自の味付けを持つ車として登場する」と報じています。生産拠点もマツダの広島工場が有力視されており、2028年ごろの生産開始を目指しているという情報もあります。
両車はプラットフォームを共有しつつも、「マツダらしさ」「トヨタらしさ」を徹底的に追求した全く別のキャラクターとして仕上げられる見通しです。かつてマツダ・アテンザとフォードの関係のように、コストを賢く分担しながら個性は絶対に守るという戦略です。
デザイン:よりシャープに、より躍動感ある進化
すでに完成しているというプロトタイプをもとに制作された予想CGによると、NE型のデザインはND型の正統進化として、よりシャープかつ躍動感あふれるスタイリングへと進化することが見て取れます。ボンネットラインに合わせたシャープなヘッドライト、スポーツ感と立体感を融合させたボンネットデザイン、Aピラーラインに沿ったドアラインなどが特徴的です。また、ディフューザーと一体化した力強いアンダーグリルも印象的で、911に例えられるロードスター独自の「サイドプロポーション(側面の黄金比率)」は5代目でも守られるとされています。
ボディサイズは現行ND比でわずかに拡大し、全長4,000mm(+85mm)、全幅1,750mm(+15mm)、全高1,240mm(+5mm)程度と予想されています。「大きすぎない、重くなりすぎない」という基本は引き続き堅守されます。
価格予想:ベースモデル約320万円〜、RF約410万円〜
気になる価格については、複数のメディアが予想しており、ベースモデルが320万円程度から、RFモデルが410万円程度からとなる見込みです。現行ND型の価格帯(249万円〜)と比較するとやや上昇しますが、安全基準の強化や素材コストの上昇を踏まえると、避けられない値上がりといえます。それでも「アフォーダブルなスポーツカー」というロードスターの根幹は可能な限り守られる方針です。
現行NDロードスターは引き続きアップデートを継続
5代目NEの登場を待つ間、現行ND型も進化を続けています。2024年には大規模なアップデート(ND3と呼ばれる第3フェーズのマイナーチェンジ)が実施され、北米では新たなグリーンのボディカラー追加情報も浮上しています。マツダはNE型のバトンタッチを急がず、現行NDを2020年代後半まで高品質な状態で販売し続ける方針であり、現在ロードスターを検討している方にとっても魅力的な選択肢であることは変わりません。
5代目NEロードスターが「最後の純ガソリン・ライトウェイトスポーツ」になるかもしれない
大須賀氏が示唆したもうひとつの重要な発言があります。「5代目が内燃機関を搭載した最後のモデルになるかもしれない。ですから、5代目には非常に力を入れている。経営陣と、5代目MX-5をいかに純粋なMX-5にするかについて、非常に深い議論を重ねています」。
この言葉は、NE型がロードスターの歴史においていかに特別な存在になるかを象徴しています。環境規制が一段と厳しくなる将来を見据えたとき、純粋なガソリン自然吸気エンジンと1トン以下という軽さを両立できる最後のチャンスが、この5代目NEかもしれないのです。だからこそ、マツダはNE型の開発に対してかつてないほどの情熱とリソースを投入しているといいます。
まとめ:マツダ 新型ロードスター(NE型)フルモデルチェンジ 最新情報
マツダ 新型ロードスター(5代目・NE型)について、現時点でわかっている情報を整理すると以下のとおりです。
- 発売時期:2029年(ロードスター誕生40周年)が有力。ワールドプレミアは2028年との予想も
- 車両重量:1,000kg以下を目標(ベースグレード)。最大でも総重量1.2トン以下を目指す
- 電動化:完全BEVは回避濃厚。純ガソリンNAエンジン継続が基本方針(欧州向けに合成燃料対応やマイルドHVの可能性あり)
- エンジン候補:SKYACTIV-Z 2.5L、または現行1.5L/2.0LのNAエンジン改良版
- プラットフォーム:現行NDベースを大幅改良、またはトヨタGR86(次期型)との共有プラットフォーム採用の可能性
- デザイン:NDの正統進化。側面プロポーションは継承しつつよりシャープに
- ボディサイズ:全長4,000mm・全幅1,750mm・全高1,240mm程度(ND比でわずかに拡大)
- 価格予想:ソフトトップ約320万円〜、RF約410万円〜
- 意義:純粋な内燃機関を搭載する「最後のロードスター」になる可能性も
「軽さは正義」「人馬一体」というロードスターの哲学を貫きながら、厳しさを増す環境規制と安全基準をどう乗り越えるか。マツダが5代目NEにかける情熱と覚悟は、歴代どのモデルとも比べ物にならないほど大きなものがあります。続報に今後も注目です。
今後、新しい情報が入り次第お伝え致します。
マツダ ロードスター

