2026年4月14日、日産自動車は日本にて長期ビジョン発表会を開催し、AIを核に据えた次世代モビリティ戦略を世界に向けて発信した。その場で正式公開されたのが、待望の3代目となる新型「ジュークEV」だ。2027年春のグローバル発売に向けていよいよ動き出した日産ジュークのフルモデルチェンジについて、デザイン、スペック、プラットフォーム、そして日本導入の可能性まで、現時点で判明しているすべての情報を詳しく解説する。
日産 ジューク フルモデルチェンジ、ついに正式公開:
日産ジュークといえば、2010年の初代登場時にその奇抜なスタイリングで世界中のオートモーティブシーンを席巻し、コンパクトクロスオーバーというジャンルのパイオニアとして語り継がれる存在だ。2019年にデビューした2代目は欧州を中心に着実な支持を集めながらも、残念ながら日本市場への導入は見送られた。そして2026年4月14日、3代目となる新型ジュークEVがついにベールを脱いだ。今回の発表は日産の長期ビジョン「モビリティの知能化で、毎日を新たな体験に」の一環として行われたものであり、新型ジュークEVは欧州における「コアモデル」と明確に位置づけられた。販売開始は2027年春(早ければ2027年初頭)が予定されており、いよいよ本格的な電動コンパクトクロスオーバーとして生まれ変わる。
3代目ジュークEVのデザイン:コンセプトカーが市販化したような衝撃のスタイル:
今回公開された新型ジュークEVのエクステリアデザインは、一言で表すなら「市販車の常識を超えたコンセプトカールック」だ。従来の丸みを帯びたフォルムから一転、シャープで折り紙のような「ポリゴン(多角形)調」の面構成を全面的に採用し、前後フェンダーアーチには巨大かつ幾何学的なブラックのクラッディングを配置している。発表時に展示されたカラーはビビッドなイエローグリーンで、ダークなフェンダーとの鮮烈なコントラストが見る者に強烈な印象を与えた。

フロントまわりはグリルレスのフラットな造形が採用され、BEVらしさを端的に表現している。細く鋭いスリット状のシグネチャーランプはサイバーパンク的な雰囲気を醸し出し、フラッシュサーフェス化されたドアハンドルや空力を意識した大径ホイールデザインなど、細部に至るまでEVとしての美学が貫かれている。キャビン後半からCピラーにかけてのブラックアウト処理によって「フローティングルーフ」効果を演出しており、リア回りも複雑に隆起したテールゲートとえぐり取られたようなテールランプが際立つ造形となっている。初代ジュークから引き継がれているCピラー位置のリアドアハンドルはEV版でも継続採用されており、ブランドのアイデンティティを守りながら時代に合わせた進化を果たしている。
なお、今回はエクステリアのみの公開となっており、インテリアの詳細は明らかにされていない。ただし、事前のスパイショット情報では12.3インチのフル液晶メーターと12.3インチのセンターナビゲーションディスプレイが採用される可能性が高いとされており、インパネはフラットでシンプルにまとめられる見込みだ。
プラットフォームとスペック:ルノー・アルパインとの共通基盤:
新型ジュークEVが採用するプラットフォームは、CMF-EV(AmpRミディアム)と呼ばれるルノー・日産・三菱アライアンスが共同開発した次世代EV専用アーキテクチャーだ。これはルノー・シェニックE-TechやアルピーヌA390、そして日産アリアにも使用されているプラットフォームであり、信頼性の高い実績を持つ。ジュークEVに対してはショートホイールベース版が適用される可能性があるとも言われており、よりコンパクトなボディサイズに最適化されるとみられる。

最終的なスペックは現時点では未公表だが、バッテリーはリーフの設定に近い形で、52kWhと75kWhの2種類が用意される可能性がある。パワートレインはシングルモーターのみの設定となる見込みで、スタンダードレンジとロングレンジの2グレード構成が予想される。また、現行リーフEVと同様にビークル・トゥ・グリッド(V2G)技術に対応する見通しであり、家庭や電力網への給電も可能になると見られている。
生産は日産がEV生産の中核拠点と位置づけるイギリス・サンダーランド工場が担当し、新型リーフと同じラインで製造される。これにより欧州市場向けの安定的な供給体制が確保される見込みだ。
2代目モデルとの併売戦略:2つのジュークが共存する理由:
注目すべき点は、3代目ジュークEVが登場した後も、現行の2代目ジューク(ガソリン/ハイブリッドモデル)は販売継続されるという戦略だ。当初は新型EVが旧モデルを置き換える形での世代交代が想定されていたが、日産はこの方針を転換し、両世代を並行販売することを決定した。さらに、2代目ジュークのデザインを3代目EVのイメージに近づけるアップデートが施される予定とも伝えられている。この戦略は、EVへの移行に躊躇するユーザーに対してもガソリンモデルという選択肢を残しつつ、電動化ユーザーを新型EVで取り込むという、日産の「マルチパワートレイン戦略」の具体的な表れである。

日産の長期ビジョンとジュークEVの位置づけ:
今回ジュークEVが発表された日産の長期ビジョン発表会では、CEOイヴァン・エスピノーサが「AIディファインドビークル(AIDV)を中核とし、モビリティの知能化により毎日を新たな体験に変えていく」という方向性を打ち出した。日産は商品ラインナップを現在の56モデルから45モデルへと絞り込み、各モデルを「ハートビートモデル」「コアモデル」「成長モデル」「パートナーモデル」の4カテゴリーに分類する戦略を掲げた。新型ジュークEVはその中で「欧州のコアモデル」として明確に位置づけられており、ブランドの収益基盤を安定的に支える役割を担うことが期待されている。将来的にはラインナップの約90%にAIドライブ技術を搭載することも目指しており、ジュークEVにも次世代プロパイロットなどの先進技術が順次投入される可能性がある。
日産 ジューク 日本導入の可能性はあるのか?:
日本のジュークファンにとって最大の関心事は、「3代目ジュークEVが日本市場に導入されるのか」という一点に尽きるだろう。初代ジュークは日本でも熱狂的な人気を誇ったが、2019年登場の2代目は日本市場に導入されず、欧州専売に近い扱いを受けた。現在の日本市場における日産のBセグメントSUVは「キックス e-POWER」が担っており、EVとしてはエントリーの「サクラ」とプレミアムの「アリア」の間に位置するBセグメントBEVが存在しないという空白がある。


ただし、今回の長期ビジョンには希望の光もある。日産は日本市場に向けて「2028年度以降にコンパクトカーシリーズを新たに投入する」「若年層へのアプローチを強化しブランド力を向上させる」と明言しており、2030年度までに国内販売55万台という目標を掲げている。こうした戦略の文脈でジュークEVが日本に導入されれば、先進的なテクノロジーとデザインに感度が高い都市部の若年層に強くアピールできるイメージリーダーになり得る。仮に日本導入が実現する場合は、プジョー「e-2008」やボルボ「EX30」と直接競合する高付加価値なBEVとして投入される可能性が高く、量販ではなくプレミアムなポジションでの展開が予想される。欧州では同様のセグメントにフィアット600e、オペル・モッカエレクトリック、ミニ・エースマン、フォード・プーマGen-E、フォルクスワーゲン・ID. Crossなどが名を連ねており、競争は激しいが市場のポテンシャルは高い。
現状では日本導入の公式アナウンスはなく、「欧州のコアモデル」として発表されたことからも、当面は欧州市場優先の展開となることは間違いない。しかし日産が日本市場の若年層獲得と電動化加速を重要戦略として掲げている以上、導入の可能性は決してゼロではない。今後の公式発表に要注目だ。

競合モデルとの比較:欧州Bセグメント電動SUV市場での戦い:
新型ジュークEVが戦う欧州Bセグメント電動クロスオーバー市場は、群雄割拠の激戦区だ。プジョーe-2008、フィアット600e、オペル・モッカエレクトリック、ミニ・エースマン、フォード・プーマGen-Eはすでに市場に存在しており、さらにフォルクスワーゲンID. CrossやシュコダElroqといった注目モデルも控えている。ジュークEVはこの中において、際立ったデザイン個性という点で明確な差別化を図ることができる。初代ジュークがコンパクトクロスオーバーという概念をゼロから作り上げたように、3代目もその異端児的なDNAを最大限に活かし、「所有することへの高揚感」を電動化時代に再定義するモデルとなることが期待される。
まとめ:
日産 ジュークのフルモデルチェンジとなる3代目ジュークEVは、2027年春のグローバル発売に向けて正式公開された。CMF-EVプラットフォームをベースとした純電気自動車として、イギリス・サンダーランド工場で生産される。折り紙をモチーフにしたポリゴン調の革新的デザインと、V2G対応が見込まれる先進テクノロジーを組み合わせたこのモデルは、欧州コンパクト電動SUV市場における日産の切り札となる。日本導入については現時点で公式発表はなく、まずは欧州市場での展開が優先されるが、日産が掲げるコンパクトカーラインナップ拡充と若年層獲得戦略の観点からも、今後の動向を注目し続けたい一台だ。引き続き最新情報が入り次第、随時お届けしていく。
日産 ニュースリリース

