2026年3月19日、ダイハツのエントリーモデル「ミライース(Mira e:S)」をベースとした本格派スポーツコンプリートカー「ミライース tuned by D-SPORT Racing(以下、ミライースDSR)」が正式発表されました。
限定台数はわずか100台、価格は299万8600円。軽自動車としては異例のハイプライスですが、その内容はターボエンジン+5速MT換装、ダッシュ貫通6点式ロールケージ装備、ダイハツ工場での架装作業といった、本格的なモータースポーツベース車両としての実力を備えています。
軽自動車にモータースポーツの魂を注入した1台
「走る楽しさをみんなのものに」というコンセプトを掲げ、K4-GPなどの耐久レースへの参戦を視野に入れた設計は、軽自動車ファンのみならずモータースポーツ愛好家からも高い注目を集めています。
本記事では、ミライースDSRの価格・スペック・専用装備・抽選方法・JAFイベントへの出展情報まで、知りたい情報をすべて網羅してお届けします。
D-SPORT Racing/SPKとは?背景を知ればもっと面白い

「ミライース tuned by D-SPORT Racing」を理解するには、その開発背景を押さえておく必要があります。
SPK株式会社は、自動車部品の輸入・販売を行う専門商社であり、ダイハツ工業と連携してモータースポーツチーム「D-SPORT Racing Team」を共同運営しています。D-SPORTとはダイハツのスポーツ部門ブランドであり、競技用パーツやドレスアップパーツを手掛けてきた歴史ある存在です。
今回のミライースDSRは、そのSPKが「走る楽しさをみんなのものに」をテーマに企画・開発。単なるコスメチューニングではなく、エンジン・トランスミッション・ロールケージの換装・架装をダイハツの工場で実施することで、メーカー保証付きのコンプリートカーとして市販化された点が大きなポイントです。
実際に2026年2月22日(日)に開催された「K4-GP 7時間耐久レース」にもこのモデルをベースとしたレース車両が参戦しており、実戦でその実力を証明しています。
ミライースDSRはここが違う!変更点・特徴まとめ
ベースモデルである通常のミライースとの最大の違いは、パワートレインの全面変更とモータースポーツ向け架装の2点に集約されます。
通常のミライースは自然吸気エンジン+CVTの組み合わせのみですが、DSRモデルでは以下の変更が加えられています。
- **ターボエンジン(KF-VET)**に換装し、最高出力を大幅アップ
- **5速マニュアルトランスミッション(5MT)**に換装し、ドライバーが走りを積極的にコントロール可能
- ダッシュ貫通6点式ロールケージ+サイドバーを装備し、車体剛性と安全性を向上
- **フロントスーパーLSD(機械式LSD)**を標準装備し、コーナリング時のトラクション性能を向上
- フロントベンチレーテッドディスクブレーキ+専用ブレーキキャリパーを採用
- 専用ECUによるエンジン管理の最適化
- 全車にシリアルナンバーとD-SPORT Racingエンブレムを装着
これらの変更により、ベースモデルとは根本的に異なるドライビング体験を実現しています。
専用部品(コンプリートカー装備)一覧
ミライースDSRに標準装備される専用パーツは以下のとおりです。
- インタークーラーターボエンジン(KF-VET)
- 専用ECU
- 5速マニュアルトランスミッション
- フロアコンソール(MT対応)
- クロムメッキシフトノブ
- ロールケージ(6点式+サイドバー)
- フロントスーパーLSD
- ブレーキキャリパー(専用品)
- フロントベンチレーテッドディスクブレーキ
- 14インチセンターキャップ付き黒スチールホイール
- D-SPORT Racingエンブレム
- シリアルナンバーステッカー
さらに、オプションとして以下のパーツも選択可能です。
- レカロ製フルバケットシート
- ブーストメーター/タコメーター
- フロント用スポーツブレーキパッド
- スポーツサスペンション
- 専用フロアマット
価格|限定100台・299万8600円という価値
ミライース tuned by D-SPORT Racing(限定100台):299万8600円(消費税込)
参考として、通常のミライースのグレード別価格は以下のとおりです。
| グレード | FF | 4WD |
|---|---|---|
| B “SA Ⅲ” | 992,200円 | 1,118,700円 |
| L “SA Ⅲ” | 1,025,200円 | 1,151,700円 |
| X “SA Ⅲ” | 1,179,200円 | 1,305,700円 |
| G “SA Ⅲ” | 1,320,000円 | 1,446,500円 |
| tuned by D-SPORT Racing(限定) | 2,998,600円 | ― |
通常のミライースが約100万円前後であるのに対し、DSRモデルは約3倍の価格設定となっています。これはターボエンジンへの換装、5速MT換装、ロールケージ架装、専用LSD・ブレーキ装備、さらにダイハツ工場での架装作業費用、保証費用などすべてが含まれた「フルコンプリート価格」であることを考えると、レースベース車両としての価値は十分に説得力があります。
スペック詳細|ターボ+5MTで64psを発揮
パワートレイン比較
| 項目 | ベースモデル | tuned by D-SPORT Racing |
|---|---|---|
| エンジン | 直列3気筒 660cc 自然吸気 | 直列3気筒 660cc ターボ(KF-VET) |
| 最高出力 | 49ps | 64ps |
| 最大トルク | 5.8kgm | 9.4kgm |
| トランスミッション | CVT | 5速MT(フロアシフト) |
| 駆動方式 | FF または 4WD | FF |
ボディサイズ・重量
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 全長×全幅×全高 | 3,395mm × 1,475mm × 1,500mm |
| ホイールベース | 2,455mm |
| 車両重量 | 710kg(社内計測値) |
通常のミライースのFFモデルが最軽量で約650kgであるのに対し、ロールケージなどを装備しながらも710kgという軽量を実現。この軽量さがモータースポーツベース車としての大きな強みです。
ちなみに、5ドア・乗車定員4名という日常使用における実用性も維持されており、サーキット走行だけでなく、公道での普段使いや同乗者を乗せてのドライビング体験も可能です。
なぜ710kgが重要なのか
軽自動車規格の車両重量は、コーナリング性能・加速性能・制動距離のすべてに直結します。ターボ化で出力をアップしながら、710kgという軽量を実現したことで、**パワーウェイトレシオ(出力÷車重)**は約11.1kg/psとなります。これはモータースポーツ入門車両として十分な数値です。
燃費|スポーツモデルでも23.0km/Lを実現
ターボエンジン搭載のスポーツモデルでありながら、WLTCモード燃費は23.0km/Lを達成しています。
| モデル | 燃費(WLTCモード) |
|---|---|
| ベースモデル FF | 25.0km/L |
| ベースモデル 4WD | 23.2km/L |
| tuned by D-SPORT Racing | 23.0km/L |
ターボエンジンを搭載しながらも4WDベースモデルと同等の燃費性能を発揮しており、日常使いの経済性も十分に確保されています。
外装(エクステリア)デザイン
ミライースのボディデザインは、ワイドさを強調したフロントフェイスとコンパクトなキャビンが特徴です。ライトにはLEDを採用し、エネルギー効率と視認性を両立。DSRモデルには専用のD-SPORT Racingエンブレムが各所に装着され、ノーマルモデルとの差別化が図られています。
14インチの黒スチールホイールにセンターキャップを組み合わせたシンプルながらもレーシングテイストのスタイルは、モータースポーツベース車両としての佇まいを演出しています。
内装(インテリア)デザイン
ミライースの内装は使い勝手の良さを重視した設計が基本です。メーターはデジタル表示を採用し、ドライバーに必要な情報をわかりやすく提供。
DSRモデルでは、インパネセンターシフトのCVTからフロアシフトの5速MTに変更されており、ドライバーとクルマの一体感が大幅に向上しています。クロムメッキシフトノブやフロアコンソールも専用品となり、スポーツカーらしい操作感を実現。
ロールケージ(6点式+サイドバー)が室内に通っており、これがモータースポーツへの参加を前提とした特別感を強く演出しています。もちろん乗車定員4名・5ドアの実用性も維持されています。
バックドアは樹脂製で軽量化を図りつつ、「スイッチ式バックドアオープナー」を採用。日常の使い勝手にも配慮されています。
安全装備|スマートアシストIII標準搭載
DSRモデルにも、ダイハツの衝突回避支援システム「スマートアシストIII(SA Ⅲ)」が標準装備されています。
主な安全機能は以下のとおりです。
- 衝突警報機能(対車両・対歩行者)
- 衝突回避支援ブレーキ機能(対車両・対歩行者)
- 誤発進抑制制御機能(前方・後方)
- 車線逸脱警報機能
- オートハイビーム
- 車両後方コーナーセンサー(駐車時・すれ違い時の接触防止)
コンプリートスポーツモデルでありながら、公道走行における安全性も万全に確保されている点は、日常使いを想定するユーザーにとって安心のポイントです。
ベースモデル(通常ミライース)との総合比較
| 比較項目 | 通常ミライース(G “SA Ⅲ” FF) | tuned by D-SPORT Racing |
|---|---|---|
| 価格 | 1,320,000円 | 2,998,600円 |
| エンジン | 直列3気筒 660cc 自然吸気 | 直列3気筒 660cc ターボ |
| 出力 | 49ps / 5.8kgm | 64ps / 9.4kgm |
| トランスミッション | CVT | 5速MT |
| 車両重量 | 650kg〜 | 710kg |
| ロールケージ | なし | 6点式+サイドバー |
| LSD | なし | フロントスーパーLSD |
| ブレーキ | 通常ドラム/ディスク | フロントベンチレーテッドディスク+専用キャリパー |
| 燃費(WLTC) | 25.0km/L | 23.0km/L |
| 保証 | 3年6万km | 車両3年6万km+架装部1年2万km |
保証|ダイハツ工場架装だからこそ実現できる安心感
このモデルが他のアフターパーツ組み込み車両と根本的に異なるのは、エンジン換装・MT換装・ロールケージ架装がダイハツの工場で行われている点です。
これにより、以下の保証が付与されます。
- 車両本体保証:3年6万km
- 架装部分保証:1年2万km
通常、アフターパーツを後付けするとメーカー保証が無効になるケースが多いですが、ミライースDSRはメーカー(ダイハツ)の工場で架装されることで、コンプリートカーとしての保証が担保されています。これはユーザーにとって非常に大きな安心ポイントです。
JAFモータースポーツジャパン2026 in 横浜への出展
ダイハツは2026年3月20日(金・祝)~21日(土)に横浜市 山下ふ頭で開催される「JAFモータースポーツジャパン 2026 in 横浜」に参加することを発表しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名称 | JAFモータースポーツジャパン 2026 in 横浜 |
| 開催日 | 2026年3月20日(金・祝)〜21日(土) |
| 開催場所 | 神奈川県横浜市中区 山下ふ頭(〒231-0023 横浜市中区山下町279番地) |
| 入場料 | 無料 |
| 主催 | 一般社団法人日本自動車連盟(JAF) |
このイベントでは、以下の2つの展示・デモが実施されます。
- 「ミラ イース tuned by D-SPORT Racing K4-GP 7時間耐久レース参戦車両」の展示
今回発売されたコンプリートカーをベースに専用オプションを追加し、2026年2月22日のK4-GP 7時間耐久レースに実際に参戦した車両を展示。 - 「コペン GR SPORT ラリー参戦車両」のデモンストレーション走行
コペン GR SPORTのラリー仕様車によるデモ走行も実施予定。
入場無料のイベントであるため、ミライースDSRやモータースポーツに興味のある方は直接足を運んで実車を確認できる絶好の機会です。
東京オートサロン2026でのデビュー
ミライースDSRは2026年1月9日に開催された東京オートサロン2026のダイハツブースで世界初公開されました。その後、2026年3月19日に正式発表・販売開始となりました。
東京オートサロンはカスタムカーの祭典として知られており、そこでのお披露目はこのモデルの「クルマ好きへの訴求」を強く意識したものといえます。
K4-GPとは?なぜミライースが選ばれたのか
**K4-GP(ケイ・フォー・グランプリ)**は、軽自動車(排気量660cc以下)のみが参加できる耐久レースイベントです。エコ・軽量・コンパクトという軽自動車の特性を活かした参加しやすいモータースポーツとして知られており、入門レースとして人気があります。
ミライースは「軽量・低コスト・燃費の良さ」がK4-GPの参戦車両として最適であり、DSRモデルはさらにターボ化・MT化・ロールケージ装備によってレース対応の装備を強化。初心者でもモータースポーツに参加しやすいベース車両を目指して開発されています。
抽選・応募方法|100台限定の購入チャンス
ミライースDSRは100台限定の抽選販売です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 応募期間 | 2026年3月19日(木)10:00 〜 4月6日(月)23:59 |
| 応募方法 | D-SPORT Racing特設サイトのみ(Web申し込み) |
| 購入窓口 | 最寄りのダイハツディーラー |
| 台数 | 100台(全車シリアルナンバー付) |
応募は特設サイトのみの受け付けとなっており、電話やディーラー窓口での直接申し込みは受け付けていないとのことです。購入を希望する方は必ずD-SPORT Racingの公式特設サイトから応募してください。
ミライースDSRが持つ意義|軽自動車スポーツの新境地
「軽自動車でモータースポーツを楽しむ」という文化は、日本独自のカーカルチャーとして長年根付いてきました。ミライースDSRは、その文化をさらに前進させる1台といえます。
ポイントは「ダイハツ工場での架装」「保証付き」「5ドア4人乗りの実用性維持」という3点のバランスです。これまでのモータースポーツベース車両は、レース専用に仕立てると公道走行が難しくなるケースも多くありました。しかしミライースDSRは、公道走行可能・日常使い可能・モータースポーツ参戦可能という三つどもえを実現しています。
また、価格帯こそ約300万円とコンパクトカーとしては高価ですが、フルコンプリートカーとして完成された状態での納車・保証付きという価値を考えると、ユーザー自身がパーツを集めて組み上げるコストを考慮すれば、トータルでリーズナブルともいえます。
よくある質問(FAQ)
- ミライース tuned by D-SPORT Racingは公道で走れますか?
-
はい、公道走行可能です。保安基準に適合した状態で納車されます。5ドア4人乗りの通常の軽自動車として日常使いも可能です。
- 抽選に外れた場合、入手方法はありますか?
-
現時点では抽選販売のみの発表です。抽選後の二次流通(中古市場)での入手が考えられますが、価格は定価を上回る可能性もあります。
- ロールケージがあると乗り降りが不便ではないですか?
-
6点式ロールケージのため、乗り降りの際には若干の注意が必要ですが、日常使用に配慮した設計となっています。ただしフルバケットシートのオプションを選択すると、よりレーシングな乗り降りになります。
- 4WDモデルはありますか?
-
DSRモデルはFF(前輪駆動)のみとなっています。4WDモデルは設定されていません。
- ベースモデルのミライースにDSRのパーツを後付けすることはできますか?
-
個別パーツの販売については現時点では公式発表がありません。また、ダイハツ工場での架装が保証の条件となっているため、自分でパーツを組み合わせてもDSRと同等の保証は受けられません。
- 燃費はどのくらいですか?
-
WLTCモード値で23.0km/Lです。ターボ搭載モデルとしては非常に優秀な数値です。
まとめ|軽自動車で本格モータースポーツを楽しむ時代へ
「ミライース tuned by D-SPORT Racing」は、単なる限定スペシャルモデルではありません。ダイハツとSPKが「走る楽しさをみんなのものに」という理念のもと、モータースポーツの入口を広げるために生み出したコンプリートカーです。
ターボ+5MT+ロールケージという本格スペックながら、保証付き・公道走行可能・日常使いOKという実用性とのバランスは、これまでにない新しいジャンルを開拓した1台といえるでしょう。
限定100台の抽選応募期間は2026年4月6日(月)23:59まで。興味のある方はD-SPORT Racingの特設サイトからお早めに応募してみてください。
参考・出典:

