2024年1月26日に国土交通省より「型式指定申請における不正行為の有無等に係る実態について」の調査指示を受け、社内調査を実施しました。その結果、当社が過去に販売した四輪車(22車種)について、型式指定申請時の認証試験に関する不適切な事案があったことを確認し、2024年5月31日に国土交通省に報告しました。
ホンダは過去に販売した車について、国の安全基準を満たすための試験で不正があったことを発表しました。具体的には、騒音試験やエンジンの出力試験などで、試験のやり方を変えたり、結果を書き換えたりしていました。
ただ、社内での検証の結果、車の安全性には問題ないと考えているため、現在これらの車に乗っている人は、特に心配する必要はありません。ホンダはこの問題を重く受け止め、今後このようなことが二度と起こらないように、会社全体で法令遵守を徹底し、チェック体制を強化していくとしています。
騒音試験における不適切事案
事案
2009年2月~2017年10月に実施した騒音試験において以下の2事案があった
・試験車両の重量設定について、法規の規定範囲を超えた重量で試験を実施した
(試験条件の不備)
・試験成績書において、実際に試験を行なった車両の重量とは異なる規定範囲内の数値を記載した(虚偽記載)
背景・理由
試験実施後に設計変更などに伴い車両重量が変化すると再試験が発生する可能性があるが、車両重量を法規より厳しい条件に設定して試験を行うことで、騒音性能は保証できると解釈し、再試験の工数を増やさずにすむと考えてしまった。
原動機車載出力試験(ガソリン機関)、電動機最高出力及び定格出力試験における不適切事案
事案
2013年5月~2015年6月に実施した原動機車載出力試験、電動機最高出力及び定格出力試験において以下の1事案があった
・試験結果の出力値およびトルク値を書き換えて試験成績書に記載した(虚偽記載)
背景・理由
試験結果が、同一諸元の原動機や電動機を搭載する機種の諸元値に未達または過達の場合、追加の解析が発生する可能性があるが、諸元値に対する差がわずかだった場合には性能のばらつきの範囲内であると考え、既に認証を取得している機種の諸元値に書き換えることで、追加解析の発生を回避し、工数を増やさずにすむと考えてしまった。
原動機車載出力試験(ガソリン機関)における不適切事案
事案
2013年4月~2015年1月に実施した原動機車載出力試験において以下の1事案があった
・法規では発電機を作動させた状態で試験を行うべきところ、作動させずに実施し、別の同一原動機試験で得られた補正値を用いて数値を算出し、これを発電機を作動させた状態と同等の試験結果とみなした。(試験条件の不備)
背景・理由
発電機を作動させた状態での測定が試験条件であることが、試験マニュアルに規定されておらず、補正値を用いて算出した数値が、定められた条件での試験結果と同等であるとみなし、工数を増やさずにすむと考えてしまった。
今回の事象を重く受け止め、コンプライアンスおよびガバナンス強化の観点をふまえた再発防止に全社をあげて取り組みます。あらためて法令順守を徹底する考えを、経営のトップメッセージとして社内に発信し、全ての従業員に対して遵法マインドの育成強化を図ります。また、人によって異なる解釈や判断が発生しないよう、適切な業務プロセスを構築・標準化するとともに、内部監査機能のさらなる強化を図ります。と伝えています。
対象車両 22車種 一覧
騒音試験における不適切事案
車種 | 型式 | 生産期間 | 試験時期 |
---|---|---|---|
INSPIRE | DBA-CP3 | 2007年12月~ 2010年7月 | 2009年2月 |
FIT | DBA-GE6,DBA-GE8,DBA-GK3,DBA-GK4, DBA-GK5,DBA-GK6,DAA-GP1,DAA-GP4, DAA-GP5,DAA-GP6 | 2009年11月~ 2019年9月 | 2009年7月~ 2017年2月 |
CR-Z | DAA-ZF1,DAA-ZF2 | 2010年2月~ 2013年9月 | 2009年9月~ 2012年6月 |
ACTY | EBD-HH5,EBD-HH6,EBD-HA8,EBD-HA9 | 2009年12月~ 2013年9月 | 2010年4月~ 2012年1月 |
VAMOS/ VAMOS Hobio | ABA-HM1,ABA-HM2,ABA-HM3,ABA-HM4, EBD-HH5,EBD-HJ1,EBD-HJ2 | 2010年8月~ 2013年9月 | 2010年4月~ 2010年5月 |
STEP WGN/ STEP WGN SPADA | DBA-RK2,DBA-RK4,DBA-RK6,DBA-RP2, DBA-RP4 | 2010年10月~ 2017年8月 | 2010年6月~ 2014年10月 |
LEGEND | DBA-KB2 | 2010年10月~ 2012年6月 | 2010年6月 |
ACCORD/ ACCORD TOURER/ ACCORD HYBRID | DBA-CU1,DBA-CW1,DAA-CR6 | 2011年2月~ 2016年3月 | 2010年9月~ 2013年1月 |
FIT SHUTTLE | DBA-GG7,DBA-GG8,DAA-GP2 | 2011年2月~ 2013年7月 | 2010年10月 |
INSIGHT EXCLUSIVE | DAA-ZE3 | 2011年11月~ 2013年4月 | 2011年1月 |
CR-V | DBA-RM1,DBA-RM4 | 2011年11月~ 2013年9月 | 2011年3月 |
FREED/FREED+/ FREED SPIKE | DBA-GB5,DBA-GB6,DAA-GP3,DAA-GB7 | 2011年10月~ 2019年9月 | 2011年7月~ 2016年5月 |
N-BOX/ N-BOX CUSTOM | DBA-JF1,DBA-JF2 | 2011年12月~ 2013年1月 | 2011年9月 |
N-ONE | DBA-JG1,DBA-JG2 | 2012年10月~ 2014年5月 | 2012年6月 |
ODYSSEY | DBA-RC1,DBA-RC2 | 2013年10月~ 2017年9月 | 2013年6月 |
N-WGN/ N-WGN CUSTOM | DBA-JH1,DBA-JH2 | 2013年11月~ 2019年5月 | 2013年7月 |
VEZEL | DBA-RU2,DAA-RU3,DAA-RU4 | 2018年1月~ 2020年7月 | 2013年8月~ 2017年7月 |
GRACE | DBA-GM6,DAA-GM4,DAA-GM5 | 2014年10月~ 2020年7月 | 2014年1月~ 2016年11月 |
S660 | DBA-JW5 | 2015年3月~ 2019年12月 | 2014年9月 |
SHUTTLE | DBA-GK9,DAA-GP7,DAA-GP8 | 2015年4月~ 2019年3月 | 2014年10月~ 2017年3月 |
NSX | CAA-NC1 | 2016年8月~ 2019年12月 | 2016年5月 |
JADE | DBA-FR5 | 2018年4月~ 2020年7月 | 2017年10月 |
原動機車載出力試験(ガソリン機関)、電動機最高出力及び定格出力試験における不適切事案
車種 | 型式 | 生産期間 | 試験時期 |
FIT | DAA-GP5,DAA-GP6 | 2013年7月~ 2019年9月 | 2013年5月 |
SHUTTLE | DAA-GP7,DAA-GP8,6AA-GP7,6AA-GP8 | 2015年4月~ 2022年8月 | 2013年5月 |
FREED/FREED+ | DAA-GB7,6AA-GB7,DAA-GB8,6AA-GB8 | 2016年6月~ 2022年5月 | 2013年5月 |
VEZEL | DAA-RU3,6AA-RU3,DAA-RU4,6AA-RU4 | 2013年9月~ 2021年2月 | 2013年5月 |
JADE | DAA-FR4 | 2014年12月~ 2020年7月 | 2013年5月~ 2014年8月 |
GRACE | DAA-GM4,DAA-GM5,DBA-GM6,DBA-GM9 | 2015年6月~ 2017年5月 | 2013年5月~ 2015年3月 |
ODYSSEY | DBA-RC1,6BA-RC1 | 2013年10月~ 2020年9月 | 2014年9月 |
NSX | CAA-NC1,5CA-NC1 | 2016年7月~ 2022年10月 | 2015年6月 |
原動機車載出力試験(ガソリン機関)における不適切事案
車種 | 型式 | 生産期間 | 試験時期 |
---|---|---|---|
FIT | DBA-GK3,DBA-GK4 | 2013年7月~ 2020年9月 | 2013年4月 |
SHUTTLE | DBA-GK8,DBA-GK9 | 2015年4月~ 2017年8月 | 2014年9月 |
ODYSSEY | DBA-RC1,DBA-RC2,6BA-RC1,6BA-RC2 | 2013年10月~ 2020年9月 | 2014年9月 |
JADE | DBA-FR5 | 2015年5月~ 2020年7月 | 2015年1月 |
今回のホンダの不正は、お客様や関係者の皆様にご迷惑をおかけする大変な出来事でした。ホンダは、この問題を真摯に受け止め、二度とこのようなことが起こらないように対策を徹底していくと表明しています。
ホンダニュースリリース