2025年12月1日、中国の大手電気自動車メーカーBYD Auto Japanが、待望のプラグインハイブリッドSUV「BYD SEALION 6(シーライオン シックス)」を日本市場に投入しました。日本初導入となるBYD独自のスーパーハイブリッド技術「DM-i(デュアル・モード・インテリジェンス)」を搭載し、前輪駆動モデルが398万2000円、四輪駆動モデルが448万8000円という競争力のある価格設定で注目を集めています。
BYD SEALION 6が2025年12月1日に正式発売
ジャパンモビリティショー2025期間中の11月1日から開始された先行予約は、11月末時点で約300台に達しており、日本市場でのPHEV需要の高まりを示しています。
BYD SEALION 6の特徴:電気を主役にしたハイブリッドシステム

DM-iテクノロジーとは
BYDは2008年に世界初の量産型プラグインハイブリッド車を発表したハイブリッド技術のパイオニアです。20年以上にわたる研究開発の成果として、現在ではプラグインハイブリッドシリーズを90以上の国と地域で展開し、累計販売台数は740万台を突破しています。
新型シーライオン6に搭載される「DM-i」は、17年以上の進化を遂げたスーパーハイブリッド技術で、以下の3つの要素で構成されています:
- 世界最高水準の熱効率を誇る1.5L高効率エンジン
- FWDモデル:自然吸気エンジン(熱効率43.04%)
- AWDモデル:ターボエンジン(熱効率40.12%)
- 高出力に対応するDM-i専用ブレードバッテリー
- バッテリー容量:18.3kWh
- 強い衝撃でも発火・炎上しないリン酸リチウムバッテリー
- 高効率なエレクトリックハイブリッドシステム(EHS)
- 走行の大半をモーターが担う「電気走行が主体」の設計
2グレード展開:FWDとAWDの選択肢
BYD SEALION 6(前輪駆動モデル)
価格:398万2000円(税込)
- エンジン:1.5L自然吸気(最大出力72kW/6000rpm、最大トルク122Nm)
- モーター:最高出力145kW、最大トルク300Nm
- 0-100km/h加速:8.5秒
- 航続距離:最大1,200km
- EV走行距離:満充電時100km
- ハイブリッド燃費:22.4km/L(WLTCモード)
- 納車開始:2026年1月末予定
BYD SEALION 6 AWD(四輪駆動モデル)
価格:448万8000円(税込)
- エンジン:1.5Lターボ(最大出力96kW、最大トルク220Nm)
- モーター:最高出力270kW(前/後)、最大トルク550Nm(前/後)
- 0-100km/h加速:5.9秒(豪州参考値)
- 駆動方式:四輪駆動
- 納車開始:2026年3月予定
FWDモデルは長距離走行に最適な航続性能を重視し、AWDモデルはスポーツSUVらしい力強い加速性能を備えています。日常使いから週末のレジャー、長距離ドライブまで、幅広いニーズに対応できる2つの選択肢が用意されています。
競合車との価格比較:驚異的なコストパフォーマンス
新型シーライオン6の最大の魅力は、同クラスのPHEVモデルと比較して約100万円も安価な価格設定です。トヨタ ハリアーPHEV(約529万円)や三菱アウトランダーPHEV(約547万円)と比べると、その価格優位性は明らかです。
通常のハイブリッド車と比較しても遜色ない価格帯で、プラグイン機能と100kmのEV走行が可能という点は、コストパフォーマンスを重視するユーザーにとって大きな魅力となるでしょう。
エクステリアデザイン:流麗なプロポーションと先進性

差別化されたフロントデザイン
新型シーライオン6は、同じ海洋シリーズのEVモデル「シーライオン7」とは異なる専用の車体設計を採用しています。EVモデルが冷却を最小限に抑えるため閉じたグリルを採用しているのに対し、PHEVモデルのシーライオン6はスリット状のエアインテークを配置し、エンジンの冷却性能を確保しています。
伸びやかな横基調のフロントには、シャープで存在感のある「Ocean X Face(オーシャン・エックス・フェイス)」デザインを採用し、ダイナミックな印象を演出しています。
ボディサイズと実用性
- 全長×全幅×全高:4,775×1,890×1,670mm
- ホイールベース:2,765mm
- 車両重量:1,940kg(FWD)/ 2,100kg(AWD)
- 最小回転半径:5.55m
トヨタ ハリアー(全長4,740×全幅1,855×全高1,660mm、ホイールベース2,690mm)に近いサイズ感で、日本の道路環境や駐車場に適したボディサイズとなっています。EVモデルのシーライオン7と比較すると、全長を短縮しながら全高をアップすることで、室内空間と使い勝手を高めています。
リアデザインとホイール
リアには一文字のテールライトを配置し、光の演出によって立体感を強調。ルーフとウインドウの傾斜をEVモデルから抑えることで室内空間を拡大し、実用性を向上させています。足元には19インチのブラックアルミホイールを装備し、力強いスタイルのバンパーと組み合わせることで、SUVらしい存在感を演出しています。
インテリアデザイン:上質で機能的な室内空間

海をイメージしたモダンなデザイン
インテリアは、深みのあるブラック基調の空間に、ブラウンのアクセントとアンビエントライトを配した、海洋シリーズにふさわしいモダンなデザインです。海をイメージしたフォルムのスポーツシートが採用され、身体をしっかり支えながら長距離でも快適な姿勢を保てる設計となっています。
前席の快適装備
- 電動スポーツシート(ヒーター/ベンチレーション機能付き)
- ステアリングヒーター
- クリスタル風電動シフトレバー
- 2台同時接続可能なワイヤレス充電
- 15.6インチ高精細大型ディスプレイ
最新インフォテインメントシステム
中央に配置された15.6インチの高精細大型ディスプレイは、最新のインフォテインメントシステムと組み合わせることで直感的な操作性を実現。Apple CarPlayやAndroid Autoにも対応し、スマートフォンとのシームレスな連携が可能です。
進化したボイスコントロールは全席からの発話を認識して対応するため、運転中でも安全に各種機能を操作できます。
後席とラゲッジスペース
2,765mmのホイールベースが確保する後席空間は、大人がゆったり座れる広さを実現。ラゲッジは通常時425L、後席を倒すことで1,440Lまで拡張でき、フラットな床と大きな荷室開口部により高い実用性を備えています。
パノラミックサンルーフ
ワンタッチ開閉式パノラミックサンルーフを標準装備し、開放感のある室内空間を演出。遮音性の高いガラスを採用することで、静粛性も確保されています。
パワートレインの詳細:世界最高水準の熱効率
FWDモデルのパワートレイン
1.5L自然吸気エンジン(BYD472QA)は、熱効率43.04%という世界最高水準の効率を実現。最大出力72kW/6000rpm、最大トルク122Nm/4000-4500rpmを発生し、最高出力145kW、最大トルク300Nmのモーターと組み合わせることで、スムーズで力強い走りを提供します。
AWDモデルのパワートレイン
1.5Lターボエンジンは、最大出力96kW、最大トルク220Nmを発生。前後に配置された2つのモーターは合計で最高出力270kW、最大トルク550Nmを発揮し、0-100km/h加速5.9秒というスポーツSUVらしいパフォーマンスを実現しています。
ブレードバッテリーの安全性
BYD独自開発のリン酸リチウムバッテリー「ブレードバッテリー」は、バッテリーパックを貫通させるなどの強い衝撃でも発火・炎上せず、エネルギー密度も高めた革新的な技術です。18.3kWhの容量で、FWDモデルでは満充電時に100kmのEV走行が可能となっています。
燃費性能:日常使いは電気のみで完結
WLTCモード燃費(FWDモデル)
- ハイブリッド燃費:22.4km/L
- 市街地モード:26.4km/L
- 郊外モード:22.8km/L
- 高速道路モード:20.8km/L
- 交流電力量消費率:153Wh/km
- 市街地モード:129.5Wh/km
- 郊外モード:138.3Wh/km
- 高速道路モード:173.7Wh/km
実用的な航続性能
満充電時には100kmのEV走行が可能なため、日常の通勤や買い物などの移動はほぼ電気のみで完結します。長距離走行時にはエンジンによる発電と走行を最適に組み合わせることで、FWDモデルでは最大1,200kmの航続距離を実現。ユーザーの航続距離への不安を解消し、快適性と効率性を両立した電動パワートレインとなっています。
充電性能と給電機能:V2L/V2H対応
充電性能
- 普通充電:最大6kW
- 急速充電:最大18kW
家庭用の200V電源での充電はもちろん、外出先の急速充電にも対応しているため、柔軟な充電計画が立てられます。
V2L/V2H機能
- V2L(Vehicle to Load):車外への給電機能
- V2H(Vehicle to Home):家庭への電力供給機能
アウトドアでの電気機器の使用や、災害時の非常用電源として活用できるなど、幅広いシーンで車両を電源として利用可能です。大容量バッテリーを搭載したPHEVならではの強みを活かした機能となっています。
ボディカラーラインナップ
新型シーライオン6には、海の色彩をモチーフにした4色のボディカラーが用意されています:
- コスモスブラック
- ストーングレー
- ハーバーグレー
- アークティックホワイト
内装色は、ブラウン&ブラックの組み合わせで統一され、上質で落ち着いた雰囲気を演出しています。すべてのボディカラーが両グレードで選択可能です。
安全装備と運転支援システム
新型シーライオン6には、最新の安全装備と運転支援システムが搭載されています。詳細は今後の発表が予定されていますが、BYDの他モデルと同様に、先進運転支援システム(ADAS)が充実していることが期待されます。
サスペンション
- フロント:マクファーソンストラット
- リア:マルチリンク
快適な乗り心地と優れた操縦安定性を両立する、バランスの取れたサスペンション設計となっています。
ブレーキシステム
- フロント:ベンチレーテッドディスク
- リア:ソリッドディスク
大径の19インチホイール(タイヤサイズ235/50 R19)と組み合わせることで、確実な制動力を確保しています。
BYDの日本市場戦略:多様化するラインナップ
新型シーライオン6は、BYDの日本市場における5番目の導入モデルとなります。既存のEVモデル(ATTO3、ドルフィン、シール、シーライオン7)に加え、PHEVモデルのシーライオン6を投入することで、より幅広いユーザー層にアプローチしています。
BYDの強み
- バッテリー事業で創業した技術力
- 世界70以上の国と地域での販売実績
- 日本のEVバス市場で約7割のシェア
- 2022年上半期にはテスラを超える世界トップのEV販売実績
- トヨタとの合弁会社設立による信頼性
今後の展開
世界的に販売が伸びているプラグインハイブリッド車を日本にも導入することで、BYDは充電インフラの整備状況や航続距離への不安から完全なEVへの移行をためらうユーザー層を取り込むことができます。「シール06 DM-i」など、今後さらなるPHEVモデルの導入も期待されます。
競合車との比較
トヨタ ハリアー

- 全長×全幅×全高:4,740×1,855×1,660mm
- ホイールベース:2,690mm
- 価格帯(ハイブリッド):約340万円〜
- 価格帯(PHEV):約529万円〜
新型シーライオン6は、ハリアーとほぼ同等のボディサイズでありながら、PHEV仕様で398万円からという価格設定により、高いコストパフォーマンスを実現しています。
三菱アウトランダーPHEV

- 価格帯:約547万円〜
- EV走行距離:約83km
新型シーライオン6は、アウトランダーPHEVと比較しても約150万円安価で、EV走行距離も100kmとより長くなっています。
まとめ:400万円切りで実現する次世代SUV
BYD新型シーライオン6は、以下の点で注目に値するモデルです:
主なポイント
- 価格競争力:398万2000円から購入可能な高コスパPHEV
- 航続性能:FWDモデルで最大1,200km、EV走行100km
- 加速性能:AWDモデルで0-100km/h加速5.9秒
- 充実装備:15.6インチディスプレイ、パノラミックサンルーフ、V2L/V2H機能
- 世界最高水準の熱効率:43.04%の高効率エンジン
- 安全性:ブレードバッテリーによる高い安全性
- 実用性:ハリアーと同等のサイズ感、1,440Lまで拡張可能なラゲッジ
こんな人におすすめ
- コストパフォーマンスを重視する方
- 日常使いは電気、長距離はエンジンという使い分けをしたい方
- 充電インフラへの不安からEV購入をためらっている方
- 災害時の非常用電源としても活用したい方
- 先進技術に興味がある方
納車時期
- FWDモデル:2026年1月末予定
- AWDモデル:2026年3月予定
全国のBYD正規ディーラーで注文受付中です。先行予約開始から既に約300台の予約が入っており、納車待ちが発生する可能性もあるため、購入を検討している方は早めの予約をおすすめします。
よくある質問(FAQ)
Q1. BYD SEALION 6の燃料はレギュラーガソリンでも大丈夫ですか?
A1. はい、無鉛レギュラーガソリンを使用します。ハイオク仕様ではないため、燃料コストも抑えられます。
Q2. 充電しないでハイブリッド車として使用できますか?
A2. はい、可能です。充電しない場合でもハイブリッド燃費22.4km/Lで走行できます。ただし、充電して電気を使うことでより経済的になります。
Q3. 保証内容はどうなっていますか?
A3. 詳細はBYD正規ディーラーにお問い合わせください。一般的にBYDは手厚い保証を提供していることで知られています。
Q4. FWDとAWDはどちらを選ぶべきですか?
A4. 燃費性能と航続距離を重視し、主に舗装路を走行する方はFWDがおすすめ。雪道や悪路を走る機会が多く、加速性能を求める方はAWDを検討してください。
Q5. EVモデルのシーライオン7とどちらを選ぶべきですか?
A5. 日常の移動距離が短く、自宅に充電設備があり、完全電動化を望む方はシーライオン7。長距離移動が多く、充電インフラへの不安がある方はシーライオン6がおすすめです。
新型シーライオン6の登場により、日本のPHEV市場はさらに競争が激化することが予想されます。BYDの次世代ハイブリッド技術「DM-i」が、日本のユーザーにどのように受け入れられるか、今後の動向に注目です。

