欧州にてランドローバーが、クロスカントリーSUV「ディフェンダー」のマイナーチェンジを行い、2025年5月28日に発表しました。
ランドローバーの不朽の名作であり、クロスカントリーSUVの象徴として世界中のファンを魅了し続ける「ディフェンダー」が、大規模なリフレッシュを経て、その最新の姿を2025年5月28日に明らかにいたしました。この度の改良は、エクステリアデザインの洗練、インテリアの機能性向上、そしてパワートレインにおける注目すべきアップデートを含んでおり、特に伝統のV8エンジンに関する動向は多くの注目を集めています。本稿では、この生まれ変わった新型ディフェンダーの全貌を、スペック、装備、価格、そして話題のV8エンジンの将来性まで、詳細にわたりご紹介してまいります。
概要
- 2025年5月28日にランドローバーがクロスカントリーSUV「ディフェンダー」のマイナーチェンジを発表しました。
- エクステリアデザインの刷新、インテリア装備の機能向上、パワートレインのアップデートが行われました。
エクステリアの主な変更点
- 新しいデザインのLEDヘッドライトを採用しました。
- フォグランプが標準装備となりました。
- フロントおよびリアバンパーのデザインが新しくなりました。
- グロスブラックのグリルバーが標準装備となりました。
- サイドベントとボンネットインサートに新しいテクスチャパターンが採用されました(従来のチェッカープレートデザインから変更)。
- スモークテールランプが装備されました。
- 新しいエクステリアカラーとホイールデザインが用意されました。
インテリアの主な変更点
- 従来の11.4インチから大型化した13.1インチのタッチスクリーンが採用されました。
- デジタルメータークラスター、「ClearSight Rear View」(HDディスプレイバックミラー)は継続採用されました。
- センターコンソールのデザインが変更され、ワイヤレスデバイスチャージングのパッドがワイド化、インナースライディングトレイが設定されました。
- 運転席側・助手席側ストレージポケットがシグネチャーインテリアアップグレードの一部として追加されました。
- 全グレードにワイヤレスデバイスチャージングが標準装備となりました。
- 新たなオプションパックとして「ウィンザーレザーシグネチャーインテリアパック」、「Ultrafabricsシグネチャーインテリアパック」が設定されました。
- ディフェンダー130は、2列目と3列目のシートを折りたたむことで最大2291Lのラゲッジスペースを確保できます。
ボディバリエーションとプラットフォーム
- ディフェンダー90:3ドアモデル。悪路走破性重視、最大6人乗り。
- ディフェンダー110:5ドアの主力モデル。3列シートも選択可能。
- ディフェンダー130:5ドアロングボディ。3列目シートの快適性が向上。5人乗り「OUTBOUND」モデルも設定。
- 全モデル共通で、軽量オールアルミニウムモノコック構造の新世代プラットフォーム「D7x」を採用し、高い車体剛性を実現しています。
パワートレイン
- P300:直列4気筒2.0Lガソリンターボエンジン(最高出力300ps/最大トルク40.8kgm)。
- D350:直列6気筒3.0Lディーゼルターボエンジン+マイルドハイブリッド(MHEV)(最高出力350ps/最大トルク71.4kgm)。
- V8エンジン:
- P525(最高出力525ps/最大トルク63.7kgm) / P500(ディフェンダー130用、最高出力500ps/最大トルク62.2kgm):5.0L V型8気筒スーパーチャージャーエンジン。
- このAJ-V8エンジンは、2026年モデルとして欧州市場では当面継続搭載される見込みです。ディフェンダーがこのエンジンを搭載する最後のモデルになる可能性があります。
- ディフェンダー オクタ(高性能モデル):
- V型8気筒4.4Lツインターボガソリンエンジン+MHEV(最高出力635ps/最大トルク76.5kgm)。
- トランスミッションは8速AT(ハイ/ローレンジギア付)。
- 6Dダイナミクスエアサスペンション採用。
- 通常モデル比で最低地上高+28mm、車幅+68mm。
- ブレンボ製ブレーキ、クイックなステアリングレシオ。
- 0-100km/h加速4秒、最高速度250km/h。
- 最大渡河水深1000mm。
- 専用開発タイヤ(オールテレーン/オールシーズン)、傷つきにくいグラファイト採用バンパー。
- インテリア:カーボンファイバー使用、音楽連動振動シート「ボディ&ソウルシート」。
- 全モデル8速オートマチックトランスミッション、駆動方式は4WDです。
オフロード走破性能
- 最低地上高:標準218mm、エアサスペンション装着車は最大291mm。
- アプローチアングル最大38度、ランプブレークオーバーアングル最大28度、デパーチャーアングル最大40度(エアサス車)。
- 最大渡河水深:900mm(ディフェンダー オクタは1000mm)。
- 最大牽引力:3720kg。
- サスペンション:90はコイルスプリング、110/130はエアサスペンション(90はオプション)。
- 車両統合制御システム「コンフィギュラブル・テレインレスポンス」、ローギアを備えたトランスファー、手動ロックセンターディファレンシャル、自動ロックリアデフを装備。
- 新オプション:「アダプティブオフロードクルーズコントロール」(悪路走行時の定速走行支援、ATPCのアップグレード版)。
- ディフェンダー130には、タイヤ空気補充用の内蔵エアコンプレッサーを設定。
安全装備
- ブラインドスポットアシスト、アダプティブクルーズコントロールなど多数の先進運転支援システムを標準装備。
- 新たに音声と視覚で警告する「ドライバーアテンションモニター」を採用。
発売時期
- 欧州:2025年5月28日発表、受注開始。
- 米国:欧州よりやや遅れての導入見込み。
- 日本:正式な発売日や詳細仕様は今後の発表待ち。
伝統と革新が織りなすエクステリアデザインの深化
新型ディフェンダーのエクステリアは、一目でディフェンダーとわかる力強いシルエットを継承しつつ、現代的なデザイン要素を巧みに融合させ、その存在感を一層際立たせています。フロントマスクでは、新しいデザインのLEDヘッドライトが採用され、よりシャープで知的な印象を与えるとともに、夜間の視認性向上にも貢献しています。また、従来はオプション設定であったフォグランプが標準装備となり、悪天候時の安全性が高められました。フロントバンパーおよびリアバンパーも新意匠となり、タフネスさを強調しながらも洗練された佇まいを実現しています。
グリルのデザインも変更され、グロスブラックのグリルバーが標準装備となり、引き締まった表情を創出。サイドベントとボンネットインサートには、従来のチェッカープレートデザインに代わり、新しいテクスチャパターンが採用され、細部にまでこだわりを感じさせる仕上がりとなっています。リアセクションでは、スモークテールランプが新たに装備され、モダンで落ち着いた雰囲気を演出。これらの変更に加え、新しいエクステリアカラーとホイールデザインも用意され、オーナーの個性をより豊かに表現することが可能となりました。全体として、新型ディフェンダーは、そのDNAである堅牢性と冒険心を堅持しながら、都会的なシーンにも映えるスタイリッシュさを身にまとったと言えるでしょう。
先進性と快適性を追求したインテリア空間
新型ディフェンダーのインテリアに足を踏み入れると、まず目に飛び込んでくるのが、センターコンソールに鎮座する大型のインフォテインメントディスプレイです。従来の11.4インチから13.1インチへと大幅に拡大されたこのタッチスクリーンは、視認性、操作性ともに大きく向上しており、ナビゲーションシステムの表示や各種車両設定、エンターテインメント機能へのアクセスがより直感的かつスムーズに行えるようになりました。この大型ディスプレイの採用は、現代のデジタル化されたライフスタイルに対応するものであり、ドライバーと同乗者に最先端のコネクテッド体験を提供します。
ドライバー正面には、多彩な情報を表示可能なデジタルメータークラスターが引き続き採用され、走行状況や車両情報を的確に伝えます。また、スイッチ一つで通常のミラーからHDディスプレイへと切り替わり、後方カメラの映像を映し出す「ClearSight Rear View」も健在。荷物満載時や悪天候下でもクリアな後方視界を確保し、安全運転をサポートするこの機能は、ディフェンダーの実用性を高める上で欠かせない装備と言えるでしょう。
センターコンソールのデザインも見直され、ワイヤレスデバイスチャージングのパッドがワイド化されたほか、インナースライディングトレイが設けられるなど、細やかな使い勝手の向上が図られています。さらに、運転席側および助手席側のストレージポケットがシグネチャーインテリアアップグレードの一部として追加され、収納スペースも拡充されました。全グレードでワイヤレスデバイスチャージングが標準装備となった点も、現代のユーザーニーズに応える改良点です。
シートマテリアルやトリムにおいても、新たなオプションパックとして「ウィンザーレザーシグネチャーインテリアパック」や「Ultrafabricsシグネチャーインテリアパック」が設定され、より上質でパーソナルな空間を演出することが可能になりました。特にロングボディの「ディフェンダー130」では、2列目と3列目のシートを折りたたむことで最大2291Lという広大なラゲッジスペースが出現し、アウトドアアクティビティや長期の旅行にも余裕で対応できる積載能力を誇ります。
ライフスタイルに合わせた3つのボディバリエーション
新型ディフェンダーは、ユーザーの多様なニーズやライフスタイルに対応するため、引き続き3つのボディタイプをラインナップしています。まず、最もコンパクトな3ドアモデルの「ディフェンダー90」は、その短いホイールベースと優れた機動性により、本格的なオフロード走行を重視するユーザーから絶大な支持を得ています。ランドローバーブランドのコンパクトSUV「レンジローバーイヴォーク」よりも全長が短いながら、前席にベンチシートを採用することで最大6人乗車を可能にするなど、ユニークなパッケージングも魅力です。
次に、5ドアモデルの「ディフェンダー110」は、販売の主力となるバランスの取れたモデルです。日常の使い勝手とオフロード性能を高次元で両立し、オプションで3列シートを選択することも可能で、ファミリーユースにも適しています。
そして、ラインナップ中最大のボディサイズを誇るのが「ディフェンダー130」です。「110」をベースにボディ後部を延長することで、3列目シートの居住空間を大幅に拡大。大人でも快適に過ごせる3列目シートを実現し、多人数での長距離移動を快適なものとしています。また、「130」には5人乗り仕様の「OUTBOUND」モデルも設定され、広大な荷室空間を最大限に活用したいユーザーにも対応しています。
これらのボディを支えるのは、ジャガー・ランドローバーが誇る新世代プラットフォーム「D7x」アーキテクチャーです。このプラットフォームは、軽量でありながら極めて高い剛性を誇るオールアルミニウムモノコック構造を採用しており、従来のラダーフレーム構造のモデルと比較して約3倍のねじり剛性を確保しています。これにより、オンロードでの卓越したハンドリング性能と快適な乗り心地、そしてオフロードでの過酷な要求に応える強靭さを両立させています。
パワートレイン戦略:伝統のV8エンジン継続と最強の「オクタ」登場
新型ディフェンダーは、その力強い走りを支える多彩なパワートレインを用意しています。日本市場においては、効率とパフォーマンスを両立する直列4気筒2.0リッターガソリンターボエンジン「P300」(最高出力300ps/最大トルク40.8kgm)や、マイルドハイブリッドシステム(MHEV)を組み合わせた直列6気筒3.0リッターディーゼルターボエンジン「D350」(最高出力350ps/最大トルク71.4kgm)がラインナップの中心となります。
そして、多くのファンが注目するのが、伝統のV型8気筒エンジンの存在です。最高出力525ps/最大トルク63.7kgmを発生する5.0リッターV8スーパーチャージャーエンジン「P525」(「ディフェンダー130」では500ps/62.2kgmの「P500」)は、その圧倒的なパワーと官能的なサウンドで、ディフェンダーに特別なドライビングプレジャーをもたらします。最新の情報によれば、このスーパーチャージャー付きV8エンジンは、市場で最も古い部類に入るエンジンの一つでありながら、2026年モデルとして欧州市場では当面継続搭載される見込みです。
このAJ-V8エンジンは、ジャガーがフォード傘下にあった1990年代半ばに開発され、5.0リッターバージョンは2009年にデビューして以来、長きにわたりジャガー・ランドローバーの多くの高性能モデルに搭載されてきました。しかし、ジャガーが間もなくガソリン車の生産を完全に終了し、レンジローバーのV8モデルがBMW製の4.4リッターツインターボエンジンへと切り替わる中、ディフェンダーがこの伝統的なスーパーチャージャー付きV8エンジンを搭載する最後のモデルとなる可能性が高いと見られています。米国市場での搭載については現在確認中とのことですが、その動向が大いに注目されます。
さらに、新型ディフェンダーのパフォーマンスを新たな次元へと引き上げる最強モデルとして、「ディフェンダー オクタ」が設定されました。このモデルは「ディフェンダー110」をベースに、BMW由来とも噂されるV型8気筒4.4リッターツインターボガソリンエンジンにマイルドハイブリッドシステムを組み合わせ、最高出力635ps、最大トルク76.5kgmという驚異的なスペックを実現しています。トランスミッションにはハイレンジとローレンジのギアを備えた8速オートマチックが組み合わされ、車体は通常のディフェンダーから最低地上高を28mmアップさせ、車幅も68mm拡大。特筆すべきは、路面状況に応じて各輪の動きを最適に制御する「6Dダイナミクスエアサスペンション」の採用で、これによりオンロードでのダイナミックな走行性能と、オフロードでの卓越した走破性および快適性を両立しています。
「ディフェンダー オクタ」は、ブレンボ製キャリパーを備えた大径フロントディスクブレーキ(400mm)や、クイックなステアリングレシオにより、その強大なパワーを確実に路面に伝え、コントロールすることを可能にしています。その結果、0-100km/h加速はわずか4秒、最高速度は250km/hに達します。オフロード性能も妥協なく追求されており、最大渡河水深は通常モデルの900mmから1000mmへと向上。タイヤには、専用開発されたオールテレーンタイヤ(275/60R20)とオールシーズンタイヤ(275/50R22)が設定されています。エクステリアでは、バンパーに傷つきにくいグラファイト素材を採用し、タフネスさを強調。インテリアにはカーボンファイバーが用いられるほか、音楽と連動してシートが振動することで音との一体感を味わえるというユニークな「ボディ&ソウルシート」が採用されるなど、特別なモデルにふさわしい設えとなっています。
トランスミッションは全モデルで ZF製の8速オートマチックトランスミッションが採用され、駆動方式はもちろん全車フルタイム4WDとなっています。
他の追随を許さない圧倒的なオフロード走破性能
ディフェンダーの真髄は、その比類なきオフロード走破性能にあります。新型ディフェンダーもその伝統を色濃く受け継ぎ、過酷な地形をも走破するための数々のテクノロジーと設計が盛り込まれています。標準状態での最低地上高は218mmを確保し、エアサスペンション装着車(「110」および「130」に標準装備、「90」にはオプション設定)では、オフロードモードを選択することで最大291mmまでリフトアップすることが可能です。これにより、アプローチアングルは最大38度、ランプブレークオーバーアングルは最大28度、デパーチャーアングルは最大40度という、クラストップレベルの対障害角度を実現しています。また、最大渡河水深は900mm(ディフェンダー オクタは1000mm)に達し、多少の増水した河川であっても臆することなく進むことができます。最大牽引能力も3720kgと高く、大型のトレーラーやボートの牽引も可能です。
足回りには、オンロードでの優れた乗り心地とオフロードでの高い走破性を両立する独立懸架式サスペンションが採用されています。「ディフェンダー90」には堅牢なコイルスプリング式サスペンションが、「ディフェンダー110」および「130」には電子制御エアサスペンションが標準装備されます。このエアサスペンションは、車高調整機能に加え、路面状況に応じて減衰力を連続的に可変制御することで、常に最適な乗り心地と接地性を確保します。
駆動系には、ランドローバーが長年培ってきた高度な4WDシステムが搭載されています。車両システムを統合制御し、泥濘路、砂地、雪道、岩場など、さまざまな路面状況に合わせて車両設定を自動または手動で最適化できる「コンフィギュラブル・テレインレスポンス」システムは、オフロード走行の頼れるパートナーとなります。さらに、ローレンジギアを備えたトランスファーケース、手動でロック可能なセンターディファレンシャル、そして自動ロック機構付きリアディファレンシャルも備えており、タイヤが空転するような極限的な状況からでも容易に脱出できるよう設計されています。
今回の改良では、悪路走行時に一定の走行速度をキープし、ドライバーのブレーキやアクセル操作の負担を軽減する「オールテレインプログレスコントロール(ATPC)」のアップグレード版となる「アダプティブオフロードクルーズコントロール」が新たにオプション設定されました。これは、オフロード走行中でも先行車追従機能や障害物検知による自動減速・停止を行い、ランドローバーが言うところの「スムーズな」オフロード走行に貢献するもので、まさに英国ブランドらしい洗練された機能と言えるでしょう。さらに、3列シートの「ディフェンダー130」には、オフロード走行後にタイヤの空気圧を調整するためのエアコンプレッサーが内蔵されるなど、実用的な装備も充実しています。
環境性能への配慮と燃費
クロスカントリーSUVとして圧倒的な悪路走破性能を誇る新型ディフェンダーですが、同時に環境性能への配慮も忘れていません。最新のパワートレイン技術により、燃費性能も追求されています。日本市場におけるWLTCモード燃費は、2.0リッターガソリンモデル「P300」で8.3km/L、3.0リッターディーゼルMHEVモデル「D350」で9.9km/Lとなっています。これらの数値は、車両のサイズや性能を考慮すれば健闘していると言え、日常的な使用における経済性にも配慮されています。特にディーゼルモデルは、その力強いトルクと良好な燃費により、長距離ドライブやオフロード走行が多いユーザーに適しています。
充実した先進安全装備とドライバー支援システム
新型ディフェンダーには、ランドローバーが誇る最新の先進安全装備とドライバー支援システムが惜しみなく投入され、乗員保護性能と予防安全性能が高められています。2020年の現行モデル登場時からの改良で、ブラインドスポットアシスト、クリアイグジットモニター、アダプティブクルーズコントロール、ドライバーコンディションモニター、レーンキープアシスト、360°パーキングエイド、リアトラフィックモニター、トラフィックサインレコグニション&アダプティブスピードリミッターといった多数のドライバー支援システムが標準装備化され、安全性が大幅に向上しました。
今回の最新改良では、これらに加えて、音声と視覚によりドライバーに警告を発する新しい「ドライバーアテンションモニター」が採用され、さらなる安全性の向上が図られています。これらのシステムは、高速道路での巡航から市街地での運転、さらには駐車時まで、あらゆる場面でドライバーをサポートし、疲労軽減と事故リスクの低減に貢献します。
進化を続けるディフェンダー:過去の改良遍歴
現行ディフェンダーは、2020年4月のフルモデルチェンジ以降も、市場のニーズや技術の進化に合わせて継続的な改良が施されてきました。例えば、2023年4月には、「ディフェンダー90」と「ディフェンダー110」にV型8気筒5.0リッタースーパーチャージャーエンジンが新設定され、ハイパフォーマンスモデルを求める声に応えました。また、「ディフェンダー90」にディーゼルエンジンが設定されたのもこのタイミングです。ロングボディの「ディフェンダー130」には、より広大な荷室を重視した5人乗りモデル「OUTBOUND」が追加設定されました。エクステリアでは、「110 S」と「110 SE」にクラシカルな雰囲気を演出する「COUNTY EXTERIOR PACK」が設定されたことも記憶に新しいところです。「90」と「130」(8人乗り)にはフラットロードスペースフロアトレイが標準装備となり、「90」の助手席シートは素早くフォールドおよびスライドできるよう改良され、後席へのアクセス性が向上。座面跳ね上げ式の40:20:40分割可倒式リアシートも採用されました。
2024年に入ってからも進化は続き、同年5月には3.0リッターディーゼルエンジンの出力が向上。5ドアロングボディの「130」に、この高性能ディーゼルエンジンが新たに設定されました。「130 OUTBOUND」のエクステリアカラーにはセドナレッドが追加され、選択肢が広がりました。シートレイアウトも見直され、「X-DYNAMIC SE」で5人乗り/8人乗り、「X」で5人乗り/7人乗り、「V8」で5人乗り/7人乗り/8人乗り、「OUTBOUND」で5人乗りへと変更されました。ボディ保護の観点からは、マットプロテクティブフィルムがオプション設定され、スペアホイールロック(ブラック)も採用。前述の「COUNTY EXTERIOR PACK」では、テールドアがエクステリアカラーと同色となり、ルーフとデカールにコントラストカラーが採用されるなど、細部に手が加えられました。「X-DYNAMIC HSE」および「V8」グレードには、ソフトクローズテールドアが標準装備となり、高級感を高めています。インテリアでは、センターコンソールのデザインが変更され、ワイヤレスデバイスチャージングのパッドがワイド化、インナースライディングトレイが設定されました。運転席側および助手席側ストレージポケットがシグネチャーインテリアアップグレードの一部として追加され、全グレードにワイヤレスデバイスチャージングが標準装備となるなど、利便性が向上。既存のオプションパックの装備も変更され、内容が強化されるとともに、新たなオプションパックとして「ウィンザーレザーシグネチャーインテリアパック」および「Ultrafabricsシグネチャーインテリアパック」が設定されました。そして、2024年7月には、前述の限定ハイパフォーマンスモデル「ディフェンダーOCTA」が設定され、ラインナップの頂点を飾ることになりました。
新型ディフェンダーの価格と発売時期
気になる新型ディフェンダーの価格ですが、最新装備の採用や各部の改良に伴い、従来モデルから若干の価格上昇が見込まれます。記事執筆時点での情報によれば、日本市場における価格帯は以下の通りです(消費税込み)。
まず、究極のオフロード性能とオンロードパフォーマンスを両立する4.4リッターV型8気筒ツインターボMHEV搭載の「ディフェンダー オクタ」は、「ディフェンダー オクタ」が2099万円、「ディフェンダー オクタ エディションワン」が2224万円からとなっています。
3.0リッター直列6気筒ディーゼルMHEV「D350」搭載モデルでは、「DEFENDER 90 X-DYNAMIC HSE D350」が1002万円、「DEFENDER 110 S D350」が905万円、「DEFENDER 110 X-DYNAMIC SE D350」が1010万円、「DEFENDER 110 X-DYNAMIC HSE D350」が1082万円、「DEFENDER 110 X D350」が1401万円、「DEFENDER 130 X-DYNAMIC SE D350」が1219万円、「DEFENDER 130 X D350」が1544万円、「DEFENDER 130 OUTBOUND D350」が1243万円からとなります。
2.0リッター直列4気筒ガソリンターボ「P300」搭載モデルは、「DEFENDER 110 X-DYNAMIC SE P300」が855万円から。
そして、5.0リッターV型8気筒スーパーチャージャーガソリンエンジン搭載モデルでは、525ps仕様の「P525」を積む「DEFENDER 90 V8 P525」が1583万円、「DEFENDER 110 V8 P525」が1676万円から。500ps仕様の「P500」を積む「DEFENDER 130 V8 P500」は1738万円からとなっています。
今回の改良による具体的な価格アップ幅は約20万円程度と見込まれており、上級オフロードモデルとしてのさらなる魅力向上が図られています。
改良されたランドローバー新型ディフェンダーは、2025年5月28日に欧州で発表され、すでに受注が開始されています。米国市場への導入は少し遅れる見込みです。日本市場における正式な発売日や詳細な仕様については、今後のランドローバージャパンからの発表が待たれますが、その登場を心待ちにしているファンは少なくないでしょう。ランドローバーは、この改良されたディフェンダーによって、ブランドの持つ力強さと先進性をさらにアピールし、クロスカントリーSUV市場におけるリーダーシップを強化していく考えです。
編集部から一言
ランドローバー新型ディフェンダーは、その輝かしい歴史と伝統的なオフロード性能を大切に受け継ぎながら、デザイン、テクノロジー、パフォーマンスのあらゆる面で現代的な進化を遂げました。エクステリアの洗練、インテリアの質感と機能性の向上、そしてパワートレインの多様化は、幅広いユーザーの期待に応えるものです。特に、伝統の5.0リッターV8スーパーチャージャーエンジンの継続搭載の可能性は、エンスージアストにとって朗報であり、一方で新たに設定された「ディフェンダー オクタ」は、その圧倒的な性能でディフェンダーのパフォーマンスイメージを新たな高みへと引き上げました。
安全性や環境性能への配慮も怠りなく、日常の使い勝手から過酷な冒険まで、あらゆるシーンでオーナーに最高の体験を提供してくれる一台となるでしょう。進化を続ける生ける伝説、新型ディフェンダーが、これからも世界中の道なき道、そして舗装路において、新たな物語を刻み続けていくことは間違いありません。その動向から、ますます目が離せない存在と言えるでしょう。
ランドローバー ニュースリリース