日産の2代目「キックス」が、2026年10月22日に米国の道路安全保険協会(IIHS)が選ぶ「トップセーフティピック(TSP)」を獲得しました。2026年6月以降に生産された2026年・2027年モデルが対象です。
2代目キックスは、後席乗員の保護を重視した新しい前面衝突試験で、当初は最低の「Poor」評価でした。日産は2026年6月に後席シートベルトを改良し、再試験で最高の「Good」を獲得しています。
日本でも2代目キックスは2026年6月18日に発売されたばかりでです。米国仕様とはパワートレインなどが異なりますが、車選びの参考にはなるはずです。
この記事では、IIHSの評価の中身、上位賞「TSP+」に届かなかった理由、日本仕様のキックスの価格・スペック・燃費・安全装備、おすすめグレードまで、わかりやすくまとめました。


そもそも新型キックスとは?2代目の位置づけ
キックスは、日産のSUVラインアップでいちばん小さいクラスを受け持つコンパクトSUVです。日本では、上にエクストレイルなどが並び、キックスは「街中で扱いやすいサイズのSUV」という役どころです。
2代目は、北米では2025年モデルとして先に登場しました。米国仕様は2.0Lガソリンエンジンを積み、手ごろな価格のSUVとして販売されています。日本仕様は2026年6月17日に発表、6月18日に発売され、日本で初めて第3世代の「e-POWER」を搭載したモデルになりました。モーター・発電機・インバーターなどを一体にした「5-in-1」ユニットと、発電専用の1.4Lエンジン「HR14DDe」の組み合わせです。
さらに、キックスとして初めて電動4輪制御技術「e-4ORCE」を設定したことも大きなトピックです。
【評価まとめ】新型キックスのIIHS評価はここがポイント
今回の発表のポイントは、主に以下の4点です。
- 受賞:2026・2027年モデルのキックスが「トップセーフティピック(TSP)」を獲得(2026年10月22日発表)
- 対象:後席シートベルトを改良した2026年6月以降の生産車だけ
- 改善:新しい中程度オーバーラップ前面衝突試験が「Poor」→「Good」に
- 上位賞:車対車の衝突回避試験(2.0)が「Marginal」で、TSP+には届かず
① 後席シートベルトの改良で「Poor」から「Good」へ
IIHSの新しい中程度オーバーラップ前面衝突試験は、運転席だけでなく後席に座る乗員の保護を重く見る内容です。後席に小柄な体格のダミーを乗せ、衝突のときにシートベルトが体をきちんと支えられるか、頭や胸に大きな負担がかからないかを確かめます。
2代目キックスは、この試験で当初「Poor」と判定されていました。日産は2026年6月に後席のシートベルトを変更し、それ以降に生産された車で再試験を受けた結果、最高の「Good」になりました。IIHSは、受賞の対象を「2026年6月以降に生産された車」に限っています。
② 衝突安全の主な試験はすべて「Good」
改良後のキックスは、TSPの条件となる衝突試験で次の評価を受けています。
| 試験項目 | 評価 |
|---|---|
| スモールオーバーラップ前面衝突 | Good |
| 中程度オーバーラップ前面衝突(新試験) | Good |
| 側面衝突 | Good |
| ヘッドライト | Good |
| 歩行者の衝突回避(前方) | Good |
| 車対車の衝突回避(2.0) | Marginal |
| シートベルトリマインダー(参考) | Good |
| チャイルドシート固定具の使いやすさ(参考) | Good+ |
③ 上位の「TSP+」に届かなかった理由
IIHSの賞には、TSPとその上の「TSP+」があります。TSPの条件は、3つの衝突試験(スモールオーバーラップ・中程度オーバーラップ・側面)で「Good」、ヘッドライトと歩行者の衝突回避で「Acceptable」以上、前方の衝突回避システムが標準装備であることです。
TSP+は、これに加えて歩行者の衝突回避で「Good」、車対車の衝突回避(2.0)で「Acceptable」以上が必要です。キックスは歩行者の評価は「Good」でしたが、車対車の試験が「Marginal」だったため、TSP+には届きませんでした。
④ 同じクラスのSUVとの比べ方
IIHSの評価表では、同じ中程度オーバーラップ前面衝突試験で、アウディ Q3(2026・2027年モデル)とシボレー トレイルブレイザー(2026年モデル)が「Poor」、トヨタ RAV4(2026年モデル)が「Acceptable」でした。後席の保護を重視する新しい試験は多くのSUVにとって厳しく、キックスが改良で「Good」まで引き上げたことは、ライバルと比べても目立つ結果です。

新型キックス(日本仕様)のグレードと価格一覧
日本仕様は、2WD(前輪駆動)と4WD(e-4ORCE)にそれぞれ4グレードを用意しています。価格は日産の公式発表(2026年6月17日)の値です。
| グレード | 駆動 | 乗車定員 | 価格(税込) |
|---|---|---|---|
| X シンプルパッケージ | 2WD | 5人 | 299万9,700円 |
| X | 2WD | 5人 | 325万9,300円 |
| X+ | 2WD | 5人 | 354万9,700円 |
| G | 2WD | 5人 | 389万8,400円 |
| X e-4ORCE シンプルパッケージ | 4WD | 5人 | 334万9,500円 |
| X e-4ORCE | 4WD | 5人 | 359万9,200円 |
| X+ e-4ORCE | 4WD | 5人 | 389万9,500円 |
| G e-4ORCE | 4WD | 5人 | 424万8,200円 |
「シンプルパッケージ」はオーディオレス仕様だけの設定で、ナビやディスプレイオーディオを自分で選びたい人向けです。
新型キックスのボディサイズ
| 項目 | 2WD | 4WD(e-4ORCE) |
|---|---|---|
| 全長 | 4,365mm | 4,365mm |
| 全幅 | 1,800mm | 1,800mm |
| 全高 | 1,615mm | 1,610mm |
| ホイールベース | 2,655mm | 2,655mm |
| 最低地上高 | 170mm | 170mm |
| 最小回転半径 | 5.3m | 5.3m |
| 車両重量 | 1,430〜1,480kg | 1,550〜1,590kg |
全幅は1,800mmと、コンパクトSUVとしてはややワイドです。全高は1,615mm以下なので、機械式駐車場の高さ制限(1,550mmが多い)には入らない点に注意しましょう。最小回転半径は5.3mで、狭い道や駐車場でも扱いやすい数字です。
タフで個性的!新型キックスの外装(エクステリア)
フロント・リヤ
フロントは、アメリカンフットボールのヘルメットをモチーフにした横長のグリルが特徴です。ボディ全体は角を立てた力強い造形で、コンパクトながらSUVらしい存在感があります。

スニーカーソール柄のバンパー・ボディカラー
一部のグレードでは、前後バンパーやサイドシルにスニーカーの靴底をイメージした凹凸の模様が入ります。ボディカラーは2トーンの「レゾナンスブルー」を含む全9色です。

上質に進化!新型キックスの内装(インテリア)
コックピット・ディスプレイ
運転席の前には12.3インチのメーターディスプレイを配置し、グレードやオプションによっては12.3インチのセンターディスプレイとつながる「統合型インターフェースディスプレイ」になります。Google搭載のNissanConnectインフォテインメントシステムも選べます。

シート・荷室
後席は6:4分割で倒せ、リクライニングもできます。荷室には1500Wの100V AC電源を設定できます。後席左右には、疲れにくい「ゼログラビティシート」を採用しています。


新型キックスのパワートレインとスペック
| 項目 | 2WD | 4WD(e-4ORCE) |
|---|---|---|
| 発電用エンジン | HR14DDe 直列3気筒 1.433L(72kW/98PS) | |
| フロントモーター | 105kW(143PS)/315N・m | 105kW(143PS)/315N・m |
| リヤモーター | - | 50kW(68PS)/140N・m |
| 駆動用電池 | リチウムイオン電池 | |
| 使用燃料・タンク | 無鉛レギュラー・45L | |
エンジンは発電に専念し、タイヤはモーターだけで動かすのがe-POWERの仕組みです。e-4ORCE車はリヤにもモーターを追加し、前後のモーターとブレーキを統合して制御します。e-4ORCE車には雪道向けの「SNOW」モードも用意されています。
新型キックスの燃費(WLTCモード)
| グレード | WLTCモード燃費 |
|---|---|
| X シンプルパッケージ/X/X+(2WD) | 25.7km/L |
| G(2WD) | 23.4km/L |
| X シンプルパッケージ/X/X+(e-4ORCE) | 21.5km/L |
| G e-4ORCE | 20.1km/L |
Gは19インチタイヤを履くため、17インチのほかのグレードより燃費が少し落ちます。
新型キックス(日本仕様)の安全装備「360°セーフティアシスト」
日本仕様のキックスは、運転支援機能「プロパイロット」を全グレードに標準装備しています。主な安全装備は次のとおりです。
- インテリジェント エマージェンシーブレーキ(全車標準)
- 踏み間違い衝突防止アシスト(全車標準)
- インテリジェント LI(車線逸脱防止支援)&LDW(車線逸脱警報)(全車標準)
- インテリジェント FCW(前方衝突予測警報)・DA(ふらつき警報)(全車標準)
- 標識検知機能・先行車発進お知らせ(全車標準)
- インテリジェント BSI(後側方衝突防止支援)&BSW、RCTA(後退時車両検知警報)(グレードによりセットオプション)
- インテリジェント アラウンドビューモニター(移動物 検知機能付)
- SRSエアバッグ(前席・前席サイド・カーテン)、後席左右のプリテンショナーシートベルト、後席リマインダー(全車標準)
なお、IIHSが試験したのは米国で販売されている車です。日本仕様の後席シートベルトにも同じ変更が入っているかどうかは、日産から発表されていません。日本仕様の諸元表では、後席左右2席にプリテンショナー付きのシートベルトが標準装備と記載されています。
新型キックスはどのグレードを選ぶべきか?おすすめグレード
おすすめ① 【コスパ重視なら】X(5人乗り・2WD)
価格:325万9,300円
プロパイロットや主な安全装備は全車標準なので、Xでも安全面の基本はしっかり押さえられます。燃費は25.7km/Lとグレード内で最もよく、通勤や買い物が中心ならこれで十分です。ブラインドスポットの警報など後方の安全装備は、セットオプションで追加しておくと安心です。
おすすめ② 【装備と価格のバランスなら】X+(5人乗り・2WD)
価格:354万9,700円
Xとの差額は約29万円です。X+はXに装備を上乗せした中間グレードで、燃費は17インチタイヤのXと同じ25.7km/Lのままです。19インチのGほど維持費をかけずに、ワンランク上の仕様を選びたい人に向いています。装備の細かな違いは、公式サイトの主要装備一覧で確認しておきましょう。
おすすめ③ 【雪国・アウトドアなら】X e-4ORCE(5人乗り・4WD)
価格:359万9,200円
雪道やスキー場へ出かける機会が多いなら、SNOWモードを持つe-4ORCEが安心です。2WDのX+とほぼ同じ価格で4WDが選べます。
IIHSのトップセーフティピックとは?日本のJNCAPとの違い
IIHS(Insurance Institute for Highway Safety)は、米国の保険業界が出資する安全研究機関です。毎年、衝突試験と予防安全の試験の結果をもとに「TSP」「TSP+」を選び、米国の消費者が車を選ぶときの大きな目安になっています。
日本には、国土交通省と自動車事故対策機構(NASVA)が行う「自動車安全性能評価(JNCAP)」があります。試験の方法や車の仕様が違うため、IIHSの結果がそのまま日本の評価になるわけではありません。
新型キックスの日本発売日はいつ?購入前にチェックしたい3つのポイント
2代目キックスの日本仕様は、2026年6月18日にすでに発売されています。今回のIIHSの評価は米国仕様についての発表で、日本仕様の改良や仕様変更の発表は今のところありません。
1つ目は、後方の安全装備をセットオプションで付けるかどうかです。BSIやRCTAはグレードによってセットオプションになっていて、メーカーオプションは注文後に追加できません。駐車場から後ろ向きに出る機会が多い人は、注文時に必ず検討しましょう。
2つ目は、2WDとe-4ORCEの選び方です。e-4ORCEは雪道に強い一方、燃費は2WDより4km/Lほど下がり、価格も30万円台半ば高くなります。住んでいる地域と使い方で選ぶのがおすすめです。
3つ目は、タイヤサイズです。Gの19インチは見た目が引き締まる一方、燃費が下がり、タイヤ交換の費用も上がります。見た目と維持費のどちらを優先するか、決めてから選びましょう。
新型キックスに関するよくある質問(FAQ)
Q. キックスが獲得したのはTSPとTSP+のどちらですか?
A. 「トップセーフティピック(TSP)」です。車対車の衝突回避試験が「Marginal」だったため、上位のTSP+には届きませんでした。
Q. どの年式のキックスが対象ですか?
A. 2026・2027年モデルのうち、後席シートベルトが改良された2026年6月以降に生産された車だけが対象です。
Q. 日本で売っているキックスにも同じ評価が当てはまりますか?
A. IIHSが試験したのは米国仕様です。日本仕様はe-POWERを積むなど仕様が違い、後席シートベルトの変更が日本仕様にも入っているかは発表されていません。
Q. 日本仕様のキックスの価格はいくらですか?
A. 2WDのX シンプルパッケージの299万9,700円から、G e-4ORCEの424万8,200円までです(税込)。
まとめ:新型キックスは安全面の弱点をすばやく改善
2代目キックスは、後席を重視した厳しい新試験で一度は「Poor」とされたものの、2026年6月に後席シートベルトを改良し、IIHSのトップセーフティピックを獲得しました。車対車の衝突回避でTSP+は逃しましたが、衝突安全の主な試験はすべて「Good」です。
日本仕様は第3世代e-POWERとe-4ORCEを積み、299万9,700円から選べます。プロパイロットを全車に標準装備するなど、安全装備の充実ぶりもポイントです。コンパクトSUVを検討している方は、販売店で実車と装備を確かめてみてください。
最新情報が入り次第、随時更新していきます。

