スズキは「ジャパンモビリティショー2025」において、注目の軽乗用BEV(バッテリ電気自動車)コンセプトモデル「Vision e-Sky(ビジョン・イー・スカイ)」を世界初披露しました。2026年度中の市販化を目標としており、スズキにとって初となる軽乗用車タイプの電気自動車として、大きな期待が寄せられています。
スズキ初の軽乗用EVが2026年度に登場予定
本モデルは日常の移動手段として軽自動車を使用するユーザーに向けた提案であり、「生活に寄り添う"ちょうど良い"軽EV」というコンセプトで開発されました。SNSでは「300万円以下で販売されたら即購入する」「電動化時代におけるアルトの新しい姿」といった反響が広がっています。

Vision e-Skyのスペック・基本情報
主要諸元(参考値)

- 全長: 3,395mm
- 全幅: 1,475mm
- 全高: 1,625mm
- 航続距離: 約270km以上(想定値)
- 発売時期: 2026年度中を目標
- V2H機能: 搭載予定(家庭用電力供給可能)
ボディサイズは軽自動車の規格に準拠しており、競合となるホンダN-ONE e:(全高1,545mm)と比較すると、全高が80mm高く設定されています。この設計により、より広々とした室内空間の確保が期待できます。
【優れている点】Vision e-Skyの魅力的なポイント
1. 親しみやすく明るいデザインコンセプト

「ユニーク・スマート・ポジティブ」をデザインテーマに掲げたVision e-Skyは、従来のEVにありがちな硬質で冷たい印象を払拭する、スズキらしい親しみやすいスタイルが最大の特徴です。
エクステリアデザインの魅力:
- シンプルでスッキリとした外観デザイン
- 特徴的な3本ラインを配した灯火類により、先進性と親しみやすさを両立
- 存在感がありながらも威圧感のない、前向きな気持ちになれるフォルム
- 老若男女を問わず受け入れられるキャラクター性のあるデザイン
スズキの説明員によれば、「従来のガソリン軽自動車から初めてEVへの乗り換えを検討するユーザーや、セカンドカーとして日常使いのEVを探しているユーザーにアピールしたい」とのこと。EVを身近に感じてもらうための工夫が随所に施されています。

2. 開放感と機能性を兼ね備えた室内空間
インテリアデザインのハイライト:
- トレイとモニターが一体化したフローティングデザインを採用
- ブルーとホワイトのグラデーションで「空」のような爽快感を演出
- 明るく開放的な室内空間で、乗るたびに気分が晴れやかになる設計
- サステナブル素材を積極的に使用した環境配慮型のインテリア
特に注目すべきは、シートや内装材にサステナブル素材を採用している点です。鮮やかなフロアマットも、従来のような多層構造ではなく単一素材で構成されており、環境への配慮とデザイン性を両立させています。
3. 実用的な航続距離と充実の機能
航続距離約270km以上という数値は、競合のホンダN-ONE e:(295km)と比較すると若干短めですが、日常の通勤や買い物、週末のちょっとした遠出には十分対応できる実用的なレンジです。
機能面での優位性:
- V2H(Vehicle to Home)機能搭載予定で、移動手段だけでなく生活インフラとしても機能
- 家庭用電力をまかなう「動く蓄電池」としての役割
- 災害時の非常用電源としても活用可能
4. 市販化を前提とした高い完成度
ジャパンモビリティショーで展示されたVision e-Skyはコンセプトモデルではあるものの、2026年度の量産化を目指しているため、市販モデルも本コンセプトに近い仕様で登場する可能性が高いことが示唆されています。
スズキには「出展したモデルはほぼそのまま市販化する伝統がある」という声もSNS上で見られ、「かなり開発が進んでいるのでは」との期待が高まっています。
【残念な点】Vision e-Skyの課題・懸念点
1. 航続距離の競争力
航続距離約270kmという数値は日常使用には十分ですが、競合モデルと比較すると以下のような課題があります:
- ホンダN-ONE e: 295km(WLTCモード)
- 日産サクラ: 180km(WLTCモード)
N-ONE e:には及ばないものの、サクラよりは大幅に長い航続距離を確保しています。ただし、最終的なスペックは未定であり、実際の市販モデルでどこまで向上するかが注目されます。
2. 価格設定の不透明さ
現時点では価格が公表されていないため、購入の判断材料としては不足しています。競合のホンダN-ONE e:が269万9,400円~319万8,800円で販売されていることを考えると、スズキがどのような価格戦略を取るかが重要なポイントになります。
SNSでは「300万円以下なら即買い」という声が多く見られ、価格設定次第では大きな市場を獲得できる可能性があります。
3. EVパワートレインの詳細が非公開
バッテリー容量、モーター出力、充電性能など、EVとして重要なパワートレインの詳細が現時点では公表されていません。これらの情報が明らかになることで、より具体的な評価が可能になるでしょう。
4. 充電インフラへの対応状況
急速充電の対応状況や充電時間など、実用面で重要な情報がまだ明らかになっていません。日常使いを想定したモデルだけに、自宅での普通充電がメインになると思われますが、長距離移動時の急速充電対応も気になるところです。
次期ワゴンR EVとしての可能性
Vision e-Skyは「次期ワゴンR」または「新型ハスラー」の電動版ではないかという憶測も飛び交っています。実際、ワゴンクラスのサイズ感とスタイリングから、ワゴンRの電動化モデルとして位置づけられる可能性は高いと考えられます。
ワゴンRとの関連性
- 軽自動車規格内のボディサイズ
- 日常使いを重視したコンセプト
- 親しみやすいデザイン志向
- 幅広い年齢層をターゲットとした設計
スズキ代表取締役社長の鈴木俊宏氏は、「日常の通勤や買い物、休日のちょっとしたお出かけなど、生活の足として愛用される軽EVを目指す」と述べており、まさにワゴンRが担ってきた役割を電動化時代に引き継ぐモデルと言えるでしょう。
競合車との比較分析
ホンダN-ONE e:との比較
Vision e-Skyの優位点:
- 全高が80mm高く、室内空間に余裕がある
- より開放的なインテリアデザイン
- 親しみやすいエクステリアデザイン
N-ONE e:の優位点:
- 航続距離が25km長い(295km)
- 既に市販されており、価格や実際の性能が明確
- 低全高による空力性能の向上
日産サクラとの比較
Vision e-Skyの優位点:
- 航続距離が約90km長い(270km vs 180km)
- より実用的な航続性能
- 開放的な室内デザイン
サクラの優位点:
- 市場での実績がある
- 補助金を含めた実質購入価格の情報が明確
実車を見た印象・評価
ジャパンモビリティショーで実車を見た専門家や来場者からは、以下のような評価が聞かれました:
高評価のポイント:
- 「青と白のコントラストが映えるインテリアがとても素敵」
- 「コンセプトカーのクオリティが高く、市販化が近いと感じる」
- 「スズキらしい親しみやすさと先進性のバランスが良い」
- 「展示のステージ映像も含めて、スズキの軽EVがある生活を想像しやすい」
気になる点として挙げられた声:
- 「最終的な価格次第では購入を検討したい」
- 「航続距離がもう少し伸びると嬉しい」
- 「パワートレインの詳細が知りたい」
まとめ:Vision e-Skyは軽EV市場の本命となるか
スズキVision e-Skyは、「硬く冷たいEV」のイメージを覆す、親しみやすく実用的な軽電気自動車として大きな注目を集めています。
総合評価:
優れている点:
- スズキらしい親しみやすいデザイン
- 実用的な航続距離270km以上
- 開放的で環境配慮型のインテリア
- V2H機能による付加価値
- 市販化を前提とした高い完成度
残念な点・今後に期待したい点:
- 航続距離が競合より若干短い
- 価格設定が不明
- パワートレイン詳細の非公開
- 充電性能の情報不足
2026年度中の市販化という具体的な目標が示されており、スズキの本気度が伺えます。最終的な価格設定や詳細スペックの発表が待たれますが、「300万円以下」という価格帯を実現できれば、軽EV市場において大きなインパクトを与える存在になることは間違いないでしょう。
ワゴンRの後継EVとして、あるいは新たな軽EVのスタンダードとして、Vision e-Skyの今後の続報に注目が集まります。
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