2025年11月11日、栃木県の「モビリティリゾートもてぎ」において、NPO法人日本自動車研究者ジャーナリスト会議(RJC)が主催する「2026年次RJCカーオブザイヤー」の最終選考会が開催されました。今年で35回目を迎える同賞では、国産車、輸入車、テクノロジーの各部門で優秀な車両が表彰され、自動車業界に新たな1ページが刻まれています。
国産車部門の大賞は日産・三菱の軽スーパーハイトワゴン
国産車部門の栄えある最優秀賞に選ばれたのは、日産ルークス/三菱eKスペース・デリカミニの3車種です。この受賞は、日産自動車と三菱自動車工業の合弁会社NMKVが企画し、日産が開発を担当した共通プラットフォームから、それぞれに個性豊かな車種を生み出したことが高く評価されました。



受賞の決め手となったポイント
選考委員からは以下の点が特に評価されています:
- 優れた視界性能と使い勝手: 軽スーパーハイトワゴンの持ち味である良好な視界と利便性をさらに向上
- 燃費性能と走行品質の両立: 低燃費を実現しながら、上質な走行性能を確保
- 独自性の追求: 単一のプラットフォームから3つの異なる個性を持つモデルを創出
日産の新型ルークスは、街中での取り回しやすさを重視しながら、モダンで親しみやすいデザインを採用。三菱のeKスペースも同様に、幅広い世代に受け入れられる洗練されたスタイリングと広々とした室内空間を実現しています。
一方、デリカミニは、三菱を代表するミニバン「デリカ」の名を冠した軽スーパーハイトワゴンとして、力強い走りとアウトドアシーンでの使い勝手を追求。エクステリアからインテリア、安全性能まで、あらゆる面で進化を遂げています。三菱自動車
なお、三菱自動車にとっては、2023年次の軽EV「eKクロスEV」以来、3年ぶり5度目の「RJCカーオブザイヤー」受賞となります。



輸入車部門はBYDシーライオン7が制覇
輸入車部門の最優秀賞には、BYDシーライオン7が選ばれました。この中国発のプレミアムSUVは、圧倒的なスポーツ性能と高級サルーンのような乗り心地を融合させた点が高く評価されています。

シーライオン7の先進技術
- 卓越した加速性能: 0-100km/h加速わずか4.5秒(AWDモデル)というスポーツカー並みのパフォーマンス
- CTBボディ構造: BYD独自の構造により高い剛性と優れた衝突安全性を実現
- 革新的な安全機能: ドライバーの疲労状態まで検知する先進安全技術を搭載
中国の自動車メーカーBYDがRJCインポート・カーオブザイヤーを受賞したことは、グローバル市場における同社の技術力の高さを証明する結果となりました。

テクノロジー部門はスバルのストロングハイブリッドが受賞
技術部門では、スバル ストロングハイブリッドが最優秀賞を獲得しました。この技術は、スバルが長年培ってきた水平対向エンジンとシンメトリカルAWDの強みを活かしながら、フルハイブリッド化を実現した点が評価されています。

スバル独自のハイブリッドシステム
トヨタの横置きエンジン用ハイブリッドシステムTHSをベースに、スバルの縦置き水平対向エンジンに最適化した専用設計を採用。システムに合わせてエンジンも新開発し、力強い走りと優れた燃費性能を両立させています。
このシステムは「クロストレック」と「フォレスター」に搭載され、スバルの電動化戦略における重要な技術として位置づけられています。


特別賞はスズキ初のBEV「eビターラ」

今年の特別賞には、スズキ eビターラが選ばれました。スズキにとって初の量産バッテリー電気自動車(BEV)であるこのモデルは、以下の特徴が評価されました:
- グローバル展開: 世界100カ国以上で販売されるグローバルモデル
- 日本市場への適応: 多様な道路環境や降雪地域にも対応できる4WD仕様
- 扱いやすさの追求: 誰にでも運転しやすいボディサイズと設計思想
アジアを中心とした先進技術を結集し、インドの最新工場で生産されるeビターラは、スズキの電動化戦略における重要なマイルストーンとなっています。
RJCカーオブザイヤーとは
NPO法人日本自動車研究者ジャーナリスト会議(RJC)が主催する「RJCカーオブザイヤー」は、自動車の研究者やジャーナリストの視点から、その年に発表された優れた車両や技術を表彰する権威ある賞です。
選考プロセス
2026年次の選考では、2024年11月1日から2025年10月31日までに発表された車両が対象となりました。まず10月31日の第一次選考で各部門の「6ベスト」が選出され、11月11日の最終選考会でRJC選考委員の投票により最優秀賞が決定されています。
最終選考会の結果(国産車部門)
- 日産ルークス/三菱eKスペース・デリカミニ - 121点
- スバル クロストレック e-BOXER - 96点
- スズキ クロスビー - 75点
- 日産 リーフ - 70点
- ホンダ N-ONE e: - 64点
- ホンダ プレリュード - 36点
最終選考会の結果(輸入車部門)
- BYD シーライオン7 - 114点
- ヒュンダイ インスター - 79点
- BMW 2シリーズ グランクーペ - 76点
- テスラ モデルY - 69点
- フォルクスワーゲン ティグアン - 65点
- アウディ Q5 - 59点
最終選考会の結果(テクノロジー部門)
- スバル ストロングハイブリッド - 117点
- ホンダ EVパワーユニット・パッケージ - 79点
- BYD 高効率バッテリー熱管理システム - 74点
- テスラ 自動運転を見据えた設計 - 70点
- 日産 冷熱システム統合熱マネジメントシステム - 68点
- アウディ MHEV plus - 54点
まとめ:自動車業界の多様化と技術革新
2026年次RJCカーオブザイヤーの受賞結果は、日本の自動車業界における多様な取り組みと技術革新を象徴しています。軽自動車の進化、電動化技術の発展、輸入車の台頭など、市場は確実に変化しています。
日産と三菱の協業から生まれた軽スーパーハイトワゴンの受賞は、異なるブランドが共通のプラットフォームを活用しながら独自性を打ち出すアプローチの成功例と言えるでしょう。また、中国メーカーBYDの受賞は、グローバル市場における競争の激化を示しています。
今後も自動車メーカー各社は、環境性能、安全技術、利便性の向上を追求し、消費者にとってより魅力的な製品を提供していくことが期待されます。RJC公式サイト

