スバルのモータースポーツ統括会社であるスバルテクニカインターナショナル株式会社(STI)は、2026年4月9日にSTIコンプリートカー「WRX STI Sport♯(シャープ)」を正式発表しました。このモデルは、現行WRXの日本仕様として初めて6速マニュアルトランスミッションを搭載した特別仕様車であり、全国600台限定で販売されます。価格は610万5000円に設定され、2026年4月9日から5月15日まで全国のスバル販売店で抽選申し込みが受け付けられます。スバルファンが待望していたマニュアルトランスミッション搭載のWRXが、限定モデルとして復活することで、大きな注目を集めています。

2019年以来のMT復活、SUBARUの走りの系譜を継承
WRX STI Sport♯は、2019年に生産終了となったWRX STI以来、約7年ぶりとなるマニュアルトランスミッション搭載のWRXとして誕生しました。スバルは「走る愉しさ」を表現するパフォーマンスシーンをさらに際立たせるために、水平対向エンジンやシンメトリカルAWDといった同社が持つ既存のアセット(技術資産)を組み合わせ、「もっと気軽に愉しめるクルマをつくろう」というコンセプトのもと、内燃機関系商品の開発を進めてきました。

WRX STI Sport♯は、その開発思想の集大成として位置づけられており、スバルがWRC(世界ラリー選手権)で19年間にわたり挑み続けた歴史、現在参戦中の全日本ラリー選手権やスーパー耐久での経験、そして多くのファンから愛され続けたWRXシリーズの伝統を受け継いでいます。マニュアルトランスミッションを搭載した数多くのレースカーやモデルを通じて、スバルは独創の技術に裏打ちされた走りの真価を問い続けてきましたが、WRX STI Sport♯はその歴史と情熱を受け継ぐ特別な一台として開発されました。

現行WRX日本仕様初の6速MTを搭載
WRX STI Sport♯の最大の特徴は、現行WRXの日本仕様として初めて採用された6速マニュアルトランスミッションです。このトランスミッションは、海外向けWRXで使用されているアセットを活用したもので、ドライバーの意思がダイレクトに伝わる操作感と、クルマとの一体感を追求した設計となっています。

エンジンは、水平対向4気筒2.4リットル直噴ターボのFA24型を搭載しており、最高出力は275馬力、最大トルクは35.7kgmを発揮します。CVT搭載のWRX S4が275馬力、38.2kgmであるのに対し、6速MT仕様ではトルク特性を最適化することで、マニュアルトランスミッションならではの操る愉しさを最大限に引き出しています。アクセルペダルとクラッチペダルを自在に操り、ドライバー自身がシフトチェンジを行う悦びは、自動変速機では得られない特別な体験となります。

バランスドエンジンとバランスドクラッチで滑らかな回転フィールを実現
WRX STI Sport♯では、エンジンとクラッチ系統に徹底的な精度管理が施されています。ピストンとコンロッドの重量公差、およびクランクシャフトとフライホイール、クラッチカバーの回転バランス公差を徹底的に低減したバランスドエンジンとバランスドクラッチカバー&フライホイールを採用することで、振動が少なく滑らかな吹け上がりを実現しています。

この精密なバランス調整により、エンジンの回転フィールは非常に滑らかになり、高回転域まで気持ちよく回るエンジン特性が得られます。また、振動の低減はドライバーの疲労軽減にも貢献し、長距離ドライブやスポーツ走行時においても快適性が保たれます。STIが長年モータースポーツで培ってきた技術とノウハウが、このバランスドエンジンとバランスドクラッチに凝縮されています。
ZF製電子制御ダンパーとSTIパフォーマンスパーツで走行性能を強化
足回りには、専用チューニングを施したZF製の電子制御ダンパーが採用されています。このダンパーは、路面状況や走行シーンに応じて減衰力を最適に制御することで、優れた走行安定性と応答性を実現しています。スポーツ走行時にはしっかりとした減衰力で車体の動きを抑え、一般道での快適性も両立する高度なセッティングが施されています。
さらに、STI製フレキシブルドロータワーバー フロント(STI Sport♯ロゴ付)、STI製フレキシブルドロースティフナー フロント(STIロゴ付)、STI製フレキシブルドロースティフナー リア(STIロゴ付)などのSTIパフォーマンスパーツを装備することで、ボディ剛性を高め、コーナリング時の安定性とステアリングレスポンスを向上させています。これらのパーツは、STIがモータースポーツで培った技術を市販車にフィードバックしたもので、走りの質を大幅に高めています。

brembo製ブレーキキャリパーと19インチアルミホイールを装備
制動系には、ゴールド塗装を施したbrembo製18インチフロント対向6ポット&リア対向2ポットブレーキキャリパーが採用されています。このブレーキシステムは、高い制動力とコントロール性を実現しており、スポーツ走行時にも安定した制動性能を発揮します。フロントとリアにはドリルドディスクローターが装備され、放熱性能も向上しています。
タイヤには、ブリヂストン ポテンザ S007の245/35R19サイズが採用され、19インチアルミホイールはマットグレー塗装の専用デザインとなっています。このハイパフォーマンスタイヤと専用ホイールの組み合わせにより、路面への接地性とグリップ性能が高められ、コーナリング性能と走行安定性がさらに向上しています。マットグレー塗装のアルミホイールは、視覚的にもスポーティなイメージを強調しています。
レカロ製フロントシートとウルトラスエード素材で上質な室内空間
インテリアには、RECARO製フロントシートが装備されています。シート表皮にはウルトラスエードが採用され、ブラックのベースカラーにブラックステッチ、イエローパーフォレーションが施されることで、スポーティかつ上質な雰囲気が演出されています。シートにはSTIロゴも入れられており、特別仕様車であることを主張しています。
レカロシートは、スポーツ走行時に必要なホールド性を確保しながら、長距離ドライブでも疲れにくい設計となっており、快適性とスポーツ性能を高次元で両立しています。また、本革巻シフトノブと本革巻ハンドブレーキレバーが採用されることで、操作時の感触も上質なものとなっています。マニュアルトランスミッション車ならではの機械式ハンドブレーキは、ドライビングの一体感をさらに高めます。
3色のボディカラー展開、特別設定色サンライズイエローも設定
WRX STI Sport♯のボディカラーは、「WRブルー・パール」「セラミックホワイト」「サンライズイエロー」の3色が設定されています。WRブルー・パールは、スバルのスポーツモデルを象徴する伝統的なカラーであり、WRXシリーズのアイデンティティを強く印象づけます。
セラミックホワイトは、クリーンでモダンな印象を与える定番カラーとして人気があります。サンライズイエローは特別設定色として用意されており、55,000円高(消費税10パーセント込)となっていますが、鮮やかなイエローカラーはスポーツカーとしての存在感を際立たせ、他車との差別化を図ることができます。限定600台という希少性を考えると、特別設定色を選択するユーザーも多いことが予想されます。
小型トランクスポイラーで空力性能を向上
エクステリアには、ブラック塗装の小型トランクスポイラーが装備されています。このスポイラーは、高速走行時のリアの空力安定性を向上させる機能を持ちながら、外観のスポーティさを強調するデザイン要素としても機能しています。
小型トランクスポイラーは、大型のリアウイングと比較して日常使いでも違和感のないサイズ感となっており、スポーツセダンとしての上品さを保ちながら性能向上を図るという、スバルの設計思想が反映されています。なお、ディーラー装着オプションのSTI ドライカーボンリヤスポイラーとは共着できないため、より大型のスポイラーを希望する場合はトランクリッドごとの交換が必要となります。
600台限定販売、抽選申し込みは4月9日から5月15日まで
WRX STI Sport♯は、全国で600台限定の販売となります。購入を希望するユーザーは、2026年4月9日から5月15日までの期間中に、全国のスバル販売店で抽選申し込みを行う必要があります。限定台数が600台と少ないことから、応募倍率は相当高くなることが予想されます。
抽選申し込みの詳細については、最寄りのスバル販売店またはスバルお客様センター「SUBARUコール」(0120-052215)への問い合わせが推奨されています。2019年にWRX STIの生産が終了して以来、マニュアルトランスミッション搭載のWRXを待ち望んでいたファンにとって、この限定モデルは見逃せない機会となります。
WRX S4の上級グレード「STI Sport R EX」をベースとした特別仕様車
WRX STI Sport♯は、WRX S4の上級グレードである「STI Sport R EX」をベースとした特別仕様車として位置づけられています。ただし、ベース車に対して一部の装備が省略されており、リバース連動ドアミラー、ドアミラーメモリー&オート格納機能、アクセスキー対応運転席シートポジションメモリー機能、運転席シート自動後退機能、後席ベンチレーション、前席カップホルダーのホワイト照明、前側方プリクラッシュブレーキ、後退時ブレーキアシスト、前側方警戒アシスト、アイサイトXは装着されません。
これらの装備が省略されている理由は、スポーツ走行に特化した性格を持つ限定モデルとして、必要最低限の装備に絞り込むことで、車両重量の軽量化やコスト最適化を図っているためと考えられます。また、メーカー装着オプションの設定もなく、ディーラー装着オプションのSTI パフォーマンスマフラーも装着できないため、基本仕様のままで納車されることになります。
保証期間とSTI架装部品の取り扱い
WRX STI Sport♯の保証期間については、STI架装部品は新車を登録した日から3年間となり、その期間内でも走行距離60,000キロメートルまでとなります。その他の部品については、スバル車の新車保証(一般保証もしくは特別保証)が適用されます。詳細については、STI保証書およびメンテナンスノート付属の保証書を確認するか、販売店に問い合わせることが推奨されています。
また、STI Sport♯特別装備装着により、スバル純正パーツが装着できない場合があるため、アフターパーツの装着を検討している場合は、事前に販売店に確認することが必要です。特に、マット塗装の19インチアルミホイールは、汚れやキズ、ツヤの変化が目立ちやすいため、取扱説明書に従った適切なお手入れが求められます。
スバルの走りの系譜を継承する特別な一台
WRX STI Sport♯は、スバルが長年磨き続けてきた走りへの想い、STIがレースの世界で鍛えてきた走りの真髄、そして2019年に幕を閉じたWRX STI以来マニュアルトランスミッションの復活を待ち焦がれるファンの願いが凝縮された、「スバルのスポーツ」を体現する特別な一台として位置づけられています。
2.4リットル直噴ターボのバランスド水平対向エンジンとシンメトリカルAWD、そして6速マニュアルトランスミッションの組み合わせは、スバルならではの走りの愉しさをドライバーに提供します。このマニュアルトランスミッションから、心奮わせる物語がまた始まっていくことになります。スバルの走りを愛するユーザーにとって、WRX STI Sport♯は唯一無二の選択肢となることでしょう。
主要諸元とスペック詳細
WRX STI Sport♯の主要諸元は以下の通りです。全長4670ミリメートル、全幅1825ミリメートル、全高1465ミリメートルというボディサイズは、現行WRX S4と共通です。車両重量は1560キログラムとなっており、CVT搭載のWRX S4の1590キログラムと比較して30キログラム軽量化されています。
エンジンはFA24型水平対向4気筒DOHC 2.4リットル16バルブ デュアルAVCS 直噴ターボ"DIT"を搭載し、最高出力は202キロワット(275馬力)を5600回転で発揮、最大トルクは350ニュートンメートル(35.7kgfm)を2000回転から5200回転の広い回転域で発揮します。トランスミッションは6速マニュアルとなっています。
サスペンションはフロントがストラット式独立懸架、リアがダブルウィッシュボーン式独立懸架を採用し、ブレーキはフロント・リアともにベンチレーテッドディスクとなっています。タイヤサイズは245/35R19で、ブリヂストン ポテンザ S007が標準装備されています。
WRXシリーズの歴史と今後の展開
スバルWRXシリーズは、1992年に初代インプレッサWRXが登場して以来、30年以上にわたりスバルのスポーツセダンとして進化を続けてきました。WRC(世界ラリー選手権)での活躍や、三菱ランサーエボリューションとのライバル関係などから人気が高まり、ボディタイプには一時2ドアクーペやワゴンも登場しました。
2014年に登場した4代目からは、インプレッサシリーズから独立して「スバルWRX」として展開され、モータースポーツで評価が高いEJ20型エンジンにマニュアルトランスミッションを組み合わせた「WRX STI」と、新世代のFA20型エンジンとCVTを組み合わせた「WRX S4」の2モデルがラインナップされていました。しかし、2019年にWRX STIの生産が終了し、マニュアルトランスミッション搭載モデルが日本市場から姿を消していました。
今回のWRX STI Sport♯は、7年ぶりのマニュアルトランスミッション復活として大きな意味を持ちます。限定600台という希少性もあり、スバルファンにとっては見逃せないモデルとなっています。今後、スバルがどのようにWRXシリーズを展開していくかにも注目が集まります。
スバルは、WRX STI Sport♯の発表を通じて、内燃機関を搭載したスポーツカーへの情熱を改めて示しました。電動化が進む自動車業界において、マニュアルトランスミッションを搭載したスポーツセダンは希少な存在となっていますが、スバルはこうしたモデルを限定生産することで、走りの愉しさを求めるユーザーに応え続けていく姿勢を明確にしています。
スバル ニュースリリース
https://www.subaru.co.jp/news/2026_04_09_130404
WRX STI Sport♯

