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2026年5月26日、フェラーリはブランド史上初となる完全電気自動車(ピュアEV)モデル「ルーチェ(Luce)」を世界初公開しました。1,050馬力(PS)を誇る4モーターEVパワートレインを搭載した4ドア5人乗りというフェラーリ初の仕様、そして初代iPhoneを手がけたデザイナーによる革新的なスタイリングなど、自動車業界のみならず全世界のニュースをにぎわせています。本記事ではスペック・エクステリア・インテリア・価格・発売日まで、最新情報を徹底的に解説します。
「ルーチェ(Luce)」とはイタリア語で「光」を意味します。フェラーリ社内では開発当初から「Ferrari 360°(フェラーリ・トレーセンタ)」と呼ばれており、これは既存の内燃機関モデルやハイブリッドモデルを置き換えるものではなく、ブランドを新たな方向へ拡張する全く新しいカテゴリーのクルマとして位置づけられています。

フェラーリCEOのベネデット・ヴィーニャ氏はこれまでのインタビューで「EVへの過渡期において、フェラーリはスピードを落として様子見をする選択はしなかった」と語っており、実際にルーチェは低出力の実験作でも、GT性格を強めた妥協の産物でもありません。4モーター・1,050馬力という圧倒的なスペックを持つ本格的なハイパフォーマンスEVとして登場しました。



新型ルーチェの概要として特に注目すべきポイントは以下のとおりです。
新型ルーチェのボディデザインは、ジョニー・アイヴ氏とマーク・ニューソン氏が主宰するデザインスタジオ「LoveFrom」が担当しました。フェラーリがピニンファリーナやベルトーネといった外部デザインハウスと仕事をしてきた歴史はありますが、今回はただ既存テンプレートを洗練させるのではなく、LoveFromに対して「真に型破りなものを提案する自由」が与えられたとフェラーリは語っています。

デザインのコンセプトは、極めてシンプルな「グラスハウス(ガラスの箱)」を中心に据え、浮遊するように見えるフロントとリアの空力ウィングを組み合わせたもの。フロントには大型のウィングが鎮座し、その後方にはグロスブラックのセカンドフードエリアが続くツートン構成となっています。このデザインはどことなくダッジ・チャージャー・デイトナを想起させるという声もあり、国際的なメディアからは「フェラーリのエンブレムがなければフェラーリとはわからない」という評も出るほど、従来のフェラーリのデザイン言語から大きく踏み出したものとなっています。

サイドビューはテスラ・モデル3に近いセダン的なシルエットを持ち、Bピラーにはテスラ・サイバートラックを彷彿とさせるドアオープナーを採用。後席ドアは観音開き(スーサイドドア)で、後部乗員の乗降性を大幅に高めています。

リアデザインはフェラーリ360モデナや458イタリアからインスピレーションを得た丸目4灯式テールランプを採用。ボディ後部は一見セダンシルエットに見えますが、リアガラスがテールゲートと一体化して持ち上がるハッチバック構造となっており、実用性も高く確保されています。

ホイールサイズはフェラーリの市販ロードカー史上最大となるフロント23インチ(265/35 R23)、リア24インチ(315/30 R24)を装着。オーバーハングを短く抑え、フロントホイール後方にはホイールウェル内の乱流を整流する大型のブラックパネルを配置し、空力性能の最適化を図っています。空力抵抗係数(Cd値)は0.254まで削減されており、走行効率の向上に大きく貢献しています。

新型ルーチェのボディサイズは以下のとおりです。
フェラーリ初の4ドアモデルとして登場したプロサングエ(全長4,973mm、全幅2,028mm、全高1,589mm)と比較すると、ルーチェは全長で約53mm延長されています。一方で全幅と全高はプロサングエより抑えられており、これはセンタートンネルが不要なEVアーキテクチャによる恩恵です。このスペース効率の高さが、ブランド初となる5名乗車と史上最大のラゲッジスペース597Lの実現につながっています。
インテリアのデザインもジョニー・アイヴ氏とマーク・ニューソン氏のLoveFromが担当しており、先進性とクラシカルな風合いを融合させた独自のコックピット空間が生み出されています。最大の特徴は「タッチスクリーンへの全面移行をしない」という設計方針で、物理スイッチ・ダイヤル・トグルスイッチを残しつつ、ルーチェ専用に開発されたOLEDディスプレイ(サムスン製200ppi)と共存させるハイブリッドなインターフェースを採用しています。

ステアリングホイールはリサイクルアルミニウムの削り出しで製造され、ホイールの動きに連動して計器パネルが追従するムービングビナクルを採用。ドライバーの視線上に常に重要な情報が映し出されるエルゴノミクスを重視した設計です。中央のスクリーンは助手席側に傾けることができる機構も備え、助手席の乗員も快適にコントロールを操作できます。

特にフェラーリらしさを象徴するユニークなギミックとして、キーにはコーニング・ゴリラガラスとEインク技術が採用されており、車両に差し込むことでスタートアップシーケンスが始動。フェラーリイエローがインターフェース全体に広がる視覚的な演出がなされます。さらにローンチモードの起動には、ボタンではなくオーバーヘッド(天井部)の物理プルを引く仕組みが用いられており、徹底的に「特別な体験」にこだわった設計がなされています。

オプション装備としては、マッサージシート、後部座席専用コントロールパネル、そして21スピーカー・3,000Wのオーディオシステムが用意されており、これは7人乗りのジープ・グランドワゴニアを上回る音響パワーです。センタートンネルが存在しないEVプラットフォームの恩恵により、5名全員がゆったりと過ごせる室内空間が確保されています。


スペックについて見ていきましょう。新型ルーチェには新開発のEVパワートレインとして、各ホイールに独立して配置された計4基の電気モーターが搭載されています。モーターはフェラーリF80スーパーカーから派生したもので、フロントアクスルが282hp(210kW)、リアアクスルが831hp(620kW)を担い、合計でシステム総出力1,050PS(1,035hp)、最大トルク990Nm(ホイール換算では11,500Nm)を発揮します。

主なパフォーマンス数値は以下のとおりです。
車重が2,260kgという重量級の数値であることは確かですが、フェラーリのエンジニアチームはバッテリーの低重心搭載、4モーターによる高精度トルクベクタリング、後輪操舵(リアホイールステア)の組み合わせにより、実際の車両応答性は約400kg軽い車両と同等の挙動を実現していると発表しています。またバッテリーパック自体が構造部材として機能しており、従来の4ドアフェラーリと比較して曲げ剛性が25%、ねじり剛性が35%それぞれ向上しています。
特筆すべきは、フェラーリCEOのベネデット・ヴィーニャ氏がNASAおよび複数の医療機関に相談して加速時のGフォースの安全上限を定めたという事実です。電気モーターによるトルク特性は「線形かつ強大すぎる」と評され、人体への影響を慎重に検討した上でローンチコントロールのトルク出力を意図的に制御しています。これがルーチェにおいて0-100km/h加速が「わずか2.5秒」に抑えられている背景でもあります。
また、新型ルーチェは従来の「擬似ギアボックス」とは異なる独自システムとして「トルクシフトエンゲージメント(Torque Shift Engagement)」を採用しています。ステアリングコラム左右のパドルにより、右パドルでトルク伝達強度を5段階、左パドルで回生ブレーキ強度を5段階に調整可能で、コーナー進入時のマイナストルクとコーナー脱出時のパワー伝達を細かく最適化できます。これはスポーツカードライビングの醍醐味を電気自動車でも体験できるようにするためのフェラーリ独自の工夫です。
ドライブモードは用途別に4種類が設定されています。
さらに、EV特有の無音走行への対策として、フェラーリは独自の「サウンドシステム」を開発しています。一般的なEVのような合成サウンドや後付けのサウンドジェネレーターとは異なり、リアアクスルハウジングに取り付けた高精度加速度センサーが回転部品の実際の振動を計測。その信号をエレキギターと同様の「フィルタリング・イコライジング・アンプリファイ」で処理し、走行シーンに合わせて自然なドライビングサウンドとして出力する特許取得済みのシステムです。ドライバーはこのサウンドのボリュームを任意で調整できます。
欧州では2026年後半より受注を開始し、欧州価格は55万ユーロ(報道によっては520,000ユーロ〜550,000ユーロのレンジで報じられており、日本円換算で概算約9,000万〜1億1,000万円)です。フェラーリにとっては最先端技術の結晶に相応しい価格設定といえるでしょう。
北米市場への正式投入は2027年第2四半期(Q2)が予定されており、北米での販売価格はまだ発表されていません。現行の為替レートを元にした試算では60万ドル超になると見られています。日本市場向けの具体的な価格・発売スケジュールについては現時点で公式アナウンスはなく、今後の続報が待たれます。
フェラーリはルーチェを単なる「フェラーリのEV」と定義しておらず、あくまでもブランドのポートフォリオを拡張する全く新しいプロダクトカテゴリーとして位置づけています。V8・V12の内燃機関モデル、PHEVモデル(849テスタロッサ・296スペチアーレなど)、そしてピュアEVのルーチェが三本柱となることで、フェラーリはこれまでリーチできなかった新しい顧客層へのアピールを狙っています。
5人乗りのEV4ドアというフォーマットは、富裕層のファミリーユーザーや、フェラーリの世界観に共感しながらも従来のスーパーカーには手が出なかった新世代の顧客にとって魅力的な選択肢となるでしょう。一方で、フェラーリが長年培ってきた走りの哲学——トルクベクタリング、サウンド、ドライビングインタラクション——をEVで忠実に再現しようとする姿勢は、既存のフェラーリオーナーへの配慮も感じられます。
最後に、フェラーリ新型ルーチェの主要スペックをまとめます。
フェラーリ新型ルーチェは、単なる「電気自動車を作ってみました」という段階をはるかに超えた、フェラーリの本気が凝縮された一台です。NASAと共同で加速の安全上限を設定するほどの圧倒的なパフォーマンス、初代iPhoneのデザイナーが手がけた型破りなスタイリング、そして5人乗りハッチバックという実用性の高いフォーマット。これらの要素が組み合わさることで、フェラーリは自動車史に残る新たな一章を刻んだといえるでしょう。欧州での受注開始は2026年後半、世界中のフェラーリファンが注目する新型ルーチェの今後の展開から目が離せません。
フェラーリ
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自動車専門メディア『最新自動車情報』編集長のKAZU。IT企業から独立後、自動車専門サイト『最新自動車情報』を立ち上げ、編集長として12年間運営に携わってまいりました。これまでに、新車・中古車、国産車(日本車)から輸入車(外車)まで、あらゆるメーカーの車種に関する記事を6,000本以上執筆。その経験と独自の分析力で、数々の新型車種の発表時期や詳細スペックに関する的確な予測を実現してきました。『最新自動車情報』編集長として、読者の皆様に信頼性の高い最新情報、専門的な視点からの購入アドバイス、そして車(クルマ)の奥深い魅力をお届けします。後悔しない一台選びをしたい方、自動車業界のトレンドをいち早く知りたい方は、ぜひフォローをお願いいたします。