スマートは2026年10月12日、2人乗りの新型電気自動車「smart #2(スマート ハッシュツー)」をパリモーターショー2026で世界初公開しました。全長2,746mmの超小型ボディに35.8kWhのバッテリーを積み、航続距離は最大290km(WLTP・目標値)。ドイツでの価格は1万9,990ユーロからです。
スマートといえば、全長3m以下の2人乗り「フォーツー」で都市の移動を変えたブランドです。その後は「#1」「#3」「#5」といった電動SUVへと路線を広げてきましたが、今回の#2で原点の2人乗りシティカーが復活しました。欧州ではワールドプレミア直後の10月13日から先行受注が始まっています。
一方で、日本ではスマートの正規販売が長く途絶えており、#2の日本導入は公式には発表されていません。この記事では、新型スマート #2の特徴、グレードと価格、ボディサイズ、内外装、スペック、安全装備、日本導入の見通しまで、公式発表をもとにわかりやすくまとめました。


そもそも新型スマート #2とは?
スマート #2は、スマートの新しいエントリーモデルとなる2人乗りの電気自動車です。スマートの原点である2人乗りシティカーのコンセプトは、約30年前にパリで初めて披露されました。#2は同じパリの地で発表され、スマートは「アイコンの復活」と位置づけています。
現在のスマートは、メルセデス・ベンツとジーリー(吉利)の合弁会社が運営しています。#2のデザインはメルセデス・ベンツのグローバルデザインチームが担当し、車台には#2のために新しく開発された電動車専用プラットフォーム「ECA(エレクトリック・コンパクト・アーキテクチャー)」を使います。
欧州で用意されるのは「Pure」「Pure+」「Premium」の3グレードと、限定車「Couture Edition(クチュール エディション)」です。中国ではPremiumとCouture Editionが設定されます。なお、#2はEUの型式認証の手続き中で、スペックや装備は認証完了までに変わる可能性があるとされています。
新型スマート #2の特徴まとめ
新型#2のポイントは、主に以下の5つです。
- 2人乗りの超小型EV:全長2,746mm、最小回転直径6.95m(縁石間)
- 新開発プラットフォーム:EV専用「ECA」に床下バッテリーと後輪駆動を組み合わせる
- 実用的な電池と充電:35.8kWhのLFPバッテリーで航続最大290km(目標値)、10→80%充電は約20分
- 新世代の安全セル:「トリディオン セル エボ」と7つのエアバッグ
- 手の届く価格:ドイツでは1万9,990ユーロから(Pure)
① 2人乗りのまま、取り回しの良さを守った
#2の全長は2,746mm(Couture Editionは2,764mm)と、3mを切るサイズに収められました。最小回転直径は縁石間で6.95mと、先代の2人乗りスマートと同じ数値です。タイヤを四隅に配置し、前後のオーバーハングを短くしたことで、小さなボディでも室内を広く取っています。
② 新開発のEV専用プラットフォーム「ECA」
ECAは超小型の電気自動車のために開発されたプラットフォームで、高電圧バッテリーを床下に置き、モーターをリアに積んで後輪を駆動します。リアサスペンションには、このクラスでは初めてという5リンク式を採用しました。前後の重量配分は50:50で、前より後ろのタイヤを太くした前後異サイズのタイヤを標準装備しています。
③ 新世代の安全セル「トリディオン セル エボ」

スマートの象徴である安全セル「トリディオン」は、#2で「トリディオン セル エボ」へ進化しました。ボディ構造の78%以上に高張力鋼を使い、最大1,800MPaの材料を含む3層構造としています。ねじり剛性は39,000Nm/deg、ルーフは4トン以上の荷重に耐えるとされています。
新型スマート #2のグレードと価格一覧
スマートが発表したドイツでの価格は次のとおりです(登録費用などは含みません)。ドイツのほか、フランスやイタリアなどでも1万9,990ユーロからとされていますが、価格は国によって異なります。
| グレード | 主な装備 | ドイツ価格 |
|---|---|---|
| Pure | V2L対応(別売アクセサリー)、運転支援、LEDライト | 1万9,990ユーロ |
| Pure+ | Pureに11kW普通充電、運転席シートヒーターを追加 | 2万990ユーロ |
| Premium | 固定式ガラスルーフ、合成皮革シート、ゼンハイザー7スピーカー | 2万4,490ユーロ |
| Couture Edition 【欧州999台限定】 | Premiumの装備+専用色・16インチホイールなど | 2万5,690ユーロ |
日本円での価格や日本仕様のグレード構成は発表されていません。中国では限定車のCouture Editionが先行して受注を始めており、中国向けも999台の限定です。
新型スマート #2のボディサイズ
- 全長:2,746mm(Couture Editionは2,764mm)
- 全幅・全高・ホイールベース:未発表
- 最小回転直径:6.95m(縁石間)
- 乗車定員:2人

日本の軽自動車は全長3,400mm以下なので、#2はそれより約65cmも短いことになります。前後の長さが短いため、一般的な駐車枠に収めやすく、狭い場所での取り回しに優れます。全幅は未発表のため、軽自動車の規格(1,480mm以下)に収まるかどうかは現時点では分かりません。
親しみやすい顔つき!新型スマート #2の外装(エクステリア)
フロント・サイド
エクステリアのテーマは「Love, Pure, Unexpected」。ブランドロゴをモチーフにしたライトのデザインと、ルーフが浮いて見える「フローティングルーフ」の現代版が特徴です。ヘッドライトとテールランプはLEDで、Pureからオートハイビームが付きます。ボディカラーはツートーンが基本で、Premiumではさらに多くの組み合わせを選べます。公式写真では、デジタルホワイト、サイバーシルバーメタリック、レーザーレッド、ゴールドメタリックなどの色が公開されています。
リアと分割式テールゲート

歴代フォーツーでおなじみの上下分割式テールゲートも受け継がれました。上側のガラスだけを開けられるので、後ろのスペースが狭い場所でも荷物を出し入れできます。下側は手前に倒すと荷物を置く台になり、腰掛けることもできます(耐荷重120kg)。丸みを帯びたテールランプも、ひと目でスマートと分かるデザインです。
限定車「Couture Edition」
Couture Editionは、アトリエホワイトマットのボディにプラチナゴールドのルーフを組み合わせ、ゴールドの差し色を入れた16インチホイール「Lyra」を履きます。装備はPremiumの内容に、アンビエントライト、ステアリングヒーター、ワイヤレス充電、ナビゲーション、シリアルナンバー入りの室内プレートを加えたものです。
ベンチシートで広々!新型スマート #2の内装(インテリア)
コックピットとディスプレイ

運転席の前には8.8インチのメーター、ダッシュボード中央には10.1インチのセンターディスプレイを置きます。ダッシュボードはS字を描くデザインで、操作のしやすさと室内の広さを両立させました。4G・Wi-Fi・Bluetoothに対応し、8年間のコネクティビティパッケージが付きます。ダッシュボードには小物を取り付けられる「smart Pillar」も用意されています。
シートとガラスルーフ

シートは左右がつながったベンチ風のデザインで、運転席と助手席の間の仕切りをなくし、2人乗りでも窮屈さを感じにくくしています。Pure+には運転席シートヒーター、Premiumには運転席・助手席のシートヒーター付き合成皮革シートが付きます。Premium以上の固定式ガラスルーフは、小さな室内を明るく開放的に見せてくれます。
荷室

荷室はシートのすぐ後ろにあります。荷室容量は公式には発表されていませんが、公式写真ではスーツケースや買い物袋を積んだ様子が紹介されています。
新型スマート #2のパワートレインとスペック
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 駆動方式 | 後輪駆動(RR) |
| モーター最高出力 | 60kW |
| 最大トルク | 130Nm |
| バッテリー | 35.8kWh(LFP・リン酸鉄リチウムイオン) |
| 航続距離(WLTP) | 最大290km(目標値) |
| 電力消費率(WLTP) | 13.6kWh/100km(暫定値) |
| 急速充電 | 最大65kW(10→80%:約20分) |
| 普通充電 | Pure:7.4kW(単相)/Pure+以上:11kW(三相) |
| リアサスペンション | 5リンク式 |
| 最高速度・0-100km/h加速 | 未発表 |
普通充電で10%から80%まで充電する時間は、11kWで約3時間、7.4kWで約5時間とされています。バッテリーは安全性と寿命に優れるLFPで、セルはCATL製です。

また、別売のアクセサリーを使うと、車の電気を家電などに使えるV2L(ビークル・トゥ・ロード)にも対応します。ただし対応するコンセントの形状がF型(欧州で一般的な形)のため、使える国は限られます。
新型スマート #2の航続距離と電費
航続距離はWLTPの複合モードで最大290km(目標値)、電力消費率は13.6kWh/100kmです。ワールドプレミア前の開発段階の発表では「約300km」とされていましたが、ワールドプレミアの時点で290kmという目標値が示されました。
新型スマート #2の安全装備
安全セル「トリディオン セル エボ」に加え、次の装備が用意されます。
- エアバッグ:7個
- シートベルト:腰ベルトのプリテンショナー(PLP)とクラッシュロッキングタング(CLT)
- smart Pilot Assist
- アダプティブクルーズコントロール(ストップ&ゴー付き)
- ハイウェイアシスト
- ブラインドスポット検知
- リアコリジョンミティゲーション(後方衝突の被害軽減)
- リアクロストラフィックアラート
運転支援がエントリーグレードのPureから標準で付くのは、小さな車としては心強いポイントです。
新型スマート #2はどのグレードを選ぶべきか?おすすめグレード
おすすめ① 【バランス重視なら】Pure+
価格:2万990ユーロ(ドイツ)
Pureとの価格差は1,000ユーロで、11kWの普通充電と運転席シートヒーターが付きます。自宅や職場に三相の充電設備がある環境なら、充電時間が約5時間から約3時間に短くなるのは大きな差です。日常の使い勝手を考えると、もっとも選びやすいグレードです。
おすすめ② 【質感重視なら】Premium
価格:2万4,490ユーロ(ドイツ)
ガラスルーフ、合成皮革シート、ゼンハイザーのサウンドシステムが付き、室内の雰囲気が大きく変わります。カラーの選択肢も増えます。
おすすめ③ 【特別な1台なら】Couture Edition
価格:2万5,690ユーロ(ドイツ)
Premiumとの差額は1,200ユーロで、専用色、専用ホイール、ナビゲーション、ワイヤレス充電、ステアリングヒーターなどが加わります。欧州999台の限定なので、確実に手に入れたい人は早めの判断が必要です。
スマートの2人乗りの歴史をおさらい
初代〜3代目 フォーツー
スマートの2人乗りは、1998年に欧州で発売された「スマート シティクーペ(のちのフォーツー)」から始まりました。その後、2代目、3代目とモデルチェンジを重ね、3代目では電気自動車版も登場しています。
電動SUVの時代を経て#2へ
メルセデス・ベンツとジーリーの合弁になってからのスマートは、#1、#3、#5といった電動SUVを展開してきました。#2は、その流れの中で原点の2人乗りに戻ったモデルです。過去の世代のスマートは、今も欧州を中心に200万台以上が使われているとされています。
新型スマート #2の日本発売日はいつ?
欧州では2026年10月13日から販売店での先行受注が始まり、本格的な販売は2027年、オンライン販売は2027年前半に始まる予定です。納車はEUの型式認証が終わってからになります。
日本への導入については、スマートから公式な発表はありません。スマートの2人乗りは、かつてメルセデス・ベンツ日本が輸入していましたが、現在は日本での正規販売がありません。日本で買えるかどうかは、今後の公式発表を待つ必要があります。
購入前にチェックしたい3つのポイント
1つ目は、スペックがまだ確定していないことです。航続距離などは目標値・暫定値で、型式認証が終わるまでに変わる可能性があります。
2つ目は、充電環境です。Pureは単相7.4kWの充電になるため、自宅の充電設備によってはPure+以上を選んだほうが便利です。
3つ目は、2人乗りであることです。荷室は後ろの限られたスペースだけなので、家族での利用や大きな荷物を運ぶ機会が多い人は、ほかの車との組み合わせも考えておきましょう。
新型スマート #2に関するよくある質問(FAQ)
Q. スマート #2はいつ発表されましたか?
A. 2026年10月12日、パリモーターショー2026で世界初公開されました。
Q. 価格はいくらですか?
A. ドイツではPureが1万9,990ユーロ、Pure+が2万990ユーロ、Premiumが2万4,490ユーロ、Couture Editionが2万5,690ユーロです。日本円の価格は発表されていません。
Q. 航続距離はどれくらいですか?
A. WLTP複合モードで最大290km(目標値)です。
Q. 日本で発売されますか?
A. 2026年10月28日時点で、日本導入の公式発表はありません。
まとめ:新型スマート #2は「原点回帰」の2人乗りEV
新型スマート #2は、全長2,746mmの2人乗りボディに、新開発のEV専用プラットフォーム、35.8kWhのLFPバッテリー、新世代の安全セルを組み合わせたモデルです。ドイツで1万9,990ユーロからという価格も含め、都市で使う小さなEVとして現実的な内容にまとまっています。
日本導入は未定ですが、軽自動車よりも短いボディは日本の街にもよく合いそうです。最新情報が入り次第、随時更新していきます。

