本田技研工業(ホンダ)は2026年3月5日、米国生産モデル2車種を日本市場に正式導入することを発表した。導入されるのは、アキュラブランドのプレミアムスポーツモデル「ACURA INTEGRA Type S(アキュラ インテグラ タイプ エス)」と、ホンダブランドの大型SUV「PASSPORT TRAILSPORT ELITE(パスポート トレイルスポーツ エリート)」の2モデルで、2026年後半より順次発売される予定だ。
1. 注目の2モデルが日本上陸
6速マニュアルトランスミッション(MT)搭載の本格スポーツモデルであるインテグラ タイプSと、北米生まれの本格オフロード大型SUVであるパスポートは、いずれも日本では入手できなかった希少なモデルだけに、国内カーファンから大きな期待が寄せられている。
2. 日本導入の背景:国交省の新認定制度とは
今回の日本導入を可能にした背景には、国土交通省が新たに創設した「米国製乗用車に関する認定制度」がある。日米間の貿易交渉を受けて制定されたこの新制度は、米国で生産された乗用車を、従来の輸入基準とは異なるスキームで日本市場に認定・導入できる仕組みだ。
ホンダはこの新制度をいち早く活用し、米国現地で生産している自社モデルを日本に逆輸入する形で、ラインアップの強化を図ることになった。両モデルはいずれも、ホンダの米国における四輪開発・生産拠点「Honda Development & Manufacturing of America, LLC(ホンダ・ディベロップメント・アンド・マニュファクチュアリング・オブ・アメリカ)」で製造されている正真正銘のメイド・イン・USAモデルである。
この制度の活用は、日本のユーザーの多様化するニーズに応えながら、国内ラインアップの充実を図るホンダの新たな戦略とも言える。
3. 東京オートサロン・大阪オートメッセでの反響
インテグラ タイプSとパスポート トレイルスポーツ エリートは、2026年1月に幕張メッセで開催された「東京オートサロン2026」と、同年2月に大阪・インテックス大阪で開催された「大阪オートメッセ2026」に参考出品された。
両イベントともに、来場者からは「日本でも買えるのか」「早く市販してほしい」といった非常に高い関心と、市販化に対する強い期待の声が数多く寄せられたという。特にホンダ/アキュラファンからは、ホンダレーシングのカラーリングを纏った展示車両に対する反響も大きく、SNSでも大きな話題を呼んだ。
こうしたイベントでのユーザー反応が、今回の正式な日本導入決定の後押しになったとも言われており、まさにユーザーの声が動かしたモデルとも言えるだろう。
4. アキュラ インテグラ タイプS 完全解説
インテグラの歴史と復活の意義

ホンダ・インテグラは1985年に初代が登場して以来、スポーティな走りと洗練されたスタイルで国内外で高い人気を誇ったモデルだ。日本では「クイントインテグラ」としてスタートし、その後「インテグラ」として独立。3代目にはハイスペックグレード「Type R」が設定され、現在も名車として語り継がれている。日本国内では2007年に惜しまれながら生産終了となったが、米国市場では「アキュラ・インテグラ」として現在も販売が継続している。

現行モデルは5代目(2022年登場)となり、5ドアリフトバックという現代的なボディスタイルを採用。今回日本に導入されるのは、最上位グレード「Type S」であり、約19年ぶりの日本市場への復活として大きな注目を集めている。

スポーティなエクステリアデザイン

インテグラ タイプSのフロントは、アキュラブランド共通の大型グリルとエアインテークにブラックのアクセントを採用し、街中でも圧倒的な存在感を放つデザインに仕上げられている。ヘッドライトには「シケインLEDデイタイムランニングライト」を備えたジュエルアイLEDヘッドライトを装備し、夜間の視認性と高級感を両立。足元には専用の大径ホイールが装着され、低重心なリフトバックスタイルと相まって、走り好きのツボを刺激するたたずまいを実現している。上位グレードにはグロスブラックのエクステリアアクセント、LEDフォグランプ、フロントフェンダースポイラーも採用される。

6速MTとターボエンジンが生む圧倒的な走行性能
日本導入モデルの最大の特徴は、現代の乗用車では貴重な「6速マニュアルトランスミッション(MT)専用設定」という点にある。近年、国内市場でのMT設定モデルは激減しているだけに、この選択は走りを愛するユーザーに強烈なメッセージを送っている。
パワートレインには直列4気筒2.0Lターボエンジン(K20C型)が搭載され、最高出力320hp(約320ps)、最大トルク310lb-ft(約42.8kgm)という本格的なスペックを誇る。6速MTとの組み合わせに加え、駆動力をコントロールするヘリカルLSD(リミテッドスリップデフ)と、路面状況に合わせてダンパーの減衰力を自動調整するアダプティブダンパーを標準装備。コーナリング時のトラクション性能と乗り心地のバランスを高次元で両立している。
制動力を担うブレーキには、スポーツカーのアイコン的存在であるブレンボ製4ピストンキャリパーを採用。フロントのストッピングパワーを大幅に強化し、高速域からの減速にも余裕を持って対応する。エキゾーストは迫力の3本出し仕様となっており、エンジンサウンドへのこだわりも感じられる。
充実したインテリアと最新装備

インテリアはスポーツカーらしい質感を保ちながら、実用性と利便性も追求した設計となっている。デジタルメーターとヘッドアップディスプレイ(HUD)が採用され、速度・回転数・ナビゲーションなどの情報をひと目で確認できる。
インフォテインメントシステムはワイヤレスApple CarPlayおよびAndroid Autoに対応し、スマートフォンとシームレスに連携。オーディオは8スピーカー仕様に加え、16スピーカーの「ELS Studio 3Dプレミアムオーディオ」も選択できる。さらに、パワームーンルーフ、電動調整シート(運転席8wayまたは12way&助手席4way)、ワイヤレススマートフォン充電器なども設定され、高い利便性を誇る。

安全装備にはフロントワイドビューカメラと高速画像処理チップを採用した先進安全システムを搭載。渋滞時の追従走行を支援するトラフィックジャムアシスト機能も追加されており、日常使いでの快適性と安全性も確保されている。
ボディサイズ

全長4,725mm × 全幅1,900mm × 全高1,407mm、ホイールベース2,735mm、車両重量1,460kgというスペックは、シビック タイプR(全長4,595mm)よりもひと回り大きく、より大人のスポーツモデルとしての存在感を持つ。
アキュラ インテグラ タイプS スペック一覧
| 項目 | スペック |
|---|---|
| ボディタイプ | 5ドアリフトバック |
| 全長×全幅×全高 | 4,725mm × 1,900mm × 1,407mm |
| ホイールベース | 2,735mm |
| 乗員定員 | 4名 |
| 車両重量 | 1,460kg |
| エンジン | 直列4気筒 2.0Lターボ |
| 最高出力 | 320hp(約320ps)/ 6,500rpm |
| 最大トルク | 310lb-ft(約42.8kgm)/ 2,600〜4,000rpm |
| トランスミッション | 6速マニュアル |
| 駆動方式 | FF(前輪駆動) |
| 燃費(米国値) | 約10.2km/L(24mpg) |
| 生産工場 | メアリズビル四輪車生産工場(米国オハイオ州) |
| 参考価格(米国) | 52,900ドル〜(約840万円) |
| 日本発売予定 | 2026年12月 |
5. ホンダ パスポート トレイルスポーツ エリート 完全解説
パスポートとは? モデルの歴史

ホンダ・パスポートは、北米市場を中心に販売されてきた本格大型SUVだ。日本では1990年代にいすゞ「ウィザード」のOEMモデルとして「初代・2代目パスポート」が販売されていたが、2002年に販売終了。2019年にホンダ自社開発モデルとして3代目が北米市場で復活し、2024年に4代目として現行モデルへとフルモデルチェンジされた。

4代目パスポートは、日本でも販売されているホンダ「CR-V」よりも上のクラスに位置するプレミアムSUVとして北米で人気を博しており、今回の日本導入により約20年以上ぶりに国内市場に帰ってくることになる。

迫力のエクステリアデザイン

パスポートのボディは、スクエアで力強いスタイルが特徴だ。水平基調のLEDライトと無骨なフォルムが組み合わさり、タフな印象を強くアピール。日本に導入される「トレイルスポーツ」グレードには、専用サスペンションやオールテレーンタイヤ、鋼鉄製スキッドプレートが装備され、デザイン面でもオフロード仕様であることを主張している。
国内SUVを圧倒するボディサイズ

パスポートのボディサイズは全長4,864mm × 全幅2,017mm × 全高1,857mmという堂々とした大きさだ。国内で販売されているホンダのSUVラインアップと比較すると、最大のCR-V(全長4,605mm × 全幅1,865mm)をはるかに超える大型ボディであり、まさに北米の広大な大地で生まれたフルサイズSUVと言えるクラスに属する。
最低地上高は211mmと高く確保されており、アプローチアングル23.0度、デパーチャーアングル27.1度という優れた対障害角度により、林道・砂利道・砂浜といったオフロードでも余裕の走破性を発揮する。
第2世代i-VTM4が生む本格オフロード性能
パスポートのもっとも注目すべき機能のひとつが、ホンダ独自のトルクベクタリング四輪駆動システム「i-VTM4(第2世代)」だ。第2世代では従来比40%増のトルクに対応する新設計のリアドライブユニットを搭載し、レスポンスも30%向上。前後・左右の駆動力配分をリアルタイムに最適化することで、オン・オフロードを問わず安定した走りを実現する。
ドライブモードはノーマル・スポーツ・エコノミー・スノー・サンド・牽引・トレイルの計7モードを選択可能。走行シーンに応じた最適なセッティングを選べるため、日常の街乗りから本格的なオフロード走行まで幅広いシーンをカバーする。
日本に導入される「トレイルスポーツ エリート」には、フロント・リア・サイド・360度の4方向をカメラで映し出すオフロード走行アシストシステム「トレイルウオッチ」が標準装備される。視認しにくい岩場や急勾配でも、車両周囲を確認しながら安全に走行できるこのシステムは、本格オフロードユーザーに特に心強い機能だ。
充実したインテリアと快適装備

インテリアには10.2インチのデジタルメーターと12.3インチのタッチスクリーン式インフォテインメントシステムを標準装備。Google ビルトインによる多彩なサービスに対応するほか、ワイヤレスApple CarPlayおよびAndroid Autoにも対応し、日常のドライブをスマートにサポートする。

Bose製12スピーカーのプレミアムオーディオシステムが設定されており、車内では上質なサウンドを楽しめる。ワイヤレススマートフォン充電器も標準装備され、実用性も高い。ラゲッジスペースは汚れを拭き取れる素材を採用することで、アウトドアシーンでの使い勝手が考慮されている。
V6 3.5Lエンジンがもたらすパワフルな走り
搭載エンジンはV型6気筒3.5Lガソリン自然吸気で、最高出力285hp(約285ps)、最大トルク262lb-ft(約36.2kgm)を発揮する。10速オートマチックトランスミッションとの組み合わせにより、2,134kgの車重を余裕でこなすトルクフルな加速が味わえる。燃費は米国値で約8.9km/L(21mpg)であり、大排気量V6エンジンらしい力強い走りを優先した設定となっている。
ホンダ パスポート トレイルスポーツ エリート スペック一覧
| 項目 | スペック |
|---|---|
| ボディタイプ | 5ドア大型SUV |
| 全長×全幅×全高 | 4,864mm × 2,017mm × 1,857mm |
| ホイールベース | 2,891mm |
| 乗員定員 | 5名 |
| 車両重量 | 2,134kg |
| 最低地上高 | 211mm |
| アプローチアングル | 23.0度 |
| デパーチャーアングル | 27.1度 |
| エンジン | V型6気筒 3.5Lガソリン |
| 最高出力 | 285hp(約285ps)/ 6,100rpm |
| 最大トルク | 262lb-ft(約36.2kgm)/ 5,000rpm |
| トランスミッション | 10速オートマチック |
| 駆動方式 | 4WD(i-VTM4 第2世代) |
| 燃費(米国値) | 約8.9km/L(21mpg) |
| 生産工場 | アラバマ四輪車生産工場(米国アラバマ州) |
| 参考価格(米国) | 52,650ドル(約800万円) |
| 日本発売予定 | 2026年12月 |
6. 2モデルのスペック比較
| 比較項目 | アキュラ インテグラ タイプS | パスポート トレイルスポーツ エリート |
|---|---|---|
| カテゴリー | プレミアムスポーツ(リフトバック) | 大型オフロードSUV |
| 全長×全幅×全高 | 4,725×1,900×1,407mm | 4,864×2,017×1,857mm |
| 乗員定員 | 4名 | 5名 |
| エンジン | 直4 2.0Lターボ | V6 3.5Lガソリン |
| 最高出力 | 約320ps | 約285ps |
| トランスミッション | 6速MT | 10速AT |
| 駆動方式 | FF | 4WD(i-VTM4) |
| 参考価格 | 約840万円 | 約800万円 |
| 発売予定 | 2026年後半(12月頃) | 2026年後半(12月頃) |
7. 発売日・価格まとめ
両モデルの日本での発売は「2026年後半より順次」と発表されており、現時点では具体的な日本国内価格は未公表だ。米国市場での参考価格をもとにすると、アキュラ インテグラ タイプSは52,900ドル(約840万円)、パスポート トレイルスポーツ エリートは52,650ドル(約800万円)という水準になる。日本での正式価格は輸送コストや諸費用が上乗せされる可能性があるため、実際の販売価格は若干上回ることが予想される。
各情報メディアや専門サイトでは2026年12月の発売が予定されているとも伝えられており、年末の大型新車ラッシュとなりそうだ。正式な価格・発売日については、今後のホンダからの公式発表を待ちたい。
8. まとめ:日本市場にとっての意義
今回のホンダによる米国生産モデルの日本導入決定は、単なる新車追加以上の意味を持つ。国交省の新認定制度を活用した輸入という新スキームは、今後の日本の自動車市場における新たな選択肢の幕開けとも言える出来事だ。
「アキュラ インテグラ タイプS」は、日本市場から絶滅しかけている6速MT搭載のプレミアムスポーツカーを復活させる存在として、マニュアル車愛好家や走り好きのユーザーから熱烈な歓迎を受けるだろう。一方の「パスポート トレイルスポーツ エリート」は、CR-Vを超えるボディサイズとV6 3.5Lエンジン、第2世代i-VTM4による本格4WD性能を武器に、アクティブなアウトドアライフを求める層に強く刺さる1台だ。
ホンダがこの2モデルをもって日本市場に問いかけるのは、「もっとワクワクするクルマを、日本のユーザーにも届けたい」というシンプルな想いではないだろうか。2026年後半の正式発売に向け、今後の続報にも注目したい。
参考資料・情報ソース

