2026年5月14日、トヨタはランドクルーザーファミリーに待望の新シリーズ「ランドクルーザー"FJ"(TRJ240)」を正式発売しました。SNSや自動車メディアでも大きな話題となったこのモデルですが、購入前に必ず確認しておくべきポイントが数多く存在します。この記事では、FJの魅力だけでなく、購入後に「こんなはずじゃなかった」とならないよう、知っておくべき欠点や注意点も含めて徹底的に解説します。

ランドクルーザーFJとはどんなクルマか:誕生の背景と立ち位置
ランドクルーザーFJの"FJ"とは「Freedom & Joy」の略であり、初代ランドクルーザーの原点とも言えるFJ40系へのオマージュが込められています。2021年にトヨタモータータイランドが発表したEVコンセプト「FJ」から始まった流れが実を結び、2023年に正式公開、2026年5月14日にいよいよ日本国内での販売がスタートしました。

シリーズ構成としては、ランドクルーザー300・250・70というラインナップの中に、まったく新しいポジションとして追加されたのがFJです。コンパクトなボディサイズと比較的手の届きやすい価格帯で、若い世代や都市部のユーザーにも訴求できるSUVを目指して開発されました。IMV(Innovative International Multi-purpose Vehicle)シリーズで培われたラダーフレームプラットフォームをベースに、ランドクルーザーの本質であるオフロード性能と耐久性を継承しています。
価格と購入条件:グレードはVXの1択のみ
ランドクルーザーFJの価格は、税込みメーカー希望小売価格で**4,500,100円(450万100円)**です。グレードは「VX」の1グレードのみとなっており、選択肢が非常にシンプルな構成になっています。
同じランドクルーザーシリーズと比較すると、ランドクルーザー70がベースで約480万円(1AX)、ランドクルーザー250は約520万円〜735万円(3グレード)、ランドクルーザー300は約525万円〜813万円(5グレード)という価格帯です。FJはこれらの中で最も入門しやすい価格帯に設定されていますが、それでも450万円という価格は決して安くはありません。
また、購入にあたっては一部のディーラーで「下取りや残クレを条件とする」販売条件が設けられているケースがSNS上で話題になっており、独占禁止法(抱き合わせ販売)に抵触する可能性があるとの指摘もあります。購入交渉の際にはこうした条件を慎重に確認することをお勧めします。なお、月販基準台数は1,300台と設定されており、人気モデルゆえに争奪戦になることも予想されます。発売直後はディーラーに早めに問い合わせることが重要です。

主要スペック一覧:サイズ・エンジン・燃費・足回り
ランドクルーザーFJの主要スペックは以下の通りです。

- 型式: TRJ240
- ボディサイズ: 全長4,575mm × 全幅1,855mm × 全高1,960mm
- ホイールベース: 2,580mm
- 最低地上高: 250mm
- 最小回転半径: 5.5m
- 車両重量: 1,960kg(乗車定員5名)
- エンジン: 2TR-FE型 直列4気筒 2.7L 自然吸気ガソリン
- 最高出力: 163ps/5,200rpm
- 最大トルク: 246Nm/3,900rpm
- トランスミッション: 6速AT(Super ECT)
- 駆動方式: パートタイム4WD
- WLTCモード燃費: 8.7km/L
- 燃料タンク容量: 63L
- 生産拠点: トヨタ・モーター・タイランド(バンポー工場)

ランドクルーザー250の2.7Lガソリンモデルの燃費が7.5km/LであるのをWLTCで上回る8.7km/Lという数値はFJの評価点のひとつですが、後述の通り注意点もあります。
デザインの魅力:FJ40へのオマージュと現代的解釈
外観デザインはFJ40系のDNAを色濃く受け継いでいます。角張ったボックス型のフォルム、Bi-Beam LED採用のヘッドライト、丸みを抑えたフロントグリル、そしてSUVらしい力強いリアビューは、往年のランドクルーザーファンにとって非常に魅力的なデザインです。まるで「現代に甦ったFJ40」と評されるほどの個性的なスタイリングで、SNS上でも賛否を超えた存在感を放っています。

インテリアはシンプルかつ機能的にまとめられており、7インチのTFT液晶メーターと12.3インチのディスプレイオーディオを装備しています。ラゲージスペースは6:4分割可倒式リヤシート使用時で荷室容量795L、荷室長(最小)735mm、荷室高1,030mmと非常に実用的な空間を確保しています。シートポジションは前後スライド・リクライニング機構付きで、長距離ドライブにも対応できる快適性を備えています。

ボディカラーはプラチナホワイトパールマイカ、オキサイドブロンズメタリック、スモーキーブルー、アッシュ、アティチュードブラックマイカの5色が設定されており、モデルの個性を活かした渋みのあるカラーラインナップとなっています。

買う前に知っておくべき7つの欠点と注意点
ランドクルーザーFJへの期待は非常に高いものの、購入前に必ず把握しておきたい欠点や懸念点が複数存在します。これらを理解した上で購入判断を行うことが後悔しないための鉄則です。
欠点1:車体サイズは「コンパクト」でも最小回転半径は5.5mと意外と大きい
全長4,575mm・全幅1,855mmというサイズはランドクルーザーシリーズの中では確かにコンパクトです。RAV4(全長4,600mm程度)やSUV・RAV4と比べても遜色ないサイズ感ですが、ホイールベースが2,580mmあるため最小回転半径は5.5mになります。ランドクルーザー250の6.0mよりは優れているものの、街中の駐車場や狭い路地では取り回しに注意が必要です。購入前には必ず試乗し、実際のサイズ感を体で確認することを強く推奨します。
欠点2:電動パーキングブレーキ(EPB)が非搭載

ランドクルーザー250・300では標準装備となっているEPB(電動パーキングブレーキ)及びABH(オートブレーキホールド)が、FJには搭載されていません。坂道での停車や渋滞時の利便性において大きな差があり、特に近年の新型SUVに乗り慣れたユーザーには不便さを感じる可能性があります。SNS上でも「この価格でEPBがないのは残念」という声が多く見られます。
欠点3:グレードが1つしかなく、選択肢が一切ない
VX1グレードのみという構成は非常にシンプルである反面、装備の差やコストの最適化という選択肢がありません。ランドクルーザー250・300のように複数グレードから予算や用途に合わせて選ぶことができず、「もう少し装備を落として安く買いたい」「上位グレードに乗りたい」という要望には応えられない仕組みです。価格450万円は固定であり、カタログ上の交渉余地はグレード面では生まれません。
欠点4:5人乗りのみ・7人乗りが選べない

ランドクルーザー250・300では5人乗りと7人乗りを選択できますが、FJは5人乗りのみです。大家族やファミリーユーザー、または多人数での移動を想定しているユーザーにとっては大きなデメリットになります。このクルマはあくまでもコンパクトなオフローダーとしての使い方が主体であり、7人乗りファミリーカーとしては設計されていない点を念頭に置く必要があります。
欠点5:ランドクルーザー250・300に比べると装備の物足りなさを感じる部分がある
ランドクルーザー250のVXやZXグレード、300のZXなどと比較すると、レザーシートや上質なインテリア素材、より充実した安全装備などにおいてFJは一歩譲る部分があります。450万円という価格を考えれば「ランドクルーザーのブランドDNAを持つ本格4WD」として十分ではありますが、ラグジュアリーSUVとしての快適装備を期待すると満足度が下がる可能性があります。

欠点6:納期問題と入手難の可能性
2025年10月時点での各ランドクルーザーシリーズの納期は、300が約23ヶ月、250が約12ヶ月、70が約1ヶ月と報告されていました。FJは新発売ながら月販基準台数1,300台という設定で、300・250と比べると流通量は多いですが、注目度の高さから発売直後は納期の長期化が懸念されます。早期に注文を入れることが肝心です。
欠点7:2.7Lガソリンエンジンのみ・ハイブリッドや大排気量モデルは選べない
FJに搭載されるのは2TR-FE型 2.7L自然吸気ガソリンエンジン(163ps)のみです。ランドクルーザー250・300のようなディーゼルターボや3.5Lガソリンエンジン、ハイブリッドといったパワートレーン選択肢はありません。カタログ燃費のWLTC8.7km/Lは250の2.7Lより上ですが、実燃費は走行環境によって大きく変動します。高速道路での力強い加速感や長距離のパワフルな走りを期待するユーザーには、やや物足りなさを感じるかもしれません。

安全装備:Toyota Safety Senseの内容
FJにはトヨタの先進安全システム「Toyota Safety Sense」が搭載されています。主要な安全装備は以下の通りです。
- プリクラッシュセーフティ(歩行者・自転車検知機能付)(夜間対応・交差点対応)
- アドバンストハイビームシステム(AHS)
- ロードサインアシスト(RSA)
- トレーラーマーカーネゴシエーション(TMN)
- ブラインドスポットモニター(BSM)
- パノラミックビューモニター(PVM)
- パーキングサポートブレーキ(PKSB)
ただし、BSMやPKSBはランドクルーザー70には非搭載であることを考えると、FJは安全面での充実度という点で一定の優位性があります。ハイエンドなToyota Safety Sense 3.0(70に採用)とは異なりますが、日常使いには十分な安全性能を備えています。
ランドクルーザーFJとほかのランクルシリーズとの比較
FJを購入検討する際には、他のランドクルーザーシリーズとの比較が欠かせません。大きな違いを整理すると、まずサイズ面ではFJが全長4,575mm・全幅1,855mmと最もコンパクトである一方、ランドクルーザー250は全長4,925mm・全幅1,980mm、300は全長4,965mm・全幅1,980mmと大きく上回ります。価格面では250が520万〜735万円、300が525万〜813万円であるのに対し、FJは450万円とシリーズ最安値です。パワートレーンは250・300がディーゼルやV6を選べるのに対し、FJは2.7Lガソリン1択という違いがあります。
つまりFJは、「コンパクトで取り回しやすく、なおかつランドクルーザーの本格オフロード性能を手軽に体験したい」というユーザーに最適な選択肢です。一方で、家族での遠出や高速移動が主体の方には、上位モデルの方が満足度が高くなるでしょう。
カスタマイズ:純正アクセサリーとARB・MODELLISTAオプション
FJはカスタマイズの自由度も高く、トヨタ純正オプションや外装カスタムパーツが充実しています。「Playful Dice」パッケージは169,400円で提供され、外観のアクセントを加えるアイテムが揃っています。

オフロード系カスタムブランドのARBからも専用パーツが展開されており、ARBフロントバー(291,500円)やルーフラック(94,600円〜)などが用意されています。また、トヨタのドレスアップブランドMODELLISTAからもFJ専用エアロパーツやLEDアクセサリーが登場しており、都市的でありながら力強いスタイルを作り上げることができます。MODELLISTAのフルキットは236,500円から展開されており、所有する楽しさをさらに広げてくれます。


こんな人にFJは向いている・向いていない
FJが特に向いているのは、都市部に住みながらも週末にはオフロードや山岳路を楽しみたいアクティブなユーザー、コンパクトなサイズ感でランドクルーザーの世界に入りたい初心者、そしてFJ40のデザインに惹かれるクラシックランクルファンです。

一方、以下のユーザーには向いていない可能性があります。7人乗りが必要な大家族のファミリー、高速道路での力強い巡航を重視する遠距離ユーザー、EPBやABHなど最新の利便装備を必須と考えるユーザー、そしてハイブリッドや低燃費を最優先に考えるエコ志向のユーザーです。
まとめ:ランドクルーザーFJを買う前に確認すべきこと
ランドクルーザーFJ(TRJ240)は、450万円という価格でランドクルーザーの本格的なラダーフレーム4WD・DNAを体験できる、シリーズ唯一のコンパクトモデルです。FJ40へのオマージュを込めた個性的なデザイン、IMVゆずりの高い信頼性、十分な安全装備など魅力は多い一方で、EPB非搭載、1グレードのみ、5人乗り固定、2.7Lエンジン1択といった制約も明確に存在します。
購入を検討する際には、実際にディーラーで試乗してサイズ感や乗り心地を確認すること、自分のライフスタイルと照らし合わせてFJの割り切り設計が合うかどうかを見極めること、そして販売条件やオプション価格を含めた総額を必ず試算することが重要です。ランドクルーザーFJは「何でもこなせる万能SUV」ではなく、「明確な個性と哲学を持ったオフローダー」です。その本質を理解した上で購入すれば、間違いなく唯一無二の満足感を与えてくれる一台になるでしょう。
ランドクルーザーFJ

