日産の旗艦クロスオーバーSUV「ムラーノ(MURANO)」が、約12年ぶりに日本市場へ帰ってきた。2026年6月3日より国内での注文受付を開始し、米国では2027年モデルとして2026年8月19日に正式な価格発表が行われた。
アメリカ・テネシー州スマーナ工場で生産される"逆輸入SUV"として話題を集めており、「プレミアムモダンクロスオーバー」を標榜するそのスタイルと走りは、国内のSUVマーケットに新たな選択肢を提示している。本記事では、2027年型ムラーノの価格・グレード・スペック・装備・日本仕様の特徴を徹底解説する。

2027年型ムラーノの価格・グレード構成
米国市場における2027年型ニッサン ムラーノの価格(MSRP)は以下の通りだ。
- SL AWD:$43,990(約650万円相当)
- Dark Armor AWD:$46,990(約695万円相当)
- Platinum AWD:$49,790(約735万円相当)
なお、デスティネーション&ハンドリング料として$1,545が別途加算される。全グレードAWD(全輪駆動)のみの設定となっており、選択肢がシンプルにまとめられているのが特徴だ。
一方、日本市場では現時点でグレードはSV(4WD)の1グレード展開となっており、価格は796万4,000円(税込)と設定されている。国内他社の競合LサイズSUVと比較しても上位帯に位置する価格設定だが、搭載されるVC-Turboエンジンやプレミアムな内外装を考慮すると、その価値は十分に理解できる。
注目の新グレード「Dark Armor(ダーク アーマー)」とは
2027年モデルの最大のトピックは、新グレード「Dark Armor(ダーク アーマー)」の追加だ。SLとPlatinumの間に位置するこのグレードは、ムラーノの持つ上質なデザインに"精悍さ"と"攻撃的な個性"を加えた特別仕立てとなっている。
エクステリアでは、21インチのグロスブラック仕上げアルミホイールを採用し、バンパーやサイドモールも専用のスポーティデザインで統一されている。さらにボンネット・フロントグリル・リアバッジもすべてグロスブラックに仕上げられ、フロントドアパネルには「Dark Armor」バッジが誇らしげに輝く。
インテリアはグラファイト(炭灰色)の専用アップホルスタリー1色のみが設定され、精悍なブラックのコックピットがドライバーを包み込む。選択できるボディカラーは全6色で、ガン メタリック、スーパーブラック、スカーレット エンバー、エベレスト ホワイト、そしてツートーン仕様としてボルダーグレイ×スーパーブラックルーフ、エベレスト ホワイト×スーパーブラックルーフが用意されている。
Dark Armorは日産ラインアップ全体で展開されている「ダーク アーマー」シリーズの一環であり、アーバンでクールな需要に応えるブランド戦略の中核を担う存在となっている。
パワートレイン:世界初の量産VC-Turboエンジン搭載
新型ムラーノが搭載するエンジンは、日産が世界で初めて量産化に成功した**2.0リッター可変圧縮比ターボエンジン「VC-Turbo(KR20DDET)」**だ。可変圧縮比(Variable Compression)という革新的な技術により、エンジンの圧縮比を走行状況に応じてリアルタイムに変化させることができ、高出力と低燃費という従来のターボエンジンではトレードオフの関係にあった2つの性能を高い次元で両立させている。
主要スペックは以下の通りだ。
- 最高出力:180kW(245PS)
- 最大トルク:352Nm
- トランスミッション:9速AT(オートマチック)
- 駆動方式:AWD(全輪駆動)
従来の3.5リッターV6自然吸気エンジンと比較して排気量は大幅に縮小されているにもかかわらず、動力性能では引けを取らない。それでいながら高速巡航時の低燃費も実現しており、環境性能と走行性能を兼ね備えたパワートレインとして高く評価されている。米国仕様での燃費はEPA基準で市街地21mpg・高速27mpg相当とされている。
ボディサイズと日本での取り回し
新型ムラーノは、いわゆる"Lサイズ"の堂々たるボディを持つ。
- 全長:4,900mm
- 全幅:1,980〜1,981mm
- 全高:1,725mm
- ホイールベース:2,825mm
全幅が約2mに迫るため、日本国内では立体駐車場や狭い路地でのすれ違い、コインパーキングなどで不便を感じる場面もあるだろう。日産エクストレイルよりもひと回り大きなボディサイズは、ゆとりある室内空間と堂々たる存在感をもたらす一方で、取り回しには注意が必要だ。また、日本仕様は左ハンドルのみの設定となっており、これはスマーナ工場で生産されるアメリカ仕様をそのまま日本に輸入するためである。この点は購入前に十分に検討したいポイントだ。

ボディスタイルはクーペライクなルーフラインを持つ流麗なフォルムで、LEDヘッドライト・20インチ(Dark Armorは21インチ)アルミホイールが標準装着される。SUVでありながらスポーティでエレガントな外観は、ムラーノが長年にわたって支持されてきた大きな理由のひとつだ。
先進技術・装備の充実ぶり
新型ムラーノは、現代のプレミアムSUVにふさわしい先進的な技術・装備を豊富に備えている。

インフォテインメントの中核を担うのは、12.3インチの大型インフォテインメントディスプレイだ。車内にはGoogle ビルトインが標準搭載されており、Google マップによるナビゲーション、Google Play ストアへのアクセス、Google アシスタントによる音声操作が車載システムに統合されている。スマートフォンを取り出すことなく、目的地の検索・音楽の再生・各種情報の確認が可能で、ドライバーの利便性を大きく高めている。
運転支援技術では、**ProPILOT Assist 2.1(プロパイロット アシスト 2.1)**がグレードによって利用可能だ。これは高速道路走行時に一定条件下でハンズオフ(ハンドルから手を離した状態)での走行をサポートするシステムで、車線維持支援・車間距離制御・ステアリングアシストを統合的に制御する。長距離ドライブや高速道路での渋滞走行時に、ドライバーの疲労を大幅に軽減してくれる強力な味方だ。
安全装備の面では、3D拡張型インテリジェント アラウンドビューモニターが利用可能で、車両周囲を360度3Dで把握できる。フロントワイドビュー機能やインビジブルフード機能(ボンネットが透けているかのように車両前方直下を確認できる機能)も搭載しており、大きなボディにもかかわらず駐車や狭所通過時の安心感は高い。さらに、マッサージ機能付きフロントシートも設定されており、長時間のドライブでも快適に過ごせる上質な空間が提供されている。
安全性能:受賞歴が証明する高い安全水準
新型ムラーノの安全性は、第三者機関の評価においても高く認められている。米国の安全評価機関IIHS(保険道路安全協会)において、ムラーノは2026年度 TOP SAFETY PICK+(最高評価)を獲得している。これはIIHSの衝突安全試験・前方衝突回避技術・ヘッドライト性能など複数の評価項目すべてで高い評価を受けた証だ。
さらに、米国の自動車評価メディアU.S. News & World Reportが実施した「2026 Best Cars for the Money」アワードでは、**ミッドサイズ2列シートSUV部門の最優秀モデル(Best Midsize 2-Row SUV for the Money)**に選出されている。コストパフォーマンス・安全性・快適性を総合的に評価したうえでのこの受賞は、ムラーノの実力を客観的に示すものだ。
新型ムラーノの競合モデルとポジション
国内市場において新型ムラーノが競合するのは、マツダ「CX-60」やレクサス「NX」、さらにはBMW「X3」などの輸入プレミアムSUVだ。価格帯は796万円と決して安くはないが、アメリカ現地生産の本格的なLサイズSUVとして、日本では得られにくい"スケール感"と"VC-Turboエンジン"という独自の価値を持つ。特にVC-Turboエンジンは国内市場への初導入技術であり、その希少性は高い。左ハンドルという点でターゲットはある程度絞られるが、コアなSUVファンやアメリカ車好き、あるいは唯一無二のドライビング体験を求めるユーザーには強く刺さる一台だ。
まとめ:新型ムラーノはこんな人におすすめ
新型ニッサン ムラーノ(2027年モデル)は、次のようなユーザーに特におすすめできるSUVだ。
- 国産SUVにはない「スケール感」と「存在感」を求める人
- 世界初のVC-Turboエンジンという先進技術に魅力を感じる人
- ProPILOT Assist 2.1やGoogle ビルトインといった最新テクノロジーを日常的に活用したい人
- 左ハンドルのアメリカ仕様SUVに憧れを持つ人
- 安全性や快適性で妥協したくないプレミアムSUVユーザー
日本での受注は2026年6月3日にスタートしており、2027年春の発売に向けて注目が集まっている。価格・スペック・装備のすべてにおいてプレミアムなポジションを狙う新型ムラーノは、12年の歳月を経てより洗練されたかたちで日本のSUVシーンに再び登場した。購入を検討している方は、ぜひ最寄りの日産ディーラーで実車を確認してほしい。

