2026年型日産セントラは、約40年の歴史を持つコンパクトセダンの第9世代モデルとして、2025年後半の発売に向けて大きな注目を集めています。日産USAの公式発表によると、今回のフルモデルチェンジでは「サイズを大きくすることなく、より大きく見せる」という革新的なデザインアプローチが採用されています。
2026年日産セントラの概要とフルモデルチェンジのポイント

このモデルチェンジは、日産のアメリカ市場における4ドアセダン戦略の中核を担う重要な位置づけにあります。ヴァーサが2025年末に生産終了予定、アルティマの将来も不透明な中で、セントラは日産USAにとって唯一残る可能性の高いセダンモデルとなるため、このタイミングでの全面刷新は戦略的に非常に重要な意味を持っています。
主な変更点のハイライト
- 全面的なデザイン刷新:新世代Vモーショングリルの採用
- プレミアム感の向上:内外装の質感大幅アップ
- 技術装備の進化:12.3インチインフォテインメントシステム標準装備
- ハイブリッドe-POWER:将来的なラインナップ予定
デザインの大幅刷新:サイズは変わらず存在感がアップ
「shun(瞬)」の美学
日産のデザインディレクター、リハオ・ユー氏によると、新型セントラのデザインは日本の美学概念「shun(瞬)」からインスピレーションを得ているとのことです。これは「機敏でありながら力まない速さの感覚」を表現する概念で、目的のあるエネルギーと成熟した洗練さを融合させるというデザイン哲学が貫かれています。
視覚的拡大効果のデザイントリック
物理的なボディサイズはほぼ従来モデルと同じでありながら、新型セントラがより大きく見える理由は以下の巧妙なデザイン手法にあります:
1. 水平基調の強調
- フロントエンドからリアまで通る水平ラインの多用
- ワイド感を演出する横長のLEDヘッドライト
- グリルからフェンダーまでを繋ぐ連続したラインデザイン
2. ロー&ワイドシルエット
- 車高を低く見せる巧妙なラインワーク
- サイドビューでの伸びやかなプロポーション
- ファストバッククーペを思わせる流麗なルーフライン
3. キャラクターラインの活用
- 「シャープでありながら流動的」なキャラクターライン
- 視線を下向きに誘導する効果で安定感を演出
- マッスルフェンダーによる存在感の強調
新世代Vモーショングリルとエクステリアの詳細
フロントマスクの革新
新型セントラのフロントデザインは、日産の新しいデザイン言語である「デジタルVモーション」を採用しています。この新世代グリルは以下の特徴を持っています:
グリルデザインの特徴
- 縦型基調のパターン:プジョーの「牙」を連想させるV字ライン
- 一体感のある大口グリル:外側のブラックアウト処理による統一感
- LEDライトとの調和:グリル両端を貫く水平ラインでの連続性
ライティングシステムの進化
ヘッドライト構成
- 三眼LEDヘッドライト(メインユニット)
- 水平基調の縦2本LEDデイライト
- センター非直結式のポジショニングライト
テールライトデザイン
- センター直結式一文字テールランプ
- 両サイドのクリア部分がウィンカーとして機能
- OLED風の先進的な点灯パターン
ボディカラーとスタイリング
新型セントラでは、従来の保守的なイメージから脱却し、より若々しい層にもアピールする大胆なカラーリングを採用:
- 2トーンカラー:レッド×ブラックルーフの組み合わせ
- メッキ調加飾:ルーフラインのアクセント処理
- スポーティ要素:フェアレディZやムラーノと共通するデザインDNA
プレミアム感あふれる内装デザイン
質感向上への取り組み
新型セントラの内装は、2020年にワーズオート誌の「10ベストインテリア賞」を受賞した前世代モデルを更に上回る質感を目指して開発されています。
素材へのこだわり
- 触感重視の素材選択:見た目だけでなく手触りにも配慮
- 耐久性テスト:長期使用を想定した厳格な品質管理
- プレミアム印象:コンパクトセダンを超えた上質感
カラーコーディネーションの工夫
従来のモノクローム基調から脱却し、各グレードに特色あるカラーリングを採用:
SRグレード(スポーティ仕様)
- レッドアクセント:シート、ドア、センターコンソールに配色
- スポーツクロスシート:レッドステッチ入り専用シート
- アンビエントライティング:室内の雰囲気演出
SLグレード(プレミアム仕様)
- ブルーアクセント:上質感を演出する専用カラー
- クリーム&ブルー素材:洗練された室内空間
- 高級感のあるパイピング:細部まで配慮された仕上げ
先進技術の統合
インフォテインメントシステム
- 12.3インチディスプレイ:クラス最大級の大型スクリーン
- Apple CarPlay®標準装備:スマートフォン連携機能
- 直感的操作性:使いやすさを追求したユーザーインターフェース
エアコンベントのデザイン進化
- 従来の3つの円形ベントから長方形デザインへ変更
- ダッシュボードとの一体感を重視したデザイン統合
グレード別の特徴と装備
Sグレード(ベースモデル)
- 16インチホイール:標準装備
- LEDヘッドライト:全グレード標準
- 12.3インチスクリーン:エントリーグレードでも大型ディスプレイ装備
SLグレード(プレミアム仕様)
- 専用内装カラー:ブルーアクセントの上質な室内
- 高級素材の採用:プレミアム感を演出する素材選択
- 快適装備の充実:上位グレードならではの装備
SRグレード(スポーティ仕様)
新型セントラの中でも特に注目されるSRグレードは、以下の専用装備を持っています:
エクステリア専用装備
- 18インチアルミホイール:スポーティな大径ホイール
- 専用フロントファシア:ダーククロムVモーショングリル
- サイドシル:専用ブラック仕上げ
- リアスポイラー:トランクリッド一体型
- 専用リアバンパー:スポーティなデザイン
インテリア専用装備
- スポーツクロスシート:レッドアクセント入り
- アンビエントライティング:室内照明演出
- 専用ステアリング:スポーティな2スポークタイプ
技術・安全装備の進化
先進安全技術
新型セントラには、日産の最新安全技術が標準またはオプションで装備されます:
標準装備の安全機能
- インテリジェント・クルーズコントロール:追従走行支援
- Apple CarPlay®:スマートフォン統合機能
- LEDライティングシステム:視認性向上
注意事項
安全支援機能には制限があり、特定の状況では機能が制限される場合があります。ドライバーは常に周囲を監視し、安全運転の責任を負う必要があります。詳細については、車両の取扱説明書を参照してください。
パワートレインの将来展望
日産USAの発表によると、新型セントラをベースに将来的にハイブリッドe-POWERモデルもラインナップされる予定です。これは次期ローグ/エクストレイル(T34型)の新世代e-POWERに続く展開として位置づけられています。
競合他車との比較とポジショニング
コンパクトセダン市場での立ち位置
新型セントラは、縮小傾向にあるアメリカのセダン市場において、以下の特徴でポジショニングを図っています:
競合優位点
- クラス最大級のインフォテインメント:12.3インチスクリーンは同クラス最大
- プレミアム感のある内装:価格帯を超えた質感
- 先進的なデザイン:SUV全盛時代にあえて挑戦的なセダンデザイン
市場での差別化要因
- コンパクトセダンでありながらファストバッククーペのような流麗さ
- 日産独自のe-POWER技術の将来的な投入
- アフォーダブルな価格設定での高い装備水準
発売時期と価格予想
発売スケジュール
- 発表時期:2025年9月(既に発表済み)
- 発売時期:2025年後半予定
- モデルイヤー:2026年型として販売
価格帯の予想
正式な価格発表はまだですが、以下の要因を考慮した価格予想:
価格設定の考慮要因
- 現行モデルからの装備向上分
- インフレーションとコストアップ要因
- 競合他車との価格競争力
- プレミアム化による付加価値
予想価格帯(米国市場)
- Sグレード:$22,000-$24,000程度
- SLグレード:$25,000-$27,000程度
- SRグレード:$27,000-$29,000程度
まとめ:2026年新型セントラの市場への影響
セダン復権の象徴となるか
2026年新型日産セントラは、SUV全盛の時代にあえてセダンの魅力を再定義しようとする野心的なモデルです。サイズを変えずに存在感を向上させるという革新的なデザインアプローチは、限られたスペースでも最大の効果を生み出す日本的な美学の体現と言えるでしょう。
技術とデザインの調和
新世代Vモーションデザインの採用により、日産のブランドアイデンティティを維持しながらも、時代に即した先進性を獲得しています。特に内装における質感向上は、コンパクトセダンの概念を覆すプレミアム感を実現しており、価格帯を超えた価値提案となっています。
将来展望
ハイブリッドe-POWERの投入予定は、環境性能と経済性を重視する現代のユーザーニーズに応える重要な要素です。セントラが日産USAの4ドアセダン唯一の生き残りとなる可能性が高い中で、このモデルの成功は日本メーカーのアメリカ市場でのセダン戦略の行方を占う重要な指標となるでしょう。
2026年新型日産セントラは、単なるモデルチェンジを超えて、セダンというボディタイプの新たな可能性を示すベンチマークモデルとして、自動車業界全体に大きなインパクトを与える可能性を秘めています。