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マツダCX-80が売れない理由を徹底分析 なぜ期待の3列シートSUVが苦戦しているのか

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マツダが2024年10月に満を持して投入したフラッグシップSUV「CX-80」。3列シートを備えた大型SUVとして、多くの期待を集めて登場したこのモデルですが、実際の販売状況を見ると、想定していたほどの売れ行きを見せていません。月間販売目標1,400台に対して、発売3カ月目の12月には1,201台と目標を下回る結果となっています。

なぜCX-80は売れないのか。その理由を多角的に分析し、購入を検討している方に向けて、このモデルの現状と今後の見通しについて詳しく解説していきます。

目次

CX-80の販売実績と市場での位置づけ

実際の販売データから見る現状

マツダの公式発表によると、CX-80の販売実績は以下の通りです:

  • 2024年10月(発売初月):1,856台
  • 2024年11月:2,232台
  • 2024年12月:1,201台

発売当初は目標を上回る好調なスタートを切ったものの、12月には月間販売目標の1,400台を下回る結果となりました。特に11月から12月にかけて約1,000台もの大幅な減少を記録しており、新車効果の短期化が顕著に表れています。

先代CX-8との比較

CX-80は事実上、2023年12月に生産終了となったCX-8の後継モデルです。しかし、CX-8の最終期における月間販売実績1,610台(2023年12月)と比較すると、CX-80の12月実績1,201台は約400台下回っています。

これは、単純な後継モデルとしての役割を果たしきれていない現状を示しており、マツダにとって深刻な課題となっています。

CX-80が売れない主要な理由

1. 価格設定の問題

CX-80の価格帯は394万円から712万円と、先代CX-8の価格帯(約350万円~550万円)から大幅に上昇しています。特に上級グレードやPHEVモデルでは600万円を超える価格設定となっており、これまでのマツダ車のイメージを大きく超える価格帯となっています。

競合する他社モデルとの価格比較を見ると:

  • 日産エクストレイル:360.1~533.3万円
  • 三菱アウトランダーPHEV:526.4~668.6万円
  • CX-80:394.3~712.2万円

PHEVモデルでもアウトランダーPHEVより高価格帯に設定されており、コストパフォーマンスを重視する日本の消費者には敬遠される要因となっています。

2. ボディサイズと日本の道路事情のミスマッチ

CX-80のボディサイズは全長4,995mm、全幅1,890mmと、日本の道路事情や駐車場環境を考慮すると相当大きなサイズです。特に全幅が1,890mmという数値は、多くの立体駐車場や狭い道路での取り回しに不安を感じさせる要因となっています。

日本の消費者の多くは、実用性を重視する傾向があり、大型SUVに対して「大きすぎて使いにくい」という印象を持ちがちです。この点で、CX-80は日本市場の特性に十分対応できていないと言えるでしょう。

3. CX-60の品質問題による負の影響

CX-80の販売不振を語る上で避けて通れないのが、弟分であるCX-60の品質問題です。2022年9月に発売されたCX-60は、発売当初から乗り心地やトランスミッションのギクシャク感、リコールの多発など、様々な品質面での問題が指摘されました。

現在の自動車購入において、SNSでの情報収集は非常に重要な要素となっています。CX-60の初期ユーザーが発信したネガティブな評価は、同じプラットフォームを使用するCX-80への不安材料として作用しています。

4. 競合他社との差別化不足

3列シートSUV市場において、CX-80は明確な差別化要因を示せていません。燃費性能では確かに優秀な数値を示していますが、実用性や装備面で他社モデルに対する明確な優位性を消費者に伝えきれていないのが現状です。

特に、同価格帯で購入できる欧州プレミアムブランドのSUVと比較すると、ブランド力の差は否めません。「同じ価格なら輸入車を選ぶ」という消費者心理が働いている可能性が高いです。

5. マーケティング・認知度の問題

マツダの取締役専務執行役員も認めているように、「認知度が行き渡っていなかった」ことが苦戦の原因の一つです。

CX-80の存在自体を知らない消費者が多く、特に3列シートSUVを求めている潜在顧客に対して、適切にアプローチできていない状況が続いています。

CX-80の実際の評価と魅力

走行性能面での高評価

売れ行きは低調でも、CX-80の走行性能に対する専門家の評価は概ね好意的です。FRベースのプラットフォームによる優れた重量配分、3.3Lディーゼルエンジンの洗練された走行フィールは、多くの自動車評論家から高く評価されています。

特に、CX-60で問題となっていたトランスミッションのギクシャク感は大幅に改善されており、走行品質の向上は確実に実現されています。

燃費性能の優秀さ

CX-80のディーゼルモデルは、WLTCモード燃費で16.8~18.3km/Lという、このクラスのSUVとしては優秀な燃費性能を実現しています。実燃費においても、多くのユーザーから17km/L前後の数値が報告されており、ランニングコストの面では確実にメリットがあります。

室内空間と居住性

3列目シートは近距離用という制約はあるものの、1列目・2列目シートの居住性は非常に高いレベルにあります。シートの品質、静粛性、乗り心地など、プレミアムSUVとしての基本性能は十分に備えています。

他社競合モデルとの詳細比較

日産エクストレイルとの比較

エクストレイルは3列シート仕様で360.1万円からという価格設定で、CX-80との価格差は約30万円以上あります。装備面や走行性能でCX-80が上回る部分は多いものの、この価格差を埋めるだけの魅力を感じない消費者が多いのが現状です。

三菱アウトランダーPHEVとの比較

PHEVモデル同士で比較すると、アウトランダーPHEVは526.4万円から、CX-80 PHEVは639.1万円からとなっており、約110万円の価格差があります。この価格差を正当化する装備や性能の差が、消費者に明確に伝わっていないことが問題です。

輸入車との競合

CX-80の上級グレードの価格帯では、ボルボXC90やアウディQ7などの欧州プレミアムブランドSUVも視野に入ってきます。ブランドイメージや所有する満足感を考慮すると、同価格帯であれば輸入車を選択する消費者が多いのが実情です。

CX-80の課題と問題点

インテリア・装備面での不満

実際のユーザーレビューを見ると、以下のような点が指摘されています:

  • 収納スペースの不足:ミニバン的な使い方を想定すると、小物入れやボックスティッシュ置き場の不足が目立つ
  • ナビゲーションシステム:社外ナビの装着が困難で、選択肢が限られる
  • 2列目シートの座面:大柄な男性には座面長が不足気味
  • 3列目シートの実用性:身長170cm以下の人を想定した設計で、大人の長時間乗車には不向き

パワートレインの選択肢

ベーシックなディーゼルエンジン(XD)は、モーターアシストがないため発進時の力強さに欠けるという評価があります。2トン近い車重に対して、エンジン単体では物足りなさを感じる場面があることが指摘されています。

乗り心地の硬さ

CX-60ほどではないものの、足回りは比較的硬めのセッティングとなっており、特に後席の乗り心地については改善の余地があるとの声が多く聞かれます。

今後の見通しと改善策

マツダの対応策

マツダは認知度向上のため、以下の取り組みを開始しています:

  1. 試乗体験の充実:一部販売店で最長72時間の試乗体験を提供
  2. ブランド施設での訴求強化:東京・南青山のブランド施設での展示強化
  3. CX-60の品質改善:初のマイナーチェンジによる品質向上で、ブランド全体の信頼性回復を図る

市場での位置づけの見直し

CX-80は、従来のマツダ車とは異なる価格帯・コンセプトのモデルです。そのため、従来のマツダファンだけでなく、新たな顧客層へのアプローチが必要となっています。

特に、以下のような顧客層への訴求が重要です:

  • プレミアムブランドSUVからの乗り換えを検討している層
  • 輸入車と同等の走行性能を求める層
  • 燃費性能を重視する法人ユーザー

長期的な改善の必要性

CX-80の売れ行き改善には、以下の要素が重要になると考えられます:

  1. 価格戦略の見直し:エントリーグレードの価格設定や、装備内容の最適化
  2. 日本市場向けの仕様改良:収納スペースの改善、乗り心地の最適化
  3. マーケティング戦略の強化:ターゲット層の明確化と、適切な訴求ポイントの設定

購入検討者へのアドバイス

CX-80を選ぶべき人

以下の条件に当てはまる方にはCX-80をおすすめできます:

  • 走行性能を重視し、FRベースSUVの魅力を理解している
  • 燃費性能の良い大型SUVを求めている
  • マツダブランドに愛着があり、新しい挑戦を応援したい
  • 3列シートは補助的な使用に留まる

慎重に検討すべき人

以下の場合は、他の選択肢も含めて慎重に検討することをおすすめします:

  • コストパフォーマンスを最重視する
  • 3列目シートを頻繁に使用する予定がある
  • 日本の道路事情での取り回しを重視する
  • 実用的な収納スペースを多く求める

まとめ:CX-80の現状と今後の展望

マツダCX-80が売れない理由は、単一の要因ではなく、複数の課題が複合的に作用した結果です。価格設定の高さ、ボディサイズの大きさ、CX-60の品質問題による負の印象、競合他社との差別化不足、そして認知度の低さなど、様々な要因が販売不振につながっています。

しかし、商品としてのCX-80は決して悪いものではありません。走行性能、燃費性能、質感など、多くの面で高いレベルを実現しており、専門家からの評価も概ね好意的です。

今後、マツダがどのように市場に向き合い、CX-80の魅力を適切に伝えていけるかが、このモデルの成功を左右する重要な要素となるでしょう。認知度向上の取り組みや、CX-60の品質改善による信頼性回復など、既に始まっている改善策の効果が現れることで、CX-80の評価も変わってくる可能性があります。

3列シートSUVを検討している方は、CX-80の実際の魅力と課題を理解した上で、自身のニーズに最適な選択をすることが重要です。「売れていない」という現状だけでなく、実際の商品性を見極めて判断することをおすすめします。

マツダCX-80の今後の展開に注目し、市場での位置づけがどのように変化していくか見守っていきたいと思います。

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この記事を書いた人

KAZUのアバター KAZU 編集長

自動車専門メディア『最新自動車情報』編集長のKAZU。IT企業から独立後、自動車専門サイト『最新自動車情報』を立ち上げ、編集長として12年間運営に携わってまいりました。これまでに、新車・中古車、国産車(日本車)から輸入車(外車)まで、あらゆるメーカーの車種に関する記事を6,000本以上執筆。その経験と独自の分析力で、数々の新型車種の発表時期や詳細スペックに関する的確な予測を実現してきました。『最新自動車情報』編集長として、読者の皆様に信頼性の高い最新情報、専門的な視点からの購入アドバイス、そして車(クルマ)の奥深い魅力をお届けします。後悔しない一台選びをしたい方、自動車業界のトレンドをいち早く知りたい方は、ぜひフォローをお願いいたします。

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