高級SUVの象徴として、多くの人々が憧れを抱くレンジローバー。しかし、インターネット上では「レンジローバー やめとけ」という、まるで警告のようなキーワードが頻繁に検索されています。なぜ、これほどまでに人気のある車種が、そのようなネガティブな言葉で語られるのでしょうか。
この記事では、レンジローバーの購入を検討している方が後悔しないために、「やめとけ」と言われる具体的な理由と、それでもなおレンジローバーを選ぶ価値があるのかを徹底的に解説します。購入前に知っておくべき維持費の実態や故障リスク、そしてレンジローバーが本当に向いている人の特徴まで、詳しく掘り下げていきます。
レンジローバーがやめとけと言われる8つの理由
レンジローバーには、その圧倒的な存在感や高級感の裏に、いくつかの購入者が直面する可能性がある問題が潜んでいます。
1. 高額すぎる維持費
レンジローバーの最大のハードルは、維持費の高さです。年間でかかる費用は、国産高級SUVの2倍から3倍にもなると言われています。内訳を見ると、燃料費、自動車税、任意保険料に加え、車検・点検費用、そして後述する修理・部品交換費用が加わり、年間で50万円〜100万円以上かかることも珍しくありません。
レンジローバーの最大の問題点は、維持費の高さです。年間維持費は以下のような構成になります:
年間維持費の内訳(概算)
- 燃料費:約20-30万円(年間1万km走行時)
- 自動車税:約66,500円-88,000円(排気量により変動)
- 任意保険料:約10-20万円
- 車検・点検費用:約15-25万円(2年間平均)
- 修理・部品交換費:約10-50万円
合計:年間50-100万円以上
この維持費は、国産高級SUVの約2-3倍に相当します。
2. 故障が多く修理費が高額
輸入車の中でも特に故障率が高いことで知られるのがレンジローバーです。エアサスペンションや電装系トラブル、インフォテインメントシステムの不具合など、さまざまな箇所で故障が報告されています。さらに、部品が高額で、修理できる工場も限られているため、一度の修理で数十万円かかることもあります。
主な故障箇所と修理費用
- エアサスペンション:20-50万円
- 電装系トラブル:5-30万円
- エンジン関連:10-80万円
- インフォテインメントシステム:15-40万円
2023年のコンシューマーレポートでは、レンジローバーは信頼性調査で最下位という結果が出ています。
3. 燃費の悪さ
大型の車体とハイパワーなエンジンを持つレンジローバーは、燃費が良いとは言えません。市街地走行では6〜8km/L、高速道路でも8〜11km/L程度の実燃費が一般的です。ガソリン価格が高騰する昨今、この燃費の悪さは家計に大きな負担となります。
レンジローバーの燃費は決して良いとは言えません:
実燃費データ
- 市街地走行:6-8km/L
- 高速道路:8-11km/L
- 複合燃費:7-9km/L
ガソリン価格が高騰している現在、この燃費の悪さは家計に大きな負担となります。
4. 取り回しの悪さ
全長や全幅が大きいレンジローバーは、日本の狭い道路や駐車場では運転しづらいと感じることがあります。特に、全幅が1,930mmを超えるモデルが多いため、立体駐車場や機械式駐車場を利用できないケースも少なくありません。都市部での日常的な利用では、この取り回しの悪さがストレスになることも。
レンジローバーは大型SUVのため、日本の道路事情には適さない場面が多々あります:
- 全幅が1,930mm以上と幅広
- 駐車場での制限(機械式駐車場は利用不可が多い)
- 狭い道路での運転ストレス
- 都市部での取り回しの困難さ
5. リセールバリューの低さ
新車価格が非常に高額なレンジローバーですが、売却時のリセールバリューは低い傾向にあります。3年後のリセール率は**約50〜60%**とされており、国産高級SUVの70〜80%と比較すると大きな差があります。これは、売却時に大きな損失となることを意味します。
レンジローバーは新車価格が高い割に、リセールバリューが低いのが現実です:
リセールバリュー(3年後)
- レンジローバー:約50-60%
- 国産高級SUV(レクサスLX等):約70-80%
この差は、売却時に大きな損失となって現れます。
6. ブランドイメージの問題
レンジローバーには「成金」や「見栄っ張り」といったネガティブなイメージを持つ人もいます。特に日本では、このブランドイメージが敬遠される要因の一つとなっています。
7. 部品供給の問題
輸入車特有の問題として、部品の取り寄せに時間がかかるという点が挙げられます。これにより、修理期間が長期化し、車が使えない期間が長くなる可能性があります。また、純正部品は非常に高額です。
輸入車特有の問題として、以下があります:
- 部品の取り寄せに時間がかかる
- 純正部品が高額
- 修理できる工場が限られる
- 修理期間が長期化する可能性
8. 電子制御システムの複雑さ
最新のレンジローバーは、高度な電子制御システムが搭載されています。これにより、システムの誤作動やソフトウェアのバグが発生しやすく、診断や修理が非常に困難で費用も高額になることがあります。
最新のレンジローバーは電子制御システムが複雑で、以下の問題が生じやすいです:
- システムの誤作動
- ソフトウェアのバグ
- 診断の困難さ
- 修理費用の高額化
維持費の実態:年間どれくらいかかるのか
モデル別維持費:年間どれくらいかかるのか
車種によって差はありますが、レンジローバーの年間維持費は50万円〜120万円が目安です。
モデル名 | 年間維持費の目安 | 備考 |
レンジローバー (フラッグシップ) | 70万円〜120万円 | 大排気量エンジンによる燃料費や自動車税が特に高額 |
---|---|---|
レンジローバースポーツ | 60万円〜100万円 | スポーツモデルのため、タイヤなどの消耗品交換頻度が高い |
レンジローバーヴェラール | 55万円〜85万円 | 中間グレードだが、維持費はやはり高額 |
レンジローバーイヴォーク | 50万円〜80万円 | エントリーモデルでも、国産車と比較すると高額 |
維持費を抑える方法
- 定期メンテナンスの徹底
- 早期発見により大きな故障を防ぐ
- 純正オイルの使用
- 指定された点検間隔の遵守
- 信頼できる整備工場の選択
- ランドローバー専門店の利用
- 複数の見積もり取得
- 中古部品の活用(適切な場合のみ)
- 延長保証の活用
- 新車購入時の延長保証加入
- 認定中古車プログラムの利用
故障率と修理費用の実際
レンジローバーの故障は、走行距離が伸びるにつれて増える傾向にあります。特に、エアサスペンションは多くのレンジローバーに搭載されており、エア漏れやコンプレッサーの故障が頻繁に発生します。また、高度なインフォテインメントシステムの不具合や電装系トラブルも少なくありません。
これらの修理費用は、数十万円単位になることが多く、年間で50万円以上の修理費用がかかるケースもあります。購入を検討する際は、こうした修理費用のリスクを考慮した上で、資金計画を立てることが非常に重要です。
走行距離別故障傾向
新車~3万km
- 初期不良による電装系トラブル
- ソフトウェア関連の不具合
- 修理費用:年間10-30万円
3万km~7万km
- 消耗品の交換時期到来
- エアサス関連のトラブル増加
- 修理費用:年間20-50万円
7万km~10万km以上
- 大型部品の交換必要
- エンジン・トランスミッション関連トラブル
- 修理費用:年間50-100万円以上
主要故障事例と対策
エアサスペンション故障
- 原因:エア漏れ、コンプレッサー故障
- 対策:定期的な点検、適切な使用
- 修理費用:20-50万円
電装系トラブル
- 原因:湿気、経年劣化
- 対策:定期的なバッテリー交換、乾燥した環境での保管
- 修理費用:5-30万円
インフォテインメントシステム故障
- 原因:ソフトウェアバグ、ハードウェア不良
- 対策:定期的なアップデート
- 修理費用:15-40万円
リセールバリューの問題
他ブランドとの比較
ブランド | 3年後リセール率 | 5年後リセール率 |
---|---|---|
レンジローバー | 50-60% | 35-45% |
レクサス | 70-80% | 55-65% |
ポルシェ | 65-75% | 50-60% |
BMW | 55-65% | 40-50% |
リセール低下の要因
- 故障の多さによる中古車市場での敬遠
- 維持費の高さによる需要の限定
- 新車値引きの大きさ
- モデルチェンジサイクルの短さ
それでもレンジローバーを選ぶべき人とは
これまでのデメリットを挙げると、レンジローバーの購入をためらってしまうかもしれません。しかし、多くの人がそれでもなおレンジローバーを選ぶのには、それだけの魅力があるからです。
向いている人の特徴
- 十分な経済的余裕がある人 維持費や修理費用に困らない年収1,500万円以上が目安とされています。車を趣味として楽しむことができ、維持費を気にしない経済状況が必要です。
- 車に特別な価値を求める人 レンジローバーが持つ唯一無二のデザイン性や、英国王室御用達の歴史、ブランドステータスに強く惹かれる人です。
- 本物のオフロード性能を求める人 「砂漠のロールスロイス」という異名を持つレンジローバーは、その名の通り卓越したオフロード性能を誇ります。本格的なアウトドアや悪路走行を楽しむ機会が多い人にとっては、唯一無二の相棒となります。
- 最高級の室内空間を求める人 上質なレザーや木材がふんだんに使われた内装は、他の追随を許さない最高級の快適性と静粛性を提供します。移動時間を特別な時間として過ごしたい人に最適です。
真の魅力を理解できる人
オフロード性能を活用する人
- 本格的なアウトドア活動
- 悪路走行の機会が多い
デザインとブランドに価値を感じる人
- 唯一無二のデザイン性
- 英国王室御用達の歴史とブランド力
上質な室内空間を求める人
- 最高級の内装品質
- 快適性と静粛性
購入前のチェックポイント
資金計画の確認
- 初期費用の準備
- 車両本体価格
- 登録諸費用
- オプション費用
- 合計:800-2,000万円以上
- 維持費の確保
- 年間80-120万円の予算確保
- 緊急修理費の積み立て
- 売却時の損失計算
- 5年間で50-60%の価値減少を想定
ライフスタイルとの適合性
使用用途の明確化
- 通勤利用の適性
- 家族構成との適合
- 駐車環境の確認
代替手段の検討
- 国産高級SUVとの比較
- 他ブランド輸入車との比較
中古車購入時の注意点
中古車のメリット・デメリット
メリット
- 新車価格の50-70%で購入可能
- 初期の価値下落を回避
デメリット
- 故障リスクの増大
- 保証期間の短縮
- 整備記録の不明確さ
中古車選びのポイント
- 整備記録の確認
- 定期点検の実施状況
- 修理履歴の詳細確認
- 純正部品の使用状況
- 認定中古車の選択
- ディーラー認定プログラム
- 延長保証の付帯
- 品質保証の内容
- 専門家による点検
- 購入前の詳細検査
- 見えない部分の状態確認
- 今後必要な修理の予測
まとめ:後悔しない選択のために
レンジローバーは確かに「やめとけ」と言われる要素を多く持つ車です。高額な維持費、故障の多さ、リセールバリューの低さなど、経済的な負担は決して軽くありません。
しかし、これらのデメリットを理解し、受け入れられる経済的・精神的余裕がある方にとっては、他では得られない特別な体験を提供してくれる車でもあります。
購入を決める前の最終チェック
- 年間100万円以上の維持費を許容できるか
- 故障時の修理費用と期間を受け入れられるか
- リセールバリューの低さを承知できるか
- レンジローバーでしか得られない価値を感じられるか
これらすべてに「YES」と答えられる場合のみ、レンジローバーの購入を検討することをお勧めします。
最後に
「レンジローバー やめとけ」という声には確かな根拠があります。しかし、それでもなお魅力を感じ、リスクを受け入れられる方にとっては、他に代替のない特別な存在となるでしょう。
購入を検討される際は、本記事の内容を参考に、冷静かつ慎重な判断をされることを強くお勧めします。後悔のない車選びのために、十分な情報収集と検討期間を設けることが重要です。