スズキは同社初のバッテリーEV(電気自動車)SUVとなる「eビターラ(e VITARA)」を日本にて2025年10月に発売します。これまで日本では「エスクード」として親しまれてきたビターラシリーズの電気自動車版として開発されました。
コンパクトながらも凝縮感のあるデザインと高い質感を持ち合わせ、日本のEV市場において「かなり強烈なインパクトになる」と評されています。本ブリーフィングでは、内外装、走行性能、機能性、市場における立ち位置など、多角的にeビターラの魅力を深掘りします。
eビターラの主な特徴
- 電気自動車専用設計:新開発の「HEARTECT-e」プラットフォームを採用
- 実用的な航続距離:最大500km以上の航続性能
- 本格的な4WD性能:電動4WDシステム「ALLGRIP-e」を搭載
- 先進的なデザイン:力強さと洗練さを兼ね備えたSUVスタイル
2025年10月日本発売決定!eビターラの最新情報
スズキは2024年11月、eビターラの日本導入を2025年に予定していることを正式発表しました。生産は2025年春からインドのスズキモーターグジャラート工場で開始され、日本、欧州、インドなどで販売される予定です。
発売スケジュール
- 2025年春:インド工場での生産開始
- 2025年10月:日本市場での発売開始
- グローバル展開:欧州、インドでも順次販売
参考:スズキ eビターラ
eビターラの外観デザイン:力強さと洗練さを兼ね備えたエクステリア
デザインコンセプト「Emotional Versatile Cruiser」
eビターラのエクステリアデザインは、「Emotional Versatile Cruiser」というコンセプトに基づいて設計されています。EVとしての洗練さと先進性、SUVの力強さを融合させたデザインが特徴です。
主なデザイン要素
- フロントフェイス:最新LEDヘッドライトとワイドなインテーク
- サイドビュー:耐久性の高いクラッディングを備えたボリューム感のあるフェンダー
- リアデザイン:左右連結式テールランプとルーフスポイラー
ボディサイズ
- 全長×全幅×全高:4,275×1,800×1,635mm
- ホイールベース:2,700mm
- 最低地上高:180mm
- 最小回転半径:5.2m
eビターラのエクステリアは、「ラギットでゴツゴツとした感じ」のSUVスタイルが特徴です。
- 全体像: 「コンパクトなのに凝縮感があるデザイン」で、「質感はめちゃくちゃ見栄えが良い」。
- フロント: 迫力のある顔つきで、中央に大きなスズキのエンブレムが配され、周囲はグロスブラック仕上げ。ヘッドライトは3本の線が集まるようなデザインのデイタイムランニングライトが特徴で、ウインカー時には反転して点滅します。無塗装樹脂のロアバンパーがSUVらしさを強調。
- サイド: 全長4275mm、全幅1800mm、全高1640mm、ホイールベース2700mmというコンパクトなボディサイズ。「ヤリスクロスよりちょっと大きくて、ヴェゼルよりちょっと短い」サイズ感で、日本の道路事情や機械式立体駐車場に収まる全幅が魅力(ただし全高は1.6mを超えるため注意が必要)。最低地上高は185mm確保され、アプローチアングルも十分。最小回転半径は2WD/4WDともに5.2mと小回りが効きます。18インチタイヤとアルミホイールを標準装備しており、ライバル車を研究した上での設定であることが伺えます。充電ポートは助手席側が急速充電、運転席側が一般充電/200V充電に対応。リアドアハンドルは隠しタイプで、クーペスタイルに見える工夫が施されています。
- リア: 力強いフェンダーアーチモールとシャークフィンアンテナが特徴。リアコンビネーションランプは左右が繋がるようなガーニッシュデザインですが、実際に光る部分は貫通しません。ウインカーとバックランプはフルLED。
eビターラの内装:先進テクノロジーが詰まったインテリア
デジタルコックピット
eビターラの内装は、最新のデジタル技術を駆使した先進的な空間となっています。
主要装備
- 10.25インチデジタルメーター:運転に必要な情報を見やすく表示
- 10.1インチインフォテインメントシステム:接続されたディスプレイでシームレスな操作
- コネクティッド機能:多彩な情報表示と通信機能
内装は「最近のスズキはめちゃくちゃおしゃれ」と評されるほどの質感の高さが特徴です。
- カラー: タンカラーの内装が組み合わされており、カラーバリエーションは1種類。
- 質感: ドアトリム中央やダッシュボードの一部にソフトパッドが採用され、質感が高められています。インナードアハンドルはメッキ加飾、肘置き部分はファブリック張りで柔らかい素材を使用。
- ディスプレイ: 大型のセンターディスプレイとフル液晶メーターが連続したデザイン。センターディスプレイは3連カード表示が可能で、地図やメディア、燃費、駆動配分などを表示できます。メーター内には地図表示も可能で、「メーター内地図スズキ始まった」と驚きを表現されています。メーターデザインも複数種類から選択可能。
- 快適装備: 運転席はパワーシート(ランバーサポート付き)、シートヒーター、ステアリングヒーターを完備。アンビエントライトも搭載されています。
- 収納と利便性: センターコンソールはフローティングタイプで2層構造となっており、下段に収納スペースを確保。USB Type-CとType-Aポート、HDMI、12Vアクセサリーソケットを装備。ドアポケットも工夫されており、ティッシュなどの収納に便利です。
- 先進機能: ドアハンドルはスマートエントリー対応(キー穴は露出)。Windowsは4枚全てワンタッチオープン。360°カメラ、アダプティブクルーズコントロール(全車速対応)、レーンキープ機能も搭載されている模様。ドライバーモニタリングセンサーも装備されており、よそ見などを検知します。電動パーキングブレーキとオートホールド機能も搭載。
- 後席: 後席もタンカラーのコンビネーションシート。スライドとリクライニングが可能で、荷室の拡張性も確保。床は完全にフラットで乗り込みやすい設計。センターコンソール後端にはエアコン吹き出し口はないものの、USB Type-AとType-Cポートに加え、1500Wの外部給電コンセントを搭載。「日本向けのEVにはこういう外部給電機能が付いているのは良い」と評価されています。4:2:4分割可倒式シートで、中央部分を倒すとドリンクホルダー付きのアームレストとして使用可能。
- ラゲッジ: パワーテールゲートの設定はなく手動。ラゲッジフロアは高めですが、後席を倒すとフラットになり、実用性は高い。ラゲッジアンダーには充電キットなどを収納。Infinity製のスピーカーが搭載されている可能性も示唆されています。ラゲッジランプはLED。
- その他: ルームランプはLED。SOSコールスイッチも装備され、コネクテッドサービスへの対応が示唆されています。オプションでパノラマルーフ(開閉不可の可能性)の設定もあります。
eビターラのスペック:3つのパワートレイン構成
eビターラには、バッテリー容量と駆動方式の違いにより3つのグレードが設定されています。
49kWhバッテリー FF仕様
- 電気モーター:1基
- 最高出力:144ps(106kW)
- 最大トルク:189Nm(19.3kgm)
- 航続距離:400km以上
- 車両重量:1,702kg
61kWhバッテリー FF仕様
- 電気モーター:1基
- 最高出力:174ps(128kW)
- 最大トルク:189Nm(19.3kgm)
- 航続距離:500km以上
- 車両重量:1,760-1,799kg
61kWhバッテリー 4WD仕様
- 電気モーター:フロント・リア各1基(計2基)
- フロントモーター出力:174ps(128kW)
- リアモーター出力:65ps(48kW)
- システム合計最大トルク:300Nm(30.6kgm)
- 航続距離:450km以上
- 車両重量:1,860-1,899kg
- 静粛性: 非常に静か。
- 加速: アクセルを踏んだ瞬間から100%のトルクを発揮し、ラグなく加速。コンパクトSUVとしては十分な加速性能。
- 2WD 61kWhモデル:0-100km/h加速8.7秒。
- 4WD 61kWhモデル:0-100km/h加速7.4秒(2WDより1秒以上速い)。
- 2WD 49kWhモデル:0-100km/h加速9.6秒。
- ハンドリングとボディ剛性: 「めっちゃクイック」「ボディ剛性すごいな」と高評価。バッテリーを床下に配置している関係で、ボディ剛性が非常に高められているとのこと。高張力鋼板などを多用し、衝突時の安全性も考慮されていることが走行性能の高さに繋がっていると分析されています。「操縦安定性」「静粛性」「不快な微振動のなさ」が際立つ。ステアフィールは「重め」だが「重すぎない」と好印象。遊びが少なく、小気味良いハンドリングが楽しめます。
- ワンペダルモード: アクセルのオンオフで加減速を調整できるワンペダルモードを搭載。加減速は比較的穏やかで唐突感がないため、「安心して踏める」。ただし、停止間際までワンペダルで減速するには、車両設定で「回生ブースト」を「強」に設定する必要があり、デフォルトの「中」では不十分な場合もあるとのこと。
- 2WD vs 4WD:4WDモデルは、発進加速から「力強い感じ」があり、最大トルクも307Nmと2WDよりも大きい。
- 4WDモデルは「より曲がる」感覚があり、リアモーターが押し出すことでフロントの負担を減らし、コーナリングフォースを向上させているとのこと。アクセルオン時に「内側に入っていく感じ」が強い。
- 日常使いでは2WDでも十分楽しめるが、より「早くてより曲がる」走りの楽しさを求めるなら4WDが優位。
HEARTECT-eプラットフォーム:電気自動車専用設計の革新
電気自動車専用プラットフォーム
eビターラには、スズキが新開発した電気自動車専用プラットフォーム「HEARTECT-e」が採用されています。
HEARTECT-eの特徴
- 軽量構造:燃費効率の向上
- 高電圧保護:安全性の確保
- ショートオーバーハング:広い室内空間の実現
- 大容量バッテリー配置:フロア下メンバー廃止により電池容量を最大化
リン酸鉄リチウムイオンバッテリー
安全性と信頼性を重視したリン酸鉄リチウムイオンバッテリーを採用。熱暴走のリスクが低く、長寿命を実現しています。
ALLGRIP-e:スズキ独自の電動4WDシステム
電動4WDシステムの特徴
eビターラの4WD仕様には、スズキが新開発した電動4WDシステム**「ALLGRIP-e」**が搭載されています。
ALLGRIP-eの技術
- 前後独立制御:前後に独立した2つのeAxleを採用
- LSD機能:空転したタイヤにブレーキをかけ、反対側に駆動力を配分
- Trailモード:悪路での走破性を向上させる専用モード
- 緻密なコントロール:瞬時のレスポンスで最適な駆動配分
eビターラの価格:400万円台からの予想価格
予想価格帯
スズキeビターラの価格は、最新の電動技術採用により400万円台からと予想されています。
価格比較(参考)
- フロンクス(内燃機関SUV):254万円~
- eビターラ(電気自動車SUV):400万円~(予想)
価格差は約150万円程度となる見込みで、電気自動車としての先進技術と装備の充実が反映されています。
eビターラの安全装備:最新の予防安全技術
充実した安全装備
eビターラには、スズキの最新予防安全技術が標準装備されます。
主要な安全機能
- ブラインドスポットモニター:隣接車線後方からの接近車両を検知
- リヤクロストラフィックアラート:後方左右からの接近車両を検知
- アダプティブクルーズコントロール:全車速追従機能付き
- 衝突被害軽減ブレーキ:歩行者・車両検知機能
- 車線逸脱警報:走行レーン検知機能
トヨタ・アーバンクルーザーとしてもOEM供給
トヨタへのOEM供給
スズキは、eビターラをトヨタ・アーバンクルーザーとしてもOEM供給することを発表しています。これにより、両ブランドを通じて電気自動車の普及を促進する戦略です。
OEM供給の意義
- 技術共有:電気自動車技術の効率的な活用
- 市場拡大:両ブランドによる販売網の活用
- コスト削減:開発・生産コストの効率化
まとめ
スズキeビターラは、同社初の本格的な電気自動車SUVとして、2025年10月の日本発売に向けて注目を集めています。電気自動車専用プラットフォーム「HEARTECT-e」、独自の電動4WDシステム「ALLGRIP-e」、そして最大500km以上の航続距離など、スズキの電動化技術の粋を集めた一台です。
eビターラは、日本のEV市場においてユニークな立ち位置を占めると期待されています。
- サイズ感: 日本の道路事情に「ちょうどいいサイズ」。
- 航続距離: 61kWhバッテリー搭載モデルであれば、400km以上の実用的な航続距離を確保できると予想されており、「不足はない」と評価。
- 競合: 現在の国産EV市場では、トヨタ bZ4X/スバル ソルテラ(大型・高価)、日産アリア(高価、1000万円クラス)、ホンダe(航続距離に不安)など、選択肢が限定的でした。eビターラは「その間を埋めるEV」として期待され、「ちょうどいい国産EVがようやく出てきた」という声も聞かれます。
- 価格: 現時点では価格は未発表ですが、「価格次第ではかなり日本製の注目のEVになる」と、その競争力は価格設定にかかっていると強く示唆されています。
400万円台からの価格設定は、電気自動車市場における新たな選択肢として位置づけられ、トヨタへのOEM供給と合わせて、日本の電気自動車普及に大きく貢献することが期待されます。