フランスの高級自動車ブランド「DSオートモビル」が、2026年5月28日についに日本市場へ新世代フラッグシップEVクロスオーバー「DS N°8(ナンバーエイト)」を正式発売しました。
WLTPモードで750kmという驚異的な航続距離、350PSのAWDパワートレイン、そして1005万円からという価格設定が話題を呼んでいます。本記事では、DS N°8のスペック・デザイン・価格・発売情報まで、あらゆる情報を網羅的に解説します。
DS N°8とは?ブランドの新世代フラッグシップEV:
DSオートモビルはもともとシトロエンの高級ラインとして存在していましたが、2015年に独立ブランドとして設立されました。現在はシトロエン・プジョー・オペルなどを傘下に持つステランティスグループの最上級ブランドとして、ヨーロッパを中心に高い評価を受けています。
これまでのDSモデルは「DS3」「DS7」「DS9」のように「DS+数字」という命名ルールを採用していましたが、N°8からはフランス語の数字表記に用いられる「N°(ナンバー)」をモデル名に冠する新しいネーミング体系に移行しました。これはブランドが新世代EVへと舵を切る意志の表れでもあります。
N°8の開発にあたっては、2023年に発表されたコンセプトカー「DS AERO SPORT LOUNGE(エアロスポーツラウンジ)」からデザインのインスピレーションを得ており、魅惑的なプロポーションとSUVクーペのシルエットを見事に融合した一台に仕上がっています。



DS N°8の外装(エクステリア)デザイン:空力と美しさの融合:
DS N°8の外装デザインは、DSブランドらしいフランスの美意識を体現しながら、EV専用モデルとしての空力性能を極限まで追求した点が大きな特徴です。フロントはグリルを閉じたクローズドデザインとすることで空気抵抗を大幅に低減しており、その分ライティングによる個性的な表情が際立っています。

ボディタイプはファストバッククロスオーバーに分類されます。乗用車よりも車高を高めることで、床下に搭載する大容量バッテリーのスペースを確保しながら、流麗なルーフラインと力強いSUVのフォルムを両立させています。空力性能を示すCd値(空気抵抗係数)は0.24まで低減されており、これがWLTPモード750kmという長大な航続距離にも直結しています。

細部へのこだわりも見逃せません。ドアハンドルはフラッシュサーフェスデザインを採用しており、車がロック状態のときはドアパネルと面一(つらいち)の状態を保ち、解錠されると自動的に展開する電動式となっています。この仕組みは空力改善と同時に、上質なラグジュアリー感を演出する効果も果たしています。

ボディカラーは5色が用意されています。クリスタル パール、ブラン アルバータ、ブルー トパーズ、ノアール ペルラネラ、グリ パラディオムの5色展開で、各色ともDSブランドの洗練されたイメージを体現しています。
DS N°8のボディサイズ:
DS N°8のボディサイズは以下の通りです。

- 全長:4,845mm
- 全幅:1,900mm
- 全高:1,585mm
- ホイールベース:2,905mm
- 車両重量:2,300kg
かつてのブランドフラッグシップサルーン「DS9」(全長4,940mm)と比べると全長は短くなっていますが、EV専用プラットフォームを採用したことでホイールベースは2,895mm(DS9)から2,905mmへと10mm延長されています。このホイールベースの拡大により、前後席ともゆとりある室内空間を確保しており、ファストバッククロスオーバーというボディ形状でありながらサルーンに匹敵する居住性を実現している点は注目に値します。
DS N°8の内装(インテリア)デザイン:フランスの装飾美が光る上質空間:
DS N°8のインテリアは、フランスの伝統的な装飾技法を随所に取り入れた、まさに「走るラウンジ」とも言える高質な空間です。ダッシュボード中央には16インチの大型ワイドインフォテインメントシステムを配置し、その左横には10.25インチのデジタルメータークラスターが並びます。さらにAR(拡張現実)ヘッドアップディスプレイも標準装備されており、ドライバーはナビゲーション情報や速度などをフロントガラスに投影された状態で確認できます。
ステアリングホイールは特徴的な4本スポークデザインを採用。センターコンソールはフラットな造形とすることで室内の開放感を演出しており、前席間の移動もスムーズです。アンビエントライトも標準装備されており、乗車する時間帯や気分に合わせて室内の雰囲気を変えることができます。

音響システムには、高級オーディオブランドとして知られるFocalの「Electra 3Dオーディオシステム(14スピーカー)」を採用しています。Focalはフランスのオーディオメーカーであり、DSと同じフランスブランドとして組み合わせることで、音楽体験においても最高品質を提供しています。


シートにはベンチレーション(通気)とヒーター機能が備わり、夏場の暑さや冬場の寒さを問わず快適なドライブが楽しめます。上位グレードの「アブソリュートコンフォートパッケージ」ではさらにマルチポイントランバーサポートやステアリングヒーターも追加装備され、長距離移動時の疲労軽減に大きく寄与します。

ラゲッジスペースは620Lという十分な容量を確保。ファミリーユースからロングトリップまで幅広いシーンに対応できる実用性の高さも魅力のひとつです。
DS N°8のパワートレインと航続距離:クラストップのEV性能:
DS N°8は、ステランティスグループが開発したCおよびDセグメント向けの最新EV専用プラットフォーム「STLA-Medium」を採用しています。このプラットフォームは高い拡張性を持ち、大容量バッテリーの搭載と優れた走行性能を両立するために設計されています。
日本市場に導入されるのはデュアルモーターAWD(4輪駆動)モデルのみで、スペックは以下の通りです。
- システム最高出力:350PS
- 0〜100km/h加速:5.4秒
- バッテリー容量:97.2kWh(大容量)
- 航続距離(WLTPモード):750km
350PSという出力は日常使いでは十分すぎるほどの動力性能であり、かつブースト機能によって一時的に25PSの出力増加も可能となっています。0〜100km/h加速5.4秒という数値はスポーツカー並みの瞬発力を証明しており、重量2,300kgのボディとは思えない俊敏な加速を体感できます。
特筆すべきは充電性能の高さです。急速充電は最大160kWに対応しており、バッテリー残量が少ない状態から約55%に達するまでは150kW以上の出力を安定して受け入れることができます。さらに充電量80%までの平均充電出力は約126kWという高い水準を誇り、長距離ドライブ中の充電停止時間を最小限に抑えることができます。
なお、海外仕様では74kWhバッテリーを搭載したFWD(前輪駆動)モデルも設定されており、出力230PSまたは245PSのバリエーションが用意されていますが、日本への導入は大容量AWDモデルのみとなっています。
サスペンションには「アダプティブ可変ダンピングシステム」を標準採用しています。このシステムはカメラとセンサーによって前方の路面状況をリアルタイムにスキャンし、凹凸や段差に応じてダンパーの減衰力を瞬時に最適化します。結果として、どのような路面でも常にフラットで快適な乗り心地が実現されています。
DS N°8の安全装備:DS ドライブアシストによる充実のサポート:
DS N°8には「DS ドライブアシスト」と呼ばれる最新の運転支援システムが標準搭載されています。具体的には以下の機能が装備されています。
- アクティブクルーズコントロール(ストップ&ゴー機能付き):前走車との車間距離を自動維持し、渋滞時の低速走行にも対応
- レーンポジショニングアシスト/レーンキープアシスト:車線内の適切な位置をキープし、意図しない車線逸脱を防止
- ブラインドスポットモニター/アクティブレーンチェンジアシスト:死角にいる車両を検知し、安全な車線変更をサポート
- トラフィックサインインフォメーション:道路標識を認識してドライバーへ情報を伝達
- ドライバーアテンションモニタリング:ドライバーの注意力低下を検知して警告
- 360°ビジョン(フロント・サイド・リアカメラ):クルマ周囲を360度モニタリングし、駐車や狭路走行をサポート
これらの機能により、高速道路での長距離移動から都市部での細街路走行まで、さまざまなシーンで安心・安全なドライブを実現します。
DS N°8のグレードと価格:
DS N°8の日本仕様は2グレード構成です。
- N°8 ETOILE AWD:1,005万円
- N°8 ETOILE AWD アブソリュートコンフォートパッケージ:1,045万円
「ETOILE(エトワール)」はフランス語で「星」を意味し、DSブランドの最上級グレードを表す名称です。標準グレードのETOILE AWDでも16インチインフォテインメントシステム、ARヘッドアップディスプレイ、14スピーカーFocalオーディオ、360°ビジョンカメラ、アダプティブサスペンションなど、極めて充実した装備が標準装備されています。
上位グレードの「アブソリュートコンフォートパッケージ」では、マルチポイントランバーサポート(腰部の多点サポート機構)、シートベンチレーション、ステアリングヒーターが追加され、より快適な長距離移動が楽しめる仕様となっています。差額は40万円であり、長距離移動をメインとするユーザーには上位グレードも十分検討に値する選択肢といえます。
1,000万円超という価格設定は、国産EVや一部の輸入EVと比較すると高価格帯に位置しますが、フランスの伝統的な美意識と最新EV技術を融合させた「走る芸術品」としての付加価値を考えると、ラグジュアリーセグメントにおける競争力は十分あるといえるでしょう。
DS N°8の発売日と今後の展開:
DS N°8は2024年12月12日にワールドプレミアが行われ、2026年5月28日に日本で正式発売となりました。世界初公開から約1年半を経て、満を持して日本市場への上陸を果たした形です。
DSオートモビルは今後のモデルラインナップをEV専用へと順次移行する方針を打ち出しており、N°8はその戦略の中核を担うフラッグシップモデルとして位置づけられています。また、すでに後継・姉妹モデルとなるDS N°7(DS7の後継)やDS N°4(DS4からのモデル名変更)の情報も公表されており、DSブランド全体のEV化・モデル名刷新が進んでいます。
DS N°8スペック早見表:
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| ボディタイプ | ファストバッククロスオーバー |
| 全長×全幅×全高 | 4,845×1,900×1,585mm |
| ホイールベース | 2,905mm |
| 車両重量 | 2,300kg |
| 駆動方式 | AWD(デュアルモーター) |
| システム最高出力 | 350PS |
| 0〜100km/h加速 | 5.4秒 |
| バッテリー容量 | 97.2kWh |
| 航続距離(WLTP) | 750km |
| 急速充電 | 最大160kW |
| Cd値 | 0.24 |
| ラゲッジ容量 | 620L |
| 車両価格 | 1,005万円〜1,045万円 |
まとめ:DS N°8は「フランスの美意識」と「最先端EV技術」の結晶:
DS N°8は、航続距離750km・急速充電最大160kW・350PSのAWDパワートレインという最先端EV性能と、16インチ大型ディスプレイ・14スピーカーFocalオーディオ・フランス伝統の装飾美が融合したインテリアを高次元で両立させた一台です。1,005万円からという価格は決して安くはありませんが、ラグジュアリーEVセグメントにおいて他モデルとは一線を画す個性と完成度を誇っています。
EV市場が急速に拡大する中、DSブランドが「N°8」というモデルに込めたメッセージは明確です。それは「フランスの美と文化を、電動化の時代においても妥協なく体現する」というものです。従来のラグジュアリーEVとは一味違う、フランス的エレガンスをまとった新世代クロスオーバーとして、DS N°8は日本市場でも注目を集めることになりそうです。

