2026年5月22日、ホンダはインド市場向けにコンパクトセダン「シティ(Honda City)」のマイナーチェンジモデルを正式発表・発売しました。 第5世代シティとしては2度目のフェイスリフトとなる今回のアップデートは、エクステリアのデザイン刷新にとどまらず、インテリアの質感や装備内容も大幅に強化されており、エントリーセダンの概念を大きく塗り替える仕上がりとなっています。本記事では外装・内装・パワートレイン・価格・ライバル比較まで、最新情報を余すことなく解説します。
ホンダ新型シティとは?モデル概要:
ホンダ・シティは、アジア・インド・中東などの新興国市場を中心に展開するコンパクトセダンです。日本ではなじみが薄い車種ですが、インドをはじめとするアジア圏では非常に高い人気を誇り、手頃な価格でありながら実用性と走行性能を両立したモデルとして長年支持されてきました。現行の第5世代モデルは2019年に登場し、今回のマイナーチェンジは2度目のフェイスリフトとなります。ヒュンダイ・ヴェルナ(Verna)、シュコダ・スラヴィア(Slavia)、フォルクスワーゲン・ヴィルタス(Virtus)といった強力なライバルに対抗すべく、商品力を大幅に引き上げた注目のアップデートです。
マイナーチェンジの主なポイント(まとめ):
今回のアップデートで変更されたポイントを先にまとめると、フロントフェイスの全面刷新(アコード・シビックからインスパイアを受けたデザイン言語の採用)、インフォテインメントシステムの8インチから10.1インチへのサイズアップ、シートベンチレーション(通気シート)の新採用、360度カメラ(マルチビューカメラ)の搭載、電動パーキングブレーキ(EPB)+オートブレーキホールド(ABH)の採用、上位グレードへのサンルーフ・アンビエントライト・ワイヤレス充電・8スピーカー・アイボリー本革シートの追加、そして新色クリスタルブラックパールの追加という点が挙げられます。一方でパワートレインに変更はなく、ガソリン(i-VTEC)とハイブリッド(e:HEV)の2系統が継続して設定されています。
エクステリア(外装)の変更点を詳しく解説:
フロントマスク:新型プレリュード・シビック・アコードのDNAを継承

今回のマイナーチェンジで最も大きく変わったのが、フロントマスクのデザインです。従来モデルで採用されていたクロームバーは廃止され、代わりにLEDセンターライト(一文字LED)が採用されました。このLEDストリップはヘッドライト同士を上部でつなぐ構造となっており、N-BOXに続いてホンダ車として2車種目の採用となります。スリムで鋭いヘッドライトのデザインは、どことなく新型プレリュード(BF1)を彷彿とさせながらも、ヘッドライトを囲い込むように配置されたアッパーハニカムグリルはシビックのDNAを色濃く継承しており、上位モデルであるアコードの雰囲気も漂わせる、ブランド全体で統一されたデザイン言語を体現しています。
さらにフロントノーズには「H」エンブレムが移行し、この点は新型プレリュードやZR-Vと共通となりました。ボディ同色パーツを積極的に採用することで、クリーンでありながら中々にアグレッシブな顔つきを実現しています。
フロントバンパー・ホイール:よりスポーティな仕上がりに
フロントバンパーの両サイドに配されたエアインテークは、従来の丸みを帯びた形状から角張った縦基調のデザインへと変更され、よりアグレッシブな印象を与えています。ホイールは16インチ・5スポーク・ダイヤモンドカットアルミホイールが新採用されました。なお、ホイール締結は4穴式となっており、エントリーセダンとしてのポジショニングが維持されています。
リアデザイン:クリアテールレンズとディフューザーで引き締め
リアデザインにもさりげない変更が施されています。テールランプはクリアレンズを採用し、内部のLEDグラフィックスも刷新されました。ただし、リアウィンカーは非LEDのまま据え置きとなっています。リアバンパーはハニカムメッシュパターン付きのディフューザーが新たに採用され、縦基調のリフレクター(反射板)とグロスブラックのパーツがアクセントとなり、スポーティかつ引き締まった印象に仕上がっています。トランクスポイラーもスポーティさを加味する要素として機能しています。
インテリア(内装)の進化を徹底チェック:
10.1インチインフォテインメントシステムへアップグレード

インテリアの変更の目玉となるのが、センターナビゲーションの大型化です。従来の8インチ画面から10.1インチへとサイズアップされ、視認性・操作性が大幅に向上しました。ただし、ダッシュボード全体の構造やレイアウト自体は変更されていないため、後付けナビを装着したような印象を受けるという指摘もあります。メーターパネルは、ヴェゼルやWR-Vと同様の7インチ液晶+アナログのハイブリッドメーターを採用し、視認性と先進感を両立しています。
シートベンチレーション(通気シート)を新採用:インド市場への最適化
今回のマイナーチェンジで特に注目すべき装備が、フロントシートへのシートベンチレーション(通気機能)の採用です。インドという高温多湿の市場に特化して、シートヒーターは搭載せず、あえてシートベンチレーションのみを採用するという潔い割り切りは、現地市場のニーズを正確に捉えたものと言えます。これはコンパクトセダンのクラスとしては破格の装備であり、競合モデルに対する大きなアドバンテージとなっています。
電動パーキングブレーキ(EPB)+オートブレーキホールド(ABH)
センターコンソールには、ストレートタイプのシフトブーツ付きシフトレバーとともに、電動パーキングブレーキ(EPB)とオートブレーキホールド(ABH)が採用されました。信号待ちなどの際にブレーキを踏み続ける必要がなくなるこの機能は、利便性を大幅に向上させるものであり、エントリーセダンへの採用はインパクトがあります。
上位グレードの充実した装備:サンルーフ・ワイヤレス充電・8スピーカー・本革シート
上位グレードのZX+ともなると、装備内容はさらに充実します。電動サンルーフ、アンビエントライト、ワイヤレス充電パッド(e:HEVモデルのみ)、8スピーカーオーディオシステム、アイボリーカラーの本革シートが標準装備となるほか、後席にはセンター格納式アームレストも備わります。また、360度マルチビューカメラ(MVC)も搭載されており、車庫入れや狭い道での取り回しを強力にサポートします。USB Type-C(入力用&急速充電用)もしっかり搭載されており、現代のスマートフォン環境にも対応しています。
Honda SENSING(レベル2 ADAS):先進安全技術も充実
上位グレードには、ホンダの先進安全運転支援システム「Honda SENSING」によるレベル2 ADASが搭載されます。具体的な機能としては、衝突軽減ブレーキシステム(CMBS)、車線維持支援システム(LKAS)、道路逸脱軽減システム、先行車発進お知らせ機能、オートハイビーム、そしてe:HEVモデルには低速追従対応のアダプティブクルーズコントロール(ACC)まで揃っており、エントリーセダンとしての安全水準は非常に高いと言えます。
パワートレインとスペック:
パワートレインに変更はなく、自然吸気ガソリンエンジンとハイブリッドe:HEVの2系統が継続して設定されています。
ガソリンモデルは1.5リッター直列4気筒自然吸気エンジン(i-VTEC DOHC+VTC)を搭載し、最高出力121PS(6,600rpm)、最大トルク145Nm(4,300rpm)を発揮します。燃費性能はMT仕様で17.77km/L、CVT仕様で17.97km/Lとなっており、トランスミッションは6速MTまたはCVT(パドルシフター付き)から選択可能です。駆動方式はFFのみとなります。
$$\text{ガソリンモデル最高出力} = 121\text{ PS} @ 6{,}600\text{ rpm}$$
ハイブリッドモデルは、ホンダ独自のセルフチャージング式ツーモーターストロングハイブリッドシステム「e:HEV」を搭載します。システム総合最高出力は126PS、最大トルクは253Nm(0〜3,000rpm)と、低回転域から豊かなトルクを発揮するのが特徴です。燃費性能は27.26km/Lと、ガソリンモデルの約1.5倍以上の優れた燃費を実現しており、走行モードはEVドライブ・ハイブリッドドライブ・エンジンドライブを自動的に切り替えます。トランスミッションはe-CVT(エンジン直結クラッチ採用)のみで、駆動方式はFFのみです。
$$\text{e:HEV燃費} = 27.26\text{ km/L(ガソリンモデル比 約}+53%\text{の燃費向上)}$$
燃料タンク容量はガソリン・e:HEVともに40リットルで統一されています。
ボディカラー全6色:
新型シティのボディカラーはモノトーンのみ全6色が用意されています。ラディアントレッドメタリック、ルナシルバーメタリック、プラチナホワイトパール、オブシディアンブルーパール、メテオロイドグレーメタリック、そして今回のマイナーチェンジで新たに追加されたクリスタルブラックパールがラインナップされます。クリスタルブラックパールの追加により、よりスポーティで引き締まった印象を求めるユーザーにも対応できるカラー展開となりました。
グレードと価格:
グレード体系はガソリンモデルがSV・V・ZX・ZX+の4グレード(SVはMTのみ、V・ZX・ZX+はMT/CVTの選択可)、e:HEVモデルはZX+グレードのみの設定となります。
価格帯については以下の通りです。
- ガソリンSV(MT):1,199,900ルピー(日本円で約199万円 / 約12,500米ドル)
- e:HEV ZX+(e-CVT):2,100,000ルピー(日本円で約348万円 / 約22,000米ドル)
エントリーグレードが約199万円(インド国内基準)からと非常に手頃な価格設定でありながら、上位グレードには本革シートやサンルーフ、ADAS、ワイヤレス充電など充実した装備が揃うという、コストパフォーマンスの高さが際立っています。
ライバル車との比較:
新型シティが戦うインドのコンパクトセダンセグメントは、ヒュンダイ・ヴェルナ(Hyundai Verna)、シュコダ・スラヴィア(Skoda Slavia)、フォルクスワーゲン・ヴィルタス(VW Virtus)が主要なライバルとなります。特に今年3月にフェイスリフトを発表したヴェルナは直接的な強敵であり、シティはシートベンチレーション、360度カメラ、e:HEVハイブリッドという他社が追いつきにくい独自の強みを持って対抗します。e:HEVの27.26km/Lという燃費性能はクラストップレベルであり、燃料費を重視するインド市場のユーザーに対する訴求力は非常に高いと言えるでしょう。また、Honda SENSINGによる先進安全装備も競合を一歩リードする領域です。
まとめ・総評:
2026年モデルのホンダ新型シティ(マイナーチェンジ)は、単なる「顔替え」に終わらない、実質的な商品力の大幅アップを実現したアップデートです。新型プレリュード・シビック・アコードを想起させるアグレッシブかつクリーンなフロントマスク、10.1インチナビへの拡大、シートベンチレーション・EPB・ABH・360度カメラ・アンビエントライト・ワイヤレス充電・8スピーカーといった充実した装備、そして27.26km/Lを誇るe:HEVの優れた燃費性能は、「エントリーセダンの常識を超えた一台」と評しても過言ではありません。
第5世代シティとして2019年のデビューから7年目を迎えるモデルながら、今回のアップデートによってまだまだ競争力を維持できることを証明した格好です。インド市場のみならず、アジア・中東市場においても引き続き強い存在感を示すことが予想されます。日本市場への導入予定は現時点ではありませんが、そのコストパフォーマンスと装備の充実度は、日本の消費者にとっても十分に羨ましい水準と言えるでしょう。
ホンダ 新型シティ マイナーチェンジ 主要スペック一覧
| 項目 | ガソリンモデル | e:HEVモデル |
|---|---|---|
| エンジン | 1.5L i-VTEC DOHC(直4 NA) | 1.5L i-VTEC + ツーモーターハイブリッド |
| 最高出力 | 121PS / 6,600rpm | システム合計 126PS |
| 最大トルク | 145Nm / 4,300rpm | 253Nm / 0〜3,000rpm |
| トランスミッション | 6速MT / CVT | e-CVT |
| 駆動方式 | FF | FF |
| 燃費(インド計測) | 17.77km/L(MT)/ 17.97km/L(CVT) | 27.26km/L |
| 燃料タンク容量 | 40L | 40L |
| インフォテインメント | 10.1インチ タッチスクリーン | 10.1インチ タッチスクリーン |
| ADAS | Honda SENSING(レベル2相当) | Honda SENSING + ACC(低速追従) |
| 車両本体価格(インド) | 119.99万ルピー〜 | 210万ルピー(ZX+のみ) |
ホンダ ニュースリリース
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