ロールスロイスは2026年6月3日、ブランド初の電気自動車(EV)「スペクター(Spectre)」の改良版となる「スペクター シリーズII(Series II)」を正式発表しました。
2023年に初登場してから約3年ぶりとなる今回のアップデートでは、外装デザインの変更は最小限にとどめながらも、EV性能の大幅な強化と圧倒的な職人技によるインテリアの刷新が行われています。本記事では、最新情報をもとにスペクター シリーズIIの外装・内装・スペック・価格・発売日まで詳しく解説します。
ロールスロイス スペクター シリーズII|概要と登場背景:
ロールスロイス・スペクターは、ブランドの象徴的なフラッグシップサルーン「ファントム」をベースとした2ドアクーペ「ファントム クーペ」の後継として企画され、2023年にロールスロイス初の純電気自動車として世界デビューを果たしました。ブランドの電動化戦略の先陣を切るモデルとして高い注目を集めた初代スペクターに続き、今回登場したシリーズIIは「マイナーチェンジ(一部改良)」という位置づけながら、パワートレインの刷新・バッテリーの大容量化・最先端インテリアの採用と、事実上の全面強化とも言える内容となっています。

ロールスロイスは2023年以降、2025年2月にはハイパフォーマンスバリアント「スペクター ブラックバッジ」を追加ラインナップに設定するなど、スペクターのブランド内ポジションを着実に高めてきました。今回のシリーズIIでは、その両グレードがともに刷新されており、超高級EVとしての競争力がさらに引き上げられています。


ロールスロイス スペクター シリーズII|変更点まとめ:
今回のシリーズIIにおける主な変更点は以下のとおりです。
- 最新EVパワートレインの搭載により出力を大幅にアップ
- バッテリー容量を112.4kWhへ拡大し、航続距離を最大18%延長(最長628km)
- 急速充電時間を最大14%短縮(10〜80%を最短28分で充電可能)
- 新型ワイドスクリーンディスプレイとイルミネーション・フェイシア・アートワークを採用した新インテリア
- 航空機の計器にインスパイアされた新デザインのアナログ時計を装備
- 新素材「デュアリティ・ツイル」「プレイスド・パーフォレーション・レザー」「ブリンドル・ウォールナット・ベニア」をインテリアに追加
- ブラックバッジ グレードに「アイスド・ブラック・エクステリアディテーリング」と新ホイールを採用
ロールスロイス スペクター シリーズII|外装(エクステリア)デザイン:
シリーズIIの外装は、基本的なフォルムを変更せず、ブランドの伝統的なデザイン言語を継承しています。ロールスロイスとしては異例とも言える「大掛かりなフェイスリフトを行わない」方針を採用しており、一見したところ初代スペクターと識別することは難しいほどです。これは同ブランドが従来から実践してきた「進化は表面だけでなく内側から」という思想を忠実に体現したものと言えるでしょう。

目に見える変更点としては、新色「イーサリアル・ブルー(Ethereal Blue)」のボディカラーが追加された点と、23インチ鍛造アルミホイールが新デザインになった点が挙げられます。このホイールは部分研磨(パート・ポリッシュ)か全面研磨(フル・ポリッシュ)から仕上げを選択できるようになっており、オーナーの好みに合わせたカスタマイズが可能です。

一方、ハイパフォーマンス仕様の「ブラックバッジ スペクター シリーズII」では、クロームパーツをすべてマット仕上げに置き換えた「アイスド・ブラック・エクステリアディテーリング」を採用。専用の新ホイールと相まって、より一層の存在感と威圧感を演出しています。
なお、スペクターの空力性能は歴代ロールスロイス車の中でも最高水準を誇っており、Cd値(空気抵抗係数)は0.25を達成。ブランドの象徴的なマスコット「スピリット オブ エクスタシー」も空力最適化が施されており、EVとしての走行効率向上に貢献しています。

ボディサイズは、全長5,475mm × 全幅2,144mm × 全高1,573mm、ホイールベース3,210mmと、先代の2ドアクーペ「レイス(Wraith)」よりひとまわり大きく設計されています。車重は、700kgにも達する大型バッテリーを搭載していることもあり、2,890kgという堂々たる数値です。専用アルミニウムプラットフォームは歴代ロールスロイス車比で剛性が30%以上向上しており、その重量を感じさせない上質な乗り心地が実現されています。
ロールスロイス スペクター シリーズII|内装(インテリア)デザイン:
シリーズIIで最も大きな進化を遂げたのが内装です。ロールスロイスは「インテリアパレットの大幅拡張」を公式に謳っており、新素材・新技術・新デザインの組み合わせによって、他の追随を許さない超高級インテリアが構築されています。

ダッシュボードには新型ワイドスクリーンディスプレイが採用されており、現代的なデジタルコックピットへと進化しました。しかし単に「大型ディスプレイを置いた」だけにとどまらないのがロールスロイスらしさで、ダッシュボードのファシアには「イルミネーション・フェイシア・アートワーク」と呼ばれる新機構が搭載されています。これは8,108個のピクセル状の発光点で構成された、方向性のある波紋模様(ダイレクショナル・ウェーブ・パターン)を描き出すもので、夜間の車内を幻想的に演出します。また時計には、航空機の計器類からインスピレーションを受けた新デザインが採用されており、伝統と技術革新の融合を体現しています。

新素材の目玉となるのが「デュアリティ・ツイル(Duality Twill)」です。これは竹を原料とするレーヨン生地であり、環境に配慮したサステナブルな素材として注目されます。帆船のロープを思わせる複雑な刺繍が施されており、仕上がりによっては最大260万針・16km(10マイル)もの糸が使用され、完成まで最大25時間を要します。カラーはブラック・チョコレート・ライラック・セージの4色展開で、刺繍の色だけで50種類以上のオプションが用意されているため、事実上オーナーごとに唯一無二の内装が仕上がる計算です。

「プレイスド・パーフォレーション・レザー(Placed Perforation Leather)」も新たに設定された特別仕様で、精密にカットされたパターンによってレザーに独自のアートワークを描き出す技法です。ロールスロイスが公開した一例では、シートのバックレストとヘッドレストに3種類の異なるサイズで合計78,138個もの穴を開けることにより、月明かりに照らされた雲のイメージを表現しています。さらに、新しいトリム素材として「ブリンドル・ウォールナット・ベニア(Brindled Walnut Veneer)」も追加されており、ベニアに微細なガラス粉末を混入することでキラキラとしたきらめきを放つ高光沢仕上げとなっています。

その他、ロールスロイス スペクターの伝統的装備として、前開きの観音扉「コーチドア」も引き続き採用。乗降時の優雅さはシリーズIIでも変わらず受け継がれています。また、ドア内にはロールスロイス全モデルに共通する「傘収納ポケット」が設けられており、突然の雨でも乗員が濡れずに済む実用的な配慮も健在です。

ロールスロイス スペクター シリーズII|スペック・航続距離:
シリーズIIでは、パワートレインが全面的に刷新されており、前モデル比で出力・トルクともに大幅な向上を遂げています。
▼ロールスロイス スペクター シリーズII スペック表
| 項目 | スペクター(ベースモデル) | スペクター ブラックバッジ |
|---|---|---|
| パワートレイン | 電気モーター × 2(AWD) | 電気モーター × 2(AWD) |
| 最高出力 | 601ps(442kW) | 680ps(500kW) |
| 最大トルク | 103.5kgm(1,015Nm) | 112.2kgm(1,100Nm) |
| 0→100km/h加速 | 約4.4秒 | 約4.1秒 |
| バッテリー容量 | 112.4kWh | 112.4kWh |
| 航続距離(WLTP) | 最大628km | ー |
| 急速充電(DC) | 195kW(10〜80%:最短28分) | 195kW |
前モデル(ベースモデル:585ps・91.8kgm、航続距離530km)と比較すると、出力は約16ps・約12kgm向上し、航続距離は実に98km(約18%)も伸長しています。バッテリー容量は112.4kWhへ増加し、再設計されたバッテリーセル技術によって充電時間も最大14%短縮されました。急速充電(DC 195kW)に対応しており、10〜80%の充電が最短28分で完了します。
ブラックバッジ グレードは最高出力680ps・最大トルク112.2kgmというモンスタースペックで、0〜100km/h加速を4.1秒でこなします。超高級クーペとしての静粛性・快適性を損なうことなく、スポーティな走行性能を両立しているのがロールスロイスのEV技術の真骨頂です。
サスペンションには最新の「プラナー・サスペンション(Planar Suspension)」が引き続き採用されており、アンチロールバーを切り離して各ホイールが独立して作動するシステムにより、路面の悪い環境でもきわめてスムーズな乗り心地を提供します。
ロールスロイス スペクター シリーズII|価格:
ロールスロイス スペクター シリーズIIの日本国内価格は、約4,800万円からとされています。この価格帯はブランドラインナップの中でSUV「カリナン(約4,258万円)」の上位、フラッグシップサルーン「ファントム(約6,050万円)」の下位に位置する設定です。ブラックバッジや各種ビスポーク(特注)オプションを追加すると、さらに大きく価格が上昇する点はロールスロイスらしいと言えるでしょう。
▼ロールスロイス 主要モデル価格(参考)
- スペクター シリーズII:約4,800万円〜
- カリナン:約4,258万円〜
- ファントム:約6,050万円〜
- ファントム エクステンデッド:約7,007万円〜
ロールスロイス スペクター シリーズII|発売日・日本導入時期:
ロールスロイス スペクター シリーズIIは、2026年6月3日にワールドプレミアが行われ、同日より顧客への案内(オーダー受付)が開始されています。日本への正式導入については現時点で公式なアナウンスはありませんが、ロールスロイスの過去の展開パターンを踏まえると、2026年後半から2027年初頭にかけての国内デリバリー開始が予想されます。
ロールスロイス スペクター シリーズII|まとめ:
2026年6月に発表されたロールスロイス スペクター シリーズIIは、外観の変更を最小限に抑えながらも、パワートレイン・バッテリー・インテリアの全方位でアップグレードを果たした実質的な全面強化モデルです。航続距離最大628km・最高出力601ps(ブラックバッジは680ps)という数値は、超高級EVセグメントにおけるリーダーシップを明確に示しています。
8,108個の発光点で構成されたダッシュボードの光の波紋、260万針に及ぶ刺繍を施したデュアリティ・ツイル、78,138個の穴が描き出すレザーアートなど、シリーズIIが体現するのは単なる「スペックの向上」ではなく、クルマを芸術作品に昇華させるロールスロイスの変わらぬ哲学です。EVという最新技術の枠組みの中で、ブランドの伝統と職人技をさらに深化させたスペクター シリーズIIは、超高級電気自動車の新たな基準点として、世界の富裕層から熱い視線を集めることになるでしょう。
本記事は2026年6月時点の情報をもとに作成しています。最新情報は公式サイト(https://www.rolls-roycemotorcars.com/ja_JP/home.html)および正規ディーラーにてご確認ください。

