トヨタ自動車は2026年4月10日、ミドルクラスミニバン「ノア(NOAH)」を一部改良(ビッグマイナーチェンジ)し、兄弟車の「ヴォクシー(VOXY)」とともに2026年5月6日に発売することを発表しました。改良後の価格はノアが326万1,500円から430万9,800円となっています。なお、ウェルキャブ仕様については2026年5月中旬ごろの発売が予定されています。
今回の一部改良は、2022年1月のフルモデルチェンジ以来、現行モデルとしては初となる大幅なアップデートです。カーボンニュートラルの実現に向けてパワートレインをハイブリッド車のみに統一したことを筆頭に、エクステリアデザインのエアロ仕様への一本化、新グレード「S-X」の追加、内装の質感向上、メーターの大型化、安全装備の拡充、そして生産体制の強化と、多岐にわたる改良が施されています。
ガソリン車廃止・ハイブリッド専用化で環境性能と走行性能を両立
今回の一部改良における最も大きな変更点のひとつが、パワートレインラインアップをハイブリッド車に統一したことです(ウェルキャブを除く)。これまでガソリン車と併売されていたノアですが、トヨタが掲げるカーボンニュートラルへの取り組みを加速するため、「カローラ」シリーズと同様にガソリン車を廃止し、ハイブリッド車のみのラインアップへと移行しました。

搭載されるパワートレインは、TNGA設計による直列4気筒1.8リットルエンジンと電気モーターを組み合わせたハイブリッドシステムです。エンジン最高出力は98ps、最大トルクは14.5kgm、フロントモーターの最高出力は95ps、最大トルクは18.9kgmを発揮します。4WD仕様の「E-Four」では、リヤモーターが41ps、8.6kgmを発揮し、電気式四輪駆動による優れた走行安定性を提供します。
燃費性能はWLTCモードでFF車が23.6km/L、E-Four車が21.9km/Lと良好な数値を実現しており、前世代のハイブリッド車の19.8km/Lから大幅に改善されています。ハイブリッドシステムが持つ静粛性の高さは、ミニバンとして求められる快適な移動空間の実現にも貢献しており、ファミリーカーとしての価値をさらに高めています。
エクステリアをエアロ仕様の1タイプに集約、新しいフロントデザインに刷新
エクステリアデザインでは、これまでグレードによって標準仕様とエアロ仕様の2タイプが設定されていた外観デザインを、エアロ仕様の1タイプに集約しました。これにより、すべてのグレードで統一された力強くスタイリッシュなエアロデザインが採用されることになります。

フロントデザインは新しい内部グラフィックを採用したヘッドライトに刷新され、デイタイムライトの位置をヘッドライト下部から上部へと移動させ、ライトユニットを囲むように配置するとともに、新デザインのグリルにより左右が接続されるすっきりとした印象のフロントフェイスとなっています。フロントグリルのメッキ部位についてはメッキモール+ボディカラー同色に変更されており、ボディとの一体感が高められています。
LEDヘッドライトについては、プロジェクター式LEDヘッドライト(マニュアルレベリング機能付き)+LEDターンランプ+LEDクリアランスランプが全車に標準装備されました。最上級グレードのS-Zにはメーカーオプションとして、プロジェクター式LEDヘッドライト(オートレベリング機能付き)+LEDターンランプ+LEDクリアランスランプ(デイライト機能付き)も設定されており、夜間の視認性と存在感をさらに高めることができます。


「X」グレード廃止、エアロ仕様エントリーの新グレード「S-X」を新設定
グレード構成においても大きな変更が加えられています。これまで標準仕様デザインのエントリーグレードとして設定されていた「X」グレードが廃止され、代わりにエアロ仕様デザインの新グレード「S-X」が新たに設定されました。これにより、すべてのグレードがエアロデザインで統一されることになります。

S-Xはエアロ仕様のエントリーグレードとしての位置づけとなっており、コストパフォーマンスを重視するユーザー向けの選択肢として用意されています。改良後のグレード構成は最上級の「S-Z」、中間の「S-G」、新設の「S-X」の3グレードとなっています。なお、S-Xではシフトノブとウィンドウスイッチまわりのピアノブラック塗装への変更は対象外となっているほか、ワンタッチスイッチ付きデュアルパワースライドドアはメーカーオプションの設定となっています。

価格体系の変更点:ガソリン廃止でエントリー価格が上昇
価格体系については、ガソリン車の廃止によりエントリー価格が変更されています。これまでガソリン車の「X」グレードが283万300円から設定されていたのに対し、改良後はハイブリッド車のみとなり、エントリーグレードのHYBRID S-Xが326万1,500円からのスタートとなります。
各グレードの価格は以下の通りです。HYBRID S-Xは2WD(7人乗り・8人乗り同価格)が326万1,500円、E-Fourが351万4,500円。HYBRID S-Gは2WD(7人乗り・8人乗り同価格)が370万400円、E-Fourが395万3,400円。HYBRID S-Zは2WD(7人乗り)が405万6,800円、E-Fourが430万9,800円となっています。継続設定されたハイブリッド車では、S-Gが前モデル比155,100円増、S-Zが127,600円増となっており、装備内容の充実を考慮した価格設定となっています。
トヨタ ノア 一部改良モデル 価格表(2026年5月6日発売)
HYBRID S-Z(7人乗り)
| 駆動方式 | 価格(税込) |
|---|---|
| 2WD(FF) | 4,056,800円 |
| E-Four(4WD) | 4,309,800円 |
HYBRID S-G
| 駆動方式 | 乗車定員 | 価格(税込) |
|---|---|---|
| 2WD(FF) | 7人乗り | 3,700,400円 |
| E-Four(4WD) | 7人乗り | 3,953,400円 |
| 2WD(FF) | 8人乗り | 3,700,400円 |
HYBRID S-X(新設定グレード)
| 駆動方式 | 乗車定員 | 価格(税込) |
|---|---|---|
| 2WD(FF) | 7人乗り | 3,261,500円 |
| E-Four(4WD) | 7人乗り | 3,514,500円 |
| 2WD(FF) | 8人乗り | 3,261,500円 |
補足情報
- ガソリン車は今回の改良で廃止となり、全グレードがハイブリッド車(HYBRID)のみの設定となりました(ウェルキャブを除く)。
- 「S-X」グレードは今回新設定されたエアロデザインのエントリーグレードです。従来の「X」グレード(ガソリン・ハイブリッドともに廃止)に代わる位置づけとなります。
- S-Zは7人乗りのみの設定となっています。
- S-Gの8人乗りはFF(2WD)のみの設定です。
- S-Xの8人乗りはFF(2WD)のみの設定です。
- ウェルキャブ仕様は2026年5月中旬ごろの発売予定です。
内装の質感を大幅向上、ピアノブラックとステッチ加工で上質な空間を実現
インテリアにおいても多くの改良が施されています。S-Xを除くグレードでは、シフトノブとウィンドウスイッチまわりがピアノブラック塗装に変更され、スポーティさと上質感が向上しました。ピアノブラックの光沢感が室内の質感を引き締め、ミニバンとして高い質感を要求するユーザーの期待に応えています。

最上級グレードのS-Zでは、さらに踏み込んだ内装改良が行われています。メーターフードに表皮巻き・ステッチ加工が施され、インストルメントパネルとドアトリムにはステッチ加工が追加されています。シート表皮の意匠も変更されており、室内全体として統一感のある上質な仕上がりとなっています。これらの内装改良により、クラスレベルを超えた上質な室内空間が実現されています。
また、ノイズの侵入経路に防音材等を最適に配置することで、車内の静粛性が向上しています。ハイブリッドシステムの低騒音特性と組み合わせることで、会話が弾む静かな車内環境が提供されており、長距離のファミリードライブでも快適に過ごすことができます。
メーターを大型化、S-Zは12.3インチ・S-Xとs-Gは7インチに進化
今回の一部改良で注目される変更点のひとつが、メーターの液晶部分の大型化です。S-Zグレードでは従来の7インチから12.3インチへと大幅に拡大され、オプティトロンメーターと組み合わせた12.3インチTFTカラーマルチインフォメーションディスプレイが採用されました。S-GとS-Xグレードでも従来の4.2インチから7インチへと大型化され、オプティトロンメーターと7.0インチTFTカラーマルチインフォメーションディスプレイの組み合わせとなっています。

大型化されたメーターは視認性が大幅に向上しており、走行中に速度、燃費、ハイブリッドシステムの状態、ナビゲーション情報など多彩な情報をひと目で確認できます。特にS-Zの12.3インチという大画面ディスプレイは、クラストップレベルの情報表示面積を誇り、運転時のドライバーの利便性を大きく向上させています。

前後方ドライブレコーダー標準装備・ワンタッチデュアルパワースライドドアをS-Gに追加
安全装備と利便装備の充実も今回の改良における重要なポイントです。前後方ドライブレコーダーがS-Zグレードに標準装備として追加され、S-Gグレードにはメーカーオプションとして設定されました。近年ドライブレコーダーへの需要が急速に高まっている中、メーカー装着品として設定されることで、取り付けの手間や整合性の面で優れた選択肢となっています。
また、ワンタッチスイッチ付きデュアルパワースライドドアがS-Gグレードに標準装備として追加されました(S-Xはメーカーオプション)。これまでS-Gでは助手席側のみがワンタッチスイッチ付きパワースライドドアとなっていましたが、両側デュアルの標準装備化により、乗り降りの利便性が大幅に向上しています。子どもや荷物を持ったまま両側のドアをワンタッチで操作できる機能は、ファミリーカーとして特に重宝される装備です。
E-Four車にSNOW EXTRAモードを新設定、雪道の走破性が大幅向上
四輪駆動システム「E-Four」搭載車向けに、新たに「SNOW EXTRAモード(スノーエクストラモード)」がドライブモードセレクトに追加設定されました。このモードでは、発進時・旋回時・スリップ時のみに稼働していたE-Fourをフルタイム化することで、雪上のあらゆる走行シーンにおいて前後の駆動力を緻密に制御し、高い走行安定性を実現します。

これまでのE-Fourは必要な場面でのみリアモーターが稼働する仕組みでしたが、SNOW EXTRAモードではリアモーターが常時稼働する形となることで、雪道や凍結路面での走行安定性が大幅に向上しています。日本の降雪地域での使用が多いミニバンにとって、この機能の追加は非常に重要な改良といえます。また、ショックアブソーバーの減衰力を最適化することで乗り心地の改善も図られており、快適性と走行性能の両面でのアップグレードが実現されています。
新色「ニュートラルブラック」「アーバンロック」追加、ボディカラーを刷新
ボディカラーの構成も変更されています。「グリッターブラックガラスフレーク」と「アティチュードブラックマイカ」が廃止され、新たに「ニュートラルブラック」と「アーバンロック」が追加されました。改良後のカラーラインアップは「ニュートラルブラック」「アーバンロック」「プラチナホワイトパールマイカ」「メタルストリームメタリック」の4色となっています。

ニュートラルブラックは洗練されたブラック系の上質なカラーであり、アーバンロックは都市の岩肌をイメージしたグレー系の新鮮なカラーとなっています。この2色の新色追加により、より現代的でシックなカラーバリエーションが実現されており、ファミリーミニバンとして洗練されたスタイルを好むユーザー層のニーズに応えています。

台湾工場追加で生産体制を強化、納期改善に期待
今回のノアの改良に際し、これまで国内のみとされていた生産拠点に台湾が新たに追加され、国内・海外並行生産による日本への供給体制が構築されました。これはノアにとって異例の取り組みとなります。
近年の自動車業界では、半導体不足などの影響により新車の納期が長期化する問題が続いていましたが、生産拠点の多様化によって半導体供給の影響を分散させることが可能になり、安定した供給体制の構築と納期の改善が期待されます。人気の高いノアにとって、納期の改善は購入を検討するユーザーにとって非常に重要な要素であり、この生産体制の強化は大きなメリットをもたらすと考えられます。
現行モデルの充実した室内空間と先進安全装備も継続搭載
一部改良後も、現行ノアが誇る充実した室内空間と先進安全装備は継続して搭載されています。室内ではCピラー間距離1,295ミリメートル(従来比75ミリメートル増)の広大な空間が確保されており、キャプテンシートの7人乗りでは745ミリメートルのロングスライドが可能です。8人乗りのセカンドシートは6:4分割チップアップシートで705ミリメートルのロングスライドに対応しています。

また、大容量104リットルのスーパーラゲージボックスを床下に確保するほか、特許技術を活用した「フリーストップバックドア」により任意の角度でバックドアを固定できる使い勝手の良さも継承されています。スライドドアにはユニバーサルステップのオプション設定もあり、乗り降りのしやすさが確保されています。
安全装備については、「Toyota Safety Sense(トヨタセーフティセンス)」が引き続き全車に標準装備されており、プロアクティブドライビングアシスト機能により早期に危険を検知しステアリングやブレーキで運転を支援します。高度運転支援技術「トヨタチームメイト」の「アドバンストドライブ(渋滞時支援)」では0〜40km/hの渋滞時においてハンズオフドライブが可能となっており、長距離ドライブでの疲労軽減に貢献します。スマートフォンを使った「アドバンストパーク(リモート機能付)」によるバック駐車・前向き駐車への対応も継続して装備されています。

また、ハイブリッド車にはAC100V/1500Wの外部給電機能も搭載されており、アウトドアや災害時の非常用電源としても活用できる実用性の高さも引き続き維持されています。
ノアの歴史と現行モデルの系譜
トヨタ ノアは、商用車「タウンエース」をベースとした「タウンエースノア」の後継車として2001年に初代が誕生したミドルクラスミニバンです。車名の由来は「優しい語感がある英語の人名」とされており、「"ノアの方舟"をイメージしたものではない」とトヨタは説明しています。
2007年の2代目、2014年の3代目を経て、2022年1月に現行の4代目へとフルモデルチェンジが行われました。現行モデルでは最新のTNGAプラットフォームを採用し、全幅を1,730ミリメートルとすることで3ナンバーサイズへ拡大(全長4,695ミリメートル、全幅1,730ミリメートル、全高1,895ミリメートル)。ホイールベースは2,850ミリメートルとなっており、最小回転半径は5.5メートルと日常使いでの取り回しのしやすさも確保されています。
今回の一部改良は、その現行4代目モデルに対する大幅なアップデートとなっており、ハイブリッド専用化をはじめとする数多くの改良により、ファミリーミニバンとしての魅力がさらに高められています。2026年5月6日の発売開始に向けて、ミニバンの購入を検討しているユーザーはぜひ最寄りのトヨタ販売店での試乗や実車確認を検討してみてください。
ノア
ノア ニュースリリース

