トヨタのスポーツブランドGR(GAZOO Racing)は、新しいフラッグシップスポーツカー「GR GT」を2027年頃に発売することを目指して開発を進めています。心臓部は新開発の4L V8ツインターボエンジンと1モーターのハイブリッドを組み合わせたパワートレインで、システム最高出力は650ps以上、最大トルクは850Nm以上が開発目標です。
GR GTは2025年12月5日に、レース専用車「GR GT3」とともに開発中のプロトタイプとして世界初公開されました。2026年1月の東京オートサロン2026で一般向けに初めて披露され、トヨタ車として初めて量産車にV8エンジンを積むモデルとしても注目を集めています。2000GT、レクサスLFAに続く「トヨタのフラッグシップスポーツ」の系譜を受け継ぐ1台です。
価格や正式な発売日はまだ発表されていません。購入を考えている方は、今後の公式発表を待ちつつ、販売の方法(台数や販売店)に関する情報にも注目しておくとよいでしょう。
この記事では、新型GR GTの発売時期、特徴、スペック、ボディサイズ、内外装、GR GT3との違い、購入前の注意点まで、わかりやすくまとめました。記事中の写真はすべて開発中のプロトタイプです。


そもそも新型GR GTとは?公道を走るレーシングカー
GR GTは、トヨタのモータースポーツ部門GAZOO Racingが送り出す新しいフラッグシップスポーツカーです。開発のコンセプトは「公道を走るレーシングカー」。サーキットで鍛えた技術を、ナンバーを付けて一般道を走れるクルマにまとめ上げることを目指しています。
開発の中心にいるのは、トヨタの豊田章男会長です。「マスタードライバー・モリゾウ」としてコンセプトづくりの段階から関わり、プロドライバーの片岡龍也選手、石浦宏明選手、蒲生尚弥選手、ジェントルマンドライバーの豊田大輔選手、社内の評価ドライバーとエンジニアが一つのチームになって開発を進めてきました。運転する人を最優先に考える「ドライバーファースト」が、クルマづくり全体の軸になっています。
もう一つの大きな狙いが、技能・技術の継承です。トヨタはGR GTを、2000GT、レクサスLFAに続くフラッグシップと位置づけ、熟練の技を次の世代に伝える取り組みを「トヨタの式年遷宮」と表現しています。LFAの開発で培われた技術や手仕事を、ベテランから若手へ引き継ぐ場にもなっているのです。
同じ日には、GR GTをベースにしたFIA GT3規格のレーシングカー「GR GT3」と、レクサスの電気自動車スポーツ「LFA Concept」もあわせて公開されました。
【特徴まとめ】新型GR GTはここがすごい
新型GR GTの主な特徴は以下の通りです。
- パワートレイン:新開発4L V8ツインターボ+1モーターハイブリッド(650ps以上・850Nm以上が目標)
- ボディ:トヨタ初のオールアルミニウム骨格。車両重量1,750kg以下が目標
- 低重心:FRレイアウト、ドライサンプ、リアトランスアクスルで前後重量配分45:55
- 空力ファースト:空力の理想形を先に決めてからデザインを仕上げる手法
- 足回り:アルミ鍛造アームのダブルウィッシュボーン、専用開発のミシュランタイヤ、ブレンボ製カーボンディスク
- 最高速度:320km/h以上が目標
① トヨタの量産車で初めてのV8エンジン
GR GTのエンジンは、新開発の4L(3,998cc)V型8気筒ツインターボです。トヨタの量産車にV8エンジンを搭載するのは、これが初めてです。左右のバンクの内側にターボを1基ずつ置く「ホットV」と呼ばれる形式を採用し、潤滑はレーシングカーと同じドライサンプ方式です。オイルパンを薄くできるため、エンジンを低い位置に積めます。

② トヨタ初のオールアルミニウム骨格
ボディの骨格には、トヨタとして初めてオールアルミニウムを採用しました。大型のアルミ鋳造部品や押し出し材を組み合わせて、軽さと高い剛性を両立しています。外板にはカーボン(CFRP)や樹脂などを適材適所で使い分けており、車両重量は1,750kg以下が開発目標です。

③ 徹底した低重心パッケージ
エンジンを前に、変速機(トランスアクスル)を後ろに置くFRレイアウトとし、前後重量配分は45:55です。ドライサンプによってエンジンを低く積み、ドライバーの重心とクルマの重心がほぼ同じ位置になるように設計されています。運転する人がクルマの動きを体で感じ取りやすくするための工夫です。
④ 空力を先に決める「空力ファースト」
一般的なクルマづくりでは、デザインを決めてから空力を調整します。GR GTはその順番を逆にし、空力設計の担当者がまず理想の「空力モデル」を提案。そこからパッケージを固め、最後にデザイナーがスケッチで形を仕上げました。WEC(世界耐久選手権)の車両を手がける空力エンジニアも開発に加わっています。
新型GR GTの価格は?
新型GR GTの価格は、2026年11月7日時点で未発表です。トヨタは「2027年頃の発売を目指して開発を進めている」としており、価格や販売方法、グレード構成などの詳細は、準備ができ次第公開するとしています。
| モデル | 駆動 | 乗車定員 | 価格(税込) |
|---|---|---|---|
| GR GT | FR | 2人 | 未発表 |
V8ハイブリッド、オールアルミ骨格、カーボンセラミックブレーキといった中身を考えると、トヨタの市販車の中でも最上位クラスの価格帯になることは確実とみられます。ただし具体的な金額は公式に示されていないため、正式発表を待つ必要があります。
新型GR GTのボディサイズ
公開されている寸法は、開発目標値(社内測定値)です。
| 項目 | GR GT | GR GT3 |
|---|---|---|
| 全長 | 4,820mm | 4,785mm |
| 全幅 | 2,000mm | 2,050mm |
| 全高 | 1,195mm | 1,090mm |
| ホイールベース | 2,725mm | 未発表 |
| 乗車定員 | 2人 | - |
| 車両重量 | 1,750kg以下 | 未発表 |
全幅2,000mm、全高1,195mmという数字は、まさにスーパーカーのプロポーションです。全長4,820mmはクラウン(クロスオーバー)に近い長さですが、全高はそれより300mm以上低く、ワイドで平べったい姿になっています。全幅が2mあるため、自宅の車庫やよく使う駐車場の幅は、事前に確かめておきたいところです。
低く、ワイドに!新型GR GTの外装(エクステリア)
フロント
長いボンネットと、後ろ寄りに置かれたキャビンが、FRスポーツらしいロングノーズのシルエットをつくっています。ボンネットには熱を逃がすための開口部が設けられ、フロント周りは冷却と空力を両立する形状です。フロントフェンダーの造形も、空気の流れを整えることを優先して決められました。
リア
リアは、横一文字のランプと大きく張り出したフェンダーが特徴です。左右に2本ずつ、合計4本のマフラーを備え、排気の構造はクルマの状態に応じて音が変化するように作り込まれています。リアスポイラーもダウンフォースを得るための重要なパーツです。


足回り
タイヤは、ミシュランの「PILOT SPORT CUP2」をGR GT専用に開発したもので、サイズはフロント265/35ZR20、リア325/30ZR20と前後で太さが大きく異なります。ブレーキはブレンボ製のカーボンセラミックディスクです。

運転に集中できる!新型GR GTの内装(インテリア)
インテリアで最も重視されたのは、ドライビングポジションと視界です。開発では、サーキットで限界まで攻めたときに体をしっかり支えてくれる「守られ感」の大切さも改めて確認されたといいます。
運転にかかわるスイッチはステアリングの近くに集め、手を大きく動かさずに操作できるようにしています。メーターはTFT液晶で、シフトアップのタイミングを知らせるインジケーターやシフトポジションを、サーキット走行中でも読み取りやすく表示します。それでいて、日常の使い勝手にも配慮した設計です。

新型GR GTのパワートレインとスペック
| 項目 | GR GT(開発目標値) |
|---|---|
| エンジン | V型8気筒ツインターボ(ドライサンプ・ホットV) |
| 排気量 | 3,998cc |
| ボア×ストローク | 87.5×83.1mm |
| モーター | トランスアクスル内蔵の1モーターハイブリッド |
| システム最高出力 | 650ps以上 |
| システム最大トルク | 850Nm以上 |
| 変速機 | 新開発8速AT(WSC:ウェット・スタート・クラッチ) |
| 駆動方式 | FR(後輪駆動) |
| サスペンション | 前後ダブルウィッシュボーン(アルミ鍛造アーム) |
| ブレーキ | 前後カーボンセラミックディスク |
| 最高速度 | 320km/h以上 |
注目は、後ろに置かれたトランスアクスルです。モーター、新開発の8速AT、機械式LSDを一つにまとめ、エンジンとはカーボン製のトルクチューブでつないでいます。8速ATはトルクコンバーターの代わりに湿式の発進クラッチ(WSC)を使い、ダイレクトな変速感を狙っています。
燃費(WLTCモード)や、モーターだけで走れる距離などの数値は発表されていません。ハイブリッドではあるものの、燃費を稼ぐためというより、V8の力をモーターで補って加速と応答性を高めるためのシステムと考えるのが自然です。
走りを支える電子制御では、横滑り防止装置(VSC)の制御を多段階で切り替えられます。運転の腕前や天候に合わせて介入の度合いを選べる仕組みで、ニュルブルクリンク24時間レースに参戦するGRの車両でも使われているものです。開発初期からドライビングシミュレーターを活用し、トヨタのテストコース(下山)、富士スピードウェイ、ニュルブルクリンク、一般道で走り込みが重ねられました。
新型GR GTとレース車両「GR GT3」の違い
GR GT3は、GR GTをベースにしたFIA GT3規格のレーシングカーです。GT3は市販車をベースにしたカスタマーレースの最上位カテゴリーで、世界中の耐久レースやスプリントレースで使われています。トヨタは「勝ちたいお客様に選ばれるクルマ」を目指し、プロだけでなくジェントルマンドライバーにも乗りやすいことを重視しています。

エンジンはGR GTと骨格部品の多くを共有する4L V8ツインターボですが、レース規定にあわせてハイブリッドは搭載しません。アルミ骨格や前後ダブルウィッシュボーンの基本構造もGR GTと共通です。大きなリアウイングと低い車高(全高1,090mm)が、公道仕様との大きな違いになっています。トヨタはレースに参戦するお客様のサポート体制づくりも進めるとしています。
トヨタのフラッグシップスポーツの歴史をおさらい
トヨタ 2000GT(1967年)
トヨタのスポーツカーの原点といえるのが、1967年に発売された2000GTです。直列6気筒エンジンを積んだ美しいクーペで、日本の自動車が世界に通用することを示した1台として、いまも高い人気を誇ります。
レクサス LFA(2010年)
2010年に登場したLFAは、V型10気筒エンジンとカーボン製のボディを持つスーパーカーで、世界500台限定で生産されました。手作業による少量生産で培われた技術や技能は、今回のGR GTの開発にも引き継がれています。
GR GT(2027年頃)
そして3台目のフラッグシップとなるのがGR GTです。V10からV8ハイブリッドへ、カーボンからアルミ骨格へと中身は大きく変わりますが、「その時代のトヨタの技術と技能を結集する」という役割は変わりません。
新型GR GTの発売日はいつ?
トヨタの公式発表では、GR GTとGR GT3は2027年頃の発売を目指して開発中とされています。具体的な発売日、受注開始の時期、販売する国や台数は、まだ発表されていません。公開されているのはあくまで開発中のプロトタイプで、諸元も変更される可能性があります。
購入前にチェックしたい3つのポイント
1つ目は、販売方法です。フラッグシップスポーツは、通常の販売店でだれでも注文できる形ではなく、台数や購入方法が限られる可能性があります。トヨタやGRの公式サイト、GR Garageなどからの案内を見逃さないようにしましょう。
2つ目は、保管場所です。全幅2,000mm・全高1,195mmというサイズは、一般的な立体駐車場や機械式駐車場では入らないことがあります。車高も低いため、自宅の出入口の段差なども事前に確認しておくと安心です。
3つ目は、維持費です。専用開発のタイヤやカーボンセラミックブレーキは、交換時の費用が一般的なクルマより大きくなるのが普通です。購入価格だけでなく、消耗品や保険も含めて考えておきたいところです。
新型GR GTに関するよくある質問(FAQ)
Q. 新型GR GTの発売日はいつですか?
A. トヨタは2027年頃の発売を目指して開発中としています。具体的な日付は未発表です。
Q. 価格はいくらですか?
A. 2026年11月7日時点で未発表です。
Q. エンジンは何ですか?
A. 新開発の4L V8ツインターボに、トランスアクスル内蔵の1モーターハイブリッドを組み合わせます。システム最高出力650ps以上、最大トルク850Nm以上が開発目標です。
Q. 何人乗りですか?
A. 2人乗りです。
Q. 実車はどこで見られましたか?
A. 2026年1月の東京オートサロン2026で、GR GT3とともに一般向けに初公開されました。
まとめ:新型GR GTはトヨタの技術と技能を結集した「公道を走るレーシングカー」
新型GR GTは、トヨタの量産車初となるV8エンジンにハイブリッドを組み合わせ、トヨタ初のオールアルミ骨格で仕上げたフラッグシップスポーツです。650ps以上、320km/h以上という目標値に加え、低重心と空力を最優先にした設計からは、サーキットでの速さを本気で追い求めていることが伝わってきます。
一方で、価格や販売方法、正式な発売日はまだ明らかになっていません。2000GT、LFAに続く特別な1台だけに、購入を考えている方は公式発表をこまめに確認しておきましょう。
最新情報が入り次第、随時更新していきます。

