2025年10月7日、日産自動車が満を持して発表した新型「テクトン(TEKTON)」は、同社のグローバルSUVラインアップに加わる最新のコンパクトSUVです。2026年の発表・発売を予定するこの新型車は、C-SUVセグメントに革新をもたらすとして大きな注目を集めています。
日産テクトンとは?新たなグローバルSUVラインアップの旗手
テクトンの開発は、インド日産の「One Car, One World」戦略の一環として進められており、ルノーグループとの協業により、チェンナイのRNAIPL工場で生産される予定です。インド市場での販売はもちろん、同国からの輸出も計画されており、グローバル展開を見据えた戦略的なモデルと位置づけられています。
テクトンの名前の由来と込められた想い
「テクトン」という車名は、ギリシャ語で「職人」や「建築家」を意味する言葉に由来しています。この命名には深い意味が込められており、卓越した技術力、優れたパフォーマンス、そして独自のデザインアイデンティティを備えたプレミアムC-SUVとしての日産の想いが表現されています。
特に注目すべきは、キャリアや情熱、ライフスタイルを通じて「自らの世界を形作る」ユーザーをターゲットとしている点です。これは現代のアクティブなライフスタイルを送る人々のニーズに応える、日産の明確なメッセージと言えるでしょう。
パトロール譲りの力強いデザインが魅力
フロントデザイン:堂々たる存在感を演出
テクトンの最大の特徴は、日産のフラッグシップSUV「パトロール」からインスピレーションを得たデザインにあります。フロント部分には、力強さを象徴するボンネットと、パトロールを彷彿とさせる特徴的なC型のヘッドライトシグネチャーを採用。これに堅牢なロアバンパーを組み合わせることで、車格を超えた堂々たる存在感を演出しています。
サイドビュー:ヒマラヤ山脈にインスパイアされたデザイン
サイドから見たテクトンは、ひと目でテクトンだと分かる独特のシルエットを持っています。特に注目すべきは、フロントドアに施された「ダブルC」型のアクセントで、ここにはヒマラヤ山脈に着想を得た山並みのモチーフが巧みに組み込まれています。この地理的なインスピレーションは、インド市場をメインターゲットとする同車ならではの特徴と言えるでしょう。
リアデザイン:先進的なライティング技術を採用
リア部分では、横一文字に点灯する鮮やかな赤色のイルミネーションライトバーが印象的です。このライトバーは両端のC型テールランプを繋げる役割を果たし、車体の堅牢さを強調する効果を生み出しています。テールゲート下部には「テクトン」のネームプレートが大きく表示され、ブランドアイデンティティを明確に示しています。
プラットフォームと技術的特徴
テクトンは、ルノーグループとの協業で開発されており、技術的にはダチア・ダスターとプラットフォームを共有するOEMモデルとなっています。しかし、単なるリバッジモデルではなく、日産独自のデザイン言語を随所に採用し、差別化を図っています。
特に、ボディワークの大部分はダスター譲りながらも、フロントエンドには日産独自のデザイン要素が盛り込まれており、C字型のLEDヘッドライトやグリルのクロームインサートなど、日産らしい特徴的な要素が際立っています。
インテリアと先進技術への期待
現時点で公開されているインテリア情報は限定的ですが、プレゼンテーション動画では、ボディ同色トリムとグロスブラック&メタルアクセントを使用したダッシュボードデザインが確認できます。日産は、テクトンが「先進技術」と「プレミアムなインテリア」を備え、「セグメントを破壊する存在」になると約束しており、詳細な仕様発表への期待が高まります。
市場での競合と位置づけ
テクトンは、C-SUVセグメントという激戦区に投入される新型車です。このセグメントには多くの競合モデルが存在しており、各メーカーが技術とデザインの両面で競い合っています。テクトンの場合、パトロール譲りの力強いデザインと、ルノーグループとの協業による効率的な開発・生産体制が大きな武器となりそうです。
インド市場では、日産が既に展開しているBセグメントSUVの「マグナイト」とは明確に差別化された位置づけとなり、より上級のセグメントを狙う戦略的なモデルとして展開される予定です。
生産・販売計画と今後の展開
テクトンの生産は、チェンナイにあるRNAIPL工場で行われる予定です。これは、インド日産の製造拠点強化と、コスト競争力の確保を両立させる戦略的な判断と言えるでしょう。
販売に関しては、インド市場を皮切りに、同国からの輸出も計画されています。ただし、具体的な輸出先については今後の発表を待つ必要があります。日本市場への導入についても、現時点では明言されていませんが、グローバル戦略モデルとしての位置づけを考えると、将来的な可能性は十分にあると考えられます。
日産のSUV戦略における重要性
テクトンは、日産のグローバルSUV戦略において重要な役割を担うモデルです。同社のグローバルデザイン担当執行職であるアルフォンソ・アルバイサ氏は、「新型テクトンは、当社の伝統的なSUV『パトロール』からデザインのインスピレーションを得ており、現代のお客さまのニーズに合わせて、常識を打ち破り、圧倒的な存在感とスタイリッシュさを兼ね備えた、インド市場のみならずグローバルで新たなベンチマークとなるモデル」だと述べています。
この発言からも分かるように、テクトンは単なる地域限定モデルではなく、日産のSUV DNAの真髄を体現するグローバルモデルとして位置づけられています。
発売時期と今後の情報公開予定
テクトンの発表・発売は2026年を予定しており、商品仕様の詳細や輸出先などの具体的な情報は、今後適切なタイミングで発表される予定です。現時点では、デザインの一部のみが公開されている状況ですが、今後段階的に詳細情報が明らかになっていくものと予想されます。
特に注目すべきは、パワートレインの詳細、安全装備の内容、価格設定などで、これらの情報が明らかになることで、テクトンの真の競争力が見えてくるでしょう。
まとめ:期待される新時代のコンパクトSUV
日産新型テクトンは、パトロール譲りの力強いデザインと、ルノーグループとの協業による効率的な開発・生産体制を武器に、C-SUVセグメントに新たな選択肢を提供する注目のモデルです。「職人」や「建築家」を意味する車名に込められた想いの通り、ユーザーの個性的なライフスタイルを支える頼もしいパートナーとなることが期待されます。
2026年の正式発表・発売に向けて、今後も段階的に明らかになる詳細情報に注目が集まります。インド市場から始まり、グローバル展開を目指すテクトンが、日産のSUVラインアップにどのような新しい価値をもたらすのか、自動車業界全体からも大きな関心が寄せられています。
日産 ニュースリリース