トヨタ自動車は2026年2月20日、コンパクトSUV「ヤリス クロス」の一部改良を発表しましたが、同時にスポーツグレード「GR SPORT」が2026年3月をもって生産終了となることが明らかになりました。
わずか約3年半という短命での終了となったヤリスクロスGRスポーツ。本記事では、その魅力的なスペックや専用装備を振り返りながら、廃止に至った背景、そして今後のヤリスクロスのラインナップについて詳しく解説します。

【速報】ヤリスクロスGRスポーツが2026年3月生産終了へ

GRスポーツの誕生と位置づけ
ヤリスクロスGRスポーツは、2022年8月8日にヤリスクロスのスポーツグレードとして追加設定されました。トヨタのモータースポーツブランド「GAZOO Racing(GR)」の中で、「GR SPORT」シリーズとして展開され、走りの楽しさを追求したモデルとして登場しました。
GRシリーズには階層があり、以下のような構成となっています。
- GRMN:GRブランドの最高峰(GRMNヤリスなど)
- GR:本格的なスポーツモデル(GRヤリス、GRカローラ、GRスープラなど)
- GR SPORT:ベース車をスポーティにチューニングしたモデル
ヤリスクロスGRスポーツは、このうち**「GR SPORT」カテゴリー**に属し、日常使いしやすいコンパクトSUVでありながら、走りの楽しさを追求したグレードとして位置づけられていました。
価格設定とグレード構成
【ヤリスクロスGRスポーツの価格】
- ガソリン車(1.5L・CVT・2WD):2,648,800円(税込)
- ハイブリッド車(1.5L・2WD):3,031,600円(税込)
※2025年2月時点の価格
ヤリスクロスGRスポーツは2WD(前輪駆動)専用として設定され、4WD仕様は用意されていませんでした。これは、スポーツ走行時の軽量化と運動性能を優先した設定と考えられます。
価格帯としては、通常の「Z」グレードよりも高く、特別仕様車「Z"URBANO"」と同等レベルの位置づけでした。
ヤリスクロスGRスポーツのスペック詳細
パワートレーン(エンジン・ハイブリッド)
ヤリスクロスGRスポーツのパワートレーンは、ベースグレードと同じ1.5Lエンジンを搭載していました。
【ガソリン車】
- エンジン型式:M15A-FKS
- エンジン種類:直列3気筒 1.5L
- 総排気量:1,490cc
- 最高出力:120ps(88kW)/ 6,600rpm
- 最大トルク:14.8kg・m(145N・m)/ 4,800~5,200rpm
- トランスミッション:Direct Shift-CVT
- 使用燃料:レギュラーガソリン
- 燃料タンク容量:42L
- WLTCモード燃費:17.6km/L
【ハイブリッド車】
- エンジン:直列3気筒 1.5L + モーター
- エンジン最高出力:67kW(91ps)
- モーター最高出力:59kW(80ps)
- システム最高出力:85kW(116ps)
- トランスミッション:電気式無段変速機
- WLTCモード燃費:26.0km/L(推定値)
ボディサイズ
- 全長:4,185mm(標準モデル:4,180mm)
- 全幅:1,765mm
- 全高:1,580mm(標準モデル:1,590mm)
- ホイールベース:2,560mm
- 最低地上高:175mm
- 車両重量:ガソリン 1,180kg / ハイブリッド 1,250kg
全長がわずかに延長され、全高は低められることで、よりスポーティなプロポーションを実現していました。
GRスポーツ専用装備の数々
外観(エクステリア)の専用装備

ヤリスクロスGRスポーツは、一目でそれとわかる専用デザインが特徴でした。
【専用エクステリア装備】
- GR専用フロントバンパー
- より立体的で攻撃的なデザイン
- エアロダイナミクスを考慮した造形
- GR専用リヤバンパー
- スポーティな印象を強調するデザイン
- GR専用サイドロッカー
- 車体下部を引き締める専用パーツ
- 専用18インチアルミホイール
- FALKEN FK510 SUVタイヤ(215/50R18)装着
- 切削光輝仕上げ+センターオーナメント付き
- ブラック塗装でスポーティな印象
- ブラック塗装パーツ
- フロントグリル、アウトサイドドアハンドル
- ドアミラー、バックドアガーニッシュ
- ルーフモール
- GRエンブレム
- フロント・リヤに装着
- リヤフォグランプ(片側)
- 視認性向上のための装備
内装(インテリア)の専用装備
室内もGRスポーツ専用のスポーティな雰囲気に仕立てられていました。
【専用インテリア装備】
- GR専用スポーツシート(フロント)
- ホールド性を高めた形状
- GRロゴ刺繍入り
- 専用本革巻きステアリングホイール
- GRエンブレム付き
- レッドステッチ
- 専用シフトノブ
- 本革巻き+レッドステッチ
- 専用メーター
- GRロゴ入りスピードメーター
- 専用スタートスイッチ
- GRロゴ付き
- 専用ドアトリムオーナメント
- GRロゴ入り
- 専用アルミペダル
- スポーティなデザイン
- 専用フロアマット
- GRロゴ刺繍入り
走行性能を高める専用メカニズム
外観だけでなく、走りの質感を高める専用チューニングが施されていたことがGRスポーツ最大の魅力でした。
【専用走行性能装備】
- 専用サスペンション
- コイルスプリング、ショックアブソーバーを専用チューニング
- しなやかさと引き締まった乗り心地の両立
- コーナリング時の安定性向上
- 専用電動パワーステアリング制御
- より正確なハンドリングフィーリング
- 適度な手応えでスポーティな操舵感
- 専用剛性アップパーツ
- ボディ剛性を高める補強パーツ
- ボディのねじれを抑制し、正確な走りを実現
- 専用パワートレーン制御(ハイブリッド車)
- アクセルレスポンスの最適化
- よりダイレクトな加速フィーリング
- 専用ドライブシャフト(ハイブリッド車)
- 高剛性化による駆動力の伝達効率向上
- レッド塗装フロントブレーキキャリパー
- GRロゴ付き
- 制動性能と視覚的なスポーティさを両立
安全装備・快適装備
GRスポーツにも、ヤリスクロスの充実した安全装備が標準装備されていました。
【主な標準装備】
- Toyota Safety Sense
- パーキングサポートブレーキ(前後方静止物)
- パノラミックビューモニター(一部グレード)
- バックガイドモニター
- デジタルインナーミラー(オプション)
- ブラインドスポットモニター(オプション)
- 7.0インチTFTカラーマルチインフォメーションディスプレイ
- 8インチディスプレイオーディオ(コネクティッドナビ対応)
ヤリスクロスGRスポーツの走行性能評価
専用サスペンションによる走りの質感
ヤリスクロスGRスポーツの最大の魅力は、専用チューニングされたサスペンションによる走行性能の向上でした。
ノーマルグレードとの違い
| 項目 | ノーマルグレード | GRスポーツ |
|---|---|---|
| サスペンション | 快適性重視のセッティング | スポーティかつしなやかなチューニング |
| コーナリング | やや柔らかめでロールが出やすい | ロールが抑えられ安定感が高い |
| 乗り心地 | ふんわりとした乗り心地 | 引き締まりつつ上質な乗り心地 |
| ステアリング | 軽めで扱いやすい | 適度な手応えで正確な操舵感 |
専門誌の試乗レポートでは、「SUVでありながらワインディングロードを気持ちよく走れる仕上がり」と評価されており、日常の街乗りからスポーツ走行まで幅広く楽しめるセッティングでした。
パワートレーンの特性
エンジン自体はノーマルと共通ながら、ハイブリッド車では専用パワートレーン制御により、アクセル操作に対するレスポンスが向上していました。
特にモーターのトルクを活かした加速感は、コンパクトSUVとしては十分に力強く、「もっと走っていたくなる」という評価も多く見られました。
なぜ廃止?ヤリスクロスGRスポーツ生産終了の理由を考察
販売台数の伸び悩み
ヤリスクロスGRスポーツが生産終了となった最大の理由は、販売台数の伸び悩みと考えられます。
考えられる要因
- 価格の高さ
- ハイブリッドで300万円超え
- 同価格帯で他のSUVも選択肢に入る
- 2WD専用設定
- SUVユーザーには4WDニーズが高い
- 雪国ユーザーが選びにくい仕様
- スポーツグレードへの需要の限定性
- ヤリスクロスの主要購買層は実用性重視
- スポーツ走行を求めるユーザーは少数派
- GRヤリスとの競合
- 本格的なスポーツ性能を求めるユーザーはGRヤリスへ
- 中途半端な位置づけになった可能性
GRラインナップの整理
トヨタは2026年3月にGRスープラの生産終了も発表しており、GRシリーズ全体の見直しを進めている可能性があります。
最近のGRシリーズの動向
- GRスープラ:2026年3月生産終了
- コペンGR SPORT:2026年8月生産終了
- ハイラックスGR SPORT:生産休止
- ヤリスクロスGR SPORT:2026年3月生産終了
販売台数が限られる車種を整理し、GRヤリスやGRカローラなど、コアモデルに経営資源を集中させる戦略と見られます。
一部改良での装備見直しとの関連
2026年の一部改良では、以下の装備が整理されました。
- アドバンストパーク(自動駐車)廃止
- パノラミックビューモニター(床下透過表示)廃止
- パーキングサポートブレーキ一部機能廃止
これらのコストの高い装備を削減し、価格を抑える方向へシフトする中で、高価格帯のGRスポーツも対象となった可能性があります。
ヤリスクロスGRスポーツ廃止後のラインナップ
2026年一部改良後のグレード構成
GRスポーツ廃止後のヤリスクロスは、以下のグレード構成となります。
【標準グレード】
- X(エントリーモデル)
- G(中級グレード)
- Z(上級グレード)
- Z"Adventure"(アウトドア志向)
【特別仕様車】
- Z"URBANO"(都会的デザイン)
【サブスク専用】
- U(KINTO専用グレード)
スポーティな走りを求めるユーザーの選択肢
GRスポーツ廃止後、スポーツ性能を求めるユーザーには以下の選択肢が残されています。
1. GRヤリス(本格スポーツモデル)
- 価格:365万円~(RZ 4WD CVT)
- 1.5L 直列3気筒ターボエンジン
- 4WDシステム「GR-FOUR」搭載
- 本格的なスポーツ性能
2. ヤリスクロス Z"Adventure"
- 専用デザインで差別化
- 18インチアルミホイール標準装備
- SUVらしい力強さを強調
3. カスタマイズ・モデリスタパーツ
- エアロパーツで外観をスポーティに
- サスペンションキットで走りを強化
- アフターパーツでのカスタマイズ
今からでも買える?在庫車・中古車情報
新車在庫の状況
2026年3月生産終了のため、現時点(2026年2月)で新車購入できるのは最後のチャンスです。
購入を検討する際の注意点
✓ ディーラーに在庫があるか要確認
✓ 受注生産は既に終了している可能性が高い
✓ 値引きは期待しにくい(生産終了モデルのため)
✓ 納期は在庫次第(即納~数週間程度)
中古車市場での価値
ヤリスクロスGRスポーツの中古車相場(2026年2月時点予測)
- ガソリン車:230万円~260万円程度
- ハイブリッド車:270万円~290万円程度
生産台数が少なかったため、希少性から中古車価格は下がりにくいと予想されます。特に程度の良い低走行車は、プレミア価格がつく可能性もあります。
中古車購入時のチェックポイント
□ 専用装備が全て揃っているか確認
□ 専用サスペンションの状態(異音、ヘタリ)
□ 18インチタイヤの摩耗状態
□ GRエンブレム・専用ステッチの状態
□ メンテナンス記録の確認
2026年一部改良版ヤリスクロスとの比較
GRスポーツ vs 新型Zグレード
| 項目 | GRスポーツ(廃止) | 新型Z(2026年改良) |
|---|---|---|
| 価格 | 265万円~303万円 | 262万円~324万円 |
| ディスプレイ | 8インチ | 10.5インチ(標準装備) |
| サスペンション | 専用スポーツチューン | 標準仕様 |
| 外観 | GR専用エアロ | 標準デザイン+ブラック加飾 |
| 駆動方式 | 2WDのみ | 2WD / 4WD |
| 寒冷地仕様 | オプション | 4WDは標準装備 |
新型は実用装備が充実した一方、走りの楽しさではGRスポーツに軍配が上がります。
まとめ|ヤリスクロスGRスポーツ廃止は惜しまれる決断
GRスポーツの功績
ヤリスクロスGRスポーツは、約3年半という短い期間ながら、**「コンパクトSUVでも走りを楽しめる」**ことを証明したモデルでした。
評価されたポイント
✓ 専用サスペンションによる上質な走り
✓ SUVらしからぬコーナリング性能
✓ 専用デザインによる所有欲の満足
✓ 日常使いとスポーツ走行の両立
今後のヤリスクロスに期待すること
GRスポーツ廃止後も、ヤリスクロス自体は引き続き販売されます。
今後の展開予測
- より実用性重視のグレード構成へ
- 価格を抑えた装備パッケージの充実
- 特別仕様車での差別化継続
- 次期フルモデルチェンジ(2028年頃?)での巻き返し
購入を検討されている方へのアドバイス
新車でGRスポーツを狙うなら
→ 今すぐディーラーへ在庫確認(2026年2月が最後のチャンス)
中古車を検討するなら
→ 希少モデルのため状態の良い個体を早めに押さえる
新型2026年モデルを検討するなら
→ 実用装備重視なら十分魅力的。走りの楽しさを求めるならGRヤリスも視野に
【参考リンク】

