国土交通省は新たにトヨタ自動車の7車種で不正が見つかったなどとして2024年7月31日、道路運送車両法に基づく是正命令を出しました。この命令は道路運送車両法に基づくもので、トヨタに対して初めての事例です。
トヨタ 認証不正 7車種追加 合計14車種 に
トヨタ自動車を含む複数の自動車メーカーが「型式指定」の認証試験で不正を行っていた問題で、国土交通省は新たにトヨタの7車種(プリウスα、レクサスRX、RAV4、カムリ、ノア・ヴォクシー、ハリアー、レクサスLM)で不正が確認されたとして、2024年7月31日に是正命令を発表しました。
不正が確認された7車種のうち、現在も生産されている「RAV4」「ハリアー」「レクサスLM」については、基準に適合しているかどうかを確認中ですが、生産は継続されています。また、「ノア・ヴォクシー」は7月29日から生産と出荷が停止されていましたが、基準適合性が確認されたため、準備が整い次第、生産を再開する予定です。
国土交通省の鶴田浩久物流・自動車局長は、「幅広く意図的な不正が行われていた」と指摘し、トヨタの佐藤恒治社長は、「多大なるご心配とご迷惑をおかけし、心よりお詫び申し上げたいと思います」と謝罪し、「是正命令を真摯に受け止め、再発防止策を進めていく」と述べました。
参考:国土交通省
2024年6月3日に不正の報告が上がった車種
生産終了車種
クラウン 2014年
- 試験項目:前面衝突時の乗員保護試験
- 不正事案:試験時にエアバッグをタイマー着火した開発試験データを認証申請に使用
- 試験項目:後面衝突試験
- 不正事案:規定と異なる台車重量(試験実施時にダミー人形を搭載)←今回追加
クラウン 2015年
- 試験項目:歩行者頭部および脚部保護試験
- 不正事案:選定と左右逆の打点、左右片側試験を両側に代用
アイシス 2015年
- 試験項目:前面衝突時の乗員保護試験
- 試験項目:オフセット衝突時の乗員保護試験
- 不正事案:試験時にエアバッグをタイマー着火した開発試験データを認証申請に使用
シエンタ 2015年
- 試験項目:歩行者頭部および脚部保護試験
- 不正事案:選定と左右逆の打点、左右片側試験を両側に代用
RX 2015年モデル
- 試験項目:エンジン出力試験
- 不正事案:出力点の制御調整
生産中の車種
カローラ アクシオ・カローラ フィールダー
- 試験項目:歩行者頭部および脚部保護試験
- 不正事案:規定と異なる衝撃角度
ヤリスクロス
- 試験項目:積荷移動防止試験
- 不正事案:規定と異なるブロックで試験
2024年7月30日に不正の報告が上がった車種
生産終了車種
プリウスα 2014年
- 試験項目:歩行者脚部保護試験
- 不正事案:別の試験で使用済みのFrバンパを再利用
RX 2015年
- 試験項目:歩行者脚部保護試験
- 不正事案:衝突速度を規定に収まるよう数値処理(小数点第2位の切り捨て)
カムリ 2017年
- 試験項目:ステアリング衝撃試験
- 不正事案:申告と異なるステアリングで試験したが、申告時の仕様の写真を成績書に添付
生産中
RAV4 2017年
- 試験項目:積荷移動防止試験
- 不正事案:規定と異なる積荷ブロック、量産と異なるシートのロック機構部品で試験
ノア ヴォクシー 2021年
- 試験項目:内装の乗員保護装置試験
- 不正事案:ナビディスプレイ 量産と異なる部品で試験
ハリアー 2022年
- 試験項目:ポール側面衝突試験
- 不正事案:Frドア内部ブラケット 量産と異なる部品で試験
LM 2023年
- 試験項目:側突衝突
- 不正事案:Rrドア内張り 量産と異なる部品で試験
編集部から一言
今回のトヨタ自動車を巡る不正問題は、自動車業界全体の信頼性に大きな影響を与えるものであり、消費者の安全に直結する重大な問題です。特に、業界のリーダーであるトヨタが是正命令を受けたことは、企業のガバナンスと内部監査の重要性を再認識させるものであり、徹底した再発防止策が求められます。信頼回復には透明性のある対応と、消費者に対する誠実な姿勢が不可欠です。
トヨタ ニュースリリース