2025年6月5日、ダイハツの主力軽自動車「ムーヴ」が、実に11年ぶりとなる待望のフルモデルチェンジを遂げました。
今回のフルモデルチェンジにおける最大のトピックは、従来の「ムーヴカスタム」が廃止され、デザインラインが一本化されたこと。そして、その最上級グレードとして「RS」が設定された点です。この新型ムーヴRSは、単なる実用的な軽ハイトワゴンに留まらず、上質な内外装とスポーティーな走りを高次元で両立させた、新たな価値を提案する一台として大きな注目を集めています。
しかし、その輝かしい魅力の裏で、購入を検討するユーザーにとっては見過ごすことのできない「注意点」や、ライバル車と比較した際の「残念な点」、いわゆる「割り切り」が必要なポイントも存在します。
本記事では、新型ムーヴRS 2025年モデルの購入を真剣に検討されているあなたのために、その魅力を余すことなくお伝えすると同時に、契約前に必ず知っておくべき注意点や残念な点を、徹底的に解説していきます。
「デザインは本当にカッコいいのか?」「ターボの走りは期待以上か?」「スライドドアの使い勝手は?」「最新の運転支援機能はライバルに劣るって本当?」「乗り出し価格は結局いくらになるのか?」
こうした疑問にすべてお答えし、あなたが新型ムーヴRSを購入した後に「こんなはずじゃなかった」と後悔することのないよう、客観的かつ多角的な情報を提供します。ぜひ、最後までじっくりとお読みいただき、あなたのクルマ選びの最終判断にお役立てください。
【注意点・残念な点編】購入前に知っておきたい「割り切り」ポイント
ここまで新型ムーヴRSの輝かしいメリットを見てきましたが、完璧なクルマは存在しません。ここからは、購入後に「知らなかった」と後悔しないために、ライバル車と比較した際の弱みや、細かな物足りなさ、いわゆる「残念な点」を正直に解説していきます。
3.1. 運転支援システムの「惜しい」部分:ライバルに一歩及ばず
高速道路で非常に便利なACCを搭載するムーヴRSですが、運転支援システム全体で見ると、ライバルに対して一歩劣る部分があるのは紛れもない事実です。
■最大の弱点:レーンキープアシストは「時速60km以上」限定 新型ムーヴRSが搭載するレーンキープアシスト(LKA、車線維持支援機能)は、残念ながら作動するのが時速60km以上に限定されています。これは、高速道路などで車線の中央を維持するようにステアリングをアシストしてくれる便利な機能ですが、渋滞時などの低速域では作動しません。
一方で、ライバル車である三菱 デリカミニ、日産 ルークス/デイズ、そして最大の競合となるスズキ 新型スペーシアの上位モデルは、全車速対応のレーンキープ機能を搭載しています。これにより、渋滞時のノロノロ運転でも車線中央を維持してくれるため、運転支援の恩恵をより幅広いシーンで受けることができます。
高速道路での巡航がメインの方にとっては大きな問題ではないかもしれませんが、渋滞時の運転負荷軽減を最重要視するユーザーにとっては、この差は非常に大きく、「惜しい」と感じる最大のポイントと言えるでしょう。
■グレードによる装備差:ACCが欲しければRS一択に近い 全車速追従機能付きACCと電動パーキングブレーキは、新型ムーヴではRSグレードに標準装備、そしてNAエンジンの上級グレード「G」にメーカーオプションで設定されています。つまり、それ以下のグレードでは選択することすらできません。特に、中間グレードの「X」は足踏み式のパーキングブレーキとなります。高速道路を頻繁に利用し、ACCの恩恵を最大限に受けたいのであれば、必然的にターボのRSグレード、もしくはGグレード(オプション選択)を選ぶ必要があります。この点は、グレード選びにおける重要な制約となります。
3.2. 日々の快適性に関わる装備・操作性の物足りなさ
毎日使うクルマだからこそ、細かな装備や操作性の違いが快適性を大きく左右します。新型ムーヴRSは、いくつかのかゆいところに手が届かない点が見受けられます。
■走り好きには残念?「パドルシフト」の非搭載 新型ムーヴRSはスポーティーな走りを標榜していますが、エンジンブレーキを積極的に使ったり、擬似的なシフトチェンジを楽しんだりできるパドルシフトが設定されていません。 ライバルとなるスペーシアカスタムやN-BOXカスタムのターボモデルには多く採用されている装備だけに、走りを楽しみたいユーザーにとっては残念なポイントです。パワーモードを使えば擬似的なステップ変速感は得られますが、意のままに操る感覚はパドルシフトに軍配が上がります。
■最適なポジションが取れない?「テレスコピック」機能の不在 運転の基本となるドライビングポジション。新型ムーヴRSのステアリング調整は、上下方向のチルト機能のみで、前後方向のテレスコピック機能がありません。 これにより、体格によっては最適な運転姿勢が取りにくい可能性があります。実際に、「シートを一番下まで下げてもステアリングの位置がやや高く、もう少し下がってほしい」という声もあり、特に身長が高い(腕が長い)ドライバーは、購入前に必ず実車でポジション確認をすべきです。
■なぜ無い?「ワイパーの間欠時間調整機能」 驚くべきことに、最上級グレードのRSにもかかわらず、フロントワイパーの間欠(INT)作動時の時間調整機能がありません。 ワイパーの速度調整は「止める」「間欠」「低速」「高速」といった大まかな段階しかなく、小雨が降ったり止んだりするような状況で、ちょうど良いタイミングで作動させることができません。雨の日の快適性に直結する部分だけに、コストダウンの影響だとしても非常に惜しまれるポイントです。
■冬場に欲しい「ステアリングヒーター」の設定なし 冬の寒い朝、冷たいステアリングを握るのは辛いものです。近年、軽自動車でも採用が増えているステアリングヒーターですが、新型ムーヴには設定がありません。 シートヒーターはRSに標準装備されますが、特に寒冷地での使用を考えると、ステアリングヒーターの不在は快適性における明確なマイナスポイントとなります。
■細部の質感:ルームランプはLEDではなく「電球」 カスタムモデルを名乗る上級グレードでありながら、ルームランプはLEDではなく、昔ながらの電球(ハロゲン)タイプが採用されています。ライバルのスペーシアカスタムなどが標準でLEDランプを採用し、室内の先進性や質感を高めていることを考えると、コストダウンの影響が垣間見える部分であり、残念に感じるユーザーもいるでしょう。
■あと一歩!アームレストの使い勝手 フロントシートのアームレストは装備されていますが、「少し短い」という指摘があります。また、広大な後席空間を誇りながら、後席にはセンターアームレストが装備されていません。 長距離移動時の快適性に影響する部分だけに、こちらも惜しい点と言えます。
3.3. 価格設定とコストパフォーマンスのシビアな現実
新型 ムーヴ 2025年モデル 価格 グレード
モデル | エンジン | トランス ミッション | 駆動 方式 | 価格 (10%) |
---|---|---|---|---|
L | 直列3気筒DOHC 0.66L | CVT | 2WD | 1,358,500円 |
4WD | 1,485,000円 | |||
X | 2WD | 1,490,500円 | ||
4WD | 1,617,000円 | |||
G | 2WD | 1,716,000円 | ||
4WD | 1,842,500円 | |||
RS | 直列3気筒DOHC 0.66L ターボ | D-CVT | 2WD | 1,897,500円 |
4WD | 2,024,000円 |
魅力的な装備と性能を持つ新型ムーヴRSですが、その価格とライバルとの比較においては、シビアな現実が待っています。
■乗り出し価格は250万円超えも?ライバルとの直接対決 新型ムーヴRSの車両本体価格は、2WDモデルで190万円台から。これにオプションや諸費用を加えると、乗り出し価格(総支払額)は約250万円台に達するケースも珍しくありません。この価格帯は、最大のライバルであるスズキ スペーシアカスタム HYBRID TURBOの上位グレードと完全に競合します。
ここで問題となるのが、前述した装備の差です。スペーシアカスタムは、全車速対応のレーンキープアシスト、パドルシフト、ステアリングヒーター(グレードによる)、電動パーキングブレーキ(EPB)スイッチの操作性向上(マルチユースフラップ)など、ムーヴRSが「割り切った」部分の多くを装備しています。
同等の価格帯でありながら、運転支援や快適装備で劣る部分があるため、「価格に対する商品の魅力」、つまりコストパフォーマンスという観点では、ユーザーによっては納得感を得にくい可能性があります。「この価格を出すなら、なぜ全車速LKAが付いていないのか?」という疑問は、当然と言えるでしょう。
■高価なディーラーオプションナビ メリットの項でも触れましたが、見やすい10インチのディーラーオプションナビは非常に魅力的ですが、その価格は約35万円と高価です。ナビにこだわりがない場合は、社外品やディスプレイオーディオ+スマホ連携といった選択肢も視野に入れることで、総支払額を抑える工夫が必要になります。
3.4. その他、細かな気になる点(ウィークポイント)
最後に、走行性能や日常使いにおける、さらに細かな気になる点をまとめておきます。
- アイドリング時の微振動: アイドリング中に、シートを通じてプルプルとした微振動が伝わってきます。これは多くの軽自動車に共通する特性であり、「仕方ない」レベルではありますが、静粛性を極めたいユーザーにとっては気になるかもしれません。
- アイドリングストップからの復帰: アイドリングストップからの再始動時に、セルモーターの音や若干の振動が感じられます。これも一般的ではありますが、よりスムーズな復帰を求める声もあります。
- ブレーキホールド解除時の感触: 電動パーキングブレーキによるブレーキホールド機能は便利ですが、再発進時にブレーキが解除される際、若干「つっかかる」ような、スムーズさに欠ける感触があるとの報告があります。
- デイタイムランニングライトの機能: 精悍なLEDライトは、エンジン始動時に常時点灯するデイタイムランニングライトとしては機能せず、あくまでスモールランプ(ポジションランプ)として点灯するのみです。
- CVTの特性: アクセルの踏み込み量に対する加速の伸び(リニアリティ)について、CVT特有の違和感をわずかに指摘する声もあります。
【メリット編】新型ムーヴ RS 2025年モデルの魅力・注目ポイント
まずは、多くのユーザーを惹きつけてやまない、新型ムーヴRSの圧倒的な魅力から見ていきましょう。デザイン、走行性能、インテリア、先進機能の4つの側面に分けて、その実力を深掘りします。
2.1. 洗練されたエクステリアデザイン:所有欲を最大限に満たす「唯一無二のカッコよさ」
新型ムーヴRSの最大の魅力は、誰が見ても「カッコいい」と唸るであろう、そのエクステリアデザインにあります。軽ハイトワゴンという実用的なパッケージングの中に、見事なまでにスポーティーさと上質感を融合させています。
■精悍さを際立たせるRS専用のフロントフェイス 標準モデルのグリルが樹脂の質感を活かした「シボ」タイプであるのに対し、RSのフロントグリルは、艶やかなグロスブラック塗装のパネルにクリアパーツとシャープなメッキラインを組み合わせた専用デザインを採用。このグリルからヘッドライトまで繋がるシャープなラインが、非常に精悍で引き締まった顔つきを演出しています。標準装備のフォグランプも相まって、フロントマスクの存在感と豪華さは、まさにクラスを超えたものと言えるでしょう。
■オプション「アナザースタイルパッケージ」で究極のスタイルへ さらにデザインにこだわりたいユーザーに絶対的におすすめしたいのが、メーカーオプションとして用意されている「アナザースタイルパッケージ」(価格11,000円)です。これを装着することで、「ダンディ スポーツスタイル」というコンセプト通りの、まさに究極とも言えるエクステリアが完成します。
このパッケージを選択すると、グリルやフォグランプ周りのメッキパーツ、さらにはアウターハンドルまでがダーククローム調に変化。実際に黒のボディカラーにこのパッケージを装着したオーナーからは、「ダーク化されたメッキやアルミホイールがボディカラーとの一体感を増し、納車時に初めて実車を見た際も『めっちゃかっけえな』と感嘆した」「つけて良かったと心から思えるオプション」と絶賛の声が上がっています。標準のクロームメッキも上質ですが、このダーク化されたスタイルは、他のどの軽自動車にもない、ムーヴRSだけの特別な個性を与えてくれます。
■スーパーハイトワゴンとは思えない流麗なフォルムと足元 新型ムーヴは、全高がムーヴキャンバスと同じ1655mmでありながら、Aピラーを寝かせ、Dピラー(後端の柱)付近で跳ね上がるようなキックアップラインを取り入れることで、非常に伸びやかで「シュッとした」流麗なサイドフォルムを実現しています。ルーフをフラットに構成することで、実際の数値以上に低くスタイリッシュに見せるデザインの妙は、ダイハツのデザイン力の高さを感じさせます。
そして、その足元を引き締めるのが、RS専用の15インチ切削アルミホイールです。ブラック塗装とのコンビネーションが美しいこの大径ホイールは、中間グレード「X」の14インチとは一線を画す上質さと迫力を与えています。オプションの2トーンカラー(パールホワイトとブラックなど)を選択すれば、そのスタイリッシュさはさらに際立ちます。
2.2. 力強く上質な走り:新開発ターボエンジンとRS専用サスペンションの妙技
「軽自動車の走りは、どうせ…」そんな先入観は、新型ムーヴRSの前では無意味です。デザインだけでなく、その走りもまた、ドライバーを魅了する大きな要素となっています。
■低回転から力強い!ストレスフリーなターボエンジン RSグレードに搭載されるのは、軽自動車の自主規制枠いっぱいの最高出力64馬力、そして100Nmという強力なトルクをわずか3600回転で発生させる新開発の660ccターボエンジンです。このスペックがもたらす走りは、「めっちゃ活発」という第一印象の通り、非常に力強くスムーズです。
特筆すべきは、ターボラグ(アクセルを踏んでから過給が効き始めるまでの遅れ)をほとんど感じさせない自然なフィーリング。特に日常で多用する低回転域のトルクが非常に豊かで、街中を流すようなシーンでは2000回転を下回り、時には1500回転程度で静かに車速を維持できます。これにより、エンジンの無駄な回転が抑えられ、静粛性の向上はもちろん、燃費にも大きく貢献します。実際に、マイルドハイブリッドを搭載していないにもかかわらず、WLTCモード燃費は良好で、航続可能距離の表示からも実走行での燃費の良さが期待されています。
その加速力は、以前にデリカミニやスペーシアのターボモデルをレビューしたユーザーからも「加速力という点ではなんかいいような気がする」「N-BOXと比較しても悪くない」と高く評価されており、軽自動車トップクラスの動力性能を持っていることは間違いありません。登り坂でもアクセルを大きく踏み込むことなく、グイグイと登っていく力強さは、日常使いでのあらゆるシーンでストレスからの解放を約束します。
■専用セッティングが生み出す「骨太」で「しっとり」とした乗り心地 新型ムーヴRSの走りの質感を決定づけているのが、専用にチューニングされたサスペンションとEPS(電動パワーステアリング)です。RSは15インチの大径タイヤを装着しますが、ショックアブソーバーも高性能な専用品とすることで、乗り心地の悪化を防ぐどころか、むしろ運動性能を格段に向上させています。
その乗り心地は「骨太」と表現されるように、しっかりとした安定感がありながら、路面の細かな凹凸は見事に吸収し、しっとりとしたフラットな乗り味を実現。軽自動車にありがちな安っぽさは皆無です。ステアリングフィールも、軽自動車としては中立付近の座りが「どっしりしている」と評価されており、安定したハンドリングに貢献しています。
特にその真価が発揮されるのが高速道路です。「昔の軽自動車のように走りがふにゃふにゃだとかそういうこともなく、全然余裕で走れてますね」という声の通り、直進安定性は抜群。スライドドアを持つ背の高いクルマでありながら、車線変更時の車体の揺らぎが少なく、ロール(車体の傾き)もしっかりと抑えられているため、まるで背の低いスポーティーな軽自動車を運転しているかのようなリニアな感覚で運転できます。この安定感としなやかさは、長距離ドライブでの疲労を大幅に軽減してくれるでしょう。
2.3. 利便性と質感を両立した先進のインテリア
ドライバーや同乗者が常に触れるインテリア空間も、新型ムーヴRSは一切の妥協を見せません。実用性と上質感を巧みに融合させた空間が広がっています。
■ついに採用!ハイトワゴン初の両側電動スライドドア 今回のフルモデルチェンジにおける最大の進化点の一つが、ハイトワゴンクラスとして初採用された「両側電動スライドドア」(RSグレードに標準装備)です。これにより、狭い場所での乗り降りや、子供の乗り降りの際に絶大な利便性を発揮します。これまでスライドドアの利便性を求めると、タントのようなスーパーハイトワゴンを選択せざるを得ませんでしたが、ムーヴRSは「優れた走行性能」と「スライドドアの利便性」という、これまで両立が難しかった2つの価値を見事に融合させたのです。
■広さと上質感を兼ね備えた居住空間 室内はブラックを基調とし、アームレストやシートにはスポーティーなファブリックを採用。インパネにはブラウンのパッドがアクセントとして入り、エアコン吹き出し口にも加飾が施されるなど、中間グレード「X」とは明らかに異なる上質感が漂います。ドライバーが常に握るステアリングホイールとシフトノブは本革巻きとなっており、しっとりとした手触りが運転の満足度を高めてくれます。
後席空間も広大です。足元は完全にフラットで、シートを一番後ろまでスライドさせれば、大人が座っても膝前に十分すぎるほどのスペースが確保されます。シートの座面長も適切で、ゆったりと座ることができ、ヘッドルームにも余裕があります。
また、運転のしやすさにも配慮されており、フロントピラー(Aピラー)の根本にガラスエリアを設けることで、斜め前方の死角を減らし、見通しの良い広い視界を確保しています。運転席周りには、スマートフォンを置けるワイヤレスチャージ対応のトレイ、シートヒーター、USB-AとHDMI端子、買い物袋を掛けられるフックなど、豊富な収納と便利な機能が満載です。
■見やすく操作しやすい大画面10インチナビ ディーラーオプションで選択できるパナソニック製の10インチナビゲーションシステムは、その大きさと性能で快適なドライブをサポートします。高解像度で地図が見やすく、スマートフォンのようなサクサクとした操作感はストレスフリー。ただし、その価格は約35万円と非常に高価であるため、予算との相談が必要です。
2.4. 進化した運転支援システムとダイハツ独自の先進機能
安全性能や運転支援技術も、現代のクルマ選びにおける重要な要素です。新型ムーヴRSは、最新のシステムと独自の機能を搭載しています。
■高速道路の疲労を激減させるACCと電動パーキングブレーキ RSグレードには、全車速追従機能付きのアダプティブクルーズコントロール(ACC)と電動パーキングブレーキ(EPB)が標準装備されています。これにより、高速道路での先行車追従はもちろん、渋滞時に先行車が停止すれば自車も停止し、その状態を保持してくれるため、ドライバーのペダル操作の負担が大幅に軽減されます。長距離移動や帰省ラッシュ時の疲労度は、これがあるのとないのとでは雲泥の差です。
■駐車が苦手な人の救世主!自動駐車機能 さらに、ライバルの軽自動車にはないムーヴ独自の魅力的な機能が、オプションの「スマートパノラマパーキングパック」で選択できる自動駐車機能です。駐車したいスペースをシステムに認識させれば、あとは音声案内に従ってシフト操作やブレーキ操作を行うだけで、ハンドル操作はすべてクルマが自動で行ってくれます。駐車が苦手な方にとっては、まさに救世主とも言える心強い機能です。
このほか、同じくオプションでクルマの周囲を映像で確認できる360度カメラも用意されており、死角を減らし、より安全な運転や駐車をサポートしてくれます。
【結論】新型ムーヴ RS 2025年モデルはどんな人におすすめか?
ここまでメリットとデメリットを徹底的に解説してきましたが、それらを踏まえた上で、新型ムーヴRSは一体どのような人におすすめできるのでしょうか?
■新型ムーヴ RSの購入を積極的におすすめできる人
- デザイン至上主義の人: 何よりもクルマの「見た目」「カッコよさ」を最優先する方。特にオプションの「アナザースタイルパッケージ」を装着した精悍なスタイルに心を奪われたなら、他のクルマは目に入らないでしょう。このデザインは、他のどの軽自動車にもない、ムーヴRSだけの強力な武器です。
- 「走りの質感」と「スライドドアの利便性」を両立させたい人: スライドドアは絶対に欲しい。でも、スーパーハイトワゴンのようなフワフワした走りや重心の高さは嫌だ。そんな、これまで満たされなかったワガママなニーズに完璧に応えてくれるのがムーヴRSです。セダンライクなしっとりとした乗り味とキビキビとしたハンドリングは、運転好きを満足させます。
- 高速道路の利用頻度が高い人: 全車速追従機能付きACCの恩恵は絶大です。長距離通勤や週末の遠出など、高速道路を走る機会が多い方にとって、運転疲労の軽減効果は計り知れません。
- ダイハツ独自の「自動駐車機能」に魅力を感じる人: 駐車に苦手意識がある方にとって、ハンドル操作を自動で行ってくれるスマートパノラマパーキングアシストは、まさに神機能。この機能が購入の決め手になる可能性も十分にあります。
- 上質さを求める「子離れ層」など、新たな価値観を持つ人: 子育てが一段落し、家族のための実用車から、自分たちが楽しむための上質なクルマへ。そんなライフステージの変化を迎えた方々に、新型ムーヴRSの提案する「バランス感覚」や「上質感」は強く響くはずです。
■購入には慎重な検討が必要な人
- 最新・最強の運転支援システムを求める人: 渋滞時も含め、あらゆるシーンでクルマに運転をアシストしてほしい、と考えている方。全車速対応のレーンキープアシストを重視するなら、スペーシアカスタムやルークスなどを検討する方が満足度は高いでしょう。
- 運転操作系の快適装備を重視する人: パドルシフトによる積極的な走りや、テレスコピックステアリングによる最適なポジション設定、ワイパーの時間調整など、運転に直接関わる細かな快適性を求める方にとっては、物足りなさを感じる場面が多いかもしれません。
- コストパフォーマンスを最優先する人: 「支払う金額に対して、最大限の機能と装備が欲しい」という合理的な考え方をする方。同価格帯のライバル車と比較した際、装備面での見劣りが気になる可能性が高いです。
編集部から一言
11年ぶりのフルモデルチェンジで登場した新型ムーヴRS 2025年モデル。その魅力は、「圧倒的なデザイン性」「スライドドア車とは思えない上質な走行性能」「ダイハツ独自の先進機能」という3つの大きな柱に支えられています。
一方で、「ライバルに劣る一部の運転支援システム(特に全車速非対応LKA)」「パドルシフトやテレスコピックステアリングといった快適装備の割り切り」「装備差を考えるとやや厳しい価格競争力」といった明確な弱点も抱えています。
最終的にあなたが新型ムーヴRSを選ぶべきかどうかは、あなたのライフスタイルや運転スタイル、そして何を最も重視するかにかかっています。
- 「デザイン」や「走りの質感」に価値を見出すなら、ムーヴRSは最高の相棒になる。
- 「最先端の運転支援」や「コストパフォーマンス」を重視するなら、ライバル車との比較検討は必須。
購入を最終決定する前に、必ず行っていただきたいのは、ライバル車(特にスズキ スペーシアカスタムターボ)を含めた徹底的な比較試乗です。カタログスペックだけではわからない乗り心地の「質」や、ドライビングポジションの「適合性」、室内の「質感」、そして運転支援システムの「実際の動き」を、あなた自身の五感で確かめてください。
その上で、新型ムーヴRSが持つ唯一無二の魅力が、あなたにとって弱点を補って余りあると感じられたなら、その選択は決して間違いではないでしょう。この記事が、あなたの後悔のないクルマ選びの一助となれば幸いです。