ホンダは、コンパクトカー「フィット」の一部改良を行い、2025年7月10日に発表しました。7月11日に発売、価格は1,776,500円~2,929,300円となっています。今回の改良では、特にクロスオーバーモデル「フィット クロスター」に注目が集まっています。
主な改良内容
- フィット クロスター専用色「ボタニカルグリーン・パール」を新設定
- 全モデルに新色「シーベッドブルー・パール」を追加
- クロスターの内外装デザインを一部変更
- 原材料価格高騰に伴う価格改定
- 装備内容の充実化
デザインの進化と特徴
外装デザイン
新型フィット4の外装デザインは、2022年の大幅改良時に刷新されたデザインをベースに、さらなる質感向上が図られています。特に注目すべきは、クロスオーバーモデル「フィット クロスター」の変更点です。
クロスターの主な変更点
- ドアミラー:ブラック塗装からシルバー塗装へ変更
- アウタードアハンドル:ブラック塗装からボディー同色へ変更
- リアライセンスガーニッシュ:ボディー同色からシルバー塗装へ変更
- 専用色「ボタニカルグリーン・パール」の新設定
内装デザイン
内装では、各グレードの特徴を活かした専用デザインが採用されています。特にクロスターでは、アウトドアテイストを強調したカラーリングと素材を採用し、差別化が図られています。
- ステアリングパネル:ブラック採用
- セレクトレバーエスカッション:ブラック採用
- 助手席ダッシュボード:グレーからネイビーに変更
- シート部:サイドにライムイエローステッチを追加
パワートレインとスペック
新型フィット4では、2022年の改良時に刷新されたパワートレインが継続採用されています。従来の1.3Lエンジンから1.5Lエンジンへの変更により、より力強い走行性能を実現しています。
パワートレイン仕様
項目 | ガソリン車 | ハイブリッド車 |
---|---|---|
エンジン | 直列4気筒1.5L | 直列4気筒1.5L |
エンジン出力 | 118ps/14.5kgm | 106ps/13.0kgm |
モーター出力 | - | 123ps/25.8kgm |
システム名 | - | e:HEV |
駆動方式 | FF/4WD | FF/4WD |
ハイブリッドシステム「e:HEV」の特徴
ホンダの2モーターハイブリッドシステム「e:HEV」は、発電用と走行用のモーターを分けることで、3つの走行モードを実現しています。これにより、従来の1モーター式ハイブリッドよりも高い環境性能と走行性能を両立しています。
燃費性能
新型フィット4の燃費性能は、WLTCモードで測定されており、実用燃費により近い数値となっています。特にハイブリッド車では、30km/Lを超える優秀な燃費性能を実現しています。
燃費データ(WLTCモード)
パワートレイン | FF | 4WD |
---|---|---|
1.5Lガソリン | 18.7km/L | 16.6km/L |
1.5Lハイブリッド | 30.2km/L | 25.4km/L |
ハイブリッド車では、前モデルの29.4km/Lから30.2km/Lに改善され、走行性能の向上と燃費改善を同時に実現しています。これは、電動領域の拡大とシステム効率の向上によるものです。
安全装備「ホンダセンシング」
新型フィット4には、ホンダの予防安全技術「ホンダセンシング」が全車標準装備されています。2022年の改良では、さらに先進的な機能が追加され、より高い安全性を実現しています。
標準装備の安全機能
- 衝突軽減ブレーキ(CMBS)
- 誤発進抑制機能(前方・後方)
- 歩行者事故低減ステアリング
- 路外逸脱抑制機能
- 渋滞追従機能付きACC(アダプティブクルーズコントロール)
- 車線維持支援システム(LKAS)
- トラフィックジャムアシスト(2022年追加)
- 急アクセル抑制機能(2022年追加)
オプション安全装備
- ブラインドスポットインフォメーション
- 後退出庫サポート
- オートハイビーム
装備充実度と使い勝手
新型フィット4では、2024年9月の改良により、全グレードで装備内容が大幅に充実しています。特に利便性向上につながる装備が標準化されました。
2024年9月追加の標準装備
- オートリトラミラー
- 全席オートパワーウィンドウ
- 助手席シートバックポケット
- ラゲッジルームランプ
快適装備
- 7インチフルカラー液晶メーター(全車標準)
- 新世代ナビゲーションシステム
- 自動地図更新サービス
- 車内Wi-Fi機能
- フレキシブルアタッチメントテーブル
- 新世代ボディースタビライジングシート
車体サイズと取り回し性
新型フィット4は、コンパクトカーとしての使い勝手を重視したサイズ設計となっています。狭い道路での取り回しや駐車場での扱いやすさを考慮した設計が特徴です。
主要諸元
項目 | 数値 |
---|---|
全長 | 4,095mm |
全幅 | 1,725mm |
全高 | 1,540mm(FF)/ 1,565mm(4WD) |
ホイールベース | 2,530mm |
最小回転半径 | 4.9m |
特に最小回転半径4.9mという数値は、狭い道路での Uターンや駐車場での取り回しに優れた性能を示しています。また、フィット クロスターでは全高が若干高くなり、よりSUVらしい存在感を演出しています。
価格情報と前モデルとの比較
新型フィット4の価格は、原材料費や物流費の高騰により全体的に価格が上昇しています。エントリーモデルのBASICで約5万円、人気のクロスターでは約7-8万円のアップとなっています。
ガソリン車価格
グレード | FF | 4WD |
---|---|---|
BASIC | 1,776,500円 | 1,985,500円 |
HOME | 2,050,400円 | 2,258,300円 |
RS | 2,218,700円 | 設定なし |
CROSSTAR | 2,363,900円 | 2,574,000円 |
LUXE | 2,370,500円 | 2,578,400円 |
ハイブリッド車価格
グレード | FF | 4WD |
---|---|---|
e:HEV BASIC | 2,208,800円 | 2,417,800円 |
e:HEV HOME | 2,404,600円 | 2,615,800円 |
e:HEV RS | 2,616,900円 | 設定なし |
e:HEV CROSSTAR | 2,710,400円 | 2,920,500円 |
e:HEV LUXE | 2,719,200円 | 2,929,300円 |
競合車種との比較
新型フィット4は、激戦区であるコンパクトカー市場において、独自の魅力を持つモデルとして位置づけられています。主要な競合車種と比較すると、以下の特徴があります。
競合車種比較のポイント
- トヨタ ヤリス:より精悍なデザインと走行性能重視
- 日産 ノート:e-POWERによる独特な走行感覚
- マツダ デミオ:欧州テイストの上質な仕上がり
- スズキ スイフト:軽量ボディによる軽快な走り
フィット4の差別化ポイントは、多彩なグレード展開と充実した装備内容、そして実用性の高さにあります。特にe:HEVハイブリッドシステムの滑らかな走りと30km/Lを超える燃費性能は、日常使いにおいて大きなメリットとなります。
購入におけるポイントと注意点
グレード選択のポイント
新型フィット4では、多彩なグレード展開により、ユーザーの使用目的に応じた選択が可能です。各グレードの特徴を理解した上で選択することが重要です。
- BASIC:最もリーズナブルな価格設定、基本装備は充実
- HOME:バランスの良い装備内容、最も人気の高いグレード
- RS:スポーティな走りを求める方向け、FF専用設定
- CROSSTAR:アウトドアテイストと実用性を重視、SUV風デザイン
- LUXE:最上級グレード、上質な内装と充実装備
パワートレイン選択の考慮点
ガソリン車とハイブリッド車の選択では、使用パターンと予算を考慮する必要があります。
- ガソリン車:初期費用を抑えたい、年間走行距離が少ない場合
- ハイブリッド車:燃費重視、年間走行距離が多い、静粛性を求める場合
総合評価と今後の展望
新型フィット4は、コンパクトカーとしての基本性能に加え、先進的な安全装備と充実した快適装備を兼ね備えた、完成度の高いモデルに仕上がっています。2025年の改良では、デザイン面での魅力向上と装備充実により、さらなる競争力強化が図られています。
主な魅力ポイント
- 優秀な燃費性能(ハイブリッド車で30.2km/L)
- 充実した安全装備(ホンダセンシング標準装備)
- 多彩なグレード展開による選択の自由度
- 実用性と経済性のバランス
- 取り回しの良いコンパクトサイズ
今後の展望
ホンダは電動化戦略を加速させており、フィットにおいても将来的にはフルEVモデルの投入が予想されます。しかし、現在のe:HEVハイブリッドシステムは、過渡期における最適解として、引き続き重要な役割を果たすと考えられます。
新型フィット4は、日本のコンパクトカー市場において、実用性と経済性、そして環境性能を高次元でバランスした優秀なモデルとして、多くのユーザーにとって魅力的な選択肢となることでしょう。価格上昇は避けられませんが、装備充実度を考慮すれば、依然として競争力のある価格設定と言えます。
コンパクトカーの購入を検討されている方は、新型フィット4の多彩なグレード展開の中から、ご自身の使用目的と予算に最適なモデルを選択することをお勧めします。
ホンダ ニュースリリース