2026年4月に実車が世界初公開された、日産のフルモデルチェンジ版・新型ローグ(Nissan Rogue/型式T34)。日本ではおなじみの「エクストレイル(X-Trail)」の海外名にあたるモデルですが、この米国仕様の量産版デザインとスペック、そしてグレード別価格が、米国日産(Nissan North America)によって2026年9月21日に正式発表されました。
ローグは3世代にわたって展開され、累計約400万台を販売してきた日産の米国市場における主力SUVです。その最新モデルが、いよいよ電動化されたパワートレインをまとって登場します。
キャシュカイ(Qashqai)、新型キックス(Kicks/P16)、新型エルグランド(Elgrand/E53)に続く第3世代e-POWER搭載車であり、なにより「米国市場に初めてe-POWERを導入する記念すべきモデル」という位置づけになっています。日本市場へも2027年度以降にT34型エクストレイルとして導入される見込みです。

本記事のポイント

- 米国日産が「2027年 新型ローグ ハイブリッド(e-POWER)」を2026年9月21日に正式発表
- 米国初となる第3世代e-POWERを搭載、システム総出力225hp
- 全車AWD(4WD)標準、複合燃費は最大38MPG(約16.2km/L)
- 価格はSVグレードの35,490ドルからPlatinumの43,490ドルまで
- ライバルはトヨタRAV4ハイブリッド/ヒョンデ・トゥーソン

発売時期は2026年秋から段階的に
米国での正式発売は2026年秋を予定しています。まず先陣を切って市場投入されるのが、装備充実の「SR AWD(SRテクノロジーパッケージ付)」グレード。その後、エントリーのSV、中間グレードのSR、フラッグシップのPlatinumが2027年初頭に順次追加されるスケジュールです。
生産は日本の日産自動車九州工場(Nissan Motor Kyushu)で行われ、そこから米国へ輸出されるかたちになります。
第3世代e-POWERは米国ユーザーに受け入れられるか
日産が新型ローグにe-POWERを投入する背景には、ガソリン価格の高騰から少しでも逃れたいという米国消費者のニーズがあります。一方で「クルマはガソリンで走らせてこそ」という価値観が根強い米国市場において、「エンジンは駆動には使わず発電専用、実際に車輪を駆動するのは電気モーター」というe-POWERの考え方がどこまで浸透するかは、大きなチャレンジと言えるでしょう。
これまで新型ローグには1.5L直列3気筒VCターボ(可変圧縮比ターボ)を駆動用に搭載したガソリンモデルが用意されてきただけに、米国ユーザーが最初は戸惑う可能性もあります。なお日産は、このe-POWER発表までのつなぎとして、三菱アウトランダーPHEVのOEMモデルである「ローグPHEV」を短期間投入していました。これはe-POWER登場までの橋渡し役であると同時に、市場のEV・電動車への反応をフィードバックとして収集する狙いもあったとみられます。
第3世代e-POWERの詳細スペック
新型ローグ e-POWERの心臓部となるのが、発電専用の1.5L直列3気筒ターボエンジンです。単体出力は148hp(110kW/150PS)で、このエンジンはあくまでジェネレーター(発電機)として機能し、駆動輪とは物理的に接続されていません。バッテリーへの充電が十分な際にはエンジンが完全停止するのも特徴です。発電された電力は1.67kWhのリチウムイオンバッテリーへ供給され、前後に配置されたデュアル電気モーターが四輪を駆動します。

主なパワートレイン諸元は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発電用エンジン | 1.5L 直列3気筒ターボ(148hp/110kW) |
| 熱効率 | 42% |
| バッテリー | 1.67kWh リチウムイオン |
| システム総出力 | 225hp(168kW/228PS) |
| 駆動方式 | デュアルモーター電動AWD(全車標準) |
| 複合燃費 | 38MPG(約16.2km/L) |
| 市街地燃費 | 40MPG(約17.0km/L) |
| 高速燃費 | 36MPG(約15.3km/L) |
注目すべきは、全車がデュアルモーター電動AWDを標準装備している点です。トヨタRAV4ハイブリッドやヒョンデ・トゥーソン・ハイブリッドがFWDベースのグレードも用意するのに対し、新型ローグは全グレードでAWDが標準となります。システムは前後モーターへのトルク配分を常時最適化し、コーナリング時には内輪へ軽くブレーキをかけて旋回性を高める制御も備えます。
燃費性能は複合38MPG(約16.2km/L)で、ガソリンモデルの32MPGを大きく上回ります。ただし、AWD仕様のトヨタRAV4ハイブリッドの公称42MPGには一歩及びません。
ブレーキ関連では、アクセルオフだけで完全停止まで導ける1ペダル走行「e-Pedal」を搭載。さらに停止直前にブレーキ圧を自動調整して"カックン"停止を抑える「Smooth Stop」機能も備え、ストップ&ゴーの多い市街地での快適性を高めています。
ボディサイズと外装デザイン
新型ローグ e-POWERのボディサイズは、全長183.1インチ(4,651mm)、ホイールベース106.5インチ(2,705mm)、最低地上高8.4~8.5インチ(213~216mm)。シルエットとフットプリントはガソリン版から継承しつつ、外装は全面的に刷新されています。

デザインコンセプトは「Refined and Tough(洗練とタフさ)」。フロントは六角形ハニカムパターンのワイドグリルを中心に、スリムなLEDヘッドライトを大胆に統合。フェンダーやドアにはシャープなキャラクターラインが走り、リアサイドウィンドウがリアウィンドウへ伸びる形状は、C ピラーに「富士山」を思わせるシェイプを生み出しています。リアはリデザインされたテールライトを、リフトゲートを横切るオプションのフルワイドLEDバーで連結できます。

ボディカラーは全8色に加え、ブラックルーフの2トーン5種類を設定。新色として、太陽光で赤~黄に輝く「Horizon Blue Pearl Metallic」、アルマダにも設定される「Alpine Metallic」、「Aurora Dune Pearl」の3色が追加されています。

内装デザインと快適装備
ようやくベールを脱いだインテリアは、2スポークステアリングホイールを採用。ディスプレイは12.3インチのメーターと12.3インチインフォテインメントが標準ですが、SRテクノロジーパッケージおよびPlatinumでは14.3インチのデュアルワイドモニターへアップグレードされます。

インフォテインメントはワイヤレスApple CarPlay/Android Autoに対応し、14.3インチ仕様ではGoogleビルトイン(Googleマップ、Playストア、Google Gemini)が利用可能。最上級Platinumには10スピーカーのBOSEプレミアムオーディオも備わります。

エアコンやシートヒーター、ステアリングヒーターなどの操作系は、新型エルグランドやリーフのような静電容量式(ハプティック)スイッチではなく、物理スイッチ主体としているのが実用面での見どころです。走行中でも直感的に操作しやすい配慮といえます。センターコンソール下部には急速充電対応のQi2規格ワイヤレス充電(15W/Platinumはデュアル)を配置し、ドライブモードセレクターはプッシュスイッチ式です。

そのほか、ローグとして初採用となる温度調整機能付きゼロ・グラビティシート、64色アンビエントライト、パノラミックガラスサンルーフ(グレード別)などを設定。荷室容量は後席使用時31.1立方フィート(881L)、後席格納時65.9立方フィートを確保しています。




ファミリー層に嬉しい実用性
新型ローグはファミリーユースも強く意識されています。後席ドアは約90度まで開き、チャイルドシートの装着や子どもの乗せ降ろしがしやすい設計。さらにクラスでも数少ない「後席5点式LATCHアンカー」を備え、中央席にもLATCHでチャイルドシートを固定できるため、2列目に3脚のチャイルドシートを並べる柔軟性を持ちます。

先進運転支援「ProPILOT Assist」
運転支援は最新世代のProPILOT Assistを採用。新型フロントレーダー、視野角が20%広がった新型フロントカメラ、更新されたソフトウェアにより、より自然で幅広いシーンに対応します。インテリジェントクルーズコントロールは車間設定が4段階に増え、低速域は時速12マイルまで対応、停止・減速車両の検知も従来比33%早くなりました。

上位グレード(SRテクノロジーパッケージ/Platinum)では、ウインカー操作で自動車線変更を行う「Auto Lane Change」(分離高速で時速37~85マイル)や、渋滞時のハンズオフ走行を可能にする「Hands-off Traffic Jam Support」も利用可能。日本仕様のプロパイロット2.0に相当する、ハンズオフ機能付きの高度なシステムとなっています。駐車支援では、車体を透過表示する3D HDインテリジェントアラウンドビューモニターも用意されます。

グレード別価格帯
最後に、最も気になるグレード別価格(MSRP/メーカー希望小売価格)をチェックしましょう。いずれも別途1,575ドルの陸送・取扱手数料が加算されます。
| グレード | 価格(MSRP) | 発売時期 |
|---|---|---|
| Rogue Hybrid SV AWD | 35,490ドル | 2027年初頭 |
| Rogue Hybrid SV AWD(Premiumパッケージ付) | 37,590ドル | 2027年初頭 |
| Rogue Hybrid SR AWD | 37,490ドル | 2027年初頭 |
| Rogue Hybrid SR AWD(Techパッケージ付) | 41,490ドル | 2026年秋(先行) |
| Rogue Hybrid Platinum AWD | 43,490ドル | 2027年初頭 |
エントリーのSV AWDが35,490ドルからで、最上級Platinum AWDが43,490ドル。これはガソリンモデルの同等グレードに対して約4,300~4,500ドル高い設定です。ライバルのトヨタRAV4ハイブリッドは、AWD対応のエントリーモデルがローグ ハイブリッドSV AWDより約2,190ドル安く、価格面ではRAV4がやや優位となっています。
まとめ:米国e-POWER元年、ローグ/エクストレイルの真価が問われる
新型ローグ e-POWER(T34)は、米国市場に初めて第3世代e-POWERをもたらす記念碑的なモデルです。全車AWD標準、225hpのパワフルな電動駆動、そしてガソリン車を上回る燃費という魅力を備えつつ、価格ではRAV4ハイブリッドに対して割高というハンデも抱えています。「発電はエンジン、駆動はモーター」というe-POWERの走りの質感が、ガソリン文化の根強い米国ユーザーにどう評価されるか。日本でのT34型エクストレイル導入を待つファンにとっても、その市場での反応は大いに注目されるところです。
日産 ニュースリリース
https://usa.nissannews.com/en-US/releases/2027-nissan-rogue-hybrid-press-kit

