フェラーリが2025年7月1日に世界初公開し、同月29日に日本で初披露した新型「アマルフィ(Amalfi)」は、ローマの後継モデルとして「La Nuova Dolce Vita」(新しい甘い生活)の精神を受け継ぐ2+2クーペです。本記事では、この最新フェラーリの詳細スペック、先代ローマとの違い、ライバル車との比較まで徹底解説します。
フェラーリ アマルフィの基本概要
価格とデリバリー開始時期
日本価格:3,418万円(税込)
デリバリー開始:2026年初頭(欧州市場)
車種分類:フロントエンジンFRの2+2クーペ
フェラーリ・ジャパン代表取締役社長のドナート・ロマニエッロ氏は発表会で、「アマルフィは南イタリアのコスティエラに捧げるオマージュであり、スポーティさやエレガンス、人生の喜びが完璧に融合した1台」と表現しています。
ボディサイズと重量
項目 | アマルフィ | 先代ローマ | 差異 |
---|---|---|---|
全長 | 4,660mm | 4,656mm | +4mm |
全幅 | 1,974mm | 1,974mm | 同寸 |
全高 | 1,301mm | 1,301mm | 同寸 |
ホイールベース | 2,670mm | 2,670mm | 同寸 |
車両重量(乾燥) | 1,470kg | 1,472kg | -2kg |
前後重量配分 | 50:50 | 50:50 | 同等 |
パワートレインの大幅進化
F154型V8ツインターボエンジン
エンジンスペック
- 形式:V型8気筒3.9リッター(3,855cc)ツインターボ
- 最高出力:640CV(631hp/471kW)@7,500rpm
- 最大トルク:760Nm(560lb-ft)@3,000-5,750rpm
- レッドライン:7,600rpm(+100rpm向上)
先代ローマとの比較
- 最高出力:+20hp(620hp→640hp)
- ターボチャージャー最高回転数:171,000rpm
- より高精度な過給圧制御システム採用
走行性能
- 0-100km/h加速:3.3秒(ローマより0.1秒短縮)
- 0-200km/h加速:9.0秒
- 最高速度:320km/h
- トランスミッション:8速F1 DCT(デュアルクラッチ)
先代ローマからの主要変更点
エクステリアデザインの進化
フロントデザイン
- フロントグリル廃止:よりシンプルでクリーンな印象
- ワイドロワーインテーク:空力性能向上のための大型化
- ダークバー:リスタイルされたヘッドライトを接続
- センサー統合:先進安全装備用センサーを目立たない配置
リアデザイン
- 4灯式テールライト:さりげない仕上げで洗練度向上
- ナンバープレート位置変更:ディフューザー近辺に移動
- 新デザインベント:空力効率の最適化
インテリアの完全刷新
トリプルディスプレイシステム
- ドライバー用:15.6インチデジタルインストゥルメントクラスター
- センター:10.25インチタッチパネルディスプレイ(横長レイアウト)
- パッセンジャー用:8.8インチディスプレイ
物理ボタンの復活
- ステアリングホイール:F1マシンを連想させる多彩な物理ボタン
- アルミニウム製スタートボタン:高級感を演出
- カーボン製パドルシフト:大型化で操作性向上
従来のローマとの違い
- ランプ状構造の廃止により、より伝統的なダッシュボードレイアウト採用
- Android AutoとApple CarPlay対応
- センターコンソールは削り出しアルミニウム製
先進技術と安全装備
アクティブエアロダイナミクス
可変アクティブウィング
- LDポジション:ロードラッグ(低抵抗)
- MDポジション:ミディアムダウンフォース
- HDポジション:ハイダウンフォース(250km/h時に110kgのダウンフォース生成)
ブレーキシステムの革新
ブレーキ・バイ・ワイヤ
- ペダルストローク減少
- より正確な制動力調整
- 6Dセンサーによる高精度車速測定
ABS Evo システム
- 各輪の最適なスリップ値特定
- マネッティーノとの連動制御
- 旋回時の横方向安定性向上
先進安全装備
- アダプティブクルーズコントロール
- 自動緊急ブレーキ
- ブラインドスポット監視
- 車線逸脱警告/車線維持アシスト
- リアクロストラフィックアラート
- 交通標識認識
- サラウンドビューモニター
ライバル車との比較分析
主要競合車種
ポルシェ 911 ターボS(992型)
- 価格:約2,500万円~
- 出力:650hp
- 0-100km/h:2.7秒
- 特徴:4WDシステム、日常実用性
アストンマーティン ヴァンテージ
- 価格:約2,800万円~
- 出力:656hp
- 0-100km/h:3.4秒
- 特徴:英国的エレガンス、V8エンジン
マセラティ MC20
- 価格:約2,600万円~
- 出力:630hp
- 0-100km/h:2.9秒
- 特徴:カーボンファイバーモノコック、イタリアンデザイン
競争優位性
フェラーリ アマルフィの強み
- ブランド価値:フェラーリの圧倒的なブランド力
- 2+2レイアウト:実用性を持つスーパーカー
- 先進技術:最新のアクティブエアロとブレーキ・バイ・ワイヤ
- デザイン哲学:シンプルさの中に潜む洗練
ボディカラーとカスタマイゼーション
標準ボディカラー(8色)
- Verde Costiera(ヴェルデ・コスティエラ)
- Rosso Corsa(ロッソ・コルサ)
- Bianco Artico(ビアンコ・アルティコ)
- Giallo Montecarlo(ジャーロ・モンテカルロ)
- Grigio Abu Dhabi(グリージョ・アブダビ)
- Rosso Portofino(ロッソ・ポルトフィーノ)
- Rubino Micalizzato(ルビーノ・ミカリッツァート)
- Violetto Dino(ヴィオレット・ディーノ)
カスタマイゼーションオプション
タイヤ選択
- ピレリ P Zero:フロント245/35ZR20、リア285/35ZR20
- ブリヂストン Potenza Sport:同サイズ展開
インテリア
- コンフォートシート:3サイズ展開、ベンチレーション&マッサージ機能
- Burmesterプレミアムオーディオ:14スピーカー、1,200W
トランクスペースと実用性
積載容量
- トランク容量:273L
- トランクスルー機能:リアシート背もたれ前倒し可能
- 長尺物対応:ゴルフバッグ等の収納可能
この実用性は、日常使いも可能なグランドツアラーとしての性格を示しています。
フェラーリ アマルフィの市場での位置づけ
ターゲットユーザー
最適なオーナー像
- スーパーカーを日常的に使用したい方
- フェラーリブランドの価値を重視する方
- 最新技術と伝統的魅力の融合を求める方
- 2+2レイアウトの実用性が必要な方
投資価値の観点
リセールバリュー予測
- フェラーリの限定性と希少価値
- ローマ後継モデルとしての歴史的意義
- 先進技術の搭載による将来性
- イタリアンデザインの永続的魅力
まとめ
フェラーリ アマルフィは、先代ローマの成功を基盤として、パワー、技術、デザインのすべてを進化させた真のマスターピースです。640hpのV8エンジン、先進的なアクティブエアロ、物理ボタンの復活など、フェラーリファンが求める要素を全て備えています。
3,418万円という価格は決して安くありませんが、フェラーリというブランド価値、最先端技術、そして「La Nuova Dolce Vita」の精神を考慮すれば、スーパーカー市場では妥当な設定と言えるでしょう。
2026年初頭のデリバリー開始に向けて、フェラーリ愛好家やスーパーカーコレクターの注目が集まることは間違いありません。日常使いできるスーパーカーとして、アマルフィは新たなフェラーリ体験を提供してくれるはずです。
フェラーリ
https://www.ferrari.com/ja-JP/magazine/articles/Ferrari-Amalfi-revealed