ホンダの人気ミドルサイズSUV「ZR-V」が、2026年に大幅改良を受けることが明らかになりました。2023年4月の発売からわずか3年足らずでの大型アップデートとなる今回の改良では、パワートレインの整理やインフォテインメントシステムの刷新、新グレードの追加など、大きな変更が予定されています。

2026年のZR-V改良は「待つ価値あり」なのか?
現在ZR-Vの購入を検討している方にとって、「今買うべきか、2026年モデルを待つべきか」は重要な判断材料となるでしょう。本記事では、2026年モデルの詳細な変更内容と、購入タイミングの判断ポイントを徹底解説します。
2026年モデルの主要変更点まとめ
1. ガソリンモデルの完全廃止
最も大きな変更は、1.5L VTECターボガソリンエンジンモデルの廃止です。2026年モデル以降、ZR-Vはe:HEV(ハイブリッド)モデルのみのラインナップとなります。
廃止されるグレード:
- X(ガソリン):FF 328万4,600円 / 4WD 350万4,600円
- Z(ガソリン):FF 388万4,100円 / 4WD 410万4,100円
これにより、エントリー価格は現行の320万円台から360万円台へと大幅に上昇することになります。ガソリンモデルを検討していた方は、現行モデルの購入を急ぐべきでしょう。
2. Googleビルトインの標準搭載

2026年モデルでは、最新の「Honda CONNECT」にGoogleビルトインが統合されます。これにより以下の機能が利用可能になります:
- Googleアシスタント:音声操作で電話、メール、音楽再生、車内温度調節が可能
- Googleマップ:リアルタイム交通情報による最適ルート案内
- Google Play:使い慣れたアプリを車内で利用可能
従来のApple CarPlayやAndroid Autoとは異なり、スマートフォンを接続せずとも直接Google サービスが利用できる点が大きな進化です。プレリュードやシビックに搭載されているものと同じ9インチディスプレイが採用される予定です。
3. 新グレード「e:HEV CROSS TOURING」の追加
アウトドア志向のユーザーをターゲットとした新グレード**「e:HEV CROSS TOURING」**が追加されます。
CROSS TOURINGの特徴:
- 北米仕様HR-V(ZR-Vの海外名)のハニカム形状フロントグリルを採用
- アウトドア感を強調した専用エクステリアデザイン
- e:HEV Zグレードをベースとした装備内容
現行モデルの日本仕様は縦型ラインのグリルを採用していましたが、CROSS TOURINGでは海外仕様のより力強いデザインが取り入れられることで、個性的な外観が実現されます。
4. グレード整理と装備強化
廃止されるグレード:
- e:HEV X BLACK STYLE(全駆動形式)
継続・強化されるグレード:
- e:HEV Z:18インチアルミホイールのデザインを変更、Googleビルトイン標準装備
- e:HEV Z BLACK STYLE:ブラックアクセントの専用アイテムを追加、ハニカムグリル採用
5. ボディカラーの刷新
- 新色:4色を追加
- 廃止:既存カラー3色を廃止
具体的なカラー名は発表されていませんが、最新のトレンドを反映したカラーバリエーションが期待されます。
6. 価格改定
原材料費、物流費、人件費の高騰により、現行モデルから15万円以上の値上げが予想されています。
予想価格帯(2026年モデル):
- e:HEV X:FF 約378万円 / 4WD 約400万円
- e:HEV Z:FF 約438万円 / 4WD 約460万円
- e:HEV Z BLACK STYLE:FF 約453万円 / 4WD 約473万円
- e:HEV CROSS TOURING:価格未定(Zベースのため430万円台後半と予想)
現行ZR-Vの魅力とスペック
パワートレイン
e:HEVシステム(継続):
- エンジン:直列4気筒2.0L DOHC i-VTEC
- エンジン出力:145ps/6,200rpm、17.8kgm/4,000rpm
- モーター出力:184ps/5,000-6,000rpm、32.1kgfm/0-2,000rpm
- 燃費:FF 22.1km/L / 4WD 21.7km/L(WLTCモード)
1.5Lターボ(2026年廃止):
- 出力:178ps/24.5kgm
- 燃費:FF 14.6km/L / 4WD 13.9km/L(WLTCモード)
e:HEVシステムは、モーター駆動による力強い加速と優れた燃費性能を両立しています。2モーターハイブリッドシステムにより、EV走行からエンジン走行へのシームレスな切り替えが可能です。
ボディサイズ
- 全長×全幅×全高:4,580mm×1,800mm×1,630mm
- ホイールベース:2,735mm
- 最低地上高:190mm
- 乗車定員:5名
ヴェゼルとCR-Vの中間に位置するサイズで、日本の道路環境で扱いやすいボディサイズと、SUVらしい室内空間を両立しています。
安全装備
Honda SENSING 360を全車標準装備:
- 衝突軽減ブレーキ(CMBS)
- 誤発進抑制機能
- 後方誤発進抑制機能
- アダプティブクルーズコントロール
- 車線維持支援システム
- 路外逸脱抑制機能
- 標識認識機能
室内装備
- 10.2インチデジタルメーター
- Honda CONNECT対応9インチナビゲーション(メーカーオプション)
- BOSEプレミアムサウンドシステム(12スピーカー、上位グレード)
- ハンズフリーアクセスパワーテールゲート(上位グレード)
2024年の販売実績と市場評価
ZR-Vの2024年販売台数は41,513台(12月までの累計)。2023年の41,200台とほぼ同水準を維持しています。
月別販売推移(2024年):
- 3月:4,925台(年間最高)
- 7月:4,664台
- 6月:4,470台
- 12月:2,037台(年間最低)
月平均約3,460台の販売実績は、ミドルサイズSUVとしては堅調な数字ですが、ホンダのベストセラーSUVであるヴェゼル(月平均約7,000台)には及びません。この背景には、価格帯の高さとガソリンモデルの燃費性能が挙げられます。
「待つべきか、今買うべきか」判断のポイント
【今すぐ購入をおすすめする方】
1. ガソリンモデルを希望している方
- 2026年モデルではガソリン車が完全廃止
- イニシャルコストを抑えたい方には現行ガソリンモデルが最後のチャンス
- FF Xグレードなら328万円から購入可能
2. 予算を重視する方
- 現行モデルは2026年モデルより15万円以上安い
- 2025年3月末の決算期には値引き交渉の余地も
- 在庫車であればさらなる値引きの可能性
3. 従来型ナビゲーションを好む方
- Googleビルトインはインターネット接続が前提
- 通信費用や個人情報の扱いに懸念がある方
- オフライン環境での利用を重視する方
4. すぐに納車が必要な方
- 現行モデルなら2〜3ヶ月程度で納車可能
- 2026年モデルは3月発売予定だが、人気次第で納期長期化の可能性
【2026年モデルを待つべき方】
1. 最新技術を求める方
- Googleビルトインによる先進的なインフォテインメント
- 音声操作やリアルタイム情報更新の利便性
- スマートフォン連携のシームレスな体験
2. ハイブリッド専用車を希望する方
- e:HEVの優れた燃費性能(22.1km/L)
- モーター駆動による静粛性と加速性能
- 環境性能を重視した選択
3. CROSS TOURINGに興味がある方
- アウトドア志向の専用デザイン
- 個性的な外観のハニカムグリル
- 新グレードならではの独自性
4. BLACK STYLEの強化版を求める方
- ブラックアクセントのさらなる充実
- ハニカムグリルによる迫力ある外観
- 特別仕様車ならではの満足感
【待つことのリスク】
- 価格上昇:15万円以上の値上げは確実
- 納期の不透明性:新モデルの人気次第で半年以上待つ可能性
- グレード選択の制約:エントリーグレードがe:HEVのみで選択肢減少
- ガソリンモデルの選択肢消滅:後から変更不可
競合車種との比較
トヨタ ハリアー
- 価格帯:319万円〜504万円
- パワートレイン:2.0Lガソリン、2.5Lハイブリッド
- 特徴:高級感のある内外装、充実した装備
ZR-Vとの違い:
- ハリアーは上質さ重視、ZR-Vは走行性能重視
- ハリアーの方が室内空間はやや広い
- ZR-Vの方がスポーティな走り
マツダ CX-5
- 価格帯:299万円〜403万円
- パワートレイン:2.0L/2.5Lガソリン、2.5Lターボ、PHEV
- 特徴:質感の高いインテリア、人馬一体の走り
ZR-Vとの違い:
- CX-5は多様なパワートレイン選択肢
- ZR-Vは燃費性能でリード
- CX-5の方がブランドイメージが確立
ホンダ CR-V
- 価格帯:457万円〜504万円(e:HEV RSのみ)
- パワートレイン:2.0L e:HEVのみ
- 特徴:広い室内空間、7人乗り設定
ZR-Vとの違い:
- CR-Vは一回り大きく価格も高い
- ZR-Vの方が取り回しが良い
- CR-Vはファミリー向け、ZR-Vはパーソナル向け
ホンダの2026年戦略とZR-Vの位置づけ
ホンダは2026年に以下のモデル展開を計画しています:
1. CR-V e:HEV RS(2026年2月発売)
- フラッグシップSUVとしての位置づけ
- BLACK EDITIONによる差別化
- ZR-Vより上級のラインナップ
2. ZR-V改良モデル(2026年3月発売)
- ミドルクラスSUVの主力
- e:HEV専用化による環境対応
- Googleビルトインの先行搭載
3. 新型スーパー・ワン(2026年発売予定)
- ピュアEV軽のN-ONE e:をベースにしたホットハッチ
- 普通車としての販売
- 価格は400万円以上と予想
このラインナップから、ホンダが電動化とコネクテッド技術の強化に注力していることが明確です。ZR-Vは、その戦略の中核を担うミドルクラスSUVとして、最新技術の導入モデルに位置づけられています。
まとめ:購入タイミングの最終判断
現行モデル購入がベストな方
- ガソリンモデル希望→即決すべき(廃止確定)
- 予算320万円台→現行Xグレードが最後のチャンス
- 2025年前半に納車希望→現行モデル一択
- シンプルなナビゲーション希望→現行モデルが適合
2026年モデル待ちがベストな方
- 最新技術重視→Googleビルトインの価値あり
- ハイブリッド専用車希望→e:HEV一択で迷わない
- CROSS TOURING興味あり→新グレードを待つ価値あり
- 納期に余裕あり→2026年後半納車でも問題なし
中立的判断の方へのアドバイス
**コストパフォーマンス重視:**現行モデルの値引きを狙う
**技術トレンド重視:**2026年モデルで最新装備を享受
**バランス重視:**現行e:HEV Zグレードで満足度高い
最後に
ZR-Vは、ホンダのSUVラインナップの中で「ちょうど良いサイズ」と「先進技術」を両立したモデルです。2026年の大幅改良により、さらに魅力が増すことは間違いありません。
ただし、ガソリンモデルの廃止と価格上昇により、エントリー層へのハードルは確実に上がります。自身のニーズと予算、納車時期を総合的に判断し、後悔のない選択をしてください。
購入相談のおすすめ:
最寄りのホンダディーラーで現行モデルの試乗と、2026年モデルの詳細情報を確認することをおすすめします。実際に見て、乗って、比較することで、最適な判断ができるでしょう。
【参考情報】

