レクサス(トヨタ自動車)が2025年9月9日に世界初公開した新型レクサスISは、1999年の初代モデル誕生から四半世紀以上の歴史を持つコンパクトFRスポーツセダンの集大成といえる一台です。2026年初頭以降に順次各地域で発売が予定されており、日本市場にはIS300hが導入される予定となっています。
今回のマイナーチェンジでは「熟成」をキーワードに、これまでISが追求してきた「ドライバーがクルマと対話できる気持ちのいい走り」と「アグレッシブでスポーティなデザイン」にさらなる磨きがかけられています。
新型レクサスISの主要な変更点と改良内容
走行性能の大幅向上
新型ISでは、電動パワーステアリング(EPS)に革新的な改良が施されています。従来のラック同軸式からラック平行ギヤ(バリアブルギヤ)に変更することで、交差点や連続コーナーでの操舵角を抑制し、より快適で精密な操舵フィールを実現しています。
さらに注目すべきは、AVS(Adaptive Variable Suspension system)の進化です。従来のステップ式アクチュエーターから、新規開発の内蔵式リニアソレノイドアクチュエーターを採用することで、減衰力応答性が約4倍向上しました。この技術により、フラットなばね上の挙動と路面入力によるショックの低減を高次元で両立しています。
エクステリアデザインの刷新
新型ISの外観で最も注目すべき変更点は、新たなフロントフェイスの採用です。ブレーキダクトを取り込み、低く構えたスピンドルグリルにより、低重心かつワイドなスタンスをより強調した精悍なデザインに生まれ変わりました。
アルミホイールの意匠も大幅に刷新され、19インチアルミホイールは従来のシャインシルバーメタリックからダーククリア塗装+切削光輝へ変更。18インチアルミホイールはダークプレミアムメタリックを採用し、よりスポーティな印象を強調しています。
新色として、硬質なライトグレーにメタリックを加えた「ニュートリノグレー」が追加され、計8色のボディカラーラインナップとなります。
インテリアの革新的進化
最新マルチメディアシステムの採用
新型ISのインテリアでは、機能性と美しさの両立が図られています。センターディスプレイは全車に12.3インチタッチパネルを標準装備し、運転席正面のTFT液晶メーターも12.3インチに大型化されました。
この大型化により、ドライバーが視覚的な情報をダイレクトに受け取れる運転環境が提供され、多様なニーズに応えるべく、表示コンテンツの細かなパーソナライズにも対応しています。
環境配慮素材「Forged bamboo」の採用
特に注目すべきは、新規開発のオーナメントパネル「Forged bamboo」の採用です。これは2023年のジャパンモビリティショーで発表された「Bamboo CMF Concept」に基づいて開発された素材で、市販車での採用はISが初めてとなります。
竹材を用いたこの素材は、織り込まれた竹繊維による唯一無二の特徴的な陰影を生み出し、ISの力強い躍動感とスポーティなインテリアを演出します。レクサスは今後、他のモデルにもForged bambooを採用していく予定で、サーキュラーエコノミーの実現と地域経済への貢献を推進していくとしています。
新色インテリアカラー「PROMINENCE」
F SPORTには、新規開発色の「PROMINENCE(プロミネンス)」が設定されます。これは太陽を覆う神秘的な紅炎をイメージした彩度の高いカラーで、室内のアグレッシブかつスポーティなイメージを演出します。
安全装備の大幅強化
Lexus Safety System +の機能拡充
新型ISでは、予防安全技術「Lexus Safety System +」において様々な機能の拡充が図られています。主な改良点は以下の通りです:
- レーダークルーズコントロール[ACC]の支援機能拡大
- ロードサインアシスト[RSA]の機能向上
- 発進遅れ告知機能[TMN]の性能向上
プロアクティブドライビングアシスト[PDA]の採用
注目すべき新機能として、「プロアクティブドライビングアシスト[PDA]」が採用されています。この システムは「歩行者の横断」「飛び出してくるかもしれない」など、運転状況に応じたリスクの先読みを行い、危険に近づきすぎないよう運転操作をサポートします。
具体的には以下の5つの支援機能を備えています:
- 歩行者/自転車運転者/駐車車両に対する操舵・減速支援
- 先行車に対する減速支援
- カーブに対する減速支援
- 信号交差点に対する右左折時減速支援
- 車線内走行時常時操舵支援
Lexus Teammate Advanced Driveの搭載
さらに、一部の高速道路や自動車専用道路での走行を支援する「Lexus Teammate Advanced Drive」(高速渋滞時ハンズオフ機能)も搭載されます。
この機能により、渋滞時(0km/h~約40km/h)のレーダークルーズコントロールおよびレーントレーシングアシストの作動中に、ドライバーが前を向いているなど一定の条件を満たすとシステムが作動し、長距離移動時の疲労軽減に貢献します。
パワートレインとスペック詳細
日本導入予定のIS300h
日本市場にはIS300hのFRモデルが導入される予定です。このモデルは以下のスペックを持ちます:
IS300h(日本導入予定)
- エンジン:直列4気筒2.5L+モーターハイブリッド
- エンジン最高出力:178ps/22.5kgm
- モーター最高出力:143ps/30.6kgm
- システム最大出力:226ps
- 駆動方式:FR
- トランスミッション:電気式無段変速機
- 燃費(WLTCモード値):18.0km/L
海外仕様IS350
海外市場ではIS350も設定され、以下のスペックとなります:
IS350(海外仕様)
- エンジン:V型6気筒3.5L自然吸気
- 最高出力:318ps/38.7kgm
- 駆動方式:FR/AWD
- トランスミッション:8速AT(FR)、6速AT(AWD)
ボディサイズと基本仕様
新型ISのボディサイズは以下の通りです:
- 全長:4,720mm(従来型比+10mm)
- 全幅:1,840mm(変更なし)
- 全高:1,435mm(FR)/1,440mm(AWD)
- ホイールベース:2,800mm(変更なし)
- 乗車定員:5名
全長がわずかに延長されることで、より伸びやかで上質なプロポーションを実現しています。
新型レクサスISの価格予想と発売時期
価格設定の予想
現行モデルの価格を基準に、新型ISの価格は以下のように予想されます:
- IS300h:約530万円~
- IS300h F SPORT:約590万円~
- IS300h version L:約610万円~
最新装備の採用により、現行モデルから約20万円程度の価格上昇が見込まれます。
発売時期
新型ISは2025年9月9日に世界初公開され、2026年初頭(1月頃)から順次各地域で発売される予定です。日本市場でも同時期の発売が期待されています。
レクサスISの歴史と進化
25年以上の歴史を持つプレミアムセダン
レクサスISは1999年の初代モデル誕生以降、コンパクトFRスポーツセダンとして「クルマを操る楽しさ」を追求し続けてきました。四半世紀以上にわたってグローバル約40の国と地域で累計約130万台を販売してきた実績を持ちます。
開発においては、Toyota Technical Center Shimoyamaをはじめとする世界各地で走り込みを行い、レクサスならではの走りの味「Lexus Driving Signature」を追求し続けています。
新型ISの競合車種との比較
新型レクサスISの主要な競合車種として、以下のモデルが挙げられます:
- BMW 3シリーズ
- メルセデス・ベンツ Cクラス
- アウディ A4
- アルファロメオ ジュリア
これらの競合車種と比較して、新型ISは独自の「和のおもてなし」精神と、「Forged bamboo」などの環境配慮素材の採用により、差別化を図っています。
まとめ:新型レクサスISの注目ポイント
新型レクサスISは、以下の点で大きな進化を遂げています:
- 操縦性の大幅向上:バリアブルギヤとリニアソレノイドAVSによる4倍の応答性向上
- デザインの刷新:より精悍でスポーティなエクステリアと機能的なインテリア
- 環境配慮:竹材を用いた「Forged bamboo」の採用
- 安全性の向上:Lexus Safety System +の機能拡充とハンズオフ機能の搭載
- 先進技術:12.3インチディスプレイとデジタルメーターの標準装備
レクサスの開発陣が「熟成」をキーワードに、妥協なく開発を続けた成果が随所に現れており、2026年の発売が待ち遠しい一台となっています。 Global Toyota
新型ISは、内燃機関搭載車として新世代電気自動車モデルと併売される予定で、幅広いユーザーのニーズに対応していく方針です。レクサスブランドの中核を担うモデルとして、今後の展開にも注目が集まります。