スバルは、人気SUVモデル「フォレスター」に、悪路走破性能を大幅に強化した特別仕様車「フォレスター Wilderness(ウィルダネス)」を新設定し、2026年7月頃に日本市場への投入すると予想されます。

スバル フォレスター Wildernessがついに日本上陸へ
ジャパンモビリティショー2025にて初公開されたこのモデルは、これまで北米市場を中心に展開されてきたスバルのWildernessシリーズを、クロストレック ウィルダネスとともに日本市場に本格導入する記念碑的なモデルとなります。
フォレスター Wildernessとは?アドベンチャー仕様の本格オフローダー

Wildernessシリーズのコンセプト
スバルのWildernessシリーズは、同社の代名詞である「シンメトリカルAWD」の走破性をさらに高め、本格的なアウトドアアクティビティやオフロード走行を楽しむユーザーをターゲットとした特別仕様車です。通常モデルよりもタフで力強いスタイリングと、実用的な走破性能の向上を両立させた「アドベンチャー仕様」として、北米市場で高い人気を獲得してきました。
日本市場への導入の意義
今回のフォレスター Wildernessの日本導入は、国内のアウトドアブームやSUV人気の高まりを受けたスバルの戦略的な動きと言えます。キャンプやトレッキング、スキーなどのアクティビティを楽しむユーザー層に向けて、より本格的なオフロード性能を持つ選択肢を提供することで、フォレスターのラインナップをさらに充実させます。
フォレスター Wildernessの主要スペックと装備
専用エクステリアデザイン

フォレスター Wildernessは、専用デザインのエクステリアを採用することで、通常モデルとは一線を画す力強い存在感を放ちます。

主な外装の特徴:
- 専用フロントグリル・フロントバンパー
- マットブラック仕上げのボンネットデカール(オフロード走行時の照り返し軽減)
- 専用フォグランプ
- スキッドプレート(前後)
- マットブラック仕上げ17インチ専用アルミホイール
- ヨコハマGEOLANDAR オールテレーンタイヤ装着
- 「SUBARU」ロゴ入りリアバンパー
- ラダータイプルーフレール(最大約363kg/800ポンドの荷重に対応)
- アノダイズドカッパー(銅色)のアクセントカラー
これらの専用装備により、通常のフォレスターよりもさらにアグレッシブで冒険心をかき立てるデザインに仕上げられています。
走破性能を高める専用サスペンション

最低地上高の向上:
フォレスター Wildernessの最大の特徴の一つが、専用チューニングされたサスペンションです。最低地上高を236mm(9.3インチ)まで引き上げることで、通常モデルの220mmと比較して16mmアップ。これにより、以下の角度性能が向上しています。
- アプローチアングル:23.5度
- デパーチャーアングル:25.5度
- ブレークオーバーアングル:21度

この数値向上により、岩場や急斜面、段差の大きい未舗装路でも、車体の底部を接触させるリスクを軽減し、より安心してオフロード走行を楽しむことができます。
駆動系の強化
走破性能を安定して発揮するため、フォレスター Wildernessには以下の専用装備が採用されています。
- 専用ファイナルギヤ: 駆動力を高める最適化されたギヤ比
- トランスミッションクーラー: 長時間のオフロード走行や厳しい環境下でも安定した性能を維持
これらの装備により、悪路や連続した登坂路でも、熱による性能低下を防ぎ、スバル自慢のシンメトリカルAWDシステムの性能を最大限に引き出すことができます。

専用インテリアデザイン
機能性とスタイルを両立

フォレスター Wildernessの室内は、エクステリアと調和した専用デザインを採用しています。
主な内装の特徴:
- グレーのStarTex(撥水素材)シート
- カッパー(銅色)のコントラストステッチ
- エンボス加工されたフロントヘッドレスト
- 専用トリムパネル
- カッパーアクセント
- オールウェザーフロアマット(標準装備)
撥水性に優れたStarTex素材のシートは、アウトドアアクティビティ後の濡れた衣服や汚れにも対応しやすく、実用性を重視したユーザーには嬉しい装備です。


充実した快適装備

Wildernessグレードは、Premiumグレードをベースとしているため、以下の快適装備も標準で搭載されています。

- 10ウェイパワー調整機能付き運転席シート
- 前席シートヒーター
- ワイヤレススマートフォン充電器
- 11.6インチ縦型フルHDタッチディスプレイ
- 6スピーカーオーディオシステム
- サンルーフ

さらに、オプションパッケージ(約24万円相当)を選択することで、以下の装備を追加できます。
- GPSナビゲーション
- 11スピーカー ハーマンカードンプレミアムオーディオシステム
- 12.3インチフルデジタルメーター
- パワーリフトゲート
2026年フォレスター全グレード共通の改良点
センターコンソールの利便性向上
2026年モデルのフォレスター全グレードにおいて、センターコンソールが改良されています。
主な変更点:
- 32オンス(約950ml)の大型ウォーターボトルに対応した新型カップホルダー
- 拡大されたアームレスト
- よりコンパクトなシフター
- スマートフォンや小物収納に便利な前方収納スペースの新設
これらの変更により、日常使いからロングドライブまで、より快適な車内環境が実現されています。
価格据え置きの基本グレード
物価上昇が続く中、スバルは2026年フォレスターの基本グレードの価格を前年モデルと同じ29,995ドル(米国価格)に据え置きました。これは自動車業界において稀有な対応であり、ユーザーフレンドリーな価格設定と言えます。
ただし、輸送費は30ドル上昇し1,450ドルとなっています。
フォレスター Wildernessの価格設定
日本市場での予想価格
フォレスター Wilderness:約500万円~
フォレスター Wildernessは、専用装備の充実により、シリーズ最上位モデルとしての価格設定となります。現行のフォレスター最上位グレード「Premium S:HEV EX」が459万8000円であることを考えると、Wildernessは500万円前後からのスタートと予想されます。
北米市場での価格
米国市場では、2026年フォレスター Wildernessの価格が38,385ドルと発表されており、前モデルから2,100ドル(約23万円)の値上がりとなっています。しかし、大幅な装備向上と性能アップを考慮すれば、妥当な価格設定と言えるでしょう。

現行フォレスターのラインナップと価格(日本仕様)
ガソリンターボモデル
SPORTグレード(1.8L水平対向4気筒ターボ):
- SPORT:404万8000円
- SPORT EX(アイサイトX装着車):419万1000円
- SPORT Black Selection(特別仕様車):415万8000円
- SPORT EX Black Selection(特別仕様車):430万1000円
スペック:
- エンジン出力:177ps/30.6kgm
- 燃費(WLTCモード):13.6km/L
S:HEVハイブリッドモデル
X-BREAKグレード:
- X-BREAK S:HEV:420万2000円
- X-BREAK S:HEV EX(アイサイトX装着車):447万7000円
Premiumグレード:
- Premium S:HEV:448万8000円
- Premium S:HEV EX(アイサイトX装着車):459万8000円
S:HEVシステムスペック:
- エンジン:水平対向4気筒2.5L(160ps/21.3kgm)
- モーター:119.6ps/27.5kgm
- 燃費(WLTCモード):X-BREAK 18.8km/L、Premium 18.4km/L
全グレード4WD「シンメトリカルAWD」標準装備。

パワートレイン|新世代S:HEVハイブリッドシステムの実力
トヨタとの協業による新システム
現行フォレスターに搭載されている「S:HEV」ハイブリッドシステムは、トヨタの「THS(Toyota Hybrid System)」技術を活用した新世代システムです。
従来のe-BOXERとの違い
旧e-BOXERシステム:
- エンジン:水平対向4気筒2.0L(145ps/19.2kgm)
- モーター:13.6ps/6.6kgm
- タイプ:マイルドハイブリッド
- 燃費:WLTCモード 14.0km/L
新S:HEVシステム:
- エンジン:水平対向4気筒2.5L(160ps/21.3kgm)
- モーター:119.6ps/27.5kgm
- タイプ:ストロングハイブリッド
- 燃費:WLTCモード 18.8km/L
モーター出力が大幅に向上したことで、EV走行領域が拡大し、燃費が4.8km/L改善されています。また、モーターによる瞬時のトルク配分により、オンロードでのコーナリング性能や悪路での走破性も向上しています。
最新の安全技術「アイサイト」とアイサイトX
トリプルカメラシステム
現行フォレスターには、最新世代の「アイサイト」が搭載されています。
主な特徴:
- トリプルカメラ採用により、従来のステレオカメラから画角約2倍に拡大
- フロントガラス取り付け式の新設計
- レンズフードによる誤接触防止
- 低速走行時に広角認識する単眼カメラを追加
- 二輪車・歩行者認識精度の向上
- プリクラッシュブレーキの対応シーン拡大
アイサイトX
上位グレードに搭載される「アイサイトX」では、さらに先進的な機能が追加されています。
機能:
- 3D高精度地図データ活用
- GPS・準天頂衛星「みちびき」による高精度測位
- カーブ前減速機能
- 渋滞時ハンズオフ運転支援(0~約50km/h、一定条件下、自動車専用道路)
これらの先進安全技術により、日常運転からロングドライブまで、安心・安全なドライブをサポートします。
フォレスターの歴史|初代から現行モデルまで
初代フォレスター(1997-2002年)
1997年に「森をはぐくむ者(Forester)」という名を冠して誕生したフォレスターは、インプレッサをベースとしたクロスオーバーSUVとして登場しました。インプレッサ グラベルEXの後継モデルとして、タフな外観とオフロード性能を持ちながら、乗用車の快適性も兼ね備えたモデルとして人気を博しました。
2代目フォレスター(2002-2007年)
よりSUVらしいスタイリングへと進化し、WRCで活躍したインプレッサをイメージするSTIモデルも設定。走りの性能と実用性を高次元で両立させました。
3代目フォレスター(2007-2012年)
デザインがよりモダンになり、安全装備や快適装備が充実。北米市場での人気が高まりました。
4代目フォレスター(2012-2018年)
「アイサイト」が本格的に搭載され、安全性能が大幅に向上。クロスオーバーSUVとしての完成度が高まりました。
5代目フォレスター(2018-2025年)
スバルグローバルプラットフォームを採用し、走行性能・安全性能・環境性能すべてが向上。e-BOXERハイブリッドが追加されました。
6代目フォレスター(2025年~)
フルモデルチェンジにより、新世代S:HEVハイブリッドシステム、トリプルカメラアイサイト、フルインナーフレーム構造など、最新技術が投入されました。そして2026年には、待望のWildernessグレードが日本市場に投入されます。
フォレスター Wildernessの競合車種
トヨタ RAV4 Adventure / RAV4 TRD Off-Road
トヨタのRAV4も、オフロード性能を強化したグレードを展開しています。価格帯やターゲット層が近く、直接的な競合となります。
マツダ CX-5 / CX-50
マツダのSUVラインナップも、質感の高さと走りの楽しさで人気。特にCX-50は北米市場でアウトドア志向のユーザーに支持されています。
ホンダ CR-V
実用性と信頼性で定評のあるCR-Vも、フォレスターの競合モデル。ハイブリッドシステムの効率性でも競い合っています。
フォレスター Wildernessをおすすめしたいユーザー
アウトドアアクティビティを楽しむ方
キャンプ、登山、スキー、釣りなど、本格的なアウトドアを楽しむ方に最適です。高い最低地上高と優れた悪路走破性により、未舗装路や雪道も安心して走行できます。
オフロード走行を楽しみたい方
林道走行やオフロードドライブを趣味とする方にとって、Wildernessの専用チューニングされたサスペンションとオールテレーンタイヤは理想的な組み合わせです。
タフで個性的なSUVを求める方
一般的なSUVとは一線を画す、力強く個性的なデザインを求める方にもおすすめ。街中でも存在感を放つスタイリングが魅力です。
スバルの4WD技術を信頼する方
長年培われてきたスバルのシンメトリカルAWD技術を信頼し、安全性と走破性を重視する方には最良の選択肢となります。
まとめ|フォレスター Wildernessで広がる冒険の可能性
スバル フォレスター Wildernessは、日本市場に本格的なアドベンチャーSUVという新しい選択肢をもたらします。2026年7月の発売に向けて、アウトドア愛好家やオフロード走行を楽しみたいユーザーからの期待が高まっています。
専用サスペンションによる236mmの最低地上高、オールテレーンタイヤ、専用デザインのエクステリア・インテリアなど、Wildernessならではの装備により、フォレスターの走破性と実用性がさらに高められています。
価格は約500万円からと予想され、シリーズ最上位モデルとしての位置づけとなりますが、その価値に見合う充実した装備と性能を備えています。
スバルの伝統であるシンメトリカルAWDと、最新のS:HEVハイブリッドシステム、そしてWildernessの専用装備が組み合わさることで、日常使いからアウトドアアクティビティ、本格的なオフロード走行まで、あらゆるシーンで頼れるパートナーとなるでしょう。
フォレスター Wildernessとともに、新しい冒険の扉を開いてみてはいかがでしょうか。

