2025年11月14日、日産のアメリカ法人は2026年モデルのパスファインダーを正式発表しました。今回のマイナーチェンジでは、デザインの洗練だけでなく、最新テクノロジーの導入により、3列シートSUVとしての魅力が大幅に向上しています。特に注目すべきは、革新的な「インビジブルフードビュー」機能と、全グレードに標準装備される12.3インチタッチスクリーンです。
日産が放つ3列シートSUVの最新進化版が遂に登場
2025年11月のロサンゼルスオートショーで一般公開される新型パスファインダーは、キアの新型テルライドやヒュンダイ・パリセードといった強力なライバルとの競争に備えた重要なアップデートとなっています。
エクステリアデザイン:微細ながら印象的な変化

フロントマスクの刷新でモダンな印象に

新型パスファインダーのフロントデザインは、一見すると従来モデルからの変化が少ないように見えますが、細部を見ると大きな進化が確認できます。最も顕著な変更点は以下の通りです:
- デジタルVモーショングリルの採用:セレナやキックス、ムラーノと同様のデザイン言語を採用
- 水平基調の3本メッキガーニッシュ:スクエア型LEDヘッドライト直下に新設計
- フロントグリル意匠の刷新:より水平基調で洗練されたデザインに変更
- サテン仕上げバッジ:全体の質感向上に貢献
新色「バルティック・ティール」で個性を演出
今回のマイナーチェンジで特に注目すべきは、アウトドア志向の強い新ボディカラー「バルティック・ティール」の追加です。このカラーは、アウトドアアクティビティを楽しむユーザーに最適な選択肢となっており、パスファインダーのアドベンチャー性を視覚的に表現しています。
さらに、SLグレードとPlatinumグレードでは、従来のシルバールーフレールがブラックに変更され、よりスポーティで洗練された外観を実現しています。
リアデザインは継続性を重視

リアデザインに関しては大きな変更はなく、テールランプ意匠やブラックガーニッシュは従来通りです。これは日産がブランドアイデンティティの継続性を重視した結果と言えるでしょう。
インテリア:テクノロジーと快適性の大幅向上
全グレードで12.3インチタッチスクリーンを標準装備

2026年モデルの最大の進化点の一つが、インテリアテクノロジーの大幅なアップグレードです。従来モデルでは下位グレードに9インチのインフォテインメントシステムが搭載されていましたが、新型では全グレードで12.3インチタッチスクリーンが標準装備となりました。

このシステムの主な特徴:
- ワイヤレスApple CarPlay/Android Auto対応:ケーブル接続不要で快適
- 直感的な操作性:大画面による視認性と操作性の向上
- 統一された体験:全グレードで同一のインターフェース
デジタルメーターパネルで情報表示を強化

SLグレード以上では、12.3インチのフルデジタルメーターパネルが装備されます。これにより、ドライバーは必要な情報を視線移動を最小限に抑えながら確認できるようになります。
ワイヤレス充電の進化:15W高速充電とマグネット固定

新型パスファインダーには、15Wの高速ワイヤレス充電器が搭載されています。この充電器の優れた点は以下の通りです:
- 高速充電対応:従来モデルより充電速度が向上
- マグネット固定機能:スマートフォンを最適な位置に固定し、充電効率を最大化
- 冷却ファン搭載:スマートフォンの過熱を防止し、バッテリー寿命を保護
プレミアムグレードの上質な仕上げ
Platinumグレードには以下の高級装備が追加されます:
- 新デザインの20インチアルミホイール
- キルティングシート:座面に高級感あふれる縫製を採用
- ウッドトーン内装トリム:上質な雰囲気を演出
- エンボス加工「PATHFINDER」ロゴ:ダッシュボードに配置
革新的カメラテクノロジー:インビジブルフードビューの実力

HDインテリジェントアラウンドビューモニターの進化
2026年モデルの目玉機能の一つが、HDインテリジェントアラウンドビューモニターです。この先進的なカメラシステムには以下の機能が含まれます:
180度フロントワイドビュー
車両前方を広角でカバーし、狭い駐車場や交差点での視界を大幅に改善します。これにより、死角を最小限に抑え、安全性が向上します。
インビジブルフードビュー(透明ボンネット機能)
最も革新的な機能が「インビジブルフードビュー」です。この技術は、ボンネットを仮想的に透明化し、車両直前の路面状況を確認できるようにします。
この機能が役立つシーン:
- 狭いガレージへの駐車:車両前方の障害物との距離を正確に把握
- ドライブスルー利用時:縁石との距離を確認し、ホイールの損傷を防止
- オフロード走行:路面の凹凸や障害物を事前に確認
- 高さ制限のある場所:車両前方の状況を詳細に把握
この機能は、大型SUVの運転で最も難しいとされる車両前方の死角問題を解決する画期的なソリューションです。
パワートレイン:信頼性の高いV6エンジンを継続採用
3.5L V6エンジンのスペック
新型パスファインダーのパワートレインに変更はありません。これは、既存のシステムが高い評価を得ているためです:
- エンジン:3.5L V型6気筒自然吸気エンジン
- 最高出力:284hp(288PS)
- 最大トルク:259 lb-ft(351Nm)
- トランスミッション:9速オートマチック
- 駆動方式:全グレードで四輪駆動(AWD)標準装備
牽引能力:最大2,720kgの実力
パスファインダーは最大6,000ポンド(約2,720kg)の牽引能力を誇ります。これは、ボートやキャンピングトレーラーなどを牽引する際に十分な性能です。上位グレードではこの牽引能力が最大限に発揮されます。
ロッククリークエディション:アウトドア志向を強化
オフロード性能を追求した特別仕様
アウトドア愛好家向けに設定されたロッククリークエディションが引き続きラインナップされます。このグレードの特徴は:
- オールテレインタイヤ:悪路走行に最適化
- オフロードチューンドサスペンション:凹凸の激しい路面での走破性向上
- 赤いインテリアアクセント:スポーティな雰囲気を演出
- 7つのテレインモード:AUTO/Eco/Tow/Sport/Sand/Mud/Rut
新設定:ロッククリークプレミアムパッケージ
2026年モデルの新たな選択肢として、ロッククリークプレミアムパッケージが追加されました。このパッケージには以下が含まれます:
- パノラマサンルーフ:開放感のある室内空間
- ヒーター付きステアリングホイール:冬季の快適性向上
- 追加の快適装備:アウトドア性能と快適性の両立
これにより、冒険心を持ちながらも快適性を妥協したくないユーザーにとって理想的な選択肢となります。
市場での立ち位置と競合比較
激化する3列シートSUV市場

2026年モデルのパスファインダーは、以下の強力なライバルと競合します:
- 2027年キア・テルライド:全面刷新で大胆なデザインを採用
- 2026年ヒュンダイ・パリセード:同じく全面刷新モデル
- ホンダ・パイロット:日本メーカーの直接的競合
- トヨタ・ハイランダー:ハイブリッドモデルも展開

パスファインダーの強みと課題
強み:
- 全グレードで標準装備される先進テクノロジー
- 信頼性の高いV6エンジン
- 実用的なカメラシステム(特にインビジブルフードビュー)
- 充実したオフロードグレード(ロッククリーク)
課題:
- ライバルが全面刷新モデルであるのに対し、マイナーチェンジにとどまる
- ハイブリッドやプラグインハイブリッドの設定がない
- 従来モデルの販売実績がライバルに劣る
発売時期と価格予想
2026年型日産パスファインダーは、2026年初頭に米国のディーラーで販売開始予定です。具体的な価格は未発表ですが、現行モデルの価格帯から判断すると以下が予想されます:
- ベースグレード(S):約35,000ドル〜
- 中間グレード(SV/SL):40,000〜50,000ドル
- 最上位グレード(Platinum):55,000ドル〜
- ロッククリーク:48,000ドル〜
※日本国内での発売は未定です。
まとめ:実用性とテクノロジーの絶妙なバランス
2026年型日産パスファインダーは、大胆な全面刷新ではなく、実用性を重視した着実な進化を遂げたモデルです。特にインビジブルフードビューをはじめとするカメラテクノロジーは、日常的に使える実用的な機能として高く評価できます。
全グレードでの12.3インチタッチスクリーン標準装備や、15Wワイヤレス充電器の採用など、テクノロジー面での底上げは明確です。また、ロッククリークプレミアムパッケージの追加により、アウトドア志向のユーザーにも快適性を提供できる選択肢が広がりました。
一方で、キアやヒュンダイの全面刷新モデルとの競争は厳しいものとなるでしょう。しかし、日産の信頼性と実用的なテクノロジーの組み合わせは、3列シートSUVを求めるファミリー層にとって魅力的な選択肢であり続けるはずです。
2026年初頭の発売が待ち遠しい一台と言えるでしょう。

