2026年夏に発売予定の日産新型エルグランド(E53型)が、Japan Mobility Show 2025で世界初公開されました。約15年ぶりのフルモデルチェンジとなる新型エルグランドは、トヨタ アルファード・ヴェルファイアの一強状態に風穴を開ける実力を秘めています。本記事では、現行アルファード・ヴェルファイア(40系)と新型エルグランドを徹底比較し、それぞれの優れた点をご紹介します。
【外観デザイン】新型エルグランドの圧倒的な存在感

車格とボディサイズの優位性

新型エルグランドは、アルファード・ヴェルファイアより一回り大きいボディを採用しています。

ボディサイズ比較
- 全長: 4,995mm(両車同等)
- 全幅: エルグランド 1,895mm / アルファード・ヴェルファイア 1,850mm(エルグランドが+45mm広い)
- 全高: エルグランド 1,975mm / アルファード・ヴェルファイア 1,935mm(エルグランドが+40mm高い)
特に全高が40mm高いことで、新型エルグランドは「見下ろす視界」を実現。現行E52型の弱点だった「小さく見える」印象を完全に払拭しています。
独創的なデザイン言語「タイムレスジャパニーズフューチャリズム」


新型エルグランドは日本の伝統美をモチーフにした独自のデザインを採用:
- フロントグリル: 日本の伝統工芸「組子」をイメージした繊細なパターン
- LED照明: 全幅に渡る一文字型のデイタイムランニングライト
- ボディカラー: 「FUJI DAWN(フジドーン)」と「至極(シゴク)」という新色を設定
アルファード・ヴェルファイアのオラオラ系デザインとは一線を画す、上品で未来的なスタイリングが特徴です。
豊富なボディカラーバリエーション
新型エルグランドの優位性
新型エルグランドは、ツートンカラーを含む多彩なカラーバリエーションを設定しています。特に注目なのが、ショルダーラインで上下に塗り分けられる斬新なツートンカラーデザインです。
- FUJI DAWN(フジドーン): 富士山の朝焼けをイメージしたブロンズ系
- 至極(シゴク): 高貴さを象徴する紫に近いブラック
- ツートンカラー設定: 上下で異なる色を組み合わせた個性的なスタイル
一方、アルファード・ヴェルファイアは単色カラーが中心で、ツートンカラーの設定はありません。個性を重視するユーザーにとって、新型エルグランドのカラーバリエーションは大きな魅力となります。
【内装・装備】アルファードを上回る豪華装備


新型エルグランドの優位性

新型エルグランドは内装面でアルファード・ヴェルファイアを上回る装備を多数搭載しています。
新型エルグランドの優れた装備
- 14.3インチ大画面ディスプレイ×2: メーターとナビの両方が14.3インチ(アルファードは12.3インチメーター+14インチナビ)
- BOSEプレミアムサウンドシステム: ヘッドレスト内蔵を含む22スピーカー搭載
- 助手席オットマン: アルファード・ヴェルファイアから廃止された機能を復活
- 後席シートベンチレーション: 2列目キャプテンシートにシートヒーター&ベンチレーションを標準装備
- ダブルムーンルーフ: 1列目・2列目の両方に開閉式サンルーフを設定
- マルチカラーアンビエントライト: 64色から選択可能な室内照明
- 電動チルト&テレスコピックステアリング: 運転席ポジションメモリー機能付き
- ランバーサポート: 運転席に腰部サポート機能を標準装備(アルファードには非搭載)
2列目シートの快適性

新型エルグランド独自の機能
- 中折れ機構付きシート: リクライニング時に背もたれ上部だけが起き上がる独自機構
- 電動パワーシート: リクライニング、オットマン、ポジションメモリー付き
- 前後スライドは手動: 電動より素早く調整可能な実用的設計
一方、アルファード・ヴェルファイアは:

- エグゼクティブラウンジグレードにオットマン付きシートあり
- 2列目もシートヒーター&ベンチレーション標準(上級グレード)
- JBL 15スピーカーシステム搭載
【走行性能】第3世代e-POWERとe-4ORCEの実力
新型エルグランドの先進パワートレイン
新型エルグランドは全車e-POWER、全車4WD(e-4ORCE)という徹底した構成:
第3世代e-POWERの特徴
- 1.5L直列3気筒ターボエンジン: 発電専用に最適化
- 5-in-1パワートレインユニット: モーター、発電機、インバーター、減速機、増速機を一体化
- システム最高出力: 340ps(推定)
- 燃費性能: 19km/L前後と予想(2.5Lガソリン車の約2倍)
e-4ORCEの利点
- 前後モータートルク配分による優れた操縦安定性
- ピッチング制御により酔いにくい乗り心地
- 雪国でも安心の走破性
電子制御サスペンション
- インテリジェントダイナミックサスペンション採用
- 4輪独立で減衰力を可変制御
- 走行モード6種類から選択可能
【重要】税金面でのメリット:1.5L vs 2.5L/2.4L
新型エルグランドの経済的優位性
新型エルグランドの最大のメリットの一つが、1.5Lという低排気量による税金面での優位性です。
自動車税の比較(年額)
- 1.5L(エルグランド): 30,500円
- 2.0L超〜2.5L以下(アルファード2.5L): 43,500円
- 2.0L超〜2.5L以下(アルファード2.4Lターボ): 43,500円
年間差額: 13,000円
5年間での差額: 65,000円
10年間での差額: 130,000円
新型エルグランドは、e-POWERのため実際にはモーター駆動ですが、自動車税の区分は発電用エンジンの排気量で決まります。そのため、2.5Lや2.4Lのアルファード・ヴェルファイアと比べて、毎年13,000円も自動車税が安いのです。
さらに、340ps相当のシステム出力を持ちながら1.5Lの税金で済むのは、高級ミニバンとして極めて経済的です。燃費性能も優れているため、ランニングコストでは新型エルグランドが圧倒的に有利と言えます。
アルファード・ヴェルファイアのパワートレイン

2.5Lハイブリッド
- システム最高出力: 250ps
- WLTCモード燃費: 16.5〜17.7km/L
- E-Fourによる電動4WD
- 自動車税: 43,500円/年
2.4Lターボ
- 最高出力: 272ps
- トルク: 460Nm
- Direct Shift-8AT
- 自動車税: 43,500円/年
2.5Lガソリン
- 最高出力: 182ps
- WLTCモード燃費: 10.3〜10.6km/L
- 自動車税: 43,500円/年
【先進運転支援】プロパイロット2.0のアドバンテージ
新型エルグランドの運転支援システム
プロパイロット2.0搭載
- 高速道路でのハンズオフ走行対応(制限速度+10km/hまで)
- ドライバーモニタリングシステム内蔵
進化したプロパイロット1.0
- 時速50km以下でハンズオフ可能(渋滞時)
- 自動車線変更支援機能追加
これは、トヨタのアドバンスドライブ(時速40km以下限定)より10km/h高い速度域でハンズオフが可能という優位性があります。
アルファード・ヴェルファイアの運転支援
Toyota Safety Sense(第3世代)
- プリクラッシュセーフティ
- レーントレーシングアシスト
- アダプティブハイビーム
Advanced Drive(オプション)
- 時速40km以下でハンズオフ対応
- 自動車線変更機能
【価格予想】新型エルグランドは500万円台から?
予想価格帯
新型エルグランド
- ベースグレード: 480万円〜550万円(予想)
- 上級グレード: 650万円〜750万円(予想)
現行E52型エルグランドは408万円〜544万円でしたが、装備の大幅充実とe-POWER全車搭載により、大幅な価格上昇が予想されます。ただし、低排気量による税金メリットを考慮すると、トータルコストではアルファード・ヴェルファイアと競争力がある価格設定になる可能性があります。
アルファード・ヴェルファイア参考価格
- ガソリン車: 472万円〜
- ハイブリッド車: 544万円〜
- エグゼクティブラウンジ: 850万円〜
【気になる点】新型エルグランドの課題
確認が必要な装備
- ヘッドアップディスプレイ: 搭載の有無が不明
- 19インチホイール: 18インチのみの可能性
- LEDリアフォグランプ: 装備の有無が不明
- リセールバリュー: アルファード・ヴェルファイアには及ばない可能性
【総合評価】どちらを選ぶべきか
新型エルグランドがおすすめな人
✅ 運転する楽しさも重視したい
✅ 最新のパワートレインに魅力を感じる
✅ 他人と差別化したデザインが好き
✅ ツートンカラーなど個性的なカラーを選びたい
✅ 雪国など4WDが必須の地域に住んでいる
✅ BOSEサウンドやハイテク装備にこだわりたい
✅ ランニングコスト(税金・燃費)を抑えたい
アルファード・ヴェルファイアがおすすめな人
✅ リセールバリューを最重視
✅ 多様なグレード・パワートレインから選びたい
✅ ブランド力や知名度を重視
✅ 実績のある車種で安心したい
✅ ディーラー網の充実度を重視
まとめ:高級ミニバン市場に新たな選択肢
新型エルグランドは、アルファード・ヴェルファイアに真正面から挑戦する実力派モデルです。特に内装の質感、先進装備、走行性能では一歩リードする部分も多く、「運転して楽しいミニバン」というコンセプトは魅力的です。
新型エルグランドの経済的メリットも見逃せません。1.5Lという低排気量により自動車税が年間13,000円安く、10年間で13万円の差が生まれます。さらに優れた燃費性能により、ガソリン代も節約できます。初期購入価格は高くても、長期的なランニングコストではエルグランドが有利です。
また、ツートンカラーを含む豊富なボディカラーバリエーションにより、他人と差別化したいユーザーのニーズにも応えています。
一方、アルファード・ヴェルファイアは豊富なグレード展開、実績、リセールバリューで依然として優位性を保っています。
2026年夏の新型エルグランド発売により、高級ミニバン市場はさらに活性化することでしょう。購入を検討される方は、実車での試乗と価格発表を待って、じっくり比較検討することをおすすめします。
関連記事:

