2026年夏の発売が予定されている日産のフラッグシップミニバン、新型エルグランド(E53型)。約16年ぶりのフルモデルチェンジとなる本モデルは、ジャパンモビリティショー2025で世界初公開され、大きな注目を集めました。最新の第3世代e-POWERシステムや進化したe-4ORCE四輪駆動システムを搭載し、プレミアムミニバン市場への本格的な再参入を果たします。
本記事では、新型エルグランドの価格帯やグレード構成について、現行モデルの価格設定やライバル車との比較を踏まえながら、徹底的に予想していきます。

新型エルグランドの基本スペックと特徴
パワートレインは第3世代e-POWERのみ

新型エルグランドの最大の特徴は、全グレードで第3世代e-POWERシステムを採用することです。新開発の1.5L直列3気筒ターボエンジン「ZR15DDTe」と「5-in-1 e-POWERパワートレーンユニット」の組み合わせにより、システム最高出力は340psを発生します。
従来のe-POWERの弱点だった高速走行時の燃費は最大15%向上し、燃費性能は19km/L程度が見込まれています。これは先代モデルの2.5Lガソリン車(10.0km/L)や3.5Lガソリン車(8.7km/L)から大幅な改善となります。

駆動方式はe-4ORCE四輪駆動のみ
注目すべきは、新型エルグランドが四輪駆動の「e-4ORCE」のみのラインナップとなる点です。前輪駆動(FF)モデルは設定されず、全車が電動四輪駆動システムを搭載します。これは、フラッグシップミニバンとしての高級感と走行性能を明確に打ち出す戦略と言えるでしょう。
e-4ORCEは前後のモーターを緻密に制御することで、発進時や加減速時の車体の揺れを抑制し、快適な乗り心地を実現します。さらに、インテリジェントダイナミックサスペンションを組み合わせることで、より上質な走りを追求しています。
ボディサイズは競合を超える大型化

新型エルグランドのボディサイズは全長4,995mm×全幅1,895mm×全高1,975mmとなります。先代モデル(4,975mm×1,850mm×1,815mm)から特に全高が160mm拡大され、室内空間の余裕が大幅に向上しました。
ライバルのトヨタ アルファード/ヴェルファイア(4,995mm×1,850mm×1,935mm)と比較しても、全幅は45mm広く、全高も40mm高くなっています。この大型化により、ミニバンとしての実用性と存在感を両立させています。

先代エルグランドの価格構成を振り返る
新型エルグランドの価格を予想する上で、先代モデル(E52型)の価格設定を確認しておきましょう。
2.5Lガソリンモデルの価格帯
- 250ハイウェイスターS(7人/8人乗り):408万円~438万円
- 250ハイウェイスタープレミアム(7人乗り):484万円~514万円
- 250ハイウェイスターSアーバンクロム:435万円~465万円
- 250ハイウェイスタープレミアムアーバンクロム:503万円~533万円
3.5Lガソリンモデルの価格帯
- 350ハイウェイスター(7人/8人乗り):487万円~516万円
- 350ハイウェイスタープレミアム(7人乗り):544万円~574万円
- 350ハイウェイスターアーバンクロム:506万円~535万円
- 350ハイウェイスタープレミアムアーバンクロム:563万円~593万円
AUTECHモデル
- エルグランドAUTECH(250ベース):520万円~550万円
- エルグランドAUTECH(350ベース):585万円~614万円
VIPモデル
- 350ハイウェイスタープレミアムVIP(7人乗り):636万円~666万円
- 350ハイウェイスタープレミアムVIP(4人乗り):807万円~837万円
先代モデルは408万円から最高837万円まで、幅広い価格帯を設定していました。
新型エルグランドの予想価格帯
エントリーグレードは480万円からか
新型エルグランドは、先代の最廉価グレード(408万円)から約70万円以上の価格上昇が予想されます。最低価格は480万円前後となる可能性が高いでしょう。
この価格上昇の主な要因は以下の通りです:
- 第3世代e-POWERシステムの搭載:新開発の1.5Lターボエンジンと5-in-1パワートレインユニットは、開発コストが高額
- e-4ORCE四輪駆動の標準化:全車が電動四輪駆動システムを搭載することによるコスト増
- 先進装備の充実:14.3インチ大画面ディスプレイ、BOSE 22スピーカーシステム、インテリジェントダイナミックサスペンションなど
- 内外装の高級化:組子モチーフのグリル、64色アンビエントライト、高品質な表皮材など
中間グレードは540万円~600万円
標準的な装備を備えた中間グレードは540万円~600万円のレンジに設定されると予想されます。このグレードには以下のような装備が含まれるでしょう:
- 第3世代e-POWER+e-4ORCE
- 14.3インチ統合型ディスプレイ
- プロパイロット(ハンズオフ機能付き)
- BOSE 22スピーカーシステム
- 18インチアルミホイール
- 3ゾーンエアコン
- 間接照明(64色設定可能)
上級グレードは620万円~680万円
最上級グレードは620万円~680万円程度になると予想されます。追加される装備としては:
- プロパイロット2.0(高速道路でのより高度な運転支援)
- セミアニリン本革シート
- 電動オットマン
- 後席用大型モニター(15.6インチ)
- 19インチアルミホイール
- 専用エクステリアデザイン
- ツートーンボディカラー(FUJI DAWNなど)
AUTECHモデルは650万円~
カスタマイズブランド「AUTECH」バージョンも設定予定です。専用のエクステリアパーツ、スポーティなサスペンションセッティング、特別な内装色などを採用し、650万円~720万円程度の価格帯になると予想されます。
VIP/4人乗り仕様は800万円超えも
先代モデルで人気のあった2列シート・4人乗りのVIP仕様も継続設定される可能性があります。このモデルは後席をファーストクラスのような特別仕様とし、800万円~900万円のプレミアム価格帯になるでしょう。
予想グレード構成
新型エルグランドのグレード構成は、以下のような体系が予想されます:
ベースグレード「e-POWER S」:約480万円~
- 第3世代e-POWER(340ps)
- e-4ORCE四輪駆動
- 7人/8人乗り選択可能
- 14.3インチディスプレイ
- 18インチホイール
- プロパイロット
中間グレード「e-POWER X」:約540万円~
- Sグレードの装備に加えて
- BOSE 22スピーカーシステム
- 間接照明(64色)
- 合成皮革シート
- プロパイロットパーキング
上級グレード「e-POWER G」:約620万円~
- Xグレードの装備に加えて
- プロパイロット2.0
- セミアニリン本革シート
- 後席モニター
- 19インチホイール
- ツートーンカラー選択可能
スポーツグレード「e-POWER AUTECH」:約650万円~
- 専用エクステリア・インテリア
- スポーティサスペンション
- 専用19インチホイール
- 特別カラー
VIPグレード「e-POWER VIP」:約800万円~
- 4人乗り/7人乗り選択可能
- 後席電動オットマン
- 後席専用大型モニター
- プレミアムレザー
- 専用装備多数
ライバル車との価格比較
トヨタ アルファード/ヴェルファイア

- エントリー(2.5Lハイブリッド):540万円~
- 中間グレード:600万円~700万円
- 上級グレード(エグゼクティブラウンジ):850万円~
トヨタの両車は既に500万円台からのスタートとなっており、新型エルグランドが480万円スタートなら価格競争力があります。
ホンダ オデッセイ

- エントリー:458万円~
- 上級グレード:520万円~
オデッセイは比較的手頃な価格設定ですが、ボディサイズや装備レベルではエルグランドの方が上位に位置します。
三菱 デリカD:5

- エントリー:399万円~
- 上級グレード:490万円~
デリカD:5はSUVテイストのミニバンで価格帯は低めですが、ターゲット層が異なります。
価格が500万円超えとなる理由
新型エルグランドのエントリーグレードが480万円、多くのグレードが500万円を超えると予想される理由を整理します。
1. 最新パワートレインの採用コスト
第3世代e-POWERシステムは、従来のシステムから大幅に進化しています。新開発の1.5Lターボエンジンは熱効率42%を達成し、5-in-1パワートレインユニットはモーター、発電機、インバーター、減速機、増速機を統合した高度なシステムです。このような最新技術の開発・製造コストは決して安くありません。
2. e-4ORCE四輪駆動の標準化
先代モデルではFFと4WDを選択できましたが、新型では全車e-4ORCEとなります。前後に高性能モーターを搭載し、精密な制御を行うシステムは、従来のFFモデルと比較してコストが高くなります。しかし、この判断によりフラッグシップミニバンとしてのブランド価値を高めることができます。
3. 先進装備の充実

新型エルグランドには以下のような最新装備が搭載されます:
- 14.3インチ大画面統合ディスプレイ(日産国内モデル初)
- BOSE 22スピーカープレミアムサウンドシステム
- プロパイロット2.0(グレードによる)
- インテリジェントダイナミックサスペンション
- 64色設定可能なアンビエントライト
これらの装備は、プレミアムミニバンとしての価値を高めますが、同時にコスト増の要因となります。
4. 内外装の高級化

デザインコンセプト「The private MAGLEV(リニアモーターカー)」を体現するため、新型エルグランドは内外装の質感を大幅に向上させています。
エクステリアでは、日本の伝統工芸「組子」をモチーフにしたグリル、塗装段差のない2トーンボディカラー、精密なホイールフィニッシャーなど、コストをかけた仕上げが特徴です。

インテリアでは、広範囲に本革や合成皮革を使用し、木目調パネルとシームレスに統合された静電式スイッチ、組子パターンのキルティングドアトリムなど、細部まで高級感を追求しています。

5. ライバル車の価格帯
トヨタ アルファード/ヴェルファイアは既に540万円からのスタートとなっており、プレミアムミニバン市場では500万円超えが標準的な価格帯となっています。新型エルグランドも、この市場環境に合わせた価格設定が必要です。
6. インフレと開発コストの増大
近年の部品価格の上昇、人件費の増加、環境規制への対応など、自動車製造を取り巻くコスト環境は厳しさを増しています。約16年ぶりのフルモデルチェンジで膨大な開発費用が投じられた新型エルグランドは、これらのコストを回収する必要があります。
お買い得感はあるのか?
コストパフォーマンスの検証
新型エルグランドが500万円超えの価格設定となった場合、消費者にとって「お買い得」と言えるのでしょうか。
装備内容から見ると、540万円程度の中間グレードで以下が手に入ります:
- 340psのパワフルなe-POWERシステム
- 全車標準のe-4ORCE四輪駆動
- 14.3インチ大画面ディスプレイ
- BOSE 22スピーカーシステム
- プロパイロット(ハンズオフ機能付き)
これらの装備を考えると、トヨタ アルファードの同等装備グレード(600万円~)と比較して、60万円程度安価になる可能性があります。
ランニングコストの優位性
新型エルグランドの予想燃費19km/Lは、アルファードハイブリッド(17km/L前後)を上回る可能性があります。年間1万km走行した場合、燃料費は約15,000円程度の差が生まれます。長期的に見れば、この燃費性能の良さはコストメリットとなるでしょう。
また、e-POWERシステムはエンジンが発電専用のため、エンジンオイル交換の間隔が従来の15,000kmから20,000kmに延長されています。メンテナンスコストの面でも優位性があります。
値引き交渉の可能性
発売初期は値引き困難
2026年夏の発売直後は、約16年ぶりのフルモデルチェンジという話題性もあり、値引きは期待できないでしょう。特に人気グレードや人気色は納期待ちの状況が予想されます。
半年後から値引き交渉が可能に
発売から半年~1年経過すると、競合他車との競争も激化し、値引き交渉の余地が出てくると予想されます。アルファード/ヴェルファイアとの競合を武器に、10万円~20万円程度の値引きは期待できるかもしれません。
オプション値引きを狙う
車両本体価格の値引きが難しい場合でも、ディーラーオプションの値引きは比較的容易です。ナビゲーション、ドライブレコーダー、フロアマットなどのオプション品を上手く組み合わせて交渉すれば、総額で15万円~25万円程度のコストダウンは可能でしょう。
購入時の注意点
グレード選びのポイント
予算重視ならエントリーグレードの「e-POWER S」でも、第3世代e-POWERとe-4ORCEという基本性能は同じです。プロパイロットも標準装備されるため、日常使いには十分でしょう。
装備充実を求めるなら中間グレードの「e-POWER X」がおすすめです。BOSEサウンドシステムやアンビエントライトなど、プレミアム感を高める装備が追加され、価格とのバランスが良いグレードになるでしょう。
最上級を求めるなら「e-POWER G」や「AUTECH」を検討しましょう。プロパイロット2.0や本革シートなど、最高級の装備が手に入ります。
オプション選択の戦略
必須オプションと後回しにできるオプションを見極めることが重要です。
購入時に選ぶべきオプション:
- メーカーオプションの塗装色(特にツートーン)
- サンルーフ(後付け不可)
- プロパイロットパーキング(メーカーオプション)
後からでも追加可能なオプション:
- ナビゲーション
- ドライブレコーダー
- フロアマット
- ETC
試乗は必須
新型エルグランドは先代から大幅に進化しているため、必ず試乗してから購入を決めましょう。特に以下の点をチェックしてください:
- e-4ORCEの乗り心地:四輪駆動特有の安定感を体感
- e-POWERの加速感:340psのパワーを確認
- 3列目シートの快適性:全高が高くなった恩恵をチェック
- 運転視界:アイポイントが高くなった運転席からの視界
- 静粛性:第3世代e-POWERの静かさを確認
納期予想
発売直後は長納期の可能性
新型エルグランドは約16年ぶりのフルモデルチェンジとなるため、発売直後は注文が殺到すると予想されます。人気グレードや人気色では、3ヶ月~6ヶ月程度の納期が見込まれます。
生産体制の確立で納期短縮
発売から1年程度経過すれば、生産体制も安定し、納期は2ヶ月~3ヶ月程度に短縮されるでしょう。急がない場合は、少し待ってから注文するのも一つの戦略です。
リセールバリューの予想
フルモデルチェンジの恩恵
新型エルグランドは長期間フルモデルチェンジがなかったこともあり、発売当初は高いリセールバリューが期待できます。特に以下のグレード・仕様は人気が予想されます:
- 中間グレード:装備と価格のバランスが良い
- AUTECHモデル:カスタム好きに人気
- 白/黒のボディカラー:定番色は高リセール
- 7人乗り仕様:ファミリー層に人気
3年後のリセール率は70%前後か
プレミアムミニバン市場では、人気モデルは3年落ちで60%~70%程度の残価率を維持します。新型エルグランドも、適切なグレード選択と定期メンテナンスを行えば、3年後に購入価格の70%前後での売却が期待できるでしょう。
まとめ:新型エルグランドの価格予想総括
日産 新型エルグランドは、以下のような価格帯になると予想されます:
- エントリーグレード:約480万円~
- 中間グレード:約540万円~600万円
- 上級グレード:約620万円~680万円
- AUTECHモデル:約650万円~720万円
- VIP/4人乗り仕様:約800万円~900万円
確かに500万円超えという価格は決して安くありませんが、以下の点を考慮すると妥当な設定と言えます:
- 最新の第3世代e-POWERシステム搭載
- 全車e-4ORCE四輪駆動の贅沢な仕様
- 充実した先進装備と高級な内外装
- ライバル車と比較した価格競争力
- 優れた燃費性能によるランニングコスト削減
約16年ぶりのフルモデルチェンジとなる新型エルグランドは、日産の威信をかけた渾身の一台です。プレミアムミニバン市場で、トヨタ アルファード/ヴェルファイアに真っ向から挑戦する本格的なライバルとして、その動向から目が離せません。
2026年夏の正式発売と、公式の価格発表が待ち遠しいところです。
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