2026年1月9日、東京オートサロン2026で衝撃的なニュースが発表されました。スバルとSTI(スバルテクニカインターナショナル)が、現行WRXの日本仕様として初となる6速マニュアルトランスミッション搭載の限定モデル「WRX STI Sport♯(シャープ)」を公開したのです。
待望の6速MTが日本上陸
CVT搭載の「WRX S4」しか選択肢がなかった日本市場において、多くのスポーツカーファンが待ち望んでいた本格マニュアル仕様の登場は、まさに歓喜のニュースと言えるでしょう。2026年春頃に台数限定で販売予定とされており、価格は700万円程度と予想されています。
本記事では、東京オートサロン2026で公開されたプロトタイプを実際に確認した内容をもとに、WRX STI Sport♯の内外装の魅力、優れている点、そして正直に残念な点まで徹底解説いたします。
WRX STI Sport♯とは?開発背景とコンセプト

誕生の経緯
WRX STI Sport♯は、2025年5月に発表された限定500台のSTIコンプリートカー「S210」の高評価を受けて開発されました。S210は現行WRXとして初めてCVTを搭載したコンプリートカーでしたが、その意のままに操れる操縦性能が高く評価される一方で、「マニュアルトランスミッション仕様が欲しい」という熱望の声が多数寄せられました。
その要望に応える形で、スバルは海外向けに供給している6速マニュアルトランスミッションのアセット(技術資産)を活用し、日本市場向けのSTIコンプリートカーとして「WRX STI Sport♯」を開発しました。
STIコンプリートカーとしての位置づけ
STIコンプリートカーとは、スバルの量産工場で生産されたベース車両をSTIの専用工場に持ち込み、独自の架装を施して完成させる特別な車両です。単なる特別仕様車ではなく、STIがニュルブルクリンク24時間レースで培った技術を惜しみなく投入した、本格的なパフォーマンスカーとして位置づけられています。
外装デザイン:スポーティさと機能美の融合
エクステリアの第一印象

WRX STI Sport♯の外観は、ベースとなるWRX S4の力強いスタイリングを継承しながら、随所にSTIらしいスポーティな要素が加えられています。


【優れている点】
1. 19インチマットグレイアルミホイール
標準のWRX S4が18インチホイールであるのに対し、STI Sport♯では19インチ×8 1/2Jのアルミホイールにインチアップ。マットグレイ塗装が施されたホイールは、高級感とスポーティさを兼ね備えたデザインで、ゴールド塗装のブレンボ製ブレーキキャリパーとの組み合わせが視覚的にも圧倒的な存在感を放ちます。ホイールの隙間から覗くゴールドキャリパーは、まさにパフォーマンスカーの証です。
2. 小型トランクスポイラー(ブラック塗装)
大人のスポーツスタイルと空力性能を両立した小型トランクスポイラーは、派手すぎず控えめながらも確実に存在感をアピールします。ブラック塗装により、ボディカラーを問わず統一感のある仕上がりとなっており、日常使いでも違和感のないデザインバランスが秀逸です。過去のSTIモデルのような大型リアウイングではなく、洗練された大人のスポーツカーとしての品格を保っています。
3. ヘキサゴンパターンの空力テクスチャー
サイドシルスポイラーやスポーツサイドガーニッシュには、空気の流れを整えるヘキサゴンパターンの空力テクスチャーが採用されています。これは単なるデザインではなく、コーナリング時や高速走行時の操縦安定性を向上させる機能を持った実用的な装備です。スバルの技術力が光る部分と言えます。
4. 低重心で前進感のあるスタイリング
水平対向エンジンならではの低重心なボディ造形は、静止状態でも前進感を感じさせる躍動的なデザインです。フロントグリルとヘッドランプは一体感を持って立体的に構築され、水平対向エンジンのアイデンティティを明確に表現しています。
【残念な点】
1. ベースモデルとの差別化がやや控えめ
STI Sport♯は基本的にWRX S4 STI Sport R EXをベースとしているため、外観上の差別化要素はホイール、トランクスポイラー、ブレーキキャリパーなど限定的です。遠目から見ると通常のWRXと見分けがつきにくい可能性があります。限定車としてもう少し専用のエアロパーツやバッジなどで差別化されていれば、所有する喜びがさらに高まったかもしれません。
2. カラーバリエーションの情報が不明
プロトタイプの公開時点では、どのようなボディカラーが選択可能なのか詳細が明らかにされていません。特別仕様車「STI Sport R-Black Limited II」で採用されたサンライズイエローのような専用カラーの設定があれば、さらに魅力的だったでしょう。
主要諸元(開発目標値)
- 全長×全幅×全高: 4670×1825×1465mm
- ホイールベース: 2675mm
- 車両重量: 1560kg
- 最小回転半径: 5.6m
ベースのWRX S4(1590kg)と比較して約30kg軽量化されているのは注目ポイントです。CVTから6速MTへの変更による軽量化効果が現れています。
内装デザイン:走りを予感させるコックピット

インテリアの第一印象
WRX STI Sport♯のインテリアは、「走りの愉しさ」を予感させる機能的で洗練されたデザインが特徴です。ブラックを基調とした室内空間に、随所にスポーティな演出が施されています。
【優れている点】
1. RECAROフロントシート(STIロゴ入り)
最大の魅力はRECARO製のフロントシートです。ウルトラスエード表皮(ブラック、ブラックステッチ、イエローパーフォレーション)を採用し、高いホールド性と快適性を両立しています。長時間のスポーツドライビングでも体をしっかりサポートし、疲労を軽減します。イエローのパーフォレーション(穴あき加工)がアクセントとなり、視覚的にもスポーティさを演出。STIロゴが刻まれることで、特別感がさらに高まります。
通常のWRX S4でもRECAROシートはオプション設定されていますが、STI Sport♯の専用シートは配色とデザインが異なり、よりレーシーな雰囲気を醸し出しています。
2. 本革巻6速MTシフトノブ&ハンドブレーキレバー
日本仕様のWRXで久々に復活した6速マニュアルトランスミッションのシフトノブは、本革巻き仕様。手に馴染む形状とサイズ感で、シフトチェンジの度に操る喜びを感じさせてくれます。同じく本革巻きのハンドブレーキレバーも、細部までこだわった仕上がりです。
CVT車にはないこのシフトレバーの存在が、まさに「ドライバーズカー」としてのアイデンティティを主張しています。

3. 11.6インチ大型インフォテインメントディスプレイ
現代のクルマとして必要不可欠な大型タッチスクリーンディスプレイを装備。Apple CarPlayやAndroid Autoにも対応し、スマートフォンとの連携も万全です。スポーツカーでありながら、日常使いにおける利便性も犠牲にしていません。
4. ブラック基調の統一感
インパネ、ドアトリム、センタートレイなど、室内はブラックで統一され、レッドやイエローのステッチがアクセントとなっています。スエード調の素材を採用した部分もあり、高級感とスポーティさを両立した上質な空間を実現しています。
5. 運転席10ウェイパワーシート
運転席は10ウェイの電動調整機能を装備。最適なドライビングポジションを細かく設定できるため、長距離ドライブでも疲れにくく、またスポーツ走行時には体をしっかり固定できます。
6. 室内空間の拡大
現行WRXは先代からボディサイズが拡大されたことで、前後席のショルダールームやレッグルームが広がっています。後席の座面長も延長され、後席乗員も快適に過ごせる空間が確保されています。スポーツセダンとしての実用性を高く保っているのは、大きな美点です。
7. 実用的なトランク容量
トランクは先代と同等の容量を確保し、ベビーカーやゴルフバッグが収納可能です。週末のレジャーにも対応できる実用性は、日常使いを前提とするユーザーにとって重要なポイントです。
【残念な点】
1. メーター表示の情報が少ない
現時点ではメータークラスターの詳細が明らかになっていませんが、WRX S4と同様のデジタルメーターが採用されると予想されます。STI Sport♯専用の表示モードやデザインがあるかどうかは不明で、この点の差別化があればさらに魅力的でした。
2. 後席の快適性はスポーツカーレベル
前席に比べると後席の快適性はやや劣ります。ルーフラインの傾斜により頭上空間がやや狭く、大柄な成人が長時間乗車するには窮屈に感じる可能性があります。ただし、これはスポーツセダンの宿命とも言えるでしょう。
3. 収納スペースの少なさ
スポーツカーの特性上、室内の収納スペースは最小限に抑えられています。ドリンクホルダーやグローブボックスなどの基本的な収納はありますが、ファミリーカーのような豊富な収納を期待すると物足りなさを感じるかもしれません。
走行性能:STIが磨き上げた真のドライバーズカー
パワートレイン
エンジン: FA24型 水平対向4気筒2.4L DOHC 直噴ターボ
最高出力: 202kW(275PS)/5600rpm
最大トルク: 350N・m(35.7kgf・m)/2000-5200rpm
トランスミッション: 6速マニュアル
注目すべきは、CVT仕様のWRX S4(275PS/38.2kgf・m)と比較してトルクが若干低く設定されている点です。これは6速MTに最適化されたチューニングの結果であり、マニュアルトランスミッションでの操る楽しさを最大化するための調整と考えられます。
【優れている点】
1. 6速マニュアルトランスミッション
最大の魅力は何と言っても6速MTです。海外向けに供給されているトランスミッションを右ハンドル用に最適化し、日本市場に投入。シフトフィールの良さ、クラッチの繋がり方など、実際の試乗インプレッションが待たれますが、スバルとSTIのエンジニアリング力を考えれば高い完成度が期待できます。
2. ビスカスLSD付センターデフ方式AWD
スバル伝統のシンメトリカルAWDに、ビスカスLSD(リミテッド・スリップ・デフ)付センターデフを組み合わせています。トラクション性能と旋回性能を高次元でバランスさせ、あらゆる路面状況で安定した走りを実現します。
3. STIチューニング ZF製電子制御ダンパー
サスペンションには、ドイツの名門サプライヤーZF製の電子制御ダンパーを採用。STIが独自にチューニングを施し、スポーティな走りと日常の快適性を両立しています。ノーマル、コンフォート、スポーツの3モードから選択可能で、シーンに応じた最適な乗り心地を提供します。
4. brembo製18インチブレーキキャリパー
フロント対向6ポット、リア対向2ポットのbrembo製ブレーキキャリパーを装備し、ゴールド塗装が施されています。フロント&リアともにドリルドディスクローターを組み合わせることで、強力な制動力とコントロール性を実現。スポーツ走行時のブレーキングでもフェードしにくく、安心してコーナーに飛び込めます。
5. 245/35R19ハイパフォーマンスタイヤ
ブリヂストン ポテンザ S007を採用。標準のWRX S4(245/40R18)からインチアップし、よりスポーティなタイヤサイズとなっています。グリップ力と応答性が向上し、ワインディングロードでの走りが一層楽しめるでしょう。
6. STI製フレキシブルドロースティフナー(前後)
床下とリアバンパー内側にSTI製フレキシブルドロースティフナーを装着。ボディ剛性を高め、操舵の切り始めにおける応答性を向上させています。ステアリングを切った瞬間にクルマがリニアに反応する、気持ちの良いハンドリングを実現します。
7. STI製フレキシブルドロータワーバー フロント(STI Sport♯ロゴ付)
今回新開発された、右ハンドルMT車専用のフレキシブルドロータワーバーは特筆すべき装備です。ストラットタワーを内側に引き込むプリロードをかける機能を持ち、車体構造の遊びを抑えて荷重伝達の遅れを改善します。STI Sport♯専用ロゴが刻まれたこのパーツは、エンジンルームを開けた際の所有感を高めてくれます。
8. ドライブモードセレクト
ステアリング、ダンパー、エンジン特性、エアコンに至るまで、さまざまなユニットの制御を細かく調整可能なドライブモードセレクトを装備。さらに、LSDトルクを制御することで回頭性を高めるAWDスポーツモードも設定されており、サーキット走行でもポテンシャルを最大限に引き出せます。
【残念な点】
1. 出力は275PSに留まる
限定500台で販売された「S210」は300PSにパワーアップされていましたが、STI Sport♯は275PSに留まります。マニュアルトランスミッションに最適化されたチューニングとはいえ、限定車としてもう一段階パワーアップされていれば、さらに魅力的だったでしょう。
もっとも、275PSでも2.4Lターボエンジンは十分にパワフルであり、日常使いからワインディング、高速道路まで不足を感じることはないと思われます。
2. 燃費性能の情報が未公開
現時点では燃費性能が公開されていません。WRX S4のCVT仕様がWLTCモード10.8km/Lであることを考えると、6速MT仕様はこれを下回る可能性が高いでしょう。環境性能を重視するユーザーにとっては懸念材料かもしれません。
3. マニュアルトランスミッションの操作性は試乗待ち
6速MTの存在は大きな魅力ですが、実際のシフトフィールやクラッチの重さ、繋がり具合などは試乗してみないと分かりません。海外向けのアセットを右ハンドル用に最適化したとのことですが、どこまで完成度が高いのかは実車での確認が必要です。
安全装備:最新のアイサイトを全車標準装備
WRX STI Sport♯には、スバル自慢の先進安全技術「アイサイト」が標準装備されます。
【主な安全装備】
- トリプルカメラシステム: 従来のステレオカメラから画角を約2倍に拡大し、より広く遠い範囲まで認識可能
- 単眼カメラ: 低速走行時に二輪車や歩行者を広角で認識し、プリクラッシュブレーキの対応シーンを拡大
- アイサイトX: 3D高精度地図やGPS、準天頂衛星「みちびき」により自車位置を正確に特定。カーブ前減速や、一定条件下での自動車専用道路でのハンズオフ走行が可能
- 全方位LEDランプ: ハイ&ロービーム、ポジションランプ、ターンランプまでLED化。LEDコーナリングランプも採用し、夜間の視認性を向上
- ドライバーモニタリングシステム: ドライバー異常時対応システムとの連携を強化
- マルチビューモニター: フロントビュー自動表示(AUTOモード)機能を搭載
スポーツカーでありながら、最新の安全技術を妥協なく搭載している点は、スバルの安全思想が貫かれている証拠です。
競合車種との比較
WRX STI Sport♯のライバルとしては、以下の車種が挙げられます。

1. ホンダ シビック タイプR(FL5型)
- 価格: 約500万円
- 出力: 330PS
- 駆動方式: FF(前輪駆動)
2. トヨタ GR86 / スバル BRZ
- 価格: 約350~450万円
- 出力: 235PS
- 駆動方式: FR(後輪駆動)
3. 日産 フェアレディZ(RZ34型)
- 価格: 約550~700万円
- 出力: 405PS(3.0L V6ツインターボ)
- 駆動方式: FR
WRX STI Sport♯の強みは、スバル伝統の水平対向エンジンとシンメトリカルAWD、そしてセダンとしての実用性を兼ね備えている点です。純粋なスポーツカーではなく、日常使いもこなせる「スポーツセダン」としての立ち位置が魅力です。
総合評価:こんな人におすすめ
おすすめできる人
✅ マニュアルトランスミッションが大好きな人
久々に復活した日本仕様の6速MTは、何物にも代えがたい魅力です。
✅ 水平対向エンジンとAWDに魅力を感じる人
スバルならではの技術資産を堪能できます。
✅ 日常使いもできるスポーツカーが欲しい人
セダンボディで4名乗車可能、トランクも実用的なサイズです。
✅ STIブランドに憧れがある人
STIコンプリートカーとしての特別感と所有する喜びは格別です。
✅ 限定車のプレミアム感を求める人
台数限定販売のため、希少価値が高く将来的な資産価値も期待できます。
おすすめできない人
❌ 最大限のパワーを求める人
275PSは十分ですが、ライバルのシビック タイプR(330PS)やフェアレディZ(405PS)には及びません。
❌ 燃費性能を重視する人
2.4Lターボ+6速MTという組み合わせは、燃費面では不利です。
❌ 後席を頻繁に使う人
後席の快適性はスポーツカーレベルで、ファミリーカーとしては厳しいでしょう。
❌ 予算を抑えたい人
予想価格700万円は決して安くありません。通常のWRX S4なら約450万円から購入可能です。
まとめ:真のドライバーズカーを求める人への最高の選択肢
スバル WRX STI Sport♯は、日本市場が待ち望んでいた「本物のドライバーズカー」と呼ぶにふさわしい1台です。
優れている点は、6速マニュアルトランスミッション、RECAROシート、STIが磨き上げた足回り、brembo製ブレーキ、STI専用パーツの数々など、走りを愉しむための装備が惜しみなく投入されていることです。セダンボディによる実用性の高さも見逃せません。
残念な点としては、外観の差別化がやや控えめなこと、出力が275PSに留まること、価格が高めであることが挙げられます。しかし、これらは許容範囲内と言えるでしょう。
2026年春の発売が待ち遠しい、魅力あふれる限定モデルです。台数限定販売のため、購入を検討されている方は早めにディーラーへ相談されることをおすすめします。スバルとSTIが送り出す、日本市場への「最高の贈り物」を、ぜひ体感してください。
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