日産のフラッグシップミニバン「エルグランド」が、16年ぶりとなる待望のフルモデルチェンジを果たし、新型(型式:E53)として2026年7月の発売を予定しています。それと同時に、NMC(日産モータースポーツ&カスタマイズ)は2026年5月8日、カスタムグレードである「エルグランド AUTECH」の概要を公式発表し、最上級仕様の「VIP」、エントリーカスタム仕様の「AUTECH LINE」、そして乗降をより快適にする「ステップタイプ」の3種類の展開も明らかにしました。2026年7月中旬の正式発表・発売に向け、期待がさらに高まっています。

エルグランドの歴史と新型への期待
エルグランドは、1997年に初代「E50型」が「キャラバン・エルグランド」「ホーミー・エルグランド」として誕生した日産の最上級ミニバンです。その後、2002年に2代目「E51型」、2010年に3代目「E52型」へとモデルチェンジを重ね、現行のE52型は実に16年にわたって販売され続けてきました。デザイン性の高さや上質な仕上げが評価される一方、長期間モデルチェンジが行われなかったことで、国内プレミアムミニバン市場においてトヨタ アルファード/ヴェルファイアに大きく水をあけられてきた経緯があります。

その課題を打破すべく登場する4代目新型エルグランド「E53型」は、ボディサイズの大幅拡大から、パワートレインの全面刷新、先進安全装備の充実に至るまで、まさに"新世代"へと生まれ変わった一台です。「プライベート リニアモーターカー(The private MAGLEV)」をデザインコンセプトに掲げ、日本の伝統工芸「組子」をモチーフにしたフロントグリルや、日本庭園の哲学「間と整」を体現したサイドパネルなど、深みある日本美を随所に表現しています。


新型エルグランドの基本スペック
新型エルグランド(E53型)は、全長×全幅×全高が4,995mm×1,895mm×1,975mmと、現行モデル(E52型:4,975mm×1,850mm×1,815mm)から全長で+20mm、全幅で+45mm、そして全高は+160mmという大幅な拡大が図られています。特に全高1,975mmは、ライバルであるトヨタ アルファード(1,935mm)をも超える数値であり、広々とした室内空間の実現に大きく貢献しています。ホイールベースは現行と同じ3,000mmを維持しつつも、空間効率を高める設計が施されました。

パワートレインには、日産が誇る最新の第3世代「e-POWER」ハイブリッドシステムを搭載します。「5-in-1 e-POWERパワートレーンユニット」と呼ばれる新機構は、モーター・発電機・インバーター・減速機・増速機という5つの主要部品を1つのコンパクトなケースに統合したものです。組み合わせるエンジンは新開発の直列4気筒1.5Lターボエンジン(型式:ZR15DDTe)で、日産独自の「STARC燃焼コンセプト」により熱効率42%を達成。システム全体の最高出力は340psを発揮し、4WDシステムには進化した「e-4ORCE」を全車に標準装備します。WLTCモード燃費は17〜20km/Lとなる見込みで、現行モデルの2.5Lガソリン車(10.0km/L)から大幅な改善が期待されます。
走行性能をさらに高める装備として、走行シーンに応じて4輪の減衰力を自動可変するインテリジェントダイナミックサスペンション(IDS)を採用し、6つのドライブモードとの組み合わせで、あらゆるシーンで快適かつダイナミックな走行を実現します。

室内では、日産の国内モデルとして初採用となる14.3インチ大画面統合型インターフェースディスプレイ(メーターディスプレイ+センターディスプレイ)を搭載。BOSE 22スピーカープレミアムサウンドシステムや、最大64色に設定できるアンビエント照明なども装備され、プライベートラウンジのような上質な空間が演出されています。先進安全装備には「プロパイロット2.0」と「プロパイロット」をグレード別で設定し、時速50km以下での渋滞ハンズオフ走行やウインカー操作による車線変更支援にも対応しています。
新型「エルグランド AUTECH」── AUTECHシリーズのフラッグシップ
NMCが手掛けた「エルグランド AUTECH」は、AUTECHブランドのフラッグシップモデルとして位置付けられており、ブランドコンセプトである「プレミアムスポーティ」をエクステリア・インテリアの両面で体現したモデルです。ベースグレードは「e-POWER G [e-4ORCE]」の1グレードのみの設定となります。

エクステリアの特徴:
エクステリアでは、海面の煌めきをドットパターンで表現したAUTECH専用フロントグリル(AUTECHエンブレム入り)が存在感を放ちます。波打ち際の白波をモチーフにデザインしたボディ下部のメタル調フィニッシュパーツが、ワイド&ロースタンスを力強く演出。18インチアルミホイールはAUTECHの「A」をモチーフにしつつ、海に差し込む陽の光を表現したデザインとなっており、ダーク金属調仕上げで精悍な印象を与えます。また、今回初の手法としてフロントプロテクターにシグネチャーLEDをビルトインし、夜間でも際立つ個性的な顔つきを実現しています。ボディカラーには、AUTECHシリーズ専用の「ディープオーシャンブルー」「プリズムホワイト」「ミッドナイトブラック」などが設定されています。

AUTECH専用エクステリアパーツの主な内容は以下の通りです。
- AUTECH専用フロントグリル(AUTECHエンブレム入り)
- AUTECH専用フロントバンパーモールディング(ダークメタルグレー仕上げ)
- AUTECH専用フロントプロテクター(メタル調フィニッシュ)+LEDシグネチャーランプビルトイン
- AUTECH専用LEDフォグランプフィニッシャー(メタル調フィニッシュ)
- AUTECH専用ドアサイドミラー・ドアサッシュモールディング・サイドシルプロテクター(各メタル調フィニッシュ)
- AUTECH専用リアプロテクター(メタル調フィニッシュ)
- AUTECHエンブレム(リアテールゲート)
- AUTECH専用18インチアルミホイール(ダーク金属調仕上げ)
インテリアの特徴:
インテリアはブラックをベースにブルーアクセントを随所に効かせた、スポーティで上質な空間を形成しています。シート表皮には新開発の専用プレミアムナッパレザー(AUTECH刺繍付き・キルティング・ブルーステッチ)を採用。さざなみからインスパイアされた専用キルティングデザインをシートおよびドアトリムに施し、フィニッシャー類はダーククロームでコーディネートされています。ステアリングホイールもブルーステッチ+ダーククロームフィニッシャーの専用テーラーフィット巻き仕様となり、メーター・ナビゲーションともに14.3インチを標準装備します。シートレイアウトは3列7人乗りのみとなります。

AUTECH専用インテリアパーツの主な内容は以下の通りです。
- AUTECH専用プレミアムナッパレザーシート(AUTECH刺繍付き・キルティング・ブルーステッチ)
- AUTECH専用テーラーフィット巻きステアリングホイール(ブルーステッチ・ダーククロームフィニッシャー)
- AUTECH専用センターコンソール(ブルーステッチ・ダーククロームフィニッシャー)
- AUTECH専用ブラックドアトリム(ブルーステッチ・キルティング)
- AUTECH専用ブラックインストルメントパネル(ブルーステッチ・ダーククロームフィニッシャー)
- アシストグリップフィニッシャー(ダーククロームフィニッシャー)
- 2列目アームレスト(ダーククロームフィニッシャー)
- AUTECHエンブレム

「VIP」── 法人需要に応えるプレミアムショーファードリブン
「エルグランド VIP」は、社長車・役員車として使用する法人ニーズに特化したプレミアムショーファードリブンモデルです。グレード設定は1グレードのみで、3列7人乗りのみの設定となります。価格帯は800万円〜900万円と、ラインナップ中最上位に位置します。

エクステリアには、品格を際立たせるダークメタルグレーのフロントグリルと、VIP専用の18インチホイール、さらにVIP専用エンブレムを装備。特別な装飾と照明機能を備えたオートステップを装着し、乗降時にも上質さを演出します。

インテリアは全体をブラック基調とし、VIPの名にふさわしいプレミアムナッパレザーをシートに採用しています。最大の特徴は後席の充実にあり、15.6インチの後席専用モニターや読書灯を標準装備するほか、VIP専用アンビエントライトも設定されており、移動中も快適に過ごせるプライベートキャビンとしての完成度を追求しています。法人利用だけでなく、ハイヤーやVIPトランスポートとしての需要にも十分に応えるグレード構成といえるでしょう。


「AUTECH LINE」── スタイリッシュなエントリーカスタム
「AUTECH LINE」は、よりライトなカスタム志向のユーザーに向けたグレードで、「AUTECH LINE X」と「AUTECH LINE G」の2グレードが設定されます。価格帯は620万円〜680万円です。

エクステリアでは、ダークメタルグレーのフロントグリルや専用のフロントプロテクター、専用アルミホイール(18インチ)を装備し、メタル調フィニッシュのドアミラーがスタイリッシュな印象を加えます。「AUTECH LINE G」ではさらにAUTECH LINE専用グリルアクセントも加わります。

インテリアはシート地をブラックで統一し、包まれるような心地よさをもたらす「テーラーフィット」シートを採用しています。AUTECHグレードのようなブルーステッチを用いたスポーティさは控えめながら、日常的なカスタム感と上質感をバランスよく両立した仕上がりとなっています。「AUTECH LINE X」は「e-POWER X [e-4ORCE]」ベースで装備はシンプルに、「AUTECH LINE G」は「e-POWER G」の充実装備(14.3インチディスプレイ・BOSEサウンドシステムなど)をベースにAUTECH LINEの専用装備が加わります。
「ステップタイプ」── 快適な乗降をすべての人に
「ステップタイプ」は、助手席と助手席側スライドドアの双方から乗降する人が同時に使えるロングステップを採用した機能特化モデルです。助手席ドアまたは助手席側スライドドアの開閉と連動して、ステップが自動的に展開・格納される機構を持ちます。

単に機能性を重視するだけでなく、プレミアムミニバンにふさわしい洗練されたデザインを採用している点も注目です。ステップの踏面だけでなく、ステップ下の路面も照らすLEDイルミネーションを装備しており、暗い場所での乗降時も安全に、かつスタイリッシュに対応します。LEDのクリアな輝きが、夜間においても高品位な演出を実現しています。高齢者や子どもの乗り降りを重視する家族層はもちろん、送迎用途での活用においても大きなアドバンテージとなるオプション設定です。

グレード構成と価格帯まとめ
新型エルグランドのグレードラインナップは、標準車を含む全5グレード展開となります。全グレードが7人乗り・e-4ORCE(4WD)を標準装備するという、非常に明快な構成が特徴です。
| グレード | 価格帯(目安) | 主な特徴 |
|---|---|---|
| e-POWER X | 約480万円〜 | 12.3インチシステム、基本装備 |
| e-POWER G | 約540万円〜600万円 | 14.3インチ、BOSE、テーラーフィット |
| e-POWER AUTECH LINE | 約620万円〜680万円 | AUTECH LINE専用内外装 |
| e-POWER AUTECH | 約650万円〜720万円 | AUTECH専用内外装・プレミアムナッパレザー |
| e-POWER VIP | 約800万円〜900万円 | 15.6インチ後席モニター・オートステップ |
現行E52型の最廉価グレードが約408万円(2.5L・FF)であったことと比較すると、新型では最低価格が約480万円からとなり、大幅なグレードアップと装備の充実が反映された価格設定となっています。
新型エルグランド AUTECHが切り開く新時代
16年ぶりのフルモデルチェンジとなる新型エルグランドは、単なる代替モデルではなく、日産が総力を結集して送り出す"真のフラッグシップミニバン"として誕生しました。第3世代e-POWERによる電動化の進化、e-4ORCEによる走行性能の向上、そして圧倒的な全高1,975mmが生み出す室内空間の広さは、競合であるトヨタ アルファード/ヴェルファイアに対して明確な差別化ポイントとなります。
そのベースモデルをさらに昇華させた「AUTECH」「VIP」「AUTECH LINE」「ステップタイプ」という多彩なラインナップは、プレミアムスポーティを求めるファミリー層から、最高級の移動空間を必要とする法人ユーザーまで、幅広いニーズに対応する布陣です。2026年7月の正式発売に向け、先行受注や詳細価格の発表も相次ぐことが予想されます。日産エルグランドの復活劇に、今後も注目が集まりそうです。
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