日産自動車が2025年9月19日に発表した新型「ルークス」が、受注開始からわずか1ヶ月で1万1,344台(10月19日時点)の受注を達成したことが明らかになりました。10月27日からデリバリーを開始する本モデルは、ジャパンモビリティショー2025の開催時期とも重なり、日産の軽自動車ラインナップの中核を担う存在として注目を集めています。
発表から1ヶ月で1.1万台を記録、日産の軽自動車戦略の柱に
新型ルークスの主な特徴と進化ポイント
新型ルークスは、単なるマイナーチェンジではなく、全方位での進化を遂げたフルモデルチェンジモデルです。エクステリアには「かどまる四角」をデザインモチーフに採用し、日本の伝統的な建築様式である「唐破風(からはふ)」からインスピレーションを得た新たな2トーンカラーを設定。和のテイストを現代的に昇華させたデザインが特徴です。
インテリアでは、リビングルームのような心地よい空間を実現。家族での移動時間を快適に過ごせる居住性の高さが魅力となっています。
先進安全装備が充実、日産軽自動車初の装備も
新型ルークスの大きな進化点として、日産の軽自動車として初めて「インテリジェント アラウンドビューモニター(移動物検知、3Dビュー機能付)」を搭載した点が挙げられます。
この装備は12.3インチの大型ディスプレイに車両周囲の状況を表示し、移動物の検知や3D表示による直感的な確認が可能。さらに交差点での死角を「見える化」する「フロントワイドビュー」機能により、安全性が大幅に向上しています。
実際の受注状況を見ると、ハイウェイスターシリーズを選択した顧客の約7割がこのオプションを装着しており、安全装備への関心の高さがうかがえます。
グレード別受注状況:意外な結果が明らかに
新型ルークスの受注構成で最も注目すべきは、グレード別の内訳です。
【グレード別受注割合】
- S(エントリーグレード): 1%
- X(標準グレード): 19%
- ハイウェイスターX: 27%(最多)
- ハイウェイスターX プロパイロットエディション: 19%
- ハイウェイスターGターボ: 8%
- ハイウェイスターGターボ プロパイロットエディション: 26%(2番目)
ハイウェイスターシリーズが約8割を占める
全体の約8割が上級グレードであるハイウェイスターシリーズに集中しており、ブランド力と装備のバランスが評価されていることがわかります。
最人気は「ハイウェイスターX」の理由
興味深いのは、最上級グレードのハイウェイスターGターボ プロパイロットエディションではなく、自然吸気エンジンでプロパイロット非搭載の「ハイウェイスターX」が最も多く選ばれている点です。
この傾向から読み取れるのは、以下のようなユーザー心理です:
- 価格とブランドのバランス重視: ハイウェイスターのデザイン性や装備を求めつつも、価格を抑えたい層
- 街乗りメインの使い方: プロパイロット(アダプティブクルーズコントロール)が不要な近距離移動が中心
- 必要最低限の装備で十分: 過度な先進装備よりも基本性能を重視
プロパイロットエディションの選択率
プロパイロットエディションが付かないグレード(S、X、ハイウェイスターX、ハイウェイスターGターボ)は、電動パーキングブレーキ[EPB]とオートブレーキホールド[ABH]が非搭載で、足踏み式パーキングブレーキが標準装備です。
全体の55%がプロパイロットエディション以外のグレードを選択していることから、「従来の使い勝手」を好むユーザーが多いことが推測されます。
ボディカラー人気ランキング:新色が好調
【ボディカラー別受注割合】
- ホワイトパール: 34%(圧倒的1位)
- ブラック: 10%
- シナモンラテ(新色): 8%
- ソルベブルー: 7%
- チタニウムグレー: 6%
- ホワイトパール/フローズンバニラパール プレミアム2トーン(新色): 5%
- その他: 30%
定番カラーの強さと新色の健闘
ホワイトパールが3分の1以上を占め、定番カラーの安定した人気が確認できます。一方で、今回新たに追加された「シナモンラテ」が3位にランクインし、新色としては異例の好調ぶりを示しています。
2トーンカラーの中では、同じく新色の「ホワイトパール/フローズンバニラパール プレミアム2トーン」が最も多く選ばれており、唐破風からインスピレーションを得た和モダンなデザインが支持されています。
購入者の年齢層分析:50代・60代が中心
【年齢層別受注割合】
- ~30代: 16%
- 40代: 16%
- 50代: 29%(最多)
- 60代: 24%
- 70代~: 15%
50代以上が全体の68%を占める
最も多い購買層は50代で約3割、次いで60代が約2割と、50代以上が全体の約7割を占めています。この年齢層の特徴として、以下の点が考えられます:
- 購買力の高さ: 経済的に余裕があり、上級グレードを選択しやすい
- 使い慣れた操作系への信頼: 足踏み式パーキングブレーキなど従来の装備への安心感
- 家族構成の変化: 孫の送迎など、広い室内空間が必要なライフステージ
若年層(30代以下)と40代がそれぞれ16%と同率である点も興味深く、軽スーパーハイトワゴンが幅広い世代から支持されていることがわかります。
新型ルークスが選ばれる理由
1. 室内空間の広さと使い勝手
軽自動車でありながら、室内高や荷室の使い勝手に優れ、ファミリーユースにも対応できる空間性能が魅力です。
2. 先進安全装備の充実
軽自動車初の「インテリジェント アラウンドビューモニター」をはじめ、プロパイロットエディションでは高速道路での運転支援機能も利用可能。安全性への投資を惜しまないユーザーに支持されています。
3. デザインの質感向上
「かどまる四角」のデザインや唐破風をモチーフにした2トーンカラーなど、日本的な美意識を取り入れた独自性が評価されています。
4. グレード構成の幅広さ
エントリーグレードから最上級まで、予算やニーズに応じて選択できる柔軟なラインナップが、幅広い顧客層を獲得しています。
デリバリー開始とジャパンモビリティショー2025
新型ルークスは2025年10月27日からデリバリーを開始し、10月29日に開催されるジャパンモビリティショー2025では実車展示が予定されています。すでに1万台を超える受注を獲得している人気モデルだけに、モーターショーでの注目度も高まりそうです。
まとめ:日産軽自動車戦略の成功事例に
新型ルークスの1ヶ月で1.1万台という受注実績は、日産の軽自動車戦略が市場に受け入れられていることを示す好例です。
- 約8割がハイウェイスターシリーズを選択する「上質志向」
- 最も売れているのは中間グレードの「ハイウェイスターX」という「バランス重視」
- 50代・60代を中心とした「成熟した顧客層」
- 新色が好調な「デザインへの評価」
これらの要素が組み合わさり、軽スーパーハイトワゴン市場での競争力を高めています。ライバルであるホンダN-BOX、スズキスペーシア、ダイハツタントなどとの比較でも、日産独自の価値提案が功を奏していると言えるでしょう。
今後のデリバリー状況や、実際のユーザーレビューにも注目が集まります。
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